16 / 21
初めての街 イーニフ
第16話
しおりを挟む
コンコンとノックの音で目が覚める。
「うーん…ふぁ~…。」
どうやら昨日はすぐ寝てしまったようだ…。快適に過ごせたからか、すっかり体調も万全だ。
おっとノックされていたな。
「は~い?」
「あっ…あの、おはようございます!ヴァルカンさん…朝食の用意ができました…!」
声からして緊張しているのが丸わかりな、少し幼い女の子の可愛い声が扉の向こう側から聞こえた。
「おはようございます。わかりました、支度が終わったらおります!ありがとう!」
「い、いえ!…下でお待ちしています!」
パタパタと小走りで戻っていく音が聞こえる。さて、準備をして朝食を食べよう…。
「おや、やっと降りて来たね!よく眠れたかい?」
「おはようございます!えぇ、お陰様で疲れも取れました、ありがとうございます!」
「良いんだよ!この子がうちの娘のセーラだ、あんたを起こしに行ってくれたんだよ!」
「っ!…初めまして…セーラですっ…。」
恥ずかしそうにこちらの様子を伺うセーラちゃん、10歳くらいだろうか。
「初めまして、さっきはありがとう!」
「普段はうちの手伝いをしているんだ、我が子ながら良い子だよ。さぁ、朝食はパンとミルク、マーマレード、果物もいくつか用意したよ!用意してあるから食べて行きな!夕食ほど豪勢じゃ無いけどね!」
先ほどから香ばしい匂いと共に漂ってくるこの爽やかな柑橘系の匂いはマーマレードだったのか、朝から美味しそうだ!
今日も依頼をこなすつもりなので、食べ過ぎないように気をつけないと…苦しくなっちゃうだろうな…。
「おや、もう食べ終わったのかい!そういえば、あんたは冒険者だろう?今晩も泊まるのかい?連泊するなら安くしとくよ!」
「そうしたいんですが、まだ手持ちのお金が少ないので、とりあえず今晩もう一度お願いします!」
「はいはい、それじゃあ一旦鍵は預かっとこうかね!」
鍵を手渡し、今晩の分の代金を支払ってからギルドへ向かおうとすると、
「あの、これ良かったら…お昼にどうぞ…。」
と、セーラちゃんが昨晩の余りの食材をパンに挟んで包んでくれた。
「これはまた美味しそうだ!ありがとう!」
「い、いえ…頑張ってください…!」
「それじゃ、いってきます!」
ギルドへと颯爽と駆け出したあと、黒の夜明け亭では、
「ふ~ん?セーラったらぁ~青春ねぇ~?」
「ち、ちがうもん…!!」
ニヤニヤしたナタリーにセーラがからかわれていた。
冒険者ギルドは朝から冒険者で賑わっていた。高ランク帯の掲示板では、今にも喧嘩になりそうなくらいに依頼書を奪い合っている。
Eランクは駆け出しも多いからか、あれに比べれば穏やかなものだ。
それはそうと、ポーションの販路を開くためにも薬屋を見てみたいし、この街の辺りの薬草の群生地とか、品質とか見ておける、薬草の採取依頼とかを受けるか…。
薬草の採取依頼はいつでも掲示板に貼られている常設された依頼だ。なので奪い合うとかもなければ、常に需要がって駆け出しにはおすすめの依頼らしい。
早速その依頼書を持ってカウンターの方へ。
「おはようございます!依頼の受注ですね!薬草の採取依頼ですか…薬草にもいくつか種類があるので、事前に資料室で図鑑などをよく確認しておくことをおすすめします!」
「なるほど、ありがとうございます!」
森の中でゴーレムが採取してた薬草だけじゃないかもしれないから、ちゃんと確認してから行こう。
「うーん…ふぁ~…。」
どうやら昨日はすぐ寝てしまったようだ…。快適に過ごせたからか、すっかり体調も万全だ。
おっとノックされていたな。
「は~い?」
「あっ…あの、おはようございます!ヴァルカンさん…朝食の用意ができました…!」
声からして緊張しているのが丸わかりな、少し幼い女の子の可愛い声が扉の向こう側から聞こえた。
「おはようございます。わかりました、支度が終わったらおります!ありがとう!」
「い、いえ!…下でお待ちしています!」
パタパタと小走りで戻っていく音が聞こえる。さて、準備をして朝食を食べよう…。
「おや、やっと降りて来たね!よく眠れたかい?」
「おはようございます!えぇ、お陰様で疲れも取れました、ありがとうございます!」
「良いんだよ!この子がうちの娘のセーラだ、あんたを起こしに行ってくれたんだよ!」
「っ!…初めまして…セーラですっ…。」
恥ずかしそうにこちらの様子を伺うセーラちゃん、10歳くらいだろうか。
「初めまして、さっきはありがとう!」
「普段はうちの手伝いをしているんだ、我が子ながら良い子だよ。さぁ、朝食はパンとミルク、マーマレード、果物もいくつか用意したよ!用意してあるから食べて行きな!夕食ほど豪勢じゃ無いけどね!」
先ほどから香ばしい匂いと共に漂ってくるこの爽やかな柑橘系の匂いはマーマレードだったのか、朝から美味しそうだ!
今日も依頼をこなすつもりなので、食べ過ぎないように気をつけないと…苦しくなっちゃうだろうな…。
「おや、もう食べ終わったのかい!そういえば、あんたは冒険者だろう?今晩も泊まるのかい?連泊するなら安くしとくよ!」
「そうしたいんですが、まだ手持ちのお金が少ないので、とりあえず今晩もう一度お願いします!」
「はいはい、それじゃあ一旦鍵は預かっとこうかね!」
鍵を手渡し、今晩の分の代金を支払ってからギルドへ向かおうとすると、
「あの、これ良かったら…お昼にどうぞ…。」
と、セーラちゃんが昨晩の余りの食材をパンに挟んで包んでくれた。
「これはまた美味しそうだ!ありがとう!」
「い、いえ…頑張ってください…!」
「それじゃ、いってきます!」
ギルドへと颯爽と駆け出したあと、黒の夜明け亭では、
「ふ~ん?セーラったらぁ~青春ねぇ~?」
「ち、ちがうもん…!!」
ニヤニヤしたナタリーにセーラがからかわれていた。
冒険者ギルドは朝から冒険者で賑わっていた。高ランク帯の掲示板では、今にも喧嘩になりそうなくらいに依頼書を奪い合っている。
Eランクは駆け出しも多いからか、あれに比べれば穏やかなものだ。
それはそうと、ポーションの販路を開くためにも薬屋を見てみたいし、この街の辺りの薬草の群生地とか、品質とか見ておける、薬草の採取依頼とかを受けるか…。
薬草の採取依頼はいつでも掲示板に貼られている常設された依頼だ。なので奪い合うとかもなければ、常に需要がって駆け出しにはおすすめの依頼らしい。
早速その依頼書を持ってカウンターの方へ。
「おはようございます!依頼の受注ですね!薬草の採取依頼ですか…薬草にもいくつか種類があるので、事前に資料室で図鑑などをよく確認しておくことをおすすめします!」
「なるほど、ありがとうございます!」
森の中でゴーレムが採取してた薬草だけじゃないかもしれないから、ちゃんと確認してから行こう。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる