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SUZAKU ~長谷雄卿異聞~③
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三、
いつまでも出仕しない長谷雄卿を心配し、道真は様子を見に使いを差し向けた。ところが長谷雄卿は病に臥せ、ほとんど己を失っているという。驚いた道真は、今度は自らが赴(おもむ)いた。
長谷雄卿の邸は少なからず荒れていた。主人が寝込んで手入れが行き届いていない、というだけではない。妙に背中を風が這うような気配が漂っている。
板敷きの床に置いた畳一枚の上に、長谷雄卿は薄衣(うすぎぬ)を掛けて横たわっていた。頬は痩(こ)け、うつろな眼は宙をさ迷っている。道真が話し掛けると弱々しく眼は向けるが、消え入りそうな吐息を漏らすばかりだった。明らかに心が萎(な)えている。
ものの怪(け)にでも取り憑(つ)かれたか………。
とにかく養生と気力の回復が先決だ、と道真は判断した。
薬師(くすし)に見立てをさせ治療に当たらせる。高名な修験僧に加持を頼み、都随一の陰陽師の修法(ずほう)を受けさせる。ありとあらゆる方法を用い、愛(まな)弟子を病の淵から救い出そうと手を尽くした。その甲斐あってか、やがて長谷雄卿の病状は快方に向かった。そうしてひと月ほど経ると、ようやく起居(たちい)に支障がないほどまでに回復した。
「ずいぶん顔色もよくなったな」
道真は日に一度は顔を出し、長谷雄卿の様子を気に掛ける。道真が坐るのを待って、長谷雄卿は頭を下げた。
「道真様のお陰です。もったいなくて感謝のしようもありません」
「お前はかけがえのない弟子だ。私は師として当たり前のことをしたに過ぎん」
道真の言葉に、長谷雄卿はただただ深く感じ入った。
「長谷雄よ。そのように何事も気に掛け過ぎる、それがお前の難点なのだ。だから滞(とどこお)らなくてよいところで滞ってしまう。跳ばなくてはならない時に跳べなかったりするのだ」
道真はじっと長谷雄卿に眼を注ぎ、さらに続けた。
「もう一つ、お前には難点があるな」
「………」
長谷雄卿は道真が言わんとすることが分かっていた。それは自分自身が一番苦しんでいることでもあったからだ。
「お前は自分の範疇(はんちゅう)の内なら充分に力量を発揮する。が、範疇の外のことになると己を見失ってしまう。冷静でいられなくなる。カッとなって見境がつかなくなったり、疑心暗鬼に陥ったりする。察するところ、この度のことはどうやらこちらの方の難点が災いしたのであろう」
道真としては水を差し向けたつもりであった。が、長谷雄卿は苦しそうに顔をゆがめて平伏し、こう言った。
「仰せの通りです。いずれお話しせねばなりません。ですが、今しばらくは私の胸の内に納めたままにしておきたいのです。わがままであることは、重々承知しております。ですが、どうかお聞き届け下さい」
「よほどつらい目に遭ったのだな………」
道真は弟子を不憫(ふびん)に思い、あえて何も訊こうとはしなかった。
「ところで、長谷雄よ。大納言に欠員が出ておる。お前にその意があれば、微力ながら推挙しようと思うが」
言葉は控えめながら何とか活力を取り戻させたいと願う道真の熱い気持ちが胸に沁み、長谷雄卿は深々と頭を下げた。だが、言葉は出て来ない。
「まあ、その事はおいおい考えればよい。そうだ。もう少し体が戻れば、長谷寺へ詣(もう)でてみればどうだ。確か長谷雄という名は、父君がお参りして授かった子だという縁で寺の名にあやかった、と
聞いたが」
「はい」
「うむ、それがよい。成就祈願すれぼご霊験を賜(たまわ)るだろう。言わば、お前は長谷観音の申し子なのだからな。それに、お前に憑いている悪霊も祓ってもらうがいい。まだすっかり霧散したというわけでもなさそうだ」
長谷雄卿は、朱雀門の男も賭けもので得た女も、道真の言うような悪霊だとは思えなかった。確かにひどい有様になりはしたが、それは自分の弱さや欠落した性質によるものという気がするのである。
ああ、女………私の妻よ………。
道真を前にしながら、長谷雄卿は図らずも女への愛しさが込み上げて来た。忘れることの出来ない女への想いが炎となって燃え上がろうとするのを辛うじて抑え、長谷雄卿は道真に答えた。
「重ねてのお心遣い、有り難く思います。長谷へ参るのも久し振りです。少しは気も晴れ心も癒やされるでしょう」
「焦ることはないぞ。今は、とにかく体を治すことが肝要なのだからな」
道真は、しかし一瞬の長谷雄卿の心の揺らぎを看破していた。癒えるには、まだまだ時が要りそうだ。そう胸につぶやきながら、道真は愛弟子の前途に掛かる暗雲に痛ましさを覚えていた。
日が重なれば傷口のかさぶたの下に新しい皮膚が作られるように、長谷雄卿の心にも生活にもようやく落ち着きが見えて来た。道真の言うように長谷寺に詣でてみようと思い出立(しゅったつ)したのも、気力が徐々に蓄えられたからだった。
土地を潤し交通の要所ともなっている大和川をさかのぼると、斑鳩(いかるが)・桜井を経て初瀨に至る。初瀨は奈良平城京の南、橿原宮(かしはらぐう)の東に位置し、東吉野への入口に当たる。ここから大和川に注ぐ初瀨川を北にたどった小高い山ふところに、長谷寺はひっそりとたたずんでいる。
朱鳥元年(六八六年)、天武天皇の勅願により道明上人が千仏多宝塔を安置したのが起源とされる。下って養老五年(七二一年)、道明上人の弟子徳道上人の彫った十二面観音を祀るため別建されたという。長谷観音は右手に錫杖(しゃくじょう)を持つ立像で、観音でありながら地蔵菩薩の力をあわせ持つ。仁王門から観音の安置される本堂までは三九九段のゆるやかな坂が続く。その脇を彩る牡丹の花が、訪れる者をなごやかな気持ちに導いてくれる。
京を出た長谷雄卿は、土地土地の空気を吸い異郷の景色に触れるたびに、体中の細胞が新たに入れ替わってゆくのを感じた。長谷観音に参った後の京への戻りはもうすっかり元気になり、旅の衣も解かないうちに道真の邸を訪れた。
「道真様。ただ今戻りました」
「体の具合はどうだ」
「すこぶる調子がいいのです。何だか生まれ変わったような気さえします」
「それは良かった。気がかりが無くなり安堵した。で、どうであった、長谷は」
「はい。無事に祈願申し上げた、その夜のことでした。夢枕に長谷観音がお立ちになったのです」
「ほう。それは有り難いことだな。何かお言葉を賜ったのか」
「『汝(なんじ)、文章(もんじょう)の人たるに依(よ)りて、他の国へ遣(つか)わすべきなり』と」
「なるほど」
「どのようなご霊験を授かったと判断すればよろしいのでしょう」
「うむ。お前は学問詩文に秀でているから他の国でその才を発揮せよ、と仰(おっしゃ)っておられるのだが………」
「他の国とは、唐のことなのでしょうか。遣唐使として唐に渡れと」
「いや、そうではあるまい。唐は今、衰退している。それに遣唐使が派遣されてから、かれこれ二百六十年。わが国が唐から学ぶことは学び尽くした、と言っていい。お前の才能が、唐に行って発揮されるとは思えない」
「では………」
「他国とは、おそらく来世の国のことだろう」
「来世? 今のこの世ではなく?」
「現世では有り余るほどの才だから来世で存分に発揮せよ、という意味なのであろう」
「大納言にはなれない、ということなのでしょうか」
せっかく道真が推挙してくれているのだ。その期待に応えたい、と長谷雄卿は思っている。だから現世ではなく来世、というのが長谷雄卿には少なからず不満だった。
「ははは。少しは欲が湧いて来たと見える。元気になった証拠だ」
しばらく歓談した後で、長谷雄卿は朱雀門の男のこと、双六の勝負のこと、その賭けで得た女のことを道真に語った。今ではもうすっかり打ち明けることが出来るほど心の傷は癒えている。
暇乞(いとまご)いを述べる長谷雄卿に、道真は「しばし待て」と言い置いて別室に消えた。
戻って来た道真は、濃紫の袱紗(ふくさ)を手にしていた。長谷雄卿の前に坐ると、押し戴(いただ)くように袱紗を捧げ、深く一礼する。床に置いた布の端を指で摘まみ、丁寧に四方に開いた。
中から現れたのは、金銅の法具だった。拳を三つ並べたほどの長さで、両端に槍の穂先のように鋭く尖った四角錐を持っている。中央部は丸みを帯びたくびれがあり、複雑な文様が施されていた。
「手に取ってみるがよい」
頷いた長谷雄卿は一礼し、法具を両手に戴いた。それから法具の中央を右手で握った。思っていたより、ずしりと重い。拳の両脇から突き出た切っ先は、法具というよりむしろ武器に近かった。
「これは護法の籠められてある金剛杵(こんごうしょ)の独鈷(とっこ)だ。真言密教では、煩悩を打ち払い菩薩心を表す法具として用いられる。肌身離さず持っていよ。身に怪しいことがあれば護ってくれる筈だ」
道真の配慮は長谷雄卿にとって、さすがに有り難かった。師の大きさに包まれている幸福感、また一歩でも敬愛する師の足元に及びたいという願い。それらを長谷雄卿は、改めて自分の胸に刻んだ。
だが法具を授けたことは、まだ長谷雄卿の背後に漂う影が払拭し切れていない、と道真が感じている証(あかし)でもあったのである。
長谷雄卿が道真の邸を辞したのは、すでに深更(しんこう)になっていた。空に掛かる淡い雲に円環を描き、薄月が朧にかすんでいる。
突き当たる大内裏(だいだいり・天皇の住む内裏を中心に諸官庁の配された宮城)の手前を南に折れ、二条大路に差し掛かった。神泉苑の樹木の重量ある闇を眼の前にして、長谷雄卿は何となく気が急(せ)き、足が速まった。神泉苑の西向こうには朱雀門がある。そのことが心のどこかに無意識のおびえを抱かせていたのだ。奇態な体験をした長谷雄卿にとっては、御霊会(ごりょうえ・疫神や怨霊を鎮める祭)のたびたび催される神泉苑の漆黒の闇が常人以上に不気味なものに感じられるのも無理はない。
不意に大路の辻の地面から、するすると影が立ち昇った。影は見る見る大きな黒い塊になり、長谷雄卿の行く手をふさぐ。
長谷雄卿は、思わず息を呑んだ。一瞬、心(しん)の臓と足が止まる。薄明かりの中に揺らぐ影に、長谷雄卿は眼を凝らした。
「あなた様は、まことに実(じつ)の無いお方でございましたな」
朱雀門の男の声だ。一音一音がズシン、ズシンと腹の底に響き渡る。
「女を、どうされた」
「つ、妻にしようと………」
「為し得たか!」
凄まじい圧迫感が長谷雄卿の全身を襲う。長谷雄卿は脚が震え、体が凍りついた。
「それが………」
「何をためらう! 己のしたことぞ!」
「それが………」
「どうした!」
「抱いた途端………」
「言わぬか、中納言!」
男が大喝した。
体が縮み上がり、口の中が涸れる。
「水と………」
長谷雄卿の口から、悲痛な叫びが絞り出された。
「水となって………流れ失せてしまった!」
黒い塊が大きく波打ったかと思うと収縮し人の形に、朱雀門の男の姿に変じた。
「約束を、違えたな!」
男は、ずっずいっと長谷雄卿に歩み寄る。
「百日が、待てなかったな!」
長谷雄卿の足は、地に埋もれたように動くことが出来なかった。
「ようもようも、オレの思惑を踏みにじってくれた。あの女はな、オレが散々苦労してあまたの死人(しびと)から活きのいいところばかり選(え)り取って造ったのだ。百日過ぎれば魂が定まり、真(まこと)の人間となり得たものを………」
ギリギリと歯のきしる音がして、男の右手が伸びて来た。
「償(つぐな)ってもらうぞ、中納言」
「な、何をする!」
「お前の魂をいただく」
男の手首がまるで水の中に入るように、するりと長谷雄卿の胸の中に沈んだ。
「独鈷だ! 長谷雄!」
背後から鋭い声が飛んだ。
「道真か! 邪魔立てするな!」
長谷雄卿は無我夢中で独鈷を右手で掴むと、男めがけて突き立てた。だが、突き立てた所に男はいなかった。一瞬速く、男は腕を引き抜き跳びずさったのだ。空を切った独鈷は長谷雄卿の手からこぼれ、地面に転がった。
男の拳の間から、薄桃色の光が漏れている。
長谷雄卿は、うめき声すら上げず膝から崩れ落ちた。
「長谷雄!」
道真は駆け寄り、くたりと力の抜けた長谷雄卿の体を抱き起こした。
厚い雲が漏れる月明かりを消し始め、次第に辺りを闇に引きずり込んでゆく。
「残念だったな、道真」
薄く笑みを浮かべ、二人を見下ろしながら男は言った。
「報いだ。諦めてもらおう」
道真は、キッと男を睨みつけた。
「報いだと? 謀(たばか)るな! お前のよこしまな企てが水泡に帰しただけではないか!」
「何だと?」
「死人の体をつぎはぎにして人間を造るなどとは、いかにも鬼の考えそうなこと」
「オレはな、完璧な人間を造ろうとしただけだ」
「完璧な人間のあろう筈が無い。それはもはや人間とは呼べぬ」
「ふふん」
「いくら優れた部位ばかり集めて繕(つくろ)おうとも、所詮は寄せ集めのいびつなガラクタだ」
「そのガラクタに、中納言は惚れ込んでいたがな」
「眼を眩(くら)まされていたのだ」
「愚かだった、というわけか」
「確かに愚かだ。人間というのは愚かで欠点だらけだ。だが人間は一人一人、それぞれに宇宙を内包している」
「ほおう。大きく出たな」
「人間の細胞の一つ一つ、血の一滴一滴に至るまで全てに意思があるのだ。その意思がいく兆いく十兆と集まり一人の人間の肉体と精神を統(す)べ、一つの宇宙を創っている。縮まり膨らみ、死に生まれを繰り返しながら命をまっとうしようとしている。だからこそ尊いのだ」
「なるほど。言いたいことはそれだけか」
「お前の魂胆は分かっている」
「どうだと言うのだ」
「人間の内にある意思を持つ宇宙、それが魂だ。お前は体を造れても、魂は造れぬ。人間ではないのだからな」
「それで?」
「最初から長谷雄に魂を入れさせる肚(はら)だったのだろう。入れさせておいてから、後で女を取り戻す。己の妻にするためにな」
わずかな雲間が月を覗かせ、男の顔を青い光が舐(な)めた。
道真には、端正ではあるが掴みどころのない男の顔が歪(ゆが)んだように見えた。だが闇が、再び男を包む。
「わは、ははは………」
闇の中に、男の笑い声が響き渡った。
「これは参った。さすがは道真。お見通しであったか」
「哀れなのは長谷雄だ。人ではない女を、一途(いちず)に愛してしまったのだから。しかしな、長谷雄のその一途さが、結局はお前のもくろみを消し去った」
「だから、報いだと言ったのだ」
「報いというなら、長谷雄はすでに報いを受けているではないか。長谷雄は充分に苦しんだ。狂おしいほどの想いを、今でも胸に秘めておる。女を失ったのは、何もお前だけではない。長谷雄を元に戻せ!」
「女を台無しにしたのだぞ」
「全てはお前の悪心から出たことだ。それに長谷雄の魂を入れようにも、女は水になってしまったではないか。すでに必要なかろう」
「ふむ。まあ、な」
そう言うと、男は道真に近づいた。
「きょうのところは、弟子思いの道真公の顔をお立て申そう」
傍(かたわ)らに来ると男は右腕を伸ばし、長谷雄卿の胸に拳を差し入れた。光るものが解き放たれ、全身に広がってゆく。広がり切ると、光は今度は収縮しながら胸の一点に集まり、すうっと消えた。
長谷雄卿の眼が、うっすらと開かれた。
「だがな、道真。これで終わったとは思わぬことだ」
男は、立ち上がりながら道真に言った。
「いずれ自分の力ではどうにもならぬことが起こるだろう。お前のたいそうなご高説も通るまい。その時、道真よ。お前は今のように聖人君子面(づら)しておれるかな。愉しみなことよ」
言い捨てて、男はくるりと背を向けた。そうして、深まる闇の中へ溶けるように去って行った。
道真はまだ意識の定まらない長谷雄卿の肩を抱きながら、詩を吟ずる声の遠ざかってゆく闇の奥をじっと見据えていた。
付
菅原道真は、藤原氏の勢力を退けようとした宇多天皇に重用された。寛平六年(八九四年)、遣唐大使(副使は紀長谷雄)に任じられたが廃止を建議。醍醐天皇の時、右大臣に昇進した。宇多天皇が道真を関白にすることを知った左大臣藤原時平の策謀により、道真は太宰府に左遷。延喜三年(九〇三年)、配所にて五十九歳で没。直後より相次いで起こった時平一族の変死は、怨霊となった道真の祟りだとされた。これを鎮めるため道真は京都の北野天満宮の祭神として祀られ、学問の神として広く信仰されている。
紀長谷雄は、醍醐天皇に「群書治要」を進講(天皇や貴人に講義すること)した。これが講書(書物の講義)の始まりとされている。また、三善清行らとともに延喜格(えんぎきゃく・醍醐天皇の意思を表示した文書を集めたもの)の作成に加わった。道真の没した九年後に亡くなったが、世の人は長谷観音の導きにより「他国に生まれけり」と口々に言ったという。
また、「葉二」は笛の腕前に感心した朱雀門の鬼が浄蔵聖人(三善清行の子)に、「玄象」は管弦の名手、源博雅に授けたと言われている。
朱雀門はたびたび倒壊や焼亡に遭ったが、建保五年(一二一七年)の暴風によって倒れてからは再建されたことはない。
ー 了 ー
いつまでも出仕しない長谷雄卿を心配し、道真は様子を見に使いを差し向けた。ところが長谷雄卿は病に臥せ、ほとんど己を失っているという。驚いた道真は、今度は自らが赴(おもむ)いた。
長谷雄卿の邸は少なからず荒れていた。主人が寝込んで手入れが行き届いていない、というだけではない。妙に背中を風が這うような気配が漂っている。
板敷きの床に置いた畳一枚の上に、長谷雄卿は薄衣(うすぎぬ)を掛けて横たわっていた。頬は痩(こ)け、うつろな眼は宙をさ迷っている。道真が話し掛けると弱々しく眼は向けるが、消え入りそうな吐息を漏らすばかりだった。明らかに心が萎(な)えている。
ものの怪(け)にでも取り憑(つ)かれたか………。
とにかく養生と気力の回復が先決だ、と道真は判断した。
薬師(くすし)に見立てをさせ治療に当たらせる。高名な修験僧に加持を頼み、都随一の陰陽師の修法(ずほう)を受けさせる。ありとあらゆる方法を用い、愛(まな)弟子を病の淵から救い出そうと手を尽くした。その甲斐あってか、やがて長谷雄卿の病状は快方に向かった。そうしてひと月ほど経ると、ようやく起居(たちい)に支障がないほどまでに回復した。
「ずいぶん顔色もよくなったな」
道真は日に一度は顔を出し、長谷雄卿の様子を気に掛ける。道真が坐るのを待って、長谷雄卿は頭を下げた。
「道真様のお陰です。もったいなくて感謝のしようもありません」
「お前はかけがえのない弟子だ。私は師として当たり前のことをしたに過ぎん」
道真の言葉に、長谷雄卿はただただ深く感じ入った。
「長谷雄よ。そのように何事も気に掛け過ぎる、それがお前の難点なのだ。だから滞(とどこお)らなくてよいところで滞ってしまう。跳ばなくてはならない時に跳べなかったりするのだ」
道真はじっと長谷雄卿に眼を注ぎ、さらに続けた。
「もう一つ、お前には難点があるな」
「………」
長谷雄卿は道真が言わんとすることが分かっていた。それは自分自身が一番苦しんでいることでもあったからだ。
「お前は自分の範疇(はんちゅう)の内なら充分に力量を発揮する。が、範疇の外のことになると己を見失ってしまう。冷静でいられなくなる。カッとなって見境がつかなくなったり、疑心暗鬼に陥ったりする。察するところ、この度のことはどうやらこちらの方の難点が災いしたのであろう」
道真としては水を差し向けたつもりであった。が、長谷雄卿は苦しそうに顔をゆがめて平伏し、こう言った。
「仰せの通りです。いずれお話しせねばなりません。ですが、今しばらくは私の胸の内に納めたままにしておきたいのです。わがままであることは、重々承知しております。ですが、どうかお聞き届け下さい」
「よほどつらい目に遭ったのだな………」
道真は弟子を不憫(ふびん)に思い、あえて何も訊こうとはしなかった。
「ところで、長谷雄よ。大納言に欠員が出ておる。お前にその意があれば、微力ながら推挙しようと思うが」
言葉は控えめながら何とか活力を取り戻させたいと願う道真の熱い気持ちが胸に沁み、長谷雄卿は深々と頭を下げた。だが、言葉は出て来ない。
「まあ、その事はおいおい考えればよい。そうだ。もう少し体が戻れば、長谷寺へ詣(もう)でてみればどうだ。確か長谷雄という名は、父君がお参りして授かった子だという縁で寺の名にあやかった、と
聞いたが」
「はい」
「うむ、それがよい。成就祈願すれぼご霊験を賜(たまわ)るだろう。言わば、お前は長谷観音の申し子なのだからな。それに、お前に憑いている悪霊も祓ってもらうがいい。まだすっかり霧散したというわけでもなさそうだ」
長谷雄卿は、朱雀門の男も賭けもので得た女も、道真の言うような悪霊だとは思えなかった。確かにひどい有様になりはしたが、それは自分の弱さや欠落した性質によるものという気がするのである。
ああ、女………私の妻よ………。
道真を前にしながら、長谷雄卿は図らずも女への愛しさが込み上げて来た。忘れることの出来ない女への想いが炎となって燃え上がろうとするのを辛うじて抑え、長谷雄卿は道真に答えた。
「重ねてのお心遣い、有り難く思います。長谷へ参るのも久し振りです。少しは気も晴れ心も癒やされるでしょう」
「焦ることはないぞ。今は、とにかく体を治すことが肝要なのだからな」
道真は、しかし一瞬の長谷雄卿の心の揺らぎを看破していた。癒えるには、まだまだ時が要りそうだ。そう胸につぶやきながら、道真は愛弟子の前途に掛かる暗雲に痛ましさを覚えていた。
日が重なれば傷口のかさぶたの下に新しい皮膚が作られるように、長谷雄卿の心にも生活にもようやく落ち着きが見えて来た。道真の言うように長谷寺に詣でてみようと思い出立(しゅったつ)したのも、気力が徐々に蓄えられたからだった。
土地を潤し交通の要所ともなっている大和川をさかのぼると、斑鳩(いかるが)・桜井を経て初瀨に至る。初瀨は奈良平城京の南、橿原宮(かしはらぐう)の東に位置し、東吉野への入口に当たる。ここから大和川に注ぐ初瀨川を北にたどった小高い山ふところに、長谷寺はひっそりとたたずんでいる。
朱鳥元年(六八六年)、天武天皇の勅願により道明上人が千仏多宝塔を安置したのが起源とされる。下って養老五年(七二一年)、道明上人の弟子徳道上人の彫った十二面観音を祀るため別建されたという。長谷観音は右手に錫杖(しゃくじょう)を持つ立像で、観音でありながら地蔵菩薩の力をあわせ持つ。仁王門から観音の安置される本堂までは三九九段のゆるやかな坂が続く。その脇を彩る牡丹の花が、訪れる者をなごやかな気持ちに導いてくれる。
京を出た長谷雄卿は、土地土地の空気を吸い異郷の景色に触れるたびに、体中の細胞が新たに入れ替わってゆくのを感じた。長谷観音に参った後の京への戻りはもうすっかり元気になり、旅の衣も解かないうちに道真の邸を訪れた。
「道真様。ただ今戻りました」
「体の具合はどうだ」
「すこぶる調子がいいのです。何だか生まれ変わったような気さえします」
「それは良かった。気がかりが無くなり安堵した。で、どうであった、長谷は」
「はい。無事に祈願申し上げた、その夜のことでした。夢枕に長谷観音がお立ちになったのです」
「ほう。それは有り難いことだな。何かお言葉を賜ったのか」
「『汝(なんじ)、文章(もんじょう)の人たるに依(よ)りて、他の国へ遣(つか)わすべきなり』と」
「なるほど」
「どのようなご霊験を授かったと判断すればよろしいのでしょう」
「うむ。お前は学問詩文に秀でているから他の国でその才を発揮せよ、と仰(おっしゃ)っておられるのだが………」
「他の国とは、唐のことなのでしょうか。遣唐使として唐に渡れと」
「いや、そうではあるまい。唐は今、衰退している。それに遣唐使が派遣されてから、かれこれ二百六十年。わが国が唐から学ぶことは学び尽くした、と言っていい。お前の才能が、唐に行って発揮されるとは思えない」
「では………」
「他国とは、おそらく来世の国のことだろう」
「来世? 今のこの世ではなく?」
「現世では有り余るほどの才だから来世で存分に発揮せよ、という意味なのであろう」
「大納言にはなれない、ということなのでしょうか」
せっかく道真が推挙してくれているのだ。その期待に応えたい、と長谷雄卿は思っている。だから現世ではなく来世、というのが長谷雄卿には少なからず不満だった。
「ははは。少しは欲が湧いて来たと見える。元気になった証拠だ」
しばらく歓談した後で、長谷雄卿は朱雀門の男のこと、双六の勝負のこと、その賭けで得た女のことを道真に語った。今ではもうすっかり打ち明けることが出来るほど心の傷は癒えている。
暇乞(いとまご)いを述べる長谷雄卿に、道真は「しばし待て」と言い置いて別室に消えた。
戻って来た道真は、濃紫の袱紗(ふくさ)を手にしていた。長谷雄卿の前に坐ると、押し戴(いただ)くように袱紗を捧げ、深く一礼する。床に置いた布の端を指で摘まみ、丁寧に四方に開いた。
中から現れたのは、金銅の法具だった。拳を三つ並べたほどの長さで、両端に槍の穂先のように鋭く尖った四角錐を持っている。中央部は丸みを帯びたくびれがあり、複雑な文様が施されていた。
「手に取ってみるがよい」
頷いた長谷雄卿は一礼し、法具を両手に戴いた。それから法具の中央を右手で握った。思っていたより、ずしりと重い。拳の両脇から突き出た切っ先は、法具というよりむしろ武器に近かった。
「これは護法の籠められてある金剛杵(こんごうしょ)の独鈷(とっこ)だ。真言密教では、煩悩を打ち払い菩薩心を表す法具として用いられる。肌身離さず持っていよ。身に怪しいことがあれば護ってくれる筈だ」
道真の配慮は長谷雄卿にとって、さすがに有り難かった。師の大きさに包まれている幸福感、また一歩でも敬愛する師の足元に及びたいという願い。それらを長谷雄卿は、改めて自分の胸に刻んだ。
だが法具を授けたことは、まだ長谷雄卿の背後に漂う影が払拭し切れていない、と道真が感じている証(あかし)でもあったのである。
長谷雄卿が道真の邸を辞したのは、すでに深更(しんこう)になっていた。空に掛かる淡い雲に円環を描き、薄月が朧にかすんでいる。
突き当たる大内裏(だいだいり・天皇の住む内裏を中心に諸官庁の配された宮城)の手前を南に折れ、二条大路に差し掛かった。神泉苑の樹木の重量ある闇を眼の前にして、長谷雄卿は何となく気が急(せ)き、足が速まった。神泉苑の西向こうには朱雀門がある。そのことが心のどこかに無意識のおびえを抱かせていたのだ。奇態な体験をした長谷雄卿にとっては、御霊会(ごりょうえ・疫神や怨霊を鎮める祭)のたびたび催される神泉苑の漆黒の闇が常人以上に不気味なものに感じられるのも無理はない。
不意に大路の辻の地面から、するすると影が立ち昇った。影は見る見る大きな黒い塊になり、長谷雄卿の行く手をふさぐ。
長谷雄卿は、思わず息を呑んだ。一瞬、心(しん)の臓と足が止まる。薄明かりの中に揺らぐ影に、長谷雄卿は眼を凝らした。
「あなた様は、まことに実(じつ)の無いお方でございましたな」
朱雀門の男の声だ。一音一音がズシン、ズシンと腹の底に響き渡る。
「女を、どうされた」
「つ、妻にしようと………」
「為し得たか!」
凄まじい圧迫感が長谷雄卿の全身を襲う。長谷雄卿は脚が震え、体が凍りついた。
「それが………」
「何をためらう! 己のしたことぞ!」
「それが………」
「どうした!」
「抱いた途端………」
「言わぬか、中納言!」
男が大喝した。
体が縮み上がり、口の中が涸れる。
「水と………」
長谷雄卿の口から、悲痛な叫びが絞り出された。
「水となって………流れ失せてしまった!」
黒い塊が大きく波打ったかと思うと収縮し人の形に、朱雀門の男の姿に変じた。
「約束を、違えたな!」
男は、ずっずいっと長谷雄卿に歩み寄る。
「百日が、待てなかったな!」
長谷雄卿の足は、地に埋もれたように動くことが出来なかった。
「ようもようも、オレの思惑を踏みにじってくれた。あの女はな、オレが散々苦労してあまたの死人(しびと)から活きのいいところばかり選(え)り取って造ったのだ。百日過ぎれば魂が定まり、真(まこと)の人間となり得たものを………」
ギリギリと歯のきしる音がして、男の右手が伸びて来た。
「償(つぐな)ってもらうぞ、中納言」
「な、何をする!」
「お前の魂をいただく」
男の手首がまるで水の中に入るように、するりと長谷雄卿の胸の中に沈んだ。
「独鈷だ! 長谷雄!」
背後から鋭い声が飛んだ。
「道真か! 邪魔立てするな!」
長谷雄卿は無我夢中で独鈷を右手で掴むと、男めがけて突き立てた。だが、突き立てた所に男はいなかった。一瞬速く、男は腕を引き抜き跳びずさったのだ。空を切った独鈷は長谷雄卿の手からこぼれ、地面に転がった。
男の拳の間から、薄桃色の光が漏れている。
長谷雄卿は、うめき声すら上げず膝から崩れ落ちた。
「長谷雄!」
道真は駆け寄り、くたりと力の抜けた長谷雄卿の体を抱き起こした。
厚い雲が漏れる月明かりを消し始め、次第に辺りを闇に引きずり込んでゆく。
「残念だったな、道真」
薄く笑みを浮かべ、二人を見下ろしながら男は言った。
「報いだ。諦めてもらおう」
道真は、キッと男を睨みつけた。
「報いだと? 謀(たばか)るな! お前のよこしまな企てが水泡に帰しただけではないか!」
「何だと?」
「死人の体をつぎはぎにして人間を造るなどとは、いかにも鬼の考えそうなこと」
「オレはな、完璧な人間を造ろうとしただけだ」
「完璧な人間のあろう筈が無い。それはもはや人間とは呼べぬ」
「ふふん」
「いくら優れた部位ばかり集めて繕(つくろ)おうとも、所詮は寄せ集めのいびつなガラクタだ」
「そのガラクタに、中納言は惚れ込んでいたがな」
「眼を眩(くら)まされていたのだ」
「愚かだった、というわけか」
「確かに愚かだ。人間というのは愚かで欠点だらけだ。だが人間は一人一人、それぞれに宇宙を内包している」
「ほおう。大きく出たな」
「人間の細胞の一つ一つ、血の一滴一滴に至るまで全てに意思があるのだ。その意思がいく兆いく十兆と集まり一人の人間の肉体と精神を統(す)べ、一つの宇宙を創っている。縮まり膨らみ、死に生まれを繰り返しながら命をまっとうしようとしている。だからこそ尊いのだ」
「なるほど。言いたいことはそれだけか」
「お前の魂胆は分かっている」
「どうだと言うのだ」
「人間の内にある意思を持つ宇宙、それが魂だ。お前は体を造れても、魂は造れぬ。人間ではないのだからな」
「それで?」
「最初から長谷雄に魂を入れさせる肚(はら)だったのだろう。入れさせておいてから、後で女を取り戻す。己の妻にするためにな」
わずかな雲間が月を覗かせ、男の顔を青い光が舐(な)めた。
道真には、端正ではあるが掴みどころのない男の顔が歪(ゆが)んだように見えた。だが闇が、再び男を包む。
「わは、ははは………」
闇の中に、男の笑い声が響き渡った。
「これは参った。さすがは道真。お見通しであったか」
「哀れなのは長谷雄だ。人ではない女を、一途(いちず)に愛してしまったのだから。しかしな、長谷雄のその一途さが、結局はお前のもくろみを消し去った」
「だから、報いだと言ったのだ」
「報いというなら、長谷雄はすでに報いを受けているではないか。長谷雄は充分に苦しんだ。狂おしいほどの想いを、今でも胸に秘めておる。女を失ったのは、何もお前だけではない。長谷雄を元に戻せ!」
「女を台無しにしたのだぞ」
「全てはお前の悪心から出たことだ。それに長谷雄の魂を入れようにも、女は水になってしまったではないか。すでに必要なかろう」
「ふむ。まあ、な」
そう言うと、男は道真に近づいた。
「きょうのところは、弟子思いの道真公の顔をお立て申そう」
傍(かたわ)らに来ると男は右腕を伸ばし、長谷雄卿の胸に拳を差し入れた。光るものが解き放たれ、全身に広がってゆく。広がり切ると、光は今度は収縮しながら胸の一点に集まり、すうっと消えた。
長谷雄卿の眼が、うっすらと開かれた。
「だがな、道真。これで終わったとは思わぬことだ」
男は、立ち上がりながら道真に言った。
「いずれ自分の力ではどうにもならぬことが起こるだろう。お前のたいそうなご高説も通るまい。その時、道真よ。お前は今のように聖人君子面(づら)しておれるかな。愉しみなことよ」
言い捨てて、男はくるりと背を向けた。そうして、深まる闇の中へ溶けるように去って行った。
道真はまだ意識の定まらない長谷雄卿の肩を抱きながら、詩を吟ずる声の遠ざかってゆく闇の奥をじっと見据えていた。
付
菅原道真は、藤原氏の勢力を退けようとした宇多天皇に重用された。寛平六年(八九四年)、遣唐大使(副使は紀長谷雄)に任じられたが廃止を建議。醍醐天皇の時、右大臣に昇進した。宇多天皇が道真を関白にすることを知った左大臣藤原時平の策謀により、道真は太宰府に左遷。延喜三年(九〇三年)、配所にて五十九歳で没。直後より相次いで起こった時平一族の変死は、怨霊となった道真の祟りだとされた。これを鎮めるため道真は京都の北野天満宮の祭神として祀られ、学問の神として広く信仰されている。
紀長谷雄は、醍醐天皇に「群書治要」を進講(天皇や貴人に講義すること)した。これが講書(書物の講義)の始まりとされている。また、三善清行らとともに延喜格(えんぎきゃく・醍醐天皇の意思を表示した文書を集めたもの)の作成に加わった。道真の没した九年後に亡くなったが、世の人は長谷観音の導きにより「他国に生まれけり」と口々に言ったという。
また、「葉二」は笛の腕前に感心した朱雀門の鬼が浄蔵聖人(三善清行の子)に、「玄象」は管弦の名手、源博雅に授けたと言われている。
朱雀門はたびたび倒壊や焼亡に遭ったが、建保五年(一二一七年)の暴風によって倒れてからは再建されたことはない。
ー 了 ー
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