乙女ゲームの世界に転生したけど、そもそもそのゲーム知りません!

あわわ

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幼少期編

28 事件の匂い

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ブレイディが居なくなったから景色を見ながら戻ってくるのを待つ。しばらくすると何か争うような声が路地裏の方から聞こえてきた。

「ごめんごめん。おまたせ。ん?どうかしたの?」

「ここって奴隷、いる?」

「え?居ないよ。お父様の代から取り締まるようになったから」

「人身売買は?」

「それも取り締まってる。奴隷も人身売買も今やったら王都の騎士団に捕まるよ?」

「だよね」

「どうしたの?」

路地裏をじーっと見ていると1人の薄汚れた男の子を大人数人が取り囲んで暴力を振るってるってことに気がついた。側にいたウィチタも僕の視線を追って気づいたようで顔が険しい。

「ここって盗賊団ある?」

「んー?どうなんだろう。最近のことはよくわかんない」

「暴力沙汰になったらどうするの?」

「どちらに非があるかは調べてたと思うよ?」

「そっか」

ウィチタの方をちらっと見てから声がする方に走る。後ろからブレイディが何か叫んでいたけどよく聞こえなかった。少し時間が経ってしまってさっきより遠くなってしまった。角を1つ曲がったところでウィチタが先に走って行く。これでもう安心かな。デルヴィーニュ家の使用人達は殆どが平民で、全員に徹底した戦闘スキルを持たせている。ウィチタも乳母を任されているから、かなりの実力者だ。
しばらく走っていると争う声が聞こえてうめき声とともに静かになった。そこへ行くと路地の行き止まりの奥に男の子。男が5人のびていて手前にウィチタが居た。

「終わった?」

「はい」

「ありがとう、ウィチタ。この人たちどうしよう?運べる?」

後ろを振り返ってついてきていた護衛の2人に声をかける。

「この数なら問題ありません」

「わかった。じゃあ縛って馬車にでも詰め込んで置いて。あ、街の人に気づかれないようにお願い」

「承知いたしました」

護衛が男達を縛っている間に怯えている少年に声をかける。緑がかった黒髪に緑の瞳。この子もかっこいい系の美少年だ。綺麗にしたら。

「事情、話せる?」

少年は僕より少し上くらいかな?僕を見たまま口をポカーンと開けて固まってしまっている。

「大丈夫?怪我してるよね、ウィチタ手当お願い」

「はい」

苦笑気味に返事をして少年の前にしゃがみ込んで2、3言話すと少年が頷いてウィチタに抱っこされた。
広場に戻ると走ってきた路地の入り口にブレイディが仁王立ちで立っていた。腕を組んで威圧しているんだろうけど、頬がプクッと膨らませていてかなり可愛い仕上がりになっている。

「リラン、どういう事?」

「事情は後で聞こう。兄様に牛の蒲串を10本買ってきて。僕たちは先に帰ってるから」

「承りました」

護衛の1人が僕からお金を受け取って走って行ったのを見送ってから馬車で屋敷に戻ってきた。
まだまだ議論が白熱している様子だったので先に少年の手当てをすることにした。
お風呂に入れて、のびた髪を綺麗に切り揃え、怪我をした部分を手当てして、ブレイディの部屋でお茶をいただいたところで少年から事情を聞いた。
少年の名前はブラント・エリソン。歳は僕の2個上の6歳。元は違う領地に住んでいた男爵令息だったけど、両親が貴族のとばっちりで殺され、このままではブラントも殺されるということで街の人たちの支援を受けて命からがら逃げ出してきたのだと。しかし、街を出てすぐに盗賊団に出会ってしまい逃げ隠れしながらここまで来たが、等々路地裏に追い詰められてしまった時にウィチタが助けに入ったって事らしい。

「ありがとう。話してくれて。後は任せて」

こんな小さい身体で複数の大人から逃げてきたんだ。なんか、いたたまれなくなってぎゅっと抱きしめた。不安な時、怖かった時こうしてもらうと安心できたから。初めはビックリして固まっていたブラントだったけど、緊張の糸がほどけたように泣き叫んだ。しばらくすると泣き疲れたようで眠りについた。
寝ていても亡くなった両親を呼びながらうなされていた。とばっちりで殺した貴族も盗賊団も許せそうにない。それは他のみんなも同じらしく目に怒りの炎を揺らしてる。その後、僕らはブラントのことを報告しに行った。

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