本当に死んだら異世界なんて転生しない。あるのは悲壮感だけ。

ななし

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第7話 人形少女

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 皆さんはこんな考え方をしたことがあるだろうか?
 生きる希望も未来も生き甲斐もない。それは「死」と同意義なのではないのか?生きる意味はあるのだろうか?
 こんな考え方だ。確かにとても歪んでいる考え方だろう。ただ僕はそう思って生きている。この考えがあるからこそ早死にしたいと思う一つの理由にもなっている。

 そして、今日僕が出会った少女は紛れもなくそれに近い少女だった。ただの操り人形、それはまるで「人形少女」。
 きっとこの少女は別の物語でもたくさん出てくることになるだろう。ただ今回は僕がこの人形少女の「朝倉 舞」に出会った初めてのお話をしたいと思う。


 専門学校が終わり僕は自宅に帰ろうとしていた。今日は莉奈の家には向かわない。というのも彼女は今日仕事なのだ。キャバ嬢ゆえ夜仕事にいくのですれ違いになるのだ。だから今日はおとなしく自分の家へと帰っていた。

 突然の大雨。ただ僕はリュックに折りたたみ傘を常備している。そこら辺はしっかりしているのだ。
 靴が雨によって濡れてきた頃、たばこ屋の屋根にちょこんと女の子が立っていた。制服的に中学生だろう。「おいおい中学生の女の子がタバコ吸ってんのかよ」と思った人は多いと思うがそれは違う。彼女は雨宿りをしていた。ただたばこ屋の屋根はそこまで大きくはないので少し濡れていた。まぁ当然である。

 都会の人ならわかると思うが、こんな状況になったら皆さんどうするだろうか?
 そう、正解は無視だ。ここで「傘貸しましょうか?」なんてあるのはドラマやアニメの世界だけである。普通は知らない中学生なんかに話しかける事なんてしないだろう。だから僕も無視した。ただチラッとその子を見ると真っ直ぐ見ていた。多分僕の事を見てはいなかったのだろう。ただ、力強い目力のせいかまるで僕をじっと見ている、そんな風に錯覚するような目力だった。
 それは到底無視出来る様な感じではなかった。僕はまるで魔法にでも掛かったかのように少女に近寄った。そして彼女にこう言った。

「大丈夫?傘ないの?」

 僕が人生で初めて知らない人に声を掛けた瞬間だった。

「大丈夫です。迎えが来ますので」

 そう一言彼女は言った。僕は少し安心した。だが念のためにもう一つ質問をした。

「その迎え直ぐ来るの?」

 その質問に対して表情を変えず小さい声で

「あと30分位で来る予定です」

 と言った。
 ハッキリ言って少し肌寒いこの中こんな土砂降りで30分待つのは良い状況ではない。それに予定と言った。予定とは確定事項のことではない。

「ならそこのカフェで待たない?ここじゃあ、風邪引くよ」

 そう僕は迎えにあるカフェを指さして提案した。

「……」

 だが少女は黙り込んでしまった。当たり前と言えば当たり前だ。20歳の知らない男が中学生の女の子に一緒にカフェ行こうと言っているのだ。場合によっては通報されてもおかしくない。警戒して当たり前だ。

「じゃあ、僕はお金出してすぐ帰るからとりあえずカフェに避難しよ。そうすれば安心でしょ?」

 そう彼女の警戒心を和らげるように提案した。僕の目的はナンパではない。ただこの子がなぜか放っておけないだけで、あそこのカフェにさえ避難して貰えれば目的は達成したようなものだ。だからどうであれ、カフェに行ってもらって欲しいのだ。そしたら風邪も引かないし安心だ。

「いえ、別に警戒はしていないです。ただどうして優しくするのだろうと思っただけです」

「さぁね。僕もわからない。でも別に理由なんて必要?」

 そう僕は答えた。

「……ありがとうございます。カフェまだ傘入れて下さい」

 とても短い距離だったが彼女を傘に入れ向かえのカフェに入った。

「ほら1000円あげるよ。これでお茶して待ってなよ。じゃあ僕は帰るとするよ」

 そう言って帰ろうとした。

「あの……折角なので一緒に休んでいきませんか?」

 この中学生が言った「休んでいきませんか」、この言葉はなんとも卑猥と思った僕は心が相当汚いのだろう。自分に相当ガッカリした。
 ただ気を遣ってくれた事は嬉しかったのでそのお誘いに乗ることにした。無論やましい気持ちは焼き払ったから安心して欲しい。
 僕達はホットティーを注文し、席に座った。そしてあるのは無言の間だった。

「……」

 そう全然会話は生まれなかったのだ。よく考えると僕は年上だ。だからここは僕から率先して会話しないといけないと思った。まだ若かりし僕はそこまで人と会話する人間ではなかったので得意ではなかったが、年上として頑張るしかないと思った。

「ねぇ。中学何年生?」

「2年生です」

 そして会話は終わってしまった。なんとも浅い質問をしてしまった。そしてこの子は相当無口なのだろう。返答の声も小さく気を抜いているとなにを言ってるかもわからない位だ。ただ目力はあった。だから不思議な感じがした。大体こういう子はおどおどしているもんだ。ただ目の前の女の子は目はしっかり堂々としていたのだ。だからなのかはわからないが、僕もなかなか会話をしずらい雰囲気に飲まれていた。

「向かえに来るって言ってたけど、親御さんかな?」

「いえ、マネージャーです」

 ん?と僕は考えた。考えたが分るはずもないので素直に聞くことにした。

「マネージャーって部活とかやってるの?」

「部活?あっいえ、マネージャーです」

 意味不明である。だからなんのマネジメントしてる人なのだろうか。そう頭を悩ましているととんでもない答えを少女は言った。

「私アイドルなんです」

 僕は呆然とした。こんな無口で愛想もない女の子がアイドルなんて有り得ないし、妄想癖でもあるのではないかと思った。

「えっと……ほ、ほんとにアイドルなの?」

 僕は一応念のため確認してみた。

「はい、アイドルです」

 そう言った彼女の目はとても力強く、到底嘘とは思えない目だった。そしてその目に何か惹かれるような、それは莉奈と似ている目だった。
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