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プロローグ2

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幾つもの星が綺麗で空が輝き地上を照らす
誰もが綺麗だと思うような美しさ
すぐ近くにあるようにな感覚に陥る夜空


――という前置きとは全く逆の空
そうであったらいいなと少しでも思った彼女の欲。星など一つも見えず、ましてや月も雲に隠れて見えない残念な空
極めつけは、肌に刺さる冬の風

時刻は02時31分
良い子は寝ている深夜の2時
45階もある高層ビルの屋上のフェンスの先に座るストレートの黒髪を持った美しい彼女
そして後ろに立っているのは彼女の執事

「ようやくですね」

『そうね、もうずっと待ち望んでいたもの』

「〇〇様がよいのでしたら、私めは何も言いませぬ」

『ありがとう爺や。』

一歩進めば直ぐに落ち、彼女の命は果てるだろう。ぐちゃりという効果音が付きそうな程粉々に、跡形もなく

『楽しかったことも勿論あった、でもそれ以上のことが多すぎた。』

今までのことを振り返る彼女の意思は固く簡単に崩せないのを長年使えている爺やは悟り、本当に最後なのだと左目から一粒の涙を流す

『爺や、後のことは頼むわね』



もし生まれ変われるのならば、強く幸せに生きたい



そう願いながら彼女は暗闇の中に消えていった

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2024年1月3日
一ノ瀬財閥令嬢〇〇様 【自殺】



[完]
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