11 / 14
12話 初めてのデート
しおりを挟む
大学はいよいよ長い夏休みに入った。
僕は莉奈との同棲生活にも慣れ始め、寧ろ心地よく感じていた。
莉奈は夜職の為、同棲を開始した最初はすれ違いが起きていたが、それを気にしてか莉奈は以前よりもキャバクラで働く日数を減らしていた。人気キャバ嬢だから別に働く日数を減らしたところで、ここで生活していくには十分な稼ぎは確保していたので特に問題はなかった。
「キャバクラで働くと嫉妬したりする?」
莉奈は僕の心配もしてくれた。
まぁ、知らない男と飲んだりする商売なのは理解しているが、あまり気持ちいい事ではなかったのが事実だ。
その心を見透かしてか、それとも莉奈の優しさなのか、今後キャバクラで働かなくてもいいように考えとくと言ってくれた。
そしてなにもしないまま夏休みが1週間過ぎた。
僕はいつも通り莉奈と晩御飯を食べていた。すると莉奈は
「デートした事ない」
箸を止め唐突に言ってきたのだ。
確かに僕達は軽い買い物程度はした事があったが、カップルがよくするようなデートはした事がなかった。
「そうだね、したことないね。莉奈行きたいとこあるの?」
「人生でデートらしいデートをした事がないから、デートらしいデートスポットでデートしたい」
行きたい場所を聞いた筈なのに、とても抽象的に返してきた。そして難解に何回もデートを使う辺り、よほどデートをしたいようにも思える。
「そもそもデートらしいデートって、なに?」
莉奈は少し上を見て考え、少し頭を横に傾けながら考えた。
「遊園地とか、水族館とか、星を見に行くとか?」
莉奈は容姿端麗で人気キャバ嬢だ。僕と違いモテるはずなのにそういったデートをした事がないのは少し意外だ。
というか、嘘なんじゃないかと疑いたくなった。
「莉奈モテそうなのに、デートした事ないの?」
「ない。今まで付き合ってもすぐダメになったし。何回かヤッて終わり。デートまでした事がない。というか、手を繋いだ事もこないだが初めて」
真顔の莉奈を見るに嘘ではないのだろう。
確かに僕も似たようなものだ。
よく恋愛は段階があるというが本当なのだろうか?
僕の経験上、手を繋いで、デートして、一緒に寝る、という順番で物事進んだ事はない。寧ろいつも逆から物事が進んでいた気もする。
「じゃあ、莉奈明日休みだし、明日行こうか。デート」
「うん」
そう無機質で答えたが、その中にも嬉しそうなのを隠している様だった。
「じゃあ、何処行こうかな……そだ。莉奈みなとみらい行ったことある? あそこデートの定番だし、行ってみようよ」
「いいよ。みなとみらい行った事ないし」
僕達は神奈川の溝の口という場所に住んでいるので、電車で近い場所でもあるみなとみらいは理想の場所だった。そして横浜のデートスポットと言えばみなとみらいである。
「もう10時か。なら早くお風呂入って寝ようか。明日は午前中に出るし」
「そうだね」
莉奈は残った唐揚げを食べ、ビールをクイっと飲み干し、遅めの晩御飯を食べ終えた。
「あっ、ちなみに今日は寝るだけだから。すぐ寝るから、なにもしないよ」
僕は自分の睡眠時間を確保したいので、念のために釘を刺しておいた。
「なんで、今10時じゃん。大丈夫」
莉奈は少し強めの目で訴えてきた。
「2人がお風呂上がったら12時になるじゃん。だからダメだよ。明日準備もあるし9時には起きないとさ」
「なら、二人で軽くシャワー済ませればいいじゃん。そうしたら、11時前にベッドインできる」
うん、と一人で莉奈は頷いていた。
どうしてもベッドイン後のイベントは回避出来ないらしい。僕は観念したように
「分ったよ……」
と呟いた。
それに対して莉奈は満面の笑みを浮かべていた。納得のご様子だ。
正直明日どこ行くかとか、寝る前に色々調べたかったのだが、莉奈の笑顔を見てそんな事は僕もどうでもよくなった。
「まぁ、明日電車で適当に考えるか」
僕は食器をシンクに運びながらそんな事を考えていた。
食器を水で浸して、横を振り返ると莉奈は2枚のバスタオルを抱え、まるで散歩前の犬のような感じでキョトンと待っていた。
「ほら、片付け終わったから。シャワー行くよ」
「はーい」
明日のデートが楽しみなのだろう。莉奈の足取りは軽く、少し跳ねたようにシャワーへ向かって行った。
そしてそんな様子を見て、微笑んでる僕もきっと楽しみにしているのだろうと、思ったのだった。
僕は莉奈との同棲生活にも慣れ始め、寧ろ心地よく感じていた。
莉奈は夜職の為、同棲を開始した最初はすれ違いが起きていたが、それを気にしてか莉奈は以前よりもキャバクラで働く日数を減らしていた。人気キャバ嬢だから別に働く日数を減らしたところで、ここで生活していくには十分な稼ぎは確保していたので特に問題はなかった。
「キャバクラで働くと嫉妬したりする?」
莉奈は僕の心配もしてくれた。
まぁ、知らない男と飲んだりする商売なのは理解しているが、あまり気持ちいい事ではなかったのが事実だ。
その心を見透かしてか、それとも莉奈の優しさなのか、今後キャバクラで働かなくてもいいように考えとくと言ってくれた。
そしてなにもしないまま夏休みが1週間過ぎた。
僕はいつも通り莉奈と晩御飯を食べていた。すると莉奈は
「デートした事ない」
箸を止め唐突に言ってきたのだ。
確かに僕達は軽い買い物程度はした事があったが、カップルがよくするようなデートはした事がなかった。
「そうだね、したことないね。莉奈行きたいとこあるの?」
「人生でデートらしいデートをした事がないから、デートらしいデートスポットでデートしたい」
行きたい場所を聞いた筈なのに、とても抽象的に返してきた。そして難解に何回もデートを使う辺り、よほどデートをしたいようにも思える。
「そもそもデートらしいデートって、なに?」
莉奈は少し上を見て考え、少し頭を横に傾けながら考えた。
「遊園地とか、水族館とか、星を見に行くとか?」
莉奈は容姿端麗で人気キャバ嬢だ。僕と違いモテるはずなのにそういったデートをした事がないのは少し意外だ。
というか、嘘なんじゃないかと疑いたくなった。
「莉奈モテそうなのに、デートした事ないの?」
「ない。今まで付き合ってもすぐダメになったし。何回かヤッて終わり。デートまでした事がない。というか、手を繋いだ事もこないだが初めて」
真顔の莉奈を見るに嘘ではないのだろう。
確かに僕も似たようなものだ。
よく恋愛は段階があるというが本当なのだろうか?
僕の経験上、手を繋いで、デートして、一緒に寝る、という順番で物事進んだ事はない。寧ろいつも逆から物事が進んでいた気もする。
「じゃあ、莉奈明日休みだし、明日行こうか。デート」
「うん」
そう無機質で答えたが、その中にも嬉しそうなのを隠している様だった。
「じゃあ、何処行こうかな……そだ。莉奈みなとみらい行ったことある? あそこデートの定番だし、行ってみようよ」
「いいよ。みなとみらい行った事ないし」
僕達は神奈川の溝の口という場所に住んでいるので、電車で近い場所でもあるみなとみらいは理想の場所だった。そして横浜のデートスポットと言えばみなとみらいである。
「もう10時か。なら早くお風呂入って寝ようか。明日は午前中に出るし」
「そうだね」
莉奈は残った唐揚げを食べ、ビールをクイっと飲み干し、遅めの晩御飯を食べ終えた。
「あっ、ちなみに今日は寝るだけだから。すぐ寝るから、なにもしないよ」
僕は自分の睡眠時間を確保したいので、念のために釘を刺しておいた。
「なんで、今10時じゃん。大丈夫」
莉奈は少し強めの目で訴えてきた。
「2人がお風呂上がったら12時になるじゃん。だからダメだよ。明日準備もあるし9時には起きないとさ」
「なら、二人で軽くシャワー済ませればいいじゃん。そうしたら、11時前にベッドインできる」
うん、と一人で莉奈は頷いていた。
どうしてもベッドイン後のイベントは回避出来ないらしい。僕は観念したように
「分ったよ……」
と呟いた。
それに対して莉奈は満面の笑みを浮かべていた。納得のご様子だ。
正直明日どこ行くかとか、寝る前に色々調べたかったのだが、莉奈の笑顔を見てそんな事は僕もどうでもよくなった。
「まぁ、明日電車で適当に考えるか」
僕は食器をシンクに運びながらそんな事を考えていた。
食器を水で浸して、横を振り返ると莉奈は2枚のバスタオルを抱え、まるで散歩前の犬のような感じでキョトンと待っていた。
「ほら、片付け終わったから。シャワー行くよ」
「はーい」
明日のデートが楽しみなのだろう。莉奈の足取りは軽く、少し跳ねたようにシャワーへ向かって行った。
そしてそんな様子を見て、微笑んでる僕もきっと楽しみにしているのだろうと、思ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
竜華族の愛に囚われて
澤谷弥(さわたに わたる)
キャラ文芸
近代化が進む中、竜華族が竜結界を築き魑魅魍魎から守る世界。
五芒星の中心に朝廷を据え、木竜、火竜、土竜、金竜、水竜という五柱が結界を維持し続けている。
これらの竜を世話する役割を担う一族が竜華族である。
赤沼泉美は、異能を持たない竜華族であるため、赤沼伯爵家で虐げられ、女中以下の生活を送っていた。
新月の夜、異能の暴走で苦しむ姉、百合を助けるため、母、雅代の命令で月光草を求めて竜尾山に入ったが、魔魅に襲われ絶体絶命。しかし、火宮公爵子息の臣哉に救われた。
そんな泉美が気になる臣哉は、彼女の出自について調べ始めるのだが――。
※某サイトの短編コン用に書いたやつ。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる