他力で開拓!?〜気がつけばそこは自分の国だった〜

久耀

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初めての街 イーニフ

第16話

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コンコンとノックの音で目が覚める。

「うーん…ふぁ~…。」
どうやら昨日はすぐ寝てしまったようだ…。快適に過ごせたからか、すっかり体調も万全だ。
おっとノックされていたな。

「は~い?」

「あっ…あの、おはようございます!ヴァルカンさん…朝食の用意ができました…!」
声からして緊張しているのが丸わかりな、少し幼い女の子の可愛い声が扉の向こう側から聞こえた。

「おはようございます。わかりました、支度が終わったらおります!ありがとう!」

「い、いえ!…下でお待ちしています!」
パタパタと小走りで戻っていく音が聞こえる。さて、準備をして朝食を食べよう…。


「おや、やっと降りて来たね!よく眠れたかい?」

「おはようございます!えぇ、お陰様で疲れも取れました、ありがとうございます!」

「良いんだよ!この子がうちの娘のセーラだ、あんたを起こしに行ってくれたんだよ!」

「っ!…初めまして…セーラですっ…。」

恥ずかしそうにこちらの様子を伺うセーラちゃん、10歳くらいだろうか。

「初めまして、さっきはありがとう!」

「普段はうちの手伝いをしているんだ、我が子ながら良い子だよ。さぁ、朝食はパンとミルク、マーマレード、果物もいくつか用意したよ!用意してあるから食べて行きな!夕食ほど豪勢じゃ無いけどね!」

先ほどから香ばしい匂いと共に漂ってくるこの爽やかな柑橘かんきつ系の匂いはマーマレードだったのか、朝から美味しそうだ!
今日も依頼をこなすつもりなので、食べ過ぎないように気をつけないと…苦しくなっちゃうだろうな…。



「おや、もう食べ終わったのかい!そういえば、あんたは冒険者だろう?今晩も泊まるのかい?連泊するなら安くしとくよ!」

「そうしたいんですが、まだ手持ちのお金が少ないので、とりあえず今晩もう一度お願いします!」

「はいはい、それじゃあ一旦鍵は預かっとこうかね!」

鍵を手渡し、今晩の分の代金を支払ってからギルドへ向かおうとすると、

「あの、これ良かったら…お昼にどうぞ…。」

と、セーラちゃんが昨晩の余りの食材をパンに挟んで包んでくれた。

「これはまた美味しそうだ!ありがとう!」

「い、いえ…頑張ってください…!」

「それじゃ、いってきます!」


ギルドへと颯爽さっそうと駆け出したあと、黒の夜明け亭では、
「ふ~ん?セーラったらぁ~青春ねぇ~?」

「ち、ちがうもん…!!」
ニヤニヤしたナタリーにセーラがからかわれていた。




冒険者ギルドは朝から冒険者で賑わっていた。高ランク帯の掲示板では、今にも喧嘩になりそうなくらいに依頼書を奪い合っている。
Eランクは駆け出しも多いからか、あれに比べれば穏やかなものだ。

それはそうと、ポーションの販路を開くためにも薬屋を見てみたいし、この街の辺りの薬草の群生地とか、品質とか見ておける、薬草の採取依頼とかを受けるか…。

薬草の採取依頼はいつでも掲示板に貼られている常設された依頼だ。なので奪い合うとかもなければ、常に需要がって駆け出しにはおすすめの依頼らしい。

早速その依頼書を持ってカウンターの方へ。

「おはようございます!依頼の受注ですね!薬草の採取依頼ですか…薬草にもいくつか種類があるので、事前に資料室で図鑑などをよく確認しておくことをおすすめします!」

「なるほど、ありがとうございます!」

森の中でゴーレムが採取してた薬草だけじゃないかもしれないから、ちゃんと確認してから行こう。




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