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【天界編】

【25】No.1を決める捨て子

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 親が主天使に昇格した捨て子。
 スキル名が変態の捨て子。
 唯一無二、全てにおいて異常な捨て子。

 いずれもトリプルS。

 そんな3人にも序列を決める必要があるのだ。
 簡単に言えばリーダー決めである。

 通例のやり方では、天使の序列順でよかった。それは勇者候補の能力に差がなかったからである。

 ただし今回は別だ。
 天使たちも散々悩んだが結論は出なかった。

 そして天使たちは、ある答えを出す。
 親善と詳しい能力の見極めを考え、全員総当たり戦を開くことにした。

 担任のガブリエルは生徒に内容を伝え始める。

『今回はお前達にリーダーを決めてもらおうと思う。
 ただ、お前達に関しては別の方法でリーダーを決めてもらおうと思う。
 ずばり!1対1の総当たり戦だ!

 この総当たり戦で魔力量が1番残っていた者がリーダーだ!』

 ケッツァーが一言呟く。

『…………分かりやすくていい』

『この3人と殺り合えるのも、最初で最後かも。楽しみだ!
 ガブリエル様!いつからですか?』

『今からだ!場所を移すぞ。着いてきなさい』

 天使3人と勇者候補3人は天界闘技場へ移動する。

 それは絶対に壊れない場所。
 それは絶対に魔力が漏れ出さない場所。
 それは最強の勇者を産み出す場所。

 担任のガブリエルが組み合わせについて提案する。

『連続戦闘を免れるのは1人だけだ。
 これは誰にするかくじ引きでいいか?』

 勇者候補のケッツァーから意外な回答が返ってきた。

『そんなもの、クラスで唯一の女性であるフールでいいじゃん』

『俺もその意見に賛成。
 へーケッツァー良いとこあるじゃん』

『ケッツァー、そんな事されるとムラムラしちゃうじゃん……』

『黙れ、歩く生殖鬼』

 軽く咳払いをして場を静めるガブリエル。

『オホン!相変わらず賑やかしいなぁお前たちは。
 ではルールの説明をするぞ。
 ・戦闘時間は1分。
 ・魔法は1回のみの使用制限。
 ・勝敗は降参するか、残った魔力残量で判断する。
 以上。とてもシンプルな内容だ』

『はーい』

『審判は私、ミカエルがしよう。
 早速だが第一試合。
 ケッツァーとフールは闘技場に上がりなさい』

 闘技場へ2人が上ると異様な空気に包まれる。
 結果的な話をするとケッツァーが3秒足らずでフールに勝ってしまう。

 内容を説明すると、戦闘開始の合図でフールがスキルを発動しようとした矢先に、ケッツァーがオーラを100%、魔力干渉を50%まで広げた。その結果フールは恐怖で戦意喪失してしまったのだ。

『ちょ、ちょっとあれ!
 俺、あんなの闘いたくないんですけど!
 ガブリエル様!いいです、いいです!
 リーダーはケッツァーでいいです!』

『う、うん。た、確かにな。次元が違うな、アイツは……ウリエル!よくやった!』

『ありがたき』

『ではトリプルSクラスのリーダーはケッツァーとする!』

『畏まりました』

『ケッツァーよろー』

『任せるぞ。リーダー』

『面倒くせーけど、しゃーねーか』

 ヴィスキはこの時点でフールにも敵わないと思っていた。まぁ色んな意味で。
 そしてフールはこの時点で恋に落ちていたのである。

 主役のケッツァーはというと……
 飽きて寝ていたのだった。
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