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魔法の才2
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「こんばんは。今日はどうしたのかしら?」
案の定、つり目の女職員が登録カウンターで俺達を応対した。
「彼の冒険者登録と3人でのパーティー登録をお願いします」
「この老人が新規登録ですか?」
「そうですじゃ!まだまだ若いもんには負けませぬぞ」
「…まさか、遂にあのパターンがきたというの?そんな、あり得ないわ…3人で」
「ねえ!大丈夫?」
訝しんだマノンが声を掛ける。
「は、はい!新規登録ですね!この紙に登録名と年齢を記入して下さい!パーティー登録は冒険者証を発行してからの処理となります!ちなみにパーティーの登録名はお決まりですか?」
「お決まりですか?ハクロウ選手?」
「えっ、パーティーにも登録名がいるのか?何も考えてなかった。どうしよう?マノン選手」
「返ってきたー!」
「どうしますじゃ?マノン殿」
「マノン様、お願いします!」
まさかの女職員までのってきた。
「わ、わかったわよ!私が決めればいいんでしょ!それなら、簡単よ!パーティー登録名はビッグイーターよ!」
「ビッグイーター?どういう意味だ?」
「食いしん坊って意味よ!」
「なるほど。確かにマノンはよく食べるものな」
「違うわよ!ハクロウのことよ!」
俺かよ。まぁ、俺だよなぁ。
######
「れっ、まほおっれ、どうやっれつかふの?」
「食べながら喋るなよ!」
「魔法の使い方について、、」
「ジョスイも普通に答えるな!」
取り敢えず時間が時間ということもあり、俺達は穴熊亭で夕飯を共にしていた。なんせ俺達はビッグイーターだ。食べないなんて有り得ない。
「で、魔法ってどうやったら使えるようになるの?元々いた世界では魔法なんて物語の中の話だったし、魔力って言われてもピンとこないのよね」
「はは。やはりマノン殿は召喚者でしたか。まぁ、魔法については追々説明しますじゃ。実践しながらでないと伝えにくいものですからの。しかし、勇者様が冒険者をやっているというのはどういうことですじゃ?」
「まあ、隠しても仕方ないから言うけど、私は召喚者だけど勇者ではないのよ」
「ふむ。つまり聖印を授からなかったと?」
「イエース!その通りよ!超絶レアな召喚者、それがマノン様よ!」
「なるほど!儂は本当に幸せ者ですじゃ!マノン殿が普通に聖印を授かっていれば今頃は王族か貴族に囲われて儂などが近寄ることは出来なかった筈。これは神が下さった出会いに違いないですじゃ!」
「なんだか複雑だけど、出会いに乾杯ね!」
「そうですじゃ!乾杯ですじゃ!」
2人は変な盛り上がり方をしながらグイグイ酒を飲んでいく。ジョスイも酒好きらしくなんでも理由をつけては飲むタイプに見える。
「して、ハクロウ殿も只者ではない様子。一体どのような事情があるのですじゃ?」
「俺か?俺はあれだ。マノンの逆だ」
「ンノマ?」
くそ。酔っ払い、面倒くさい。
「いや、だからそうじゃなくてだな。召喚者だけど勇者じゃない、の逆」
「ふむ。えっ!それはこの世界生まれなのに勇者?」
「まぁ、そうなる」
「ええええええっ!なんでそんな貴重な勇者様が冒険者を!?」
「静かに!落ち着いてくれ!」
「無理ですじゃ!一体何があったんですじゃ?」
「いやー。なんていうか。授かった聖印が…」
俺は手袋は外して左手の甲をジョスイに見せた。
「これ。《悪食の聖印》っていうらしいんだ。英雄には程遠いだろ?」
ジョスイは口をパクパクさせて言葉を失っている。とてもいい反応だ。
「そういうわけで、俺もマノンも誰からも声がかかることなく自由気ままな冒険者ってわけだ。よろしく頼むぞ、ジョスイ」
「は、はいですじゃ!」
その後、俺達は閉店時間で穴熊亭を追い出されるまでしこたま飲んだ。
案の定、つり目の女職員が登録カウンターで俺達を応対した。
「彼の冒険者登録と3人でのパーティー登録をお願いします」
「この老人が新規登録ですか?」
「そうですじゃ!まだまだ若いもんには負けませぬぞ」
「…まさか、遂にあのパターンがきたというの?そんな、あり得ないわ…3人で」
「ねえ!大丈夫?」
訝しんだマノンが声を掛ける。
「は、はい!新規登録ですね!この紙に登録名と年齢を記入して下さい!パーティー登録は冒険者証を発行してからの処理となります!ちなみにパーティーの登録名はお決まりですか?」
「お決まりですか?ハクロウ選手?」
「えっ、パーティーにも登録名がいるのか?何も考えてなかった。どうしよう?マノン選手」
「返ってきたー!」
「どうしますじゃ?マノン殿」
「マノン様、お願いします!」
まさかの女職員までのってきた。
「わ、わかったわよ!私が決めればいいんでしょ!それなら、簡単よ!パーティー登録名はビッグイーターよ!」
「ビッグイーター?どういう意味だ?」
「食いしん坊って意味よ!」
「なるほど。確かにマノンはよく食べるものな」
「違うわよ!ハクロウのことよ!」
俺かよ。まぁ、俺だよなぁ。
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「れっ、まほおっれ、どうやっれつかふの?」
「食べながら喋るなよ!」
「魔法の使い方について、、」
「ジョスイも普通に答えるな!」
取り敢えず時間が時間ということもあり、俺達は穴熊亭で夕飯を共にしていた。なんせ俺達はビッグイーターだ。食べないなんて有り得ない。
「で、魔法ってどうやったら使えるようになるの?元々いた世界では魔法なんて物語の中の話だったし、魔力って言われてもピンとこないのよね」
「はは。やはりマノン殿は召喚者でしたか。まぁ、魔法については追々説明しますじゃ。実践しながらでないと伝えにくいものですからの。しかし、勇者様が冒険者をやっているというのはどういうことですじゃ?」
「まあ、隠しても仕方ないから言うけど、私は召喚者だけど勇者ではないのよ」
「ふむ。つまり聖印を授からなかったと?」
「イエース!その通りよ!超絶レアな召喚者、それがマノン様よ!」
「なるほど!儂は本当に幸せ者ですじゃ!マノン殿が普通に聖印を授かっていれば今頃は王族か貴族に囲われて儂などが近寄ることは出来なかった筈。これは神が下さった出会いに違いないですじゃ!」
「なんだか複雑だけど、出会いに乾杯ね!」
「そうですじゃ!乾杯ですじゃ!」
2人は変な盛り上がり方をしながらグイグイ酒を飲んでいく。ジョスイも酒好きらしくなんでも理由をつけては飲むタイプに見える。
「して、ハクロウ殿も只者ではない様子。一体どのような事情があるのですじゃ?」
「俺か?俺はあれだ。マノンの逆だ」
「ンノマ?」
くそ。酔っ払い、面倒くさい。
「いや、だからそうじゃなくてだな。召喚者だけど勇者じゃない、の逆」
「ふむ。えっ!それはこの世界生まれなのに勇者?」
「まぁ、そうなる」
「ええええええっ!なんでそんな貴重な勇者様が冒険者を!?」
「静かに!落ち着いてくれ!」
「無理ですじゃ!一体何があったんですじゃ?」
「いやー。なんていうか。授かった聖印が…」
俺は手袋は外して左手の甲をジョスイに見せた。
「これ。《悪食の聖印》っていうらしいんだ。英雄には程遠いだろ?」
ジョスイは口をパクパクさせて言葉を失っている。とてもいい反応だ。
「そういうわけで、俺もマノンも誰からも声がかかることなく自由気ままな冒険者ってわけだ。よろしく頼むぞ、ジョスイ」
「は、はいですじゃ!」
その後、俺達は閉店時間で穴熊亭を追い出されるまでしこたま飲んだ。
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