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願いが叶う流れ星
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流れ星に願い事を3回唱えると、その願いを叶えてくれる。
その話をお母さんから聞いた僕は、自分の部屋の窓からお空を眺めていた。
空には雲がなくて、キラキラと光る星がたくさんある。
いつ流れても言えるように練習しておかなきゃ。
僕は、今流行っているゲームのソフトが欲しい。
新しいサッカーボールも欲しいし、足が速くなりたい。
どれにしようかな。
そんなことを考えていたその時、空が光った。
「あ、言わなきゃ!」
そう言った時には、すでに流れたあとだった。
流れ星って、あんなに速いんだ。
願い事3回も言えないよ。
はぁ。
深いため息をついていると、また空が光った。
「あっ、えと、ゲーム…」
当然ながら3回言えないし、文章すら言えない。
「あーあ…」
僕が落ち込んでいると、急に声が聞こえた。
「3回唱えるなんて無理だよ」
その声は外からだ。
顔をあげるとそこにはふわふわと浮かぶ光があった。
眩しくて、キラキラしているそれは、僕に話しかけているようだ。
「だれ?」
「流れ星だよ」
流れ星って言った?
僕は聞き間違いかと思ったけど、その光は窓にさらに近づいた。
「疑っているみたいだけど、流れ星だよ」
「ほんとかなぁ?流れ星って喋るのかな?」
「ボクは特別な流れ星だからね」
キラキラと光る流れ星は、なんだか自慢げだ。
「じゃあ、お願い叶えてくれる?」
「どんなお願いかな?」
「えっと、ゲームのソフトが欲しい!それにサッカーボール。それから足が速くなりたいし、泳げるようになりたいし、それから」
「待って待って。願い事って言うのは、本当に叶えたいことだけしか言ってはいけないんだよ」
キラキラの光は、僕に優しくそう言った。
「じゃあ、足が速くなりたい」
「本当に、それが叶えたい願い事?」
「…泳げるようになりたい」
「本当に、それでいいの?」
流れ星は、僕のことを知っているみたいだった。
僕は手をぎゅっと握りしめた。
「流れ星さんは、本当は願いなんか叶えられないんでしょ」
キラキラと浮かぶそれは答えない。
「僕の本当の願い事なんて叶わない。そんなこと、僕が一番分かってる」
「願い事を言ってみて」
僕は。
僕の願い事は。
「クロを生き返らせて」
黒い毛並みがふわふわの柴犬。
僕が生まれる前からずっと家族だった僕のお兄ちゃん。
今朝、冷たくなって毛布に横たわっていた僕の大切な。
涙が次から次に溢れていく。
考えたくなかった、現実を見たくなかった。
僕は今の今まで、泣くことすらしなかった。
泣いてしまえば、クロがいなくなったことを認めることになるから。
考えないように、したつもりだった。
僕がゲームをしていると隣に来て僕の膝に頭を乗せるクロが可愛かった。
サッカーボールがお気に入りでたくさんの噛み跡がついているから、新しいボールもきっとたくさん遊んでくれるはずだった。
クロは足が速いし泳ぎも上手だから、もっと、もっと一緒に遊べるように僕も練習して、クロと。
「大切なんだ、大好きなんだ。もっと一緒に遊びたかった。クロがいないと寂しいよ」
僕はいっぱい泣いた。大声で泣いた。
それでも夜は静かなままで、きっと誰にも気付かれなかった。
キラキラの光だけが、僕に寄り添っていた。
「君にそんなに愛されたクロはとても幸せだね」
「幸せ、だったかな…」
「長い間ずっと一緒にいて、たくさん遊んで、たくさん笑って。そして、こんなに悲しんでくれる君が傍にいたんだから。クロは幸せだったよ」
「そうかな、そうだといいなぁ」
僕はクロとの楽しかった日々を思い出して、微笑んだ。
キラキラの流れ星は、ふわふわと僕の周りを回ると空に戻っていった。
僕はいつの間にか寝ていて、朝起きたら泣いたせいで目が腫れていた。
あれが夢だったのかどうか分からないけど、僕はちゃんとクロのお墓の前で手を合わせることが出来た。
クロ、今までありがとう。大好きだよ。
「君の最後の願いは、彼の笑顔を見ること。で良かったかな?」
「わん!」
黒い毛並みの柴犬は嬉しそうに天国へと走って行った。
ボクは流れ星。
たったひとつ、本当の願い事を叶える特別な流れ星さ。
その話をお母さんから聞いた僕は、自分の部屋の窓からお空を眺めていた。
空には雲がなくて、キラキラと光る星がたくさんある。
いつ流れても言えるように練習しておかなきゃ。
僕は、今流行っているゲームのソフトが欲しい。
新しいサッカーボールも欲しいし、足が速くなりたい。
どれにしようかな。
そんなことを考えていたその時、空が光った。
「あ、言わなきゃ!」
そう言った時には、すでに流れたあとだった。
流れ星って、あんなに速いんだ。
願い事3回も言えないよ。
はぁ。
深いため息をついていると、また空が光った。
「あっ、えと、ゲーム…」
当然ながら3回言えないし、文章すら言えない。
「あーあ…」
僕が落ち込んでいると、急に声が聞こえた。
「3回唱えるなんて無理だよ」
その声は外からだ。
顔をあげるとそこにはふわふわと浮かぶ光があった。
眩しくて、キラキラしているそれは、僕に話しかけているようだ。
「だれ?」
「流れ星だよ」
流れ星って言った?
僕は聞き間違いかと思ったけど、その光は窓にさらに近づいた。
「疑っているみたいだけど、流れ星だよ」
「ほんとかなぁ?流れ星って喋るのかな?」
「ボクは特別な流れ星だからね」
キラキラと光る流れ星は、なんだか自慢げだ。
「じゃあ、お願い叶えてくれる?」
「どんなお願いかな?」
「えっと、ゲームのソフトが欲しい!それにサッカーボール。それから足が速くなりたいし、泳げるようになりたいし、それから」
「待って待って。願い事って言うのは、本当に叶えたいことだけしか言ってはいけないんだよ」
キラキラの光は、僕に優しくそう言った。
「じゃあ、足が速くなりたい」
「本当に、それが叶えたい願い事?」
「…泳げるようになりたい」
「本当に、それでいいの?」
流れ星は、僕のことを知っているみたいだった。
僕は手をぎゅっと握りしめた。
「流れ星さんは、本当は願いなんか叶えられないんでしょ」
キラキラと浮かぶそれは答えない。
「僕の本当の願い事なんて叶わない。そんなこと、僕が一番分かってる」
「願い事を言ってみて」
僕は。
僕の願い事は。
「クロを生き返らせて」
黒い毛並みがふわふわの柴犬。
僕が生まれる前からずっと家族だった僕のお兄ちゃん。
今朝、冷たくなって毛布に横たわっていた僕の大切な。
涙が次から次に溢れていく。
考えたくなかった、現実を見たくなかった。
僕は今の今まで、泣くことすらしなかった。
泣いてしまえば、クロがいなくなったことを認めることになるから。
考えないように、したつもりだった。
僕がゲームをしていると隣に来て僕の膝に頭を乗せるクロが可愛かった。
サッカーボールがお気に入りでたくさんの噛み跡がついているから、新しいボールもきっとたくさん遊んでくれるはずだった。
クロは足が速いし泳ぎも上手だから、もっと、もっと一緒に遊べるように僕も練習して、クロと。
「大切なんだ、大好きなんだ。もっと一緒に遊びたかった。クロがいないと寂しいよ」
僕はいっぱい泣いた。大声で泣いた。
それでも夜は静かなままで、きっと誰にも気付かれなかった。
キラキラの光だけが、僕に寄り添っていた。
「君にそんなに愛されたクロはとても幸せだね」
「幸せ、だったかな…」
「長い間ずっと一緒にいて、たくさん遊んで、たくさん笑って。そして、こんなに悲しんでくれる君が傍にいたんだから。クロは幸せだったよ」
「そうかな、そうだといいなぁ」
僕はクロとの楽しかった日々を思い出して、微笑んだ。
キラキラの流れ星は、ふわふわと僕の周りを回ると空に戻っていった。
僕はいつの間にか寝ていて、朝起きたら泣いたせいで目が腫れていた。
あれが夢だったのかどうか分からないけど、僕はちゃんとクロのお墓の前で手を合わせることが出来た。
クロ、今までありがとう。大好きだよ。
「君の最後の願いは、彼の笑顔を見ること。で良かったかな?」
「わん!」
黒い毛並みの柴犬は嬉しそうに天国へと走って行った。
ボクは流れ星。
たったひとつ、本当の願い事を叶える特別な流れ星さ。
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