乙女ゲームの世界に転生したけど、そもそもそのゲーム知りません!

あわわ

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幼少期編

6 積み木は結構です

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僕たちは別に仲が悪いわけじゃない。兄と姉は常に僕の部屋にいるし。今までは僕を眺めているだけだったけど、座れるようになってからは絵本を読んだり遊んだりしてくれてる。

「リラン!次はこれで遊びましょうよ!」

姉は相変わらずうるさい。姉が手にしているのは積み木だ。普通なら喜んですると思う。体につられて精神も赤ん坊だから。でも、積み木は嫌い。

「やっ!」

「えー、なんで?ねぇ、いいでしょ?やろうよー」

「ややっ!」

「嫌よ!次はこれで遊ぶの!決まり」

「やーあ!」

姉も3歳児でやりたい事はやりたい時期でお互いに引かない。僕は赤ん坊のせいで涙腺がまだ緩い。徐々に涙がたまっていく。

「ルビー、リランが嫌がってる。弟を泣かす気?」

「でも、私はこれで遊びたいの!」

「リランと一緒じゃなくてもできるだろ?1人で遊びなよ」

「何言ってるの?ナードもやるのよ」

「リラン、絵本読んであげる」

兄は姉を無視し僕を膝の上に乗せる。兄も積み木で遊びたくないのだ。なぜか?それは簡単。姉のこだわりがすごいからだ。研究者肌というかただ積み木を積んで遊ぶだけなのに置く場所が数ミリずれてるとか測りを使って1つ置くのに軽く1時間はかかる。姉は楽しいのだろうけど、僕たちはつまらないからやりたくないってわけ。

「絵本はあと!今は積み木で遊ぶの!!」

姉の目にも涙がたまってる。兄は胸ポケットから表裏に違う絵が描かれたコインを出す。これは運命のコインって名前で意見が分かれたときに使うもの。コイントスと同じ。

「どっちにする?」

「裏!」

兄がコインを投げキャッチする。結果は表。兄は百発百中で自分の意見を通す。【鷹の目】を使ってコインがどの面で落ちるか確認すると自分の面が出るようにキャッチしているんだ。

「嫌よ!積み木するの!」

姉がまた騒がしくなる。兄はコインの面を見せて

「僕たちは絵本読んでる。やりたいならルビーだけで積み木したら?」

うぐぐっと口を噛む姉。1人で夜中変なことをしているのに1人が嫌いなのだ。1人で平気なのは【ゾンビ】のおかげなのかもしれない。積み木を放り投げ兄の横に腰を落とす。

「早く読んでよ!」

「はいはい。『愛された王妃様』」

そう言って絵本を読んでくれた。内容は男爵令嬢だった女の子が王子様に見初められ良き王妃となるお話。困難に立ち向かう強さと人を気遣える優しさを教えてくれる絵本だ。この話はあまり好きじゃない。絵本の中に出てくる悪役令嬢や令息は言葉はキツイけど常識的な発言をしているのに悪と決めつけられている。そんな気がするから。

「あー、あーうー」

王妃様になる女の子の絵をペシペシと叩く。

「ん?リランはこの子が嫌いなの?」

「うーー」

「あら、リランもなの?私たちもよ」

兄と姉もこの話は好きじゃないらしい。なぜこの絵本を読み聞かせようとしたんだ?と頭に “?” が付いているのに気づいた兄が教えてくれた。

「リランにもね、偏見でいい人を悪い人だと決めつけて欲しくないからだよ。わかってるみたいだしこんな胸糞の悪い絵本じゃなくてあっちの絵本にしようか」

そういうと部屋の隅で気配を消していたウィチタが『優しき魔人たち』という絵本を持ってきてくれた。これは出版されている絵本ではなく母が話を作って使用人たちに作ってもらったものらしい。

「ありがとう、ウィチタ」

「私もそれがいい。ウィチタありがとう」

「あうー!」

この話は世間で悪だとされている魔人や魔物達が大切な故郷を守るために仕方なく人と戦う話。魔人が正で人が悪ってわけではなく、人も魔人も同じでいい人も悪い人もいろんな人がいるってことがわかる絵本だ。これが世の中に広まればいいのにと思う。でもこれが広まると宗教的によろしくないらしい。複雑な世界だと思う。前世がまだ良かった方なのかもしれないけど。出版されている絵本は “神様はすごい” とか “主人公が正で邪魔する人が悪” とか美化されてる話とかそう言ったものが多い。そう言った絵本は家で新品のように綺麗に保管されてる。逆に母と使用人たちが作った絵本は何度も読んでボロボロになってしまい、また新しく作ってもらうというのを繰り返している。母が考える話は子供には少しわかりにくくて難しい話が多いけど、こんな考え方をしてほしいって想いが伝わってくる。

「ました。おしまい」

兄は読み聞かせが上手。兄が絵本を読み終わると同時にウィチタがお菓子とジュースを運んできた。いつの間にか母も僕の部屋に来ていてソファーに座りながらにこにこしてた。

「お菓子!」

真っ先に気づいて姉がソファーの方へと走っていく。兄もソファーに座り僕はソファー横のベビーチェアに座らせてもらう。この後姉が馬鹿喰いして兄に怒られるのがいつもの流れ。

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