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14話 初めてのデート③
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商業施設に入った僕達は色んな店を巡った。特に買いたい物もなかったが、洋服をいくつか莉奈は買っていた。僕も莉奈からコーディネートをしてもらい、洋服をいくつか買った。
そんなデートらしいデートを僕達は堪能し、あっという間に時間が経過した。
夜になると、高層ビルに入っている店に入り、晩御飯にした。
その大人のお洒落な雰囲気に圧倒されつつメニューを開くと、意味不明なカタカナでずっしりとメニューは埋め尽くされていた。
どれを頼んで良いかもわからず、どんな料理が出て来るのかもわからず、僕は適当にそのカタカナが多い料理を注文した。
莉奈に教えて貰おうと聞いてみるも「わからない。インスピレーションで頼めばいいよ」と莉奈もわかっていない様子だった。
注文したシャンパンを飲みつつ、お洒落な料理を摘まむ。
そしてガラス張りの外を見れば、そこには夜景が綺麗に広がっていた。
「たまにはいいね。こういうのも。大人のデートみたい」
莉奈はその雰囲気に酔いつつ夜景を堪能していた。
僕個人的にはそこらへんにある居酒屋も大好きだが、たまにはこういう場所で飲むお酒も悪くないと思った。
莉奈はアンチョビのトーストをパクッと食べ、シャンパンを上品に飲んでいた。
「お酒の面白い所って、一緒に飲む人によって味も変わるとこなんだよね」
「あぁ。それは僕も分る気がするよ」
「だから、今日のシャンパンは美味しい。いつもはこんな美味しくないから」
それはキャバクラでの話なのだろう。
そう考えるとキャバクラも大変な職業だ。めんどくさい客に絡まれつつ、お酒を飲まないといけないなんて過酷な職業だと僕は思った。
「ねぇ。私と飲むお酒は美味しい?」
莉奈はシャンパングラスを片手に真顔で聞いてきた。
「僕は美味しいお酒しか飲まない。不味い酒は嫌いなんだ」
「そっか、そっか」
そう嬉しそうに莉奈は納得していた。
莉奈の空いたグラスにシャンパンを注ぐとビンは空になっていた。
「もうなくなっちゃたね。じゃあ、次はワインね」
「莉奈、帰りもあるからほどほどにね」
と一応忠告しておいた。
そしてその後も夜景を横目に意味もない会話をして、料理とお酒をゆっくりと堪能した。
食事を終え、僕達は近くにあった見晴らしのいいベンチに座った。
「なんか、お洒落。いいね」
そう言って僕の肩に莉奈が頭を乗っけて言った。
「このまま時間止まればいいのに」
莉奈は甘い声でそう囁く。
「また来ればいいじゃん」
「そうだね。それもその通りだ」
真っ暗な中、かすかな光が莉奈を照らし、その艶めかしい表情に僕はドキッとした。それを知ってか知らずか、莉奈は上目遣いで僕を見ていた。
僕は誤魔化すように、違う方向を見る。
すると莉奈は僕の手を取り、自分の太ももに置く。
「ねぇ莉奈、なにしてんの?」
「ドキドキするでしょ?」
莉奈は悪戯っぽく笑っていた。
更には自分のふとももに僕の手をすりすりと摩っていた。
僕は無理矢理手を払いのけようとしたが、莉奈はがっしり掴んでいた。
「私の太もも嫌い?」
「そうじゃないよ。ほら、もう帰るよ」
この状況に僕はたまらず莉奈にそう提案した。
「大丈夫? 帰れるの? 1時間くらいかかるけど」
「なに、それどういう事? まだ終電全然あるけど」
僕がそう答えると、莉奈は僕の肩に頭を乗っけたまま甘い声で囁く。
「ほら、ここホテル多いよ。少し高めのホテルに泊まっても私は構わないよ? ここのホテルって夜景綺麗だし、ロマンチックだよ?」
その提案に僕は完全に帰る気力を無くした。
当たり前と言えば当たり前だ。とびっきり可愛い彼女が、甘い声でそんな事を囁いているのだ、こんなの逆らえる筈もない誘惑だ。
「わかったよ。じゃあ、ホテル行こうか」
僕は立ち上がろうとすると、莉奈は腕を思いっきり掴んでベンチに押しつけた。
「なに? どしたの? まだここに居たいの?」
「ホテル行くには色々条件があるから、それをクリアしたら行ってあげる」
条件――この言葉に良い予感は決してしない。寧ろ悪い予感がヒシヒシと伝わる感じがした。
「条件とは?」
「私の事好きって言って」
莉奈は真剣な表情で言った。
「私にそんなこと一度も言ったことないでしょ?」
「そうかな? あるにはあると思うけど」
「それベッドの時限定でしょ」
莉奈はムスッとした表情を浮かべた。そういう表情をあまり見ていないせいか、その表情さえも可愛くみえてしまう。
「でも、莉奈もそれ以外では好きって言ったことないじゃん」
「じゃあ、ここで言おうよ。はい、言って」
言ってと言われると、余計に言い出しにくいのがこの『好き』という言葉だ。たかだ2文字の言葉なのに、それを言うのが難しい。とても深い言葉だと思った。
「ほーら。早く言って。言わないと帰るよ?」
僕は覚悟を決めてその重い言葉を口にする。
「好きです」
「誰が?」
「莉奈が好きです」
「うん。私も信が好き」
莉奈は嬉しそうにそう言った。
「はい。じゃあ、チューして」
「えっ? なんで」
「いいから」
僕はもう恥ずかしさで爆発寸前、というよりも爆発していたのかもしれないが、そんな自分を押し込め莉奈にキスをした。
「はい、合格。ならホテル行こうか」
どうやら試験は合格したらしい。莉奈は足早にホテルへと向かっていた。対する僕はさっきの緊張と恥ずかしさで、疲れがどっと出ていた。
ホテルに向かう道中も莉奈はずっと
「ねぇねぇ。私の事好き?」
と何回も聞いてくる度に
「好きだよ」
と返していた。
そんな子供ぽいやりとりを何回も飽きること無くやり続けていたが、莉奈は随分嬉しそうにしていたので、周りの視線なんて気にもならなくなった。
「もっと、こう、どれくらい好きか、アピールしてよ」
と莉奈は無茶ぶりをしてきた。
「じゃあ、莉奈が手本見せてよ」
「うーん。世界中で一番信が好き」
「なにそれ、割と普通でユーモアがないね」
「なら信がユーモアたっぷりに言ってみてよ」
僕はユーモアたっぷりな言葉を探した。ホテルの目の前まできて、僕の一番好きなある言葉が思い浮かんだ。
その言葉は僕が大好きだった作家のあるフレーズだ。莉奈にふさわしいかわからないが、ユーモアはある。
僕はホテルの自動ドアの前で立ち止まり、莉奈にそのフレーズを言った。
「雨宮莉奈…蕩れ」
僕がそう言うと莉奈は笑いながら
「その言葉、多分流行らないと思うよ」
とユーモアある返しをしてきたのだった。
そんなデートらしいデートを僕達は堪能し、あっという間に時間が経過した。
夜になると、高層ビルに入っている店に入り、晩御飯にした。
その大人のお洒落な雰囲気に圧倒されつつメニューを開くと、意味不明なカタカナでずっしりとメニューは埋め尽くされていた。
どれを頼んで良いかもわからず、どんな料理が出て来るのかもわからず、僕は適当にそのカタカナが多い料理を注文した。
莉奈に教えて貰おうと聞いてみるも「わからない。インスピレーションで頼めばいいよ」と莉奈もわかっていない様子だった。
注文したシャンパンを飲みつつ、お洒落な料理を摘まむ。
そしてガラス張りの外を見れば、そこには夜景が綺麗に広がっていた。
「たまにはいいね。こういうのも。大人のデートみたい」
莉奈はその雰囲気に酔いつつ夜景を堪能していた。
僕個人的にはそこらへんにある居酒屋も大好きだが、たまにはこういう場所で飲むお酒も悪くないと思った。
莉奈はアンチョビのトーストをパクッと食べ、シャンパンを上品に飲んでいた。
「お酒の面白い所って、一緒に飲む人によって味も変わるとこなんだよね」
「あぁ。それは僕も分る気がするよ」
「だから、今日のシャンパンは美味しい。いつもはこんな美味しくないから」
それはキャバクラでの話なのだろう。
そう考えるとキャバクラも大変な職業だ。めんどくさい客に絡まれつつ、お酒を飲まないといけないなんて過酷な職業だと僕は思った。
「ねぇ。私と飲むお酒は美味しい?」
莉奈はシャンパングラスを片手に真顔で聞いてきた。
「僕は美味しいお酒しか飲まない。不味い酒は嫌いなんだ」
「そっか、そっか」
そう嬉しそうに莉奈は納得していた。
莉奈の空いたグラスにシャンパンを注ぐとビンは空になっていた。
「もうなくなっちゃたね。じゃあ、次はワインね」
「莉奈、帰りもあるからほどほどにね」
と一応忠告しておいた。
そしてその後も夜景を横目に意味もない会話をして、料理とお酒をゆっくりと堪能した。
食事を終え、僕達は近くにあった見晴らしのいいベンチに座った。
「なんか、お洒落。いいね」
そう言って僕の肩に莉奈が頭を乗っけて言った。
「このまま時間止まればいいのに」
莉奈は甘い声でそう囁く。
「また来ればいいじゃん」
「そうだね。それもその通りだ」
真っ暗な中、かすかな光が莉奈を照らし、その艶めかしい表情に僕はドキッとした。それを知ってか知らずか、莉奈は上目遣いで僕を見ていた。
僕は誤魔化すように、違う方向を見る。
すると莉奈は僕の手を取り、自分の太ももに置く。
「ねぇ莉奈、なにしてんの?」
「ドキドキするでしょ?」
莉奈は悪戯っぽく笑っていた。
更には自分のふとももに僕の手をすりすりと摩っていた。
僕は無理矢理手を払いのけようとしたが、莉奈はがっしり掴んでいた。
「私の太もも嫌い?」
「そうじゃないよ。ほら、もう帰るよ」
この状況に僕はたまらず莉奈にそう提案した。
「大丈夫? 帰れるの? 1時間くらいかかるけど」
「なに、それどういう事? まだ終電全然あるけど」
僕がそう答えると、莉奈は僕の肩に頭を乗っけたまま甘い声で囁く。
「ほら、ここホテル多いよ。少し高めのホテルに泊まっても私は構わないよ? ここのホテルって夜景綺麗だし、ロマンチックだよ?」
その提案に僕は完全に帰る気力を無くした。
当たり前と言えば当たり前だ。とびっきり可愛い彼女が、甘い声でそんな事を囁いているのだ、こんなの逆らえる筈もない誘惑だ。
「わかったよ。じゃあ、ホテル行こうか」
僕は立ち上がろうとすると、莉奈は腕を思いっきり掴んでベンチに押しつけた。
「なに? どしたの? まだここに居たいの?」
「ホテル行くには色々条件があるから、それをクリアしたら行ってあげる」
条件――この言葉に良い予感は決してしない。寧ろ悪い予感がヒシヒシと伝わる感じがした。
「条件とは?」
「私の事好きって言って」
莉奈は真剣な表情で言った。
「私にそんなこと一度も言ったことないでしょ?」
「そうかな? あるにはあると思うけど」
「それベッドの時限定でしょ」
莉奈はムスッとした表情を浮かべた。そういう表情をあまり見ていないせいか、その表情さえも可愛くみえてしまう。
「でも、莉奈もそれ以外では好きって言ったことないじゃん」
「じゃあ、ここで言おうよ。はい、言って」
言ってと言われると、余計に言い出しにくいのがこの『好き』という言葉だ。たかだ2文字の言葉なのに、それを言うのが難しい。とても深い言葉だと思った。
「ほーら。早く言って。言わないと帰るよ?」
僕は覚悟を決めてその重い言葉を口にする。
「好きです」
「誰が?」
「莉奈が好きです」
「うん。私も信が好き」
莉奈は嬉しそうにそう言った。
「はい。じゃあ、チューして」
「えっ? なんで」
「いいから」
僕はもう恥ずかしさで爆発寸前、というよりも爆発していたのかもしれないが、そんな自分を押し込め莉奈にキスをした。
「はい、合格。ならホテル行こうか」
どうやら試験は合格したらしい。莉奈は足早にホテルへと向かっていた。対する僕はさっきの緊張と恥ずかしさで、疲れがどっと出ていた。
ホテルに向かう道中も莉奈はずっと
「ねぇねぇ。私の事好き?」
と何回も聞いてくる度に
「好きだよ」
と返していた。
そんな子供ぽいやりとりを何回も飽きること無くやり続けていたが、莉奈は随分嬉しそうにしていたので、周りの視線なんて気にもならなくなった。
「もっと、こう、どれくらい好きか、アピールしてよ」
と莉奈は無茶ぶりをしてきた。
「じゃあ、莉奈が手本見せてよ」
「うーん。世界中で一番信が好き」
「なにそれ、割と普通でユーモアがないね」
「なら信がユーモアたっぷりに言ってみてよ」
僕はユーモアたっぷりな言葉を探した。ホテルの目の前まできて、僕の一番好きなある言葉が思い浮かんだ。
その言葉は僕が大好きだった作家のあるフレーズだ。莉奈にふさわしいかわからないが、ユーモアはある。
僕はホテルの自動ドアの前で立ち止まり、莉奈にそのフレーズを言った。
「雨宮莉奈…蕩れ」
僕がそう言うと莉奈は笑いながら
「その言葉、多分流行らないと思うよ」
とユーモアある返しをしてきたのだった。
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