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毒
毒ー①
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「準備も終わったし今日は帰るか」
準備が終わりカナリヤがバックを背負った。
「なにボーッとしてんの?早く行くよ、暗くなっちゃう」
「え?あ、うん」
「鍵返しに行ってくる」
「いや、俺が行くよ。ハーネストさんにもお礼を言いたいし」
「じゃあよろしく。私も他のところに寄ってくから入口のところに集合ね」
寄るところって何処なんだろうと気にしながらもハーネストの家へ行った。
ドアを叩くとハーネストが出てきた。
「あれ、シャリングくんか。どうした?」
「あ、これ、返しに来ました」
「ああ、君が返しに来てくれたのかい。ありがとう。カナリヤは?」
(カナリヤが来ると思ってたか。すいませんね。俺なんかで)
「カナリヤは寄るところがあるとか言ってどっか行きましたよ」
ハーネストは不思議そうな顔をして言う。
「君、付き人なのに着いていかなくて良かったのか?」
「カナリヤが一人で行きたそうにしてたので」
「そうか、じゃあカナリヤにまた何かあったらいつでも相談してねって言っといてくれないか?」
「はい、分かりました」
シャリングが面倒くさそうに返事をし、出ていこうとするとハーネストが小さな声で言った。
「君みたいのじゃあ、カナリヤを守れないよ」
小さく笑いながらハーネストは言った。シャリングは何も言わず歩いていった。
(そんなの…俺が一番よく分かっているんだよ)
街の出入口に着くとまだカナリヤは来ていなかった。
(まだ用事終わってないのか)
近くにあったベンチに腰掛けた。空を見上げるともう夕方になっている。太陽も沈み始めていた。
いつの間にかそんな時間になっていたのか。全然気づかなかった。
今日はいつも以上に疲れた。
目をつぶりそのままウトウトしていた。
「おい、生きてんのか」
カナリヤの声で起きた。目の前には冷ややかな目てカナリヤがシャリングを見ていた。
「あ、ごめんごめん」
「早く帰ろ。暗くなってきちゃったし」
シャリングはベンチから立ち上がり伸びをしてからカナリヤの後を追った。
城に着いた時には外は真っ暗になっていた。部屋に戻ると机の上にご飯が置いてあった。
「誰だ、これ置いてったやつ」
「まあいいんじゃない?ちょうどお腹すいてたし。作ってくれたのはありがたい」
シャリングがドシッと体重を乗せソファに腰掛けた。そしてスプーンを口に入れようとするとカナリヤが止めた。
「待て」
「え?」
「私は王に最初の頃ご飯を毎日持っていかそうと言われた。けど私はそれを断った。それなのになんで置いてあるんだ?」
「そうだったのか?」
「だとしたらこれを置いてったやつはそれを知らない奴ってことか。そんなの一人くらいしか居ないだろう」
カナリヤがソファに座り皿を持ち上げながら言った。
「誰なんだ?」
「マリヤくらいだろ」
(そうか。マリヤは最近来たばっかでそのことも知らない。確かにそれが一番有力だな)
「シャリング。そこの棚に入ってる瓶とって」
カナリヤに命令され仕方なく棚から瓶を取った。カナリヤに渡すと瓶を開け食べ物たちにかけた。
するとみるみる青くなっていった。
「これって…前使ってた薬か?毒が入っているか分かる」
「うん。まあ青になったから毒が入っていたんだろうな」
シャリングは驚き皿を見た。
「ま、まさか。なんでマリヤが俺たちに毒を盛るんだ?」
「私の考えだとマリヤは今王の信頼を得ている私に毒を盛り、毒で倒れた私を治してもっと王の信頼を得ようと考えたんじゃない」
カナリヤはため息をつき、皿をテーブルの上へ置いた。カナリヤは
(確かに、カナリヤの考えはなくも無い。だが、マリヤって奴がそこまでするのか?)
シャリングは疑問が浮かび上がったがカナリヤには言わなかった。すると、カナリヤがフフッと笑いだした。
「ほんと、マリヤってやつもバカね。私がこんなのに引っかかるわけないでしょ。ほんと笑える」
カナリヤはそう言いながらもずっと笑っている。それがシャリングから見れば不気味だった。
「ま、確かにこの毒をまんまと飲んでマリヤに治させ王の信頼をマリヤに向けるっていう手もあるわね」
笑いを止めカナリヤが考えながら言った。テーブルの上にあるご飯たちを眺め一つ手に取り口にしようとした。
シャリングは反射的にそれを止めた。
「何食べようとしてるんだよ。それ毒が入っているんだぞ?」
「だから食べるんでしょ?」
「やめてくれ、それで倒れたらどうする」
「マリヤが助けるっしょ」
「そんなの分からないじゃないか。マリヤはもしかしたらお前を殺そうとしているのかも知れないんだぞ?そうだとしたら、お前を助けずにそのまま殺すかもしれないぞ?」
カナリヤはシャリングの言葉を聞き手を止めた。
「ま、そうかもしれないけど。ったくしょうがないな。これ後で片付けておいて。私は料理作ってくるから」
カナリヤは台所へと向かった。
準備が終わりカナリヤがバックを背負った。
「なにボーッとしてんの?早く行くよ、暗くなっちゃう」
「え?あ、うん」
「鍵返しに行ってくる」
「いや、俺が行くよ。ハーネストさんにもお礼を言いたいし」
「じゃあよろしく。私も他のところに寄ってくから入口のところに集合ね」
寄るところって何処なんだろうと気にしながらもハーネストの家へ行った。
ドアを叩くとハーネストが出てきた。
「あれ、シャリングくんか。どうした?」
「あ、これ、返しに来ました」
「ああ、君が返しに来てくれたのかい。ありがとう。カナリヤは?」
(カナリヤが来ると思ってたか。すいませんね。俺なんかで)
「カナリヤは寄るところがあるとか言ってどっか行きましたよ」
ハーネストは不思議そうな顔をして言う。
「君、付き人なのに着いていかなくて良かったのか?」
「カナリヤが一人で行きたそうにしてたので」
「そうか、じゃあカナリヤにまた何かあったらいつでも相談してねって言っといてくれないか?」
「はい、分かりました」
シャリングが面倒くさそうに返事をし、出ていこうとするとハーネストが小さな声で言った。
「君みたいのじゃあ、カナリヤを守れないよ」
小さく笑いながらハーネストは言った。シャリングは何も言わず歩いていった。
(そんなの…俺が一番よく分かっているんだよ)
街の出入口に着くとまだカナリヤは来ていなかった。
(まだ用事終わってないのか)
近くにあったベンチに腰掛けた。空を見上げるともう夕方になっている。太陽も沈み始めていた。
いつの間にかそんな時間になっていたのか。全然気づかなかった。
今日はいつも以上に疲れた。
目をつぶりそのままウトウトしていた。
「おい、生きてんのか」
カナリヤの声で起きた。目の前には冷ややかな目てカナリヤがシャリングを見ていた。
「あ、ごめんごめん」
「早く帰ろ。暗くなってきちゃったし」
シャリングはベンチから立ち上がり伸びをしてからカナリヤの後を追った。
城に着いた時には外は真っ暗になっていた。部屋に戻ると机の上にご飯が置いてあった。
「誰だ、これ置いてったやつ」
「まあいいんじゃない?ちょうどお腹すいてたし。作ってくれたのはありがたい」
シャリングがドシッと体重を乗せソファに腰掛けた。そしてスプーンを口に入れようとするとカナリヤが止めた。
「待て」
「え?」
「私は王に最初の頃ご飯を毎日持っていかそうと言われた。けど私はそれを断った。それなのになんで置いてあるんだ?」
「そうだったのか?」
「だとしたらこれを置いてったやつはそれを知らない奴ってことか。そんなの一人くらいしか居ないだろう」
カナリヤがソファに座り皿を持ち上げながら言った。
「誰なんだ?」
「マリヤくらいだろ」
(そうか。マリヤは最近来たばっかでそのことも知らない。確かにそれが一番有力だな)
「シャリング。そこの棚に入ってる瓶とって」
カナリヤに命令され仕方なく棚から瓶を取った。カナリヤに渡すと瓶を開け食べ物たちにかけた。
するとみるみる青くなっていった。
「これって…前使ってた薬か?毒が入っているか分かる」
「うん。まあ青になったから毒が入っていたんだろうな」
シャリングは驚き皿を見た。
「ま、まさか。なんでマリヤが俺たちに毒を盛るんだ?」
「私の考えだとマリヤは今王の信頼を得ている私に毒を盛り、毒で倒れた私を治してもっと王の信頼を得ようと考えたんじゃない」
カナリヤはため息をつき、皿をテーブルの上へ置いた。カナリヤは
(確かに、カナリヤの考えはなくも無い。だが、マリヤって奴がそこまでするのか?)
シャリングは疑問が浮かび上がったがカナリヤには言わなかった。すると、カナリヤがフフッと笑いだした。
「ほんと、マリヤってやつもバカね。私がこんなのに引っかかるわけないでしょ。ほんと笑える」
カナリヤはそう言いながらもずっと笑っている。それがシャリングから見れば不気味だった。
「ま、確かにこの毒をまんまと飲んでマリヤに治させ王の信頼をマリヤに向けるっていう手もあるわね」
笑いを止めカナリヤが考えながら言った。テーブルの上にあるご飯たちを眺め一つ手に取り口にしようとした。
シャリングは反射的にそれを止めた。
「何食べようとしてるんだよ。それ毒が入っているんだぞ?」
「だから食べるんでしょ?」
「やめてくれ、それで倒れたらどうする」
「マリヤが助けるっしょ」
「そんなの分からないじゃないか。マリヤはもしかしたらお前を殺そうとしているのかも知れないんだぞ?そうだとしたら、お前を助けずにそのまま殺すかもしれないぞ?」
カナリヤはシャリングの言葉を聞き手を止めた。
「ま、そうかもしれないけど。ったくしょうがないな。これ後で片付けておいて。私は料理作ってくるから」
カナリヤは台所へと向かった。
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