転校先の学校はR指定。

selen

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1.

@5

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「ねえ、あんたら早々出来てんの?」
「え?」
2限目が終わった後の休み時間、俺の右斜め前の席に座る女子が話しかけてきた。
見事なまでのド金髪&スーパーロングの毛先を巻いて、男であまりメイクについて疎い俺でも分かるくらい、校則で禁止されているはずのメイクもバッチリしてきている。
圧倒的ギャルだ。(萩原詩音は清楚系が好み。)
「えっと·····あんたらって、俺と滝?」
彼女はポッキーのチョコがコーティングされた部分を咥えながら、当たり前のようにそう、と言った。
「うるせえよ、柳。だから彼氏出来ねえんだよ。」
し、辛辣だ·····。
ブーメラン乙、と吐き捨てて席を立って行ったのは、柳と呼ばれる子だった。
「あいつは柳渚。裏で、なぎなぎっていう名義でやばい仕事してる。」
なんとなくに気に食わなそうな顔で、滝はそう言った。
てか、やばい仕事ってなんだよ·····。
まあ、あの雰囲気だったらどんな仕事内容をこなしているのかは大体想像できた。
「·····ブーメラン乙って、滝、彼女とか居ないの?」
「え?居ないよ?」
心外、と言ったように目を見開いて驚いている。
顔面、清潔感、身なり、身長も申し分無いし、絶対モテると思ったんだけど·····。
「転校初日の萩原に言うのもちょっとアレなんだけどさ。」
そこで、チャイムが鳴り響いた。
やけに間延びしていて、のんびりとしたチャイムだ。
「ごめん、もうもっかい言って?」
「次、理科教養だから移動。その話は、また後でな。」
「えええ?気になるなあ。」
俺たちは化学室に移動した。
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