社畜の彗星は銀髪の妖精と3つの難題(クエスト)に挑む

木蔦空

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第1章──Captive World──

第5話 キコルを探せ

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「おや、さっきの兄ちゃんじゃないか。どうしたんだい?」

キョトン顔の女店主は尋ねてくる。恐らく僕がまた炙り串を買いに来たとでも思っているのかもしれない。

「あ、いや人探ししてて…」

「おや、それは誰だい?アタシは顔が広いから直ぐに見つかると思うんだけど」

この人なら何かしら知っているかもしれないからキコルは直ぐに見つかると踏んだ。そんな顔が表に出ていたのか、ナツメが横で軽くにらんでくるが気にしない。

「キコルって女の子です。…でも名前しか知らなくて困ってて……」

「キコル…?いやぁそんな子見た事も聞いた事も無いねぇ…」

「そうですか…」

頼みの綱が無くなり落胆らくたんする。元社畜だったとはいえ、面倒事は嫌いなのだ。

「力になれなくてすまないねぇ…」

「いやいやいや!そんな事ないですよ!あ、また炙り串買いに来ますね!」

顔を曇らせた店主をなだめると足早にその場を立ち去る。何か聞こえた気もするが大したことではないだろう。

「ナツメ…流石に手掛かりが名前と性別だけはキツいと思うぞ…」

ふわふわ飛んでいるナツメに愚痴ぐちを零した。

「しょーがないでしょ!ステボは画像表示できないんだから!」

「えっ…それ現代では致命的なんじゃ……」

「これ結構安かったから…」

目を逸らすナツメを睨むと、はぁっと溜息を吐く。

「まぁ、ここで落ち込んでてもしょうがないよな…」

「そうだよ!」

まったく調子の良い奴である。

「なぁ、もしかしたら今日の祭りにそのキコルって子が現れるかもしんないぞ」

「正直に言って!」

「祭りに行かせてくださいぃ!!」

土下座する勢いで欲望を垂れ流した。祭りに行くなんて絶対ダメだと言うだろう。

「いいよ」

「ごめんなさいごめんなさい!……えっ?」

予想していた反応と違い急に声が裏返る。

「いいのか!?それなら早速…」

「その代わり!ちゃーんと目的も果たさないとね?」

暗黒微笑ダークネススマイリングのナツメに穴という穴から汗が止まらない。僕はこんなちっこい妖精の尻に敷かれているのでは無いかと思い始めた。

「…はい……」

最早従うほか黒いナツメを抑える手段はないと悟った。

「そうと決まれば、祭りが始まるまで聞き込みだー!」

勢い良く飛び出して行ったナツメの後を追う。
ティルラ街中を回って聞き込みしたものの、中々手掛かりは掴めず諦めかけていた頃、1人の老人がキコルを知っていると言い出した。

「教えるのは良いが、どうしてキコルを探しとるんだ」

手入れのされていない長くボサボサな白いひげを撫でる老人の問いに、言葉が詰まる。

「そ、それは…」

「何か言えない事情でもあるのか」

正直に話すべきかどうか悩む僕にナツメが助言してくる。

「ここは事実を混ぜながら話した方がいいと思う」

ナツメと目を合わせ頷き、老人にキコルが明日殺されるかもしれないと言う事を話した。

「なるほどな。お前だったのか…」

頭が可笑おかしい奴認定されるのを覚悟していたつもりが、気が付くと僕は老人に両手を握られていた。

「キコルの婿候補ってのは!」

「え、えぇー!?!?」

目をきらめかせる老人に動揺していると間髪入れずに質問攻めにしてくる。違うと否定していても止まない。然し、存在をさっき知ったと言った瞬間突然手を離した。

「ゴホン、キコルは普段名を変えて過ごしているから、てっきり本当の名を知っているお前こそがキコルの婿候補だと思っていたんだがな……アイツは儂の孫娘じゃよ」

驚かざるを得なかった。まさかここに来て有力な手掛かりを見つけるとは思わなかったからだ。

「だが、お前さっき明日キコルが殺されると言ったな?」

急に元の話題に戻った。

「ええ、だから僕はそれを阻止するために探しているんですよ」

「キコルならずっとお前の後ろにいるぞ?」

そう言い老人は僕を指さす。一瞬訳が分からなかったが後ろを向くと白髪ストレートの美少女が立っていた。僕は叫んだ。
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