君との約束を、僕は後悔する

怜來

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第一章

第一章 10

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「すみません。急に会いたいだなんて」

 家とは違う明るい電気の下で、ソファーに座り頭を下げた。あちこちから漂うご飯の匂いが気になりつつもドリンクだけを頼んで目の前のおじさんと向き合った。

「いやいや、いいんだよ。それで、相談ごとってなんだい?」

 優しい笑顔で僕を見てくれる。それが僕にとっては嬉しかった。

「それが…僕の話じゃなくて友達の話なんですけど…」

「うん」

「友達がネットでAさんという人に会ったんです。その人は自分の話をしっかりと聞いてくれる、本当にいい人なんです。そのAさんに友達はいじめられている、と相談をしたそうなんですよ。そしたらAさんは助けてあげる、といってくれたんです。そして本当にAさんはいじめから助けてくれたそうです。正直嬉しかったんです。けど、その方法があまりにも残酷で…。しかも不思議なことに、Aさんにはいじめてくる奴らの名前を伝えていないのにAさんは知っていたんです。僕の友達怖くなって僕に相談してきてくれたんですけど、僕にも正直どうすればいいのかわからなくて…」

 本当は友達何て一人もいない。自分のことだなんて言えず、嘘をついて話をした。おじさんはしっかりと耳を傾けてくれた。

「そうか…それは困ったもんだな。そのAさんには個人情報を何か伝えたりしたか?」

「いいえ、何も」

「うーん…まずはそのAさんという人が誰なのか突き止めなくちゃな。私が考えた仮説はこうだ。透夜君の友達のことをBさんとしよう。そのAさんはBさんと同じ学校に通う人でいじめられていることを知っていた人。かつ、相談している相手がBさんだということを知っていた人、だな」

「同じ学校でいじめを知っている人…相手が僕だって知っている人…」

 いじめられているのを知っているのはクラスのみんなだろう。けれど僕がアヤメと話しているのを知っている人はいない。考え込んでいるとおじさんは真剣な顔でこちらを見てきた。

「Bさんは他にAさんに何か大事なことを話したりしたか?」

 アヤメとのメールを思い出す。大事なことは特にいってないけれど、宮下が神谷にデレデレなのは言ったはず。

「確か、Bさんには幼馴染がいるんですけどいじめてくる奴がその幼馴染にデレデレだっていうのは伝えたと思います…よ」

 やばい。今まで自分ごとのような口で喋ってしまっていた。バレなきゃいいけれど、と思いおじさんの顔を見るが、特に気にしていない様子だった。

「それじゃあ…Bさんと同じクラスの人の確率が高いな。Bさんをいじめているのを見ていて、しかもBさんの幼馴染にデレデレという現場を見ている。Bさんの幼馴染っていうのを知っている人はいるか?」

「知ってる人…」

 いない。神谷が僕の幼馴染だなんて誰にも言っていない。それじゃあどういうことだ。いや、わからない。神谷が自ら言った可能性もある。けれどそんな様子はなかった。そんなこと言えば宮下はもっと怒るだろう。

 必死になって考えているのが分かったのか、おじさんはコーヒーをごくりと飲み目を瞑りため息をついた。何か言いたそうだ。

「どうしましたか?」

「これはあくまで私の考えということを踏まえて話そう。この世界にはBさんのような体験をしている人はたくさんいる。それなのにAさんは相手がBさんだということに気づいた。きっとAさんは初めてBさんに会った時に何か決定的な証拠を見つけて相手がBさんだということを知ったんじゃないか?そして段々と話すうちにそれは確信へと変わり、Bさんを助けるためにAさんは行動を起こした。そしてAさんの正体は…」
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