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屋根
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屋根にも色々ある。
一番簡単なのは平屋根である。床を張るのと同じように、水平だけを意識してレンガを並べ、隙間なく固定すればいい。水捌けだけ考慮すれば、なんとかなるだろう。
次は三角屋根だ。正面からみて三角になるようにレンガを積めばいい。屋根裏の空間を工夫すれば生活の幅も広がるかもしれない。
方形屋根もいい。何処からみても均整が取れていて気持ちいい。レンガを積むにもイメージがわきやすく、失敗もないだろう。
しかし……! 俺が挑戦したいのは違う。せっかく初めて建てる家だ。マルス領を象徴するようなものにしたい。
そこで! 俺が選んだのは丸屋根である。
今建てている家の壁は丸い筒のようになっている。これに、ドーム状の丸屋根をつけるのだ。
俺の知る限り、ミスラ王国にこのような屋根の建物はない。きっと難しいからだろう。
ならば……! 俺がやってやる。【レンガ職人】のジョブを全力で活用して成し遂げる。
と、拳を握って意気込んでいるのを、テトは冷めた目で見ていた。どうでもいいから、さっさと屋根を作れと……。
「丸屋根を作るには今の木レンガだと大き過ぎる気がしない? 上手く丸みを出せないと思うんだ」
「ミャオミ?」
「そう。丸み。だから屋根専用のレンガを作らなければいけない」
そう言って俺は歩き出す。マルス領から出て、この辺で一番大きな木の前に立つ。手を当てて、イメージする。小さな、手のひらに収まるサイズのレンガを。そして──。
【木レンガ作成】
「成功だ!」
イメージ通りの小さな木レンガがピシッ! と地面に並んでいる。これを使えば綺麗な丸みを表現出来る筈だ!
「よーし! 作業開始だ! 今日中に屋根を作ってしまうぞ!」
「ミャオ!」
#
「全然終わらねぇ~」
「ミャオ~」
丸屋根恐るべし。もう夕方だというのに一割も終わっていない。少しレンガを小さくし過ぎたか? しかし、これぐらい小さくないと綺麗な曲線を描けない。
「ごめんテト。今晩も屋根なしだわ。星空を見ながら眠る事になる」
「ミャオ」
壁をつたって屋根建築現場に来たテトが、「気にするな」というように俺の肩に前足をのせた。
「ミャオ」
「えっ……? 何?」
「ミャオ」
「なになに分かんない?」
と、いうやり取りをしている間に俺の腹が鳴りテトの要求もわかった。夕飯をつくれ! ということらしい。テトは猫の癖に調理した食べ物が好きなのだ。
「そういえばもうすぐマッドボアの干し肉もなくなるなぁ。明日は狩もしないと」
「ミャオミャオ!」
任せろ! という感じで木のレンガに爪を立てる。やる気らしい。
「なら、狩はテトに任せるよ。調理は俺がやるから」
「ミャーオ~」と鳴いてテトは屋根建築現場から降りていく。
俺も降りて夕飯の準備だ。
テトが飽きないように今後は調味料も揃えないとなぁ。その為にはお金も稼がなくては……。
やる事は山積み。が、しかし今は夕飯。次は屋根。
ゆっくり進めよう。時間はいくらでもあるのだから。
一番簡単なのは平屋根である。床を張るのと同じように、水平だけを意識してレンガを並べ、隙間なく固定すればいい。水捌けだけ考慮すれば、なんとかなるだろう。
次は三角屋根だ。正面からみて三角になるようにレンガを積めばいい。屋根裏の空間を工夫すれば生活の幅も広がるかもしれない。
方形屋根もいい。何処からみても均整が取れていて気持ちいい。レンガを積むにもイメージがわきやすく、失敗もないだろう。
しかし……! 俺が挑戦したいのは違う。せっかく初めて建てる家だ。マルス領を象徴するようなものにしたい。
そこで! 俺が選んだのは丸屋根である。
今建てている家の壁は丸い筒のようになっている。これに、ドーム状の丸屋根をつけるのだ。
俺の知る限り、ミスラ王国にこのような屋根の建物はない。きっと難しいからだろう。
ならば……! 俺がやってやる。【レンガ職人】のジョブを全力で活用して成し遂げる。
と、拳を握って意気込んでいるのを、テトは冷めた目で見ていた。どうでもいいから、さっさと屋根を作れと……。
「丸屋根を作るには今の木レンガだと大き過ぎる気がしない? 上手く丸みを出せないと思うんだ」
「ミャオミ?」
「そう。丸み。だから屋根専用のレンガを作らなければいけない」
そう言って俺は歩き出す。マルス領から出て、この辺で一番大きな木の前に立つ。手を当てて、イメージする。小さな、手のひらに収まるサイズのレンガを。そして──。
【木レンガ作成】
「成功だ!」
イメージ通りの小さな木レンガがピシッ! と地面に並んでいる。これを使えば綺麗な丸みを表現出来る筈だ!
「よーし! 作業開始だ! 今日中に屋根を作ってしまうぞ!」
「ミャオ!」
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「全然終わらねぇ~」
「ミャオ~」
丸屋根恐るべし。もう夕方だというのに一割も終わっていない。少しレンガを小さくし過ぎたか? しかし、これぐらい小さくないと綺麗な曲線を描けない。
「ごめんテト。今晩も屋根なしだわ。星空を見ながら眠る事になる」
「ミャオ」
壁をつたって屋根建築現場に来たテトが、「気にするな」というように俺の肩に前足をのせた。
「ミャオ」
「えっ……? 何?」
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「なになに分かんない?」
と、いうやり取りをしている間に俺の腹が鳴りテトの要求もわかった。夕飯をつくれ! ということらしい。テトは猫の癖に調理した食べ物が好きなのだ。
「そういえばもうすぐマッドボアの干し肉もなくなるなぁ。明日は狩もしないと」
「ミャオミャオ!」
任せろ! という感じで木のレンガに爪を立てる。やる気らしい。
「なら、狩はテトに任せるよ。調理は俺がやるから」
「ミャーオ~」と鳴いてテトは屋根建築現場から降りていく。
俺も降りて夕飯の準備だ。
テトが飽きないように今後は調味料も揃えないとなぁ。その為にはお金も稼がなくては……。
やる事は山積み。が、しかし今は夕飯。次は屋根。
ゆっくり進めよう。時間はいくらでもあるのだから。
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