他力で開拓!?〜気がつけばそこは自分の国だった〜

久耀

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初めての街 イーニフ

第19話

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街の近くで盗賊達を下ろし、ゴーレム達を一度消したあと、フィリウスの奥さんが兵士を呼びに行ってくれた。
盗賊達は数人の兵士に縛られ直され、連れられていった。
詰所ではゴーレムのことを伏せつつ事情を説明し、盗賊の中には手配されていたものもいたようで、少なくない金額の報奨金を貰った。被害を受けたフィリウスにも分けようと話し合うと「盗賊を全て倒し、助けてくれたのは貴方なのだから、全額受け取ってください」と頼まれ、結局全額貰えることになった。


冒険者ギルドで薬草の依頼の完了報告をしたあと、そのままフィリウスの家に招かれたのだが…

「着きました!ここがうちの屋敷です!」

「えっ…これ…ですか?」

そこにはまるで貴族でも住んでいるかのような立派な屋敷が建っていた。
人の背丈より倍は高く大きい門をくぐり抜けると、広い庭が広がっており、庭師が花の世話をしていて、色取り取りの花が咲き乱れている。

「凄いでしょう、うちの妻の趣味もあって庭は華やかにしてあるんです。」

「はぁ…もしかして…貴族なんですか?」

「ははは…まさか!うちの商会はそこそこ大きい商会なので、見栄のためにもこれくらいじゃないといけないんですよ!広いせいで使いづらいほどですからね…。ヴァルカン殿のお手もわずらわせてしまうかもしれませんね…。ささっ、どうぞお入りください!」

「ありがとうございます、お邪魔します!」

これまた大きい玄関の扉をあけるとそこには、絵に描いたような豪華絢爛けんらんの玄関が人がっており、沢山の執事やメイドさんがたくさん並んで出迎えていた。

「おかえりなさいませ、旦那様。そして、いらっしゃいませヴァルカン様。伝令から事情をお聞き致しました。ご無事で何よりです。此度こたびの護衛の采配については、商人ギルドマスターへ直接報告致しました。後ほどマスターが直々にこちらへ来られるそうです。」

「そうか、ありがとう。皆にも心配をかけてしまったな。だが窮地きゅうちをこちらのヴァルカン殿に助けていただいた。もてなしの準備を頼めるか?」

かしこまりました。ただちに手配致します。」

「あぁ、頼んだよ。それではヴァルカン殿、客間へ案内させましょう。晩餐ばんさんまではそちらで寛いでいてください。」

「ありがとうございます…。」

またも圧倒されている内に話が進んでいた。メイドさんに案内され、客間へ通される。客間は玄関に比べると、比較的普通の家具や調度品が並んでいて過ごしやすそうだ。

「それではこちらでお休みください、御用があればこちらのベルを鳴らしていただけるとすぐに使用人が参りますので。」

「わかりました、ありがとうございます。」

そういうと、メイドさんはお辞儀をして部屋から退出していった。
部屋の中には茶菓子や紅茶の入ったポットも用意されていて、一見普通だと思っていたが、ポットの下には魔法陣のようなものが描いてあり、常に温かくなっているようだ。
よく見ると、先ほどメイドさんを呼ぶ為に渡されたベルも魔法陣のようなものが描かれている。
他にも部屋の明かりも鉱石のようなもので作られているし、空調を整えてくれるものもある。
宿屋やギルドなどの建物では見たことのない技術が、部屋の雰囲気を壊さないように至るところに仕込まれていた。



しばらくウキウキと部屋の設備を見たり、紅茶を飲んだりしていると、コンコンとノックの音がなり、返事をすると先ほどのメイドさんが入ってきた。

「お休みのところ失礼します。ヴァルカン様、旦那様がお呼びです。商人ギルドのギルドマスターがいらっしゃっており、ヴァルカン様にもお詫び申し上げたいとのことです。応接室へご案内させていただきます。」

「そうですか、…わかりました。行きましょうか。」

と、正直あんな思いをさせられた商人ギルドの関係者に会いたい気持ちは湧いてこないが、メイドさんに連れられ応接室へ向かうことになった。
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