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無人島にて
超絶バフ
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柏の葉の上には丸焼きになったのデカムシが二体。サバイバルナイフで真っ二つに割られており、いつでも食べられる状態だ。今回は検証なのでヒロスパ──ヒロセのスパイス──はふっていない。イレギュラーな要素は省かないとな。
先ず、事前の肉体チェック。俺の横には大人が丸まった程の大きな岩がある。それを両手で抱えようとするが……当然持ち上がらない。
さて、本番だ。少し冷めたデカムシ。その半身を一気に食べる。目を瞑って身体の内側に神経を集中する。
……五分が経過した。少し、身体が軽くなったような気がする。岩を持ち上げてみるが、無理だ。持ち上がらない。もう少し待とう。
……十分が経過した。もういけるか? 岩を抱えると……三十センチ程で地面から離れたところで落としてしまった。危ねぇ。しかしもう、効果が出ているぞ! 半覚醒状態だ。
……そして十五分後。身体に【力】が漲っているのが分かる。視聴者曰く、ハルクルーメン。さっきまでと明らかに違う。岩を抱えた瞬間、いける!っとなった。実際に岩は胸の高さまで持ち上がり、持ち方を変えると頭上まで軽々と。我ながら恐ろしいパワーだ。
あとはこの効果がいつまで続くかだが、多分それほど長くは続かない。倒木チェックをした時もそうだった。
俺は残りのデカムシを食べては検証を繰り返し、精度を高めていく。そして、ある程度まとまったところで配信だ。
#
「視聴者の皆様! お待たせしました! このルーメン、生きております!!」
木にぶら下げたアクションカメラに向かって話す。スマホを確認すると、同時接続数がうなぎ登りだ。脳汁が止まらない。
コメント:おおおお!生きてたー!
コメント:結局どうなったの?
コメント:何言ってるか分からないけど
コメント:誰か読唇術出来ないの?
コメント:虫の幼虫いた?
コメント:ハルクルーメン!?
「さて、このルーメンですが、残念ながら特別な力を手に入れたわけではないようです……」
露骨にガッカリした顔をしてみせる。
「しかーし、しかしですよ! 皆さん!! もの凄い発見がありました!!」
手に持ったデカムシをカメラに寄せる。
「このデカムシを食べると超絶バフでパワーが爆上がりすることが分かったのです!!」
コメント:なんでフナムシをカメラ?
コメント:わかんねーよ
コメント:ルーメンさん、ちゃんとして
コメント:お前ら、焦んなって
コメント:そうだぞ。見とけって
コメント:相変わらずデカいフナムシ食ってんのか
ふふふ。まぁ。見とけって。俺は先程のデカい岩を持ってみせる。当然、持ち上がらない。いや、本当は15分前にデカムシを食べているので、持ち上がるのだが、持ち上がらないフリをしている。演出だ。
「そこで、このデカムシを食べます!!」
ここは豪快に素手で殻から身を外し、肉厚なそれを口に放り込む。うっ、うめええ。何回食ってもうめええ。
コメント:えっ、どゆこと?
コメント:結局スキルはないってこと?
コメント:さっきの怪力、どこいった?
コメント:なんでデカムシ?
コメント:えっ、まさか!?
コメント:そういうこと?
「うおおおおおおー!! 力がわいてくるうううー!!」
力瘤を作ってパワーアップをアピールする。しかしこれは時間稼ぎだ。
俺は木にぶら下げたアクションカメラを外し、ネックマウントに取り付けた。臨場感のある映像をお届けしよう。
デカムシのバフの重ね掛けの効果が出てきた。一度にデカムシを大量に食べても効果は変わらない。しかし、五分ほど時間を空けてからデカムシを食べるとバフの重ね掛けの効果が得られるのだ。目指すはデカムシバフの三多重状態。準備運動で時間を稼ぐが、そろそろだな……。
「お前達、見とけよ!!」
──フンッ! 岩は片手で軽々と持ち上がる。しかしこれだけでは芸がないな。俺は助走をつけ、全身のバネを使って岩を森に向かって投擲し──。
ビュゥゥゥゥゥゥンン。──ドシャァァァァンン!!
はるか遠くの大木に着弾し、それは倒れた。──やばい。もの凄い絵が撮れてしまった。CGなしでこんなことをやっていいのだろうか? 完全に超人の仲間入りだぞ! お前達、ドヤッ!
コメント:……なにこれ
コメント:フナムシのバフ、凄すぎだろ
コメント:ハルクルーメン、復活!!
コメント:えっ、毎回フナムシ食うの?
コメント:ゲテモノ食べないと戦えない
コメント:めっちゃウケるんだけどww
おっ、思ってた反応と違う!! 何で可哀想なヒーロー扱いなんだよ!! 純粋に凄いって言え!! 俺の視聴者、スレ過ぎだろ!!
コメント:なんか飛んで来てない?
コメント:……本当だ
コメント:コメント見てないで前みて
コメント:来てる来てる来てる!!
コメント:やっば、めっちゃ来てる
コメント:逃げてええええ
えっ!!
スマホの画面から顔を上げると、空に黒い雲のようなものが見える。それはちょうど、先程倒れた大木のあたりから始まり、徐々にこちらに向かってきているようだ。微かに、羽音が聞こえる気がする。
紅い光も無数に見えてきた。怒りに満ちた目だ。
それは懐かしい記憶を呼び起こした。俺がチャンネル開設初期に行った伝説の企画。ふんどし一丁でスズメバチチャレンジ……。
しかもここのスズメバチ、サイズがやばいぞ! まだ遠くなのに、しっかりと肉眼で確認出来る!! に、逃げなくては!!
俺は荷物を全てまとめて、とにかく駆け出した。
先ず、事前の肉体チェック。俺の横には大人が丸まった程の大きな岩がある。それを両手で抱えようとするが……当然持ち上がらない。
さて、本番だ。少し冷めたデカムシ。その半身を一気に食べる。目を瞑って身体の内側に神経を集中する。
……五分が経過した。少し、身体が軽くなったような気がする。岩を持ち上げてみるが、無理だ。持ち上がらない。もう少し待とう。
……十分が経過した。もういけるか? 岩を抱えると……三十センチ程で地面から離れたところで落としてしまった。危ねぇ。しかしもう、効果が出ているぞ! 半覚醒状態だ。
……そして十五分後。身体に【力】が漲っているのが分かる。視聴者曰く、ハルクルーメン。さっきまでと明らかに違う。岩を抱えた瞬間、いける!っとなった。実際に岩は胸の高さまで持ち上がり、持ち方を変えると頭上まで軽々と。我ながら恐ろしいパワーだ。
あとはこの効果がいつまで続くかだが、多分それほど長くは続かない。倒木チェックをした時もそうだった。
俺は残りのデカムシを食べては検証を繰り返し、精度を高めていく。そして、ある程度まとまったところで配信だ。
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「視聴者の皆様! お待たせしました! このルーメン、生きております!!」
木にぶら下げたアクションカメラに向かって話す。スマホを確認すると、同時接続数がうなぎ登りだ。脳汁が止まらない。
コメント:おおおお!生きてたー!
コメント:結局どうなったの?
コメント:何言ってるか分からないけど
コメント:誰か読唇術出来ないの?
コメント:虫の幼虫いた?
コメント:ハルクルーメン!?
「さて、このルーメンですが、残念ながら特別な力を手に入れたわけではないようです……」
露骨にガッカリした顔をしてみせる。
「しかーし、しかしですよ! 皆さん!! もの凄い発見がありました!!」
手に持ったデカムシをカメラに寄せる。
「このデカムシを食べると超絶バフでパワーが爆上がりすることが分かったのです!!」
コメント:なんでフナムシをカメラ?
コメント:わかんねーよ
コメント:ルーメンさん、ちゃんとして
コメント:お前ら、焦んなって
コメント:そうだぞ。見とけって
コメント:相変わらずデカいフナムシ食ってんのか
ふふふ。まぁ。見とけって。俺は先程のデカい岩を持ってみせる。当然、持ち上がらない。いや、本当は15分前にデカムシを食べているので、持ち上がるのだが、持ち上がらないフリをしている。演出だ。
「そこで、このデカムシを食べます!!」
ここは豪快に素手で殻から身を外し、肉厚なそれを口に放り込む。うっ、うめええ。何回食ってもうめええ。
コメント:えっ、どゆこと?
コメント:結局スキルはないってこと?
コメント:さっきの怪力、どこいった?
コメント:なんでデカムシ?
コメント:えっ、まさか!?
コメント:そういうこと?
「うおおおおおおー!! 力がわいてくるうううー!!」
力瘤を作ってパワーアップをアピールする。しかしこれは時間稼ぎだ。
俺は木にぶら下げたアクションカメラを外し、ネックマウントに取り付けた。臨場感のある映像をお届けしよう。
デカムシのバフの重ね掛けの効果が出てきた。一度にデカムシを大量に食べても効果は変わらない。しかし、五分ほど時間を空けてからデカムシを食べるとバフの重ね掛けの効果が得られるのだ。目指すはデカムシバフの三多重状態。準備運動で時間を稼ぐが、そろそろだな……。
「お前達、見とけよ!!」
──フンッ! 岩は片手で軽々と持ち上がる。しかしこれだけでは芸がないな。俺は助走をつけ、全身のバネを使って岩を森に向かって投擲し──。
ビュゥゥゥゥゥゥンン。──ドシャァァァァンン!!
はるか遠くの大木に着弾し、それは倒れた。──やばい。もの凄い絵が撮れてしまった。CGなしでこんなことをやっていいのだろうか? 完全に超人の仲間入りだぞ! お前達、ドヤッ!
コメント:……なにこれ
コメント:フナムシのバフ、凄すぎだろ
コメント:ハルクルーメン、復活!!
コメント:えっ、毎回フナムシ食うの?
コメント:ゲテモノ食べないと戦えない
コメント:めっちゃウケるんだけどww
おっ、思ってた反応と違う!! 何で可哀想なヒーロー扱いなんだよ!! 純粋に凄いって言え!! 俺の視聴者、スレ過ぎだろ!!
コメント:なんか飛んで来てない?
コメント:……本当だ
コメント:コメント見てないで前みて
コメント:来てる来てる来てる!!
コメント:やっば、めっちゃ来てる
コメント:逃げてええええ
えっ!!
スマホの画面から顔を上げると、空に黒い雲のようなものが見える。それはちょうど、先程倒れた大木のあたりから始まり、徐々にこちらに向かってきているようだ。微かに、羽音が聞こえる気がする。
紅い光も無数に見えてきた。怒りに満ちた目だ。
それは懐かしい記憶を呼び起こした。俺がチャンネル開設初期に行った伝説の企画。ふんどし一丁でスズメバチチャレンジ……。
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