ぜんぶ夏のせいだ

ハーミ

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2. 時と思い出と未来

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 植物を触った瞬間、僕の頭の中に鮮明なイメージが流れてきた。

『なんだこれ…。椎茸のつみれ汁に小松菜あえ、それに生姜焼き…?』
 ズラリと並んだ食べ物の描写が頭の中から離れない。しかしその後すぐその鮮明なイメージは思い出の中に消えるように薄れていった。

『おーい!どうしたんだ?そんなとこに前屈みになって?!』
 弥が不思議そうな顔して叫んでいる。

『なんか今、食べ物のイメージが頭の中に流れ込んでくるように出てきて……』

『そんなにお腹空いたの?煜ってそんなに食いしん坊だったっけ?弥じゃないんだし』

『なんだ俺がそんな食いしん坊だって言いたいのか。まあ食べることは好きだけど』
  
 志乃には食いしん坊呼ばわりだ。食べ物が好きだと言い張る弥のことは置いておいて。

 お腹空いてるだけだったのか?なんか感じたことのない感じで少し気味が悪かったが…。

『…まあ何にもないわ。大丈夫!心配かけて悪かった。早く忘れ物取ってくる』
 
 僕は忘れ物を取りに木の上の基地まで上り、その後すぐ僕らは解散し家に帰った。

   *








 家に帰ると妹の詩帆が玄関で出迎えてくれた。
『お兄ちゃん遅い!お腹空いた。早く準備して食卓に座って!』

 ……出迎えではなく急かされの間違えだった…

 荷物を置き食卓に座ると僕は目を疑う光景を目にした。何故なら目の前に椎茸のつみれ汁と小松菜あえが置いてあったからだ。

『ただの偶然だよな…』

 すると妹が
『何が?それより今日は私たち家族が大好きな料理をお母さんが作ってくれたんだよ!はい拍手~』

 訳分からず手を叩いているとそこに母さんが来て
『そうよ。今日はなんとなんと豚の生姜焼きを作りました~!みんな好きでしょ』

 その言葉を聞いた瞬間、僕は夕方の頭に流れ込んできた食べ物のイメージと全く同じであったことに驚きを隠せていなかった。

『お兄ちゃん本当にどうしたの?嬉しさのあまりテンションがあがってるのかな』
 
 詩帆の苦笑いを見てどうにか正気を取り戻したが内心とても驚いたままだった。話そうにも信じてもらえるか分からなかったのでそのまま夕食を食べることにした。

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