(仮)勝って産まれて

実肉

文字の大きさ
上 下
1 / 1

○○の記憶

しおりを挟む
 ここは多くの人が暮らす豊かな街「コレアス」この街は食事は美味しく、住みやすく、笑顔が絶えない街。この街に住む人々は口をそろえて楽園だと言う。この街の名物は一年に一度開かれる「選考会」と呼ばれるビッグイベントがある。人々はこれが行われるのを毎日楽しみに日々の生活を送っている。しかし、「選考会」で行われているのは「生まれ変わりを賭けた殺し合い」それに参加する人はこの街で罪を犯した犯罪者たちだ。
 犯罪者たちが住む場所「バフ」ここでは数万の犯罪者が生活している。その一室に少年はいた。彼の名は○○、彼が犯した罪は窃盗、強盗だ。そしてこの街では犯罪を犯した者は名前を奪われ、バフに投獄される。しかし、年に一回行われる選考会に参加すると新たに名前と戦うための能力がもらえる。選考会で勝ち残った上位10名は順位ごとに新しい位と名前をもらい新たな人生を歩むことができる。○○は次の選考会に参加することが決まっており、次の春までバフで過ごしていた。
     春
「やっと暖かくなってきたな」
○○は部屋の椅子にもたれながら選考会のことを考えていた。
ドンドン!部屋の扉を強くたたかれ
「なんだ?朝食か?」
○○はいつものように扉を開けた。そこにはいつもは朝食を渡してくる警官一人なのにその日は朝食は無く、いつもよりガタイのいい警官が三人いた。何かを感じ○○は扉を閉めようとするが扉を力でこじ開けられてしまった。警官は○○の体を取り押さえ腕に注射を打たれて意識を失った。気が付くとそこは見慣れない部屋で手には手錠、口にはテープ、体はロープで椅子に固定されていた。
(なんなんだよこれ?)
○○が周りを確認しているとガチャという音とともに扉が開いた。そこにはさっきの警官3人と初めて見るまがまがしい杖を持った老人がいた。
「手荒くして申し訳ない暴れられるとこまるのでな」
困惑している○○を気にしないで老人は話し始めた。
「わしは神の使いでこれから行うのはは選考会の前準備じゃ」
そう言われても○○は唖然としていた。しかし老人は話し始める。
「とりあえずお前の名前は「ミー」だ。いまからはミーと名乗るようにしろ」
奪われたはずの自分の名前が新しくなったが返ってきたそのことに少し涙がこぼれそうになったミーだった。
「あともう一つ、ここでは選考会の会場でのみ使用できる能力を授ける。しかし、能力といってもいいものでもない今の体に無理やり付け加えるので能力を使用すると体に異変を及ぼすかもしれないがそれは気を受けてくれ、あと能力の詳細の話になるがまずはあることを教えよう。」
ミーは固唾をのんで老人の話を聞く。
「この街の人々はこの街のことを「楽園」と呼んでいるけど私たち神と神の使いはこの街のことを「天国」と呼んでいる。つまりこの天国にいるのはほかの世界で死んだ者だ。つまりお前も前の世界で死んだってことだ。そして能力は前の世界の死因によって決まる。ここにお前が死ぬ前1時間の記憶がある。それをみせてやろうこの記憶は能力と交換だから記憶は残らないぞ。」
老人の杖が緑の眩しい光を出し始めた。ミーの頭の中には記憶が入っていく。
「おい、あいつの口のテープを外せ」
老人が警官に指示を出す。警官はミーのところに近づき思いっきりテープを剥がした。
「痛ってー」
ミーの叫び声が部屋全体に響きまわる。叫び終わるとロープもほどかれた。
「では聞こうお主の死因は?」
杖を差し出しながら質問してきた。ミーは胸を張り自信満々に答えた。
「俺は自殺だ」
「そうか」
またさっきと同じ緑色の光が光り始めた。
気が付くと部屋にはミーただ一人だった。あたりを見渡すと、さっきまであった扉はなくばっていて、人が明らかに通れない窓が何個かあるだけだった。
「一体俺にはどんな能力が?」
ミーは自分の手の平を見つめていた。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...