腹黒薬師は復讐するために生きている

怜來

文字の大きさ
93 / 111
新しい仲間

新しい仲間 ➂

しおりを挟む
そう言いシャリングは行ってしまった。カナリヤは止めようとしたが声がでなかった。

ダメ。そしたら、あんたまでもがあいつに…お願いだから…

心のなかで必死に叫んでもシャリングには届かなかった。

カナリヤはしょうがないと思い、今自分にできることをやろうと考えた。

まずはサンザリカから話を聞かないと。あれはお前がやったのかって。けれど、絶対に否定する。そして、理由を教えろと言うだろう。

そう言われたらどう対処する?お前が今まてやってきたことから見たら、お前だと言わざるおえないだろ、というか?

けれど、だからと言ってあいつがやったとは限らない。まず、よく考えれば本当にあいつがやったことか?

この辺りは荒れ地がちらほらある。そこにあの植物が生えてもおかしくない。そして、お腹が空いていたあいつらが美味しそうだと思い、積んで食べた可能性もある。

それにあそこにいた男の一人が植物をかごいっぱいに積んでいたと言っている。じゃあ偶然か?

いや、意図的に反抗に及んだ可能性もある。

しゃがみ込んで頭を抱える。

何が本当で何が嘘なのか分からなくなってきた。ここまでくるのに、決して周りを信じたりはしなかった。

例え仲が良くていつも一緒にいる人でも笑顔の奥には必ず何か隠していると思い信じようとは思わなかった。

あいつが犯人だと思ったらすぐさま行動に出る。それなのに、今の自分は自分を疑っている。

何なんだろう。

昔の自分は誰にも頼ろうとは思わなかった。頼ったところで結局はうまくいかない。だったら一人でやったほうなマシだと思ってきた。

それなのに…

最近の自分はどうかしている。周りを頼ってしまう。信じてしまう。…気のせいだろうか。



サンザリカの部屋の前に立ち深呼吸をしてから優しくドアを叩く。しかし、返事がなかった。

不在なのかと思いドアを少しづつ開けていく。そこには広い部屋が広がっていた。よく見ると奥の方でサンザリカが向かい合って誰かと喋っている。  

話している内容は聞こえないが、サンザリカと話しているのは女の子だった。見たことのない子だった。

二人ともこちらには気づかずずっと話していた。その時のサンザリカがどうにも幼く見えた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【受賞&書籍化】先視の王女の謀(さきみのおうじょのはかりごと)

神宮寺 あおい
恋愛
謎解き×恋愛 女神の愛し子は神託の謎を解き明かす。 月の女神に愛された国、フォルトゥーナの第二王女ディアナ。 ある日ディアナは女神の神託により隣国のウィクトル帝国皇帝イーサンの元へ嫁ぐことになった。 そして閉鎖的と言われるくらい国外との交流のないフォルトゥーナからウィクトル帝国へ行ってみれば、イーサンは男爵令嬢のフィリアを溺愛している。 さらにディアナは仮初の皇后であり、いずれ離縁してフィリアを皇后にすると言い出す始末。 味方の少ない中ディアナは女神の神託にそって行動を起こすが、それにより事態は思わぬ方向に転がっていく。 誰が敵で誰が味方なのか。 そして白日の下に晒された事実を前に、ディアナの取った行動はーー。 カクヨムコンテスト10 ファンタジー恋愛部門 特別賞受賞。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

婚約破棄上等!私を愛さないあなたなんて要りません

音無砂月
ファンタジー
*幸せは婚約破棄の後にやってくるからタイトル変更 *ジャンルを変更しました。 公爵家長女エマ。15歳の時に母を亡くした。貴族は一年喪に服さないといけない。喪が明けた日、父が愛人と娘を連れてやって来た。新しい母親は平民。一緒に連れて来た子供は一歳違いの妹。名前はマリアナ。 マリアナは可愛く、素直でいい子。すぐに邸に溶け込み、誰もに愛されていた。エマの婚約者であるカールすらも。 誰からも愛され、素直ないい子であるマリアナがエマは気に入らなかった。 家族さえもマリアナを優先する。 マリアナの悪意のない言動がエマの心を深く抉る

処理中です...