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【前編】千年の祈り、あるいは想い(うらみ)
第1話 2節 分かち合う秘密
あれから二人は大人の目を盗み、密かな関係を続けて数カ月が経とうとしていた。晴れた夕方の日だけ、会う約束をして。
王宮の庭園は一部一般開放されており、その奥まった、めったに人が来ない古井戸の外。そこが二人の密会場所となっていた。
初めてサフィヤと出会ったあと、タンザは国の歴史を図書館で調べることが日課となった。寺子屋が終わっては図書館に直行する様を同級生からはガリ勉気取りとからかわれたが、彼は意に介さなかった。
その日の夕方も、タンザはサフィヤと地上の歴史の本を眺めていた。
「やっぱり、ぼくがおじい様や大人たちから聞いたことと全然違うね」
トルマーレ人に伝わる歴史はみな同じだった。
トルマーレの島は遥か昔、スピネル山という火山の噴火により誕生し、全能の火山神・スピネルの御子がトルマーレ王国を建国した。
そこへ"エスピリカ"という悪魔の子孫が到来した。彼らは当初王国へ忠誠を誓ったが、それは偽りであった。千年前、スピネル山を噴火させるとスピネル及び王を冒涜したのだ。
激怒した千年前の王はエスピリカを暗い地下へ封じ込めた。
封じ込められた悪魔の子孫は怪物となり、地上へ出る機を待っている。地下へ近づいてはならない。近づいただけで自身も怪物になってしまう。
これがトルマーレに伝わる歴史―――『火山神話』だった。
「悪魔、怪物、か……地上でぼくたちがそんなふうに言われてたのは本当だったんだね。おじい様の言ってたとおりだ」
「なんか、ごめんな」
タンザは短く謝ることしかできなかった。
しかし、屈託なく蒼玉の瞳は微笑んだ。
「ううん、タンザが謝ることなんでひとつもないよ」
エスピリカに伝わる言い伝えは、地上の歴史と大きく異なった。
遥か昔、風に乗りやってきたとされる祖先エスピリカたちは、その超人的な能力を賛美され、建国の王より迎え入れられた。その恩として、エスピリカは王へ忠誠を誓い、島のために力を使った。
ところが今から千年前。王国の罪により、未来で火山が噴火するとの予言が当時の族長によりなされた。
エスピリカは王の怒りを買い、族長は火山へ幽閉され、残ったエスピリカは地下へと幽閉された。
「なんでこんなに違うんだろうな。トルマーレでは、人間と同じ形のエスピリカが、昔は地上にいて共存してたなんて聞いたことがない」
「さあ、どうしてだろうね」
「これ、どっちの言い伝えが本当だと思う?」
「どっちが? うーん、それはわからないけど、ぼくたちはどっちが本当でも良いと思ってるよ」
「え?」
「どっちが本当でも良いよ。千年前から生きてる人なんて誰もいないんだし、わかりようがないんじゃないかな。ただ、トルマーレの人たちと仲直りできたらなって、エスピリカはみんな思ってるんだ」
タンザはあっけらかんと物申すサフィヤをじっとみつめた。
―――自分《エスピリカ》たちの言い伝えが本当なら、ひたすら被害者なのに。
タンザには信じられなかった。こんな迫害を受けても地上の人間を恨まず、和解を望むだなんて。
「ねえタンザ。今日は良いものを持ってきたんだ。エスピリカの言い伝えが書かれた本。おじい様からもらったんだよ」
「おお、すごいな! 見せてくれよ!」
「もちろん。きみはエスピリカにすごく興味を持ってくれてるようだから、よかったら貸してあげる! 今日はもう時間だから、あとでゆっくり読んで」
「ありがとう! でもいいのか? 大事な本なんだろ?」
「タンザは特別だから貸してあげる! 次会うときに返してくれればいいからさ」
「分かった。大事に読むからな!」
と言いつつ、我慢できずにタンザは数ページその場でめくってしまった。
「うっ、いてっ」
本のページをめくった瞬間、タンザの指先に鋭い痛みが走った。
「あー、やっちまった。血ぃ出てる」
ページで指を切ってしまった。じわじわ滲む紅と痛みに彼は苦笑した。
「はは、タンザったらそそっかしいね。ほら、指見せて」
サフィヤは紅く染まったタンザの指を、ゆっくりと両手で包み込んだ。
すると―――
サフィヤの小さな手から、淡い光が放たれた。
「わっ、なんだそれ」
「いいから、じっとして。これが、ぼくたちの力だよ」
蒼く、淡い光が二人の手をあたたかく包み込む。
タンザは指から痛みが消えていくのが分かった。
「ほら、これくらいの傷ならぼくでも治せるんだよ」
指の傷はほぼ完治していた。
信じられない光景を目の当たりにし、タンザはしばらく言葉が出なかった。
「……すごいな。ほんとに、奇跡みたいな力だな」
「ぼくにとってはタンザとこうしていられることが奇跡だよ!」
彼の中で、怪物の次は新たな疑問が渦を巻くこととなった
―――本当に、こんな平和な一族が王を冒涜したのか?
「なあ、恨まないのか?」
「恨む……?」
「エスピリカの言い伝えが本当なら、エスピリカは怪物でもないのに千年も人権を奪われて。トルマーレに仕返ししたいとか思わないのか?」
サフィヤはきょとんとタンザを見つめた。何を言っているのかわからないといった様子であった。
「仕返しなんて、エスピリカが一番やっちゃいけないことだよ。エスピリカは争いが嫌いなんだ。この力は自然からの贈り物なんだから、争うために使うなんて考えられないよ」
それに、と彼は続ける。
「恨みとか、未練とか、そういう感情に溺れちゃうと、それこそ怪物になってしまうっていう言い伝えがぼくたちにはあるんだ」
「………それは、人間も同じかもな」
タンザはスピネル火山へ顔を向けた。
トルマーレ王国を見下ろす、大きな火山。神スピネルそのもので、建国の時代よりトルマーレを加護していると伝わる火山。神の地であるため、王家以外は禁足地とされていた。
「スピネル火山に、千年前の族長が今もいるのかな」
「うーん、エスピリカは千年も生きられないよ」
「そりゃそうだけど……あんな目に遭って、この世に未練を残したなら、”思い”だけになってまだ火山にいるとか」
「それなら、あるかもしれないね」
沈みゆく太陽が、サフィヤの髪を黄金色に染めていた。
後光が差しているかのような横顔を、タンザは神聖な気持ちで見つめていた。
「けどね、誰かや何かを恨む―――つまり、未練を強く持ってしまうと、エスピリカは怪物になっちゃうんだ。怪物になったエスピリカは魂が穢れて自我を失って、生まれ変われなくなっちゃうんだっけて」
「生まれ変わる……?」
「うん。ほとんどのエスピリカはトルマーレ人の半分くらいの時間しか生きられないから、生まれ変わることで命と力をつなぐんだって。おじい様がおっしゃってた」
タンザの胸がずきりと痛んだ。
―――おれが爺さんになるとき、サフィヤはいないかもしれないんだ。
「なあ、サフィヤ」
「なに?」
「おれ、サフィヤが生まれ変わっても、またサフィヤに会いたい」
黄金色に染められた瞳が、大きく瞬いた。
ゆっくりと、花がほころぶような笑みが開いた。
「うん、何度でも生まれ変わって会いに行くよ。だから―――」
ぼくを忘れちゃだめだよ。
この会話を最後に、二人の友情が途絶えることは、まだ二人とも知らなかった。
*****
ある、久しぶりに晴れた日の夕方。
タンザはいつものように庭園の裏から茂みに入り、古井戸へ向かった。
そこで見えたのは――――。
「なっ、井戸が、埋まってる……!?」
いつもの古井戸に、大きな石がぎっしりと詰まっていた。
わき目も振らず、城内へ走った。
初めて地下の世界へ行った、あの扉へ。あそこなら、きっと、きっとまた会える―――
地下へ続く階段の前に、父と馴染みの兵士が立っていた。
その兵士はにこにこと微笑んで声を掛けてきた。
「なんだ、オニキスんとこの坊やじゃないか。父さんならまだ上がらんぞ」
「ああ、おじさん、こんちは。ええと、聞きたいんだけど、庭園の古井戸ってどうなったの?」
「ん? 古井戸……? ああ、あの隅にあるやつか。あの井戸も老朽化が進んだもんで、おとつい埋め立てたんだとよ。悪ガキが入って遊んだりしたら危ないからなあ」
「…………ッ!」
「それで、こっちまで来てどうした? ここから先は王宮勤めの身内でも立入禁止だぞ。それに、今地下の補強工事をしているから危険だぞ」
「なっ、そ、それってどういう……?」
「この王宮も古いから、あちこち壁に崩れが出ていてな。それをきれいに直すんだとよ」
頭が真っ白になっていく。
これからどうやってサフィヤに会ったら良いんだ?
サフィヤはちゃんと生きてるのか?
次、本を返すって約束したじゃないか――――
それから幾日かの記憶がなくなるくらい、タンザは激しい喪失感に襲われた。
王宮の庭園は一部一般開放されており、その奥まった、めったに人が来ない古井戸の外。そこが二人の密会場所となっていた。
初めてサフィヤと出会ったあと、タンザは国の歴史を図書館で調べることが日課となった。寺子屋が終わっては図書館に直行する様を同級生からはガリ勉気取りとからかわれたが、彼は意に介さなかった。
その日の夕方も、タンザはサフィヤと地上の歴史の本を眺めていた。
「やっぱり、ぼくがおじい様や大人たちから聞いたことと全然違うね」
トルマーレ人に伝わる歴史はみな同じだった。
トルマーレの島は遥か昔、スピネル山という火山の噴火により誕生し、全能の火山神・スピネルの御子がトルマーレ王国を建国した。
そこへ"エスピリカ"という悪魔の子孫が到来した。彼らは当初王国へ忠誠を誓ったが、それは偽りであった。千年前、スピネル山を噴火させるとスピネル及び王を冒涜したのだ。
激怒した千年前の王はエスピリカを暗い地下へ封じ込めた。
封じ込められた悪魔の子孫は怪物となり、地上へ出る機を待っている。地下へ近づいてはならない。近づいただけで自身も怪物になってしまう。
これがトルマーレに伝わる歴史―――『火山神話』だった。
「悪魔、怪物、か……地上でぼくたちがそんなふうに言われてたのは本当だったんだね。おじい様の言ってたとおりだ」
「なんか、ごめんな」
タンザは短く謝ることしかできなかった。
しかし、屈託なく蒼玉の瞳は微笑んだ。
「ううん、タンザが謝ることなんでひとつもないよ」
エスピリカに伝わる言い伝えは、地上の歴史と大きく異なった。
遥か昔、風に乗りやってきたとされる祖先エスピリカたちは、その超人的な能力を賛美され、建国の王より迎え入れられた。その恩として、エスピリカは王へ忠誠を誓い、島のために力を使った。
ところが今から千年前。王国の罪により、未来で火山が噴火するとの予言が当時の族長によりなされた。
エスピリカは王の怒りを買い、族長は火山へ幽閉され、残ったエスピリカは地下へと幽閉された。
「なんでこんなに違うんだろうな。トルマーレでは、人間と同じ形のエスピリカが、昔は地上にいて共存してたなんて聞いたことがない」
「さあ、どうしてだろうね」
「これ、どっちの言い伝えが本当だと思う?」
「どっちが? うーん、それはわからないけど、ぼくたちはどっちが本当でも良いと思ってるよ」
「え?」
「どっちが本当でも良いよ。千年前から生きてる人なんて誰もいないんだし、わかりようがないんじゃないかな。ただ、トルマーレの人たちと仲直りできたらなって、エスピリカはみんな思ってるんだ」
タンザはあっけらかんと物申すサフィヤをじっとみつめた。
―――自分《エスピリカ》たちの言い伝えが本当なら、ひたすら被害者なのに。
タンザには信じられなかった。こんな迫害を受けても地上の人間を恨まず、和解を望むだなんて。
「ねえタンザ。今日は良いものを持ってきたんだ。エスピリカの言い伝えが書かれた本。おじい様からもらったんだよ」
「おお、すごいな! 見せてくれよ!」
「もちろん。きみはエスピリカにすごく興味を持ってくれてるようだから、よかったら貸してあげる! 今日はもう時間だから、あとでゆっくり読んで」
「ありがとう! でもいいのか? 大事な本なんだろ?」
「タンザは特別だから貸してあげる! 次会うときに返してくれればいいからさ」
「分かった。大事に読むからな!」
と言いつつ、我慢できずにタンザは数ページその場でめくってしまった。
「うっ、いてっ」
本のページをめくった瞬間、タンザの指先に鋭い痛みが走った。
「あー、やっちまった。血ぃ出てる」
ページで指を切ってしまった。じわじわ滲む紅と痛みに彼は苦笑した。
「はは、タンザったらそそっかしいね。ほら、指見せて」
サフィヤは紅く染まったタンザの指を、ゆっくりと両手で包み込んだ。
すると―――
サフィヤの小さな手から、淡い光が放たれた。
「わっ、なんだそれ」
「いいから、じっとして。これが、ぼくたちの力だよ」
蒼く、淡い光が二人の手をあたたかく包み込む。
タンザは指から痛みが消えていくのが分かった。
「ほら、これくらいの傷ならぼくでも治せるんだよ」
指の傷はほぼ完治していた。
信じられない光景を目の当たりにし、タンザはしばらく言葉が出なかった。
「……すごいな。ほんとに、奇跡みたいな力だな」
「ぼくにとってはタンザとこうしていられることが奇跡だよ!」
彼の中で、怪物の次は新たな疑問が渦を巻くこととなった
―――本当に、こんな平和な一族が王を冒涜したのか?
「なあ、恨まないのか?」
「恨む……?」
「エスピリカの言い伝えが本当なら、エスピリカは怪物でもないのに千年も人権を奪われて。トルマーレに仕返ししたいとか思わないのか?」
サフィヤはきょとんとタンザを見つめた。何を言っているのかわからないといった様子であった。
「仕返しなんて、エスピリカが一番やっちゃいけないことだよ。エスピリカは争いが嫌いなんだ。この力は自然からの贈り物なんだから、争うために使うなんて考えられないよ」
それに、と彼は続ける。
「恨みとか、未練とか、そういう感情に溺れちゃうと、それこそ怪物になってしまうっていう言い伝えがぼくたちにはあるんだ」
「………それは、人間も同じかもな」
タンザはスピネル火山へ顔を向けた。
トルマーレ王国を見下ろす、大きな火山。神スピネルそのもので、建国の時代よりトルマーレを加護していると伝わる火山。神の地であるため、王家以外は禁足地とされていた。
「スピネル火山に、千年前の族長が今もいるのかな」
「うーん、エスピリカは千年も生きられないよ」
「そりゃそうだけど……あんな目に遭って、この世に未練を残したなら、”思い”だけになってまだ火山にいるとか」
「それなら、あるかもしれないね」
沈みゆく太陽が、サフィヤの髪を黄金色に染めていた。
後光が差しているかのような横顔を、タンザは神聖な気持ちで見つめていた。
「けどね、誰かや何かを恨む―――つまり、未練を強く持ってしまうと、エスピリカは怪物になっちゃうんだ。怪物になったエスピリカは魂が穢れて自我を失って、生まれ変われなくなっちゃうんだっけて」
「生まれ変わる……?」
「うん。ほとんどのエスピリカはトルマーレ人の半分くらいの時間しか生きられないから、生まれ変わることで命と力をつなぐんだって。おじい様がおっしゃってた」
タンザの胸がずきりと痛んだ。
―――おれが爺さんになるとき、サフィヤはいないかもしれないんだ。
「なあ、サフィヤ」
「なに?」
「おれ、サフィヤが生まれ変わっても、またサフィヤに会いたい」
黄金色に染められた瞳が、大きく瞬いた。
ゆっくりと、花がほころぶような笑みが開いた。
「うん、何度でも生まれ変わって会いに行くよ。だから―――」
ぼくを忘れちゃだめだよ。
この会話を最後に、二人の友情が途絶えることは、まだ二人とも知らなかった。
*****
ある、久しぶりに晴れた日の夕方。
タンザはいつものように庭園の裏から茂みに入り、古井戸へ向かった。
そこで見えたのは――――。
「なっ、井戸が、埋まってる……!?」
いつもの古井戸に、大きな石がぎっしりと詰まっていた。
わき目も振らず、城内へ走った。
初めて地下の世界へ行った、あの扉へ。あそこなら、きっと、きっとまた会える―――
地下へ続く階段の前に、父と馴染みの兵士が立っていた。
その兵士はにこにこと微笑んで声を掛けてきた。
「なんだ、オニキスんとこの坊やじゃないか。父さんならまだ上がらんぞ」
「ああ、おじさん、こんちは。ええと、聞きたいんだけど、庭園の古井戸ってどうなったの?」
「ん? 古井戸……? ああ、あの隅にあるやつか。あの井戸も老朽化が進んだもんで、おとつい埋め立てたんだとよ。悪ガキが入って遊んだりしたら危ないからなあ」
「…………ッ!」
「それで、こっちまで来てどうした? ここから先は王宮勤めの身内でも立入禁止だぞ。それに、今地下の補強工事をしているから危険だぞ」
「なっ、そ、それってどういう……?」
「この王宮も古いから、あちこち壁に崩れが出ていてな。それをきれいに直すんだとよ」
頭が真っ白になっていく。
これからどうやってサフィヤに会ったら良いんだ?
サフィヤはちゃんと生きてるのか?
次、本を返すって約束したじゃないか――――
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