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第一話

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「今日も暇だなぁ...」

俺は、教室の隅で一人寂しく本を読んでいた。

俺、池田夕陽は高校2年生の陰キャだ。

なんの面白みもない、ただの陰キャだ。

そんな俺とは対照的に、人に囲まれた人気者がいた。

「みおんちゃん、昨日も可愛かったよ!」

「美音様、サインください!」

「わかったから、ちょっとまって」

多くの生徒に囲まれているのは、乙坂美音だ。

彼女は現役高校生アイドルであり、多くの人が彼女のことを知っている。

俺は、そんな人気者の彼女と接点なんてあるはずない。



「お前も美音様を好きになったか?」

そう話しかけてきたのは、数少ない友人である高橋夕貴だ。

「いや、相変わらず人気だなぁって」

「よくラノベで見かける展開だよな、これって」

「確かに」

夕貴とはラノベ仲間だ。

よくラノベの感想を話し合ったり、アニメを一緒に見たりしている。

そんなんだから、みんなから「陰キャ二強」といわれている。

美音と天と地の差があるぐらい真逆の立ち位置にいる俺。



しかし、ある日急に彼女が俺に話しかけてきた。



「池田夕陽くん、ちょっといいかな?」

「ふぇ?!な、なんですか?」

「そんな怖がらなくてもいいのに。少し聞きたいことがあるの。」

「何でしょうか....」





「もしかして君、コスプレイヤーだよね?」





「ふぇ?!」

「その反応...」

「いや、こんな陰キャにコスプレなんてできるわけないよ!」

「そうかなぁ...」



俺が、こんなにも焦っている理由。それは...

「ひゆくん、今日もいい感じだね!」

「そのポーズのままでいいよ!」

「こんな感じですかね...?」

そう、俺はコスプレイヤーなのだ。

学校がない日に、「ひゆ」という名前でコスプレイヤーをしている。

学校ではそう思えないほどのゴリゴリの陰キャだから、バレることはない。

コスプレイヤーとして活動するきっかけとなったのは、やはり憧れだろう。

俺は、元々相当なオタクだったから、よくアニメを見ていた。

そして、たまたまSNSで自分の好きなアニメのキャラクターの姿にコスプレしてる、レイヤーの人の投稿を見た。



正直、なれるわけないけど、こうなりたいと思ってしまった。

その時は家でも陰キャだったから、何か変わりたいと思っていた。

俺は、好奇心でコスプレをして、それをSNSにあげた。

メイクのスキルはなかったので、いとこにメイクのプロがいるので教えてもらった。

そして、コスプレした画像を投稿してみた。



すると、一日で10万いいねを超えた。

俗に言う、バズったってやつだ。

それから、いろんな人に見てもらうことのうれしさから、どんどんコスプレにのめりこんでいった。

いつの間にかフォロワーも100万人を超え、テレビにも少しずつ出れるぐらい有名になった。

でも、学校ではおとなしく痛いから、正体を隠していた。



で、結論を言う。





なぜバレた?

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