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幼少期編
43 父を待ちます(下)
しおりを挟む「…秘密にしててね?」
「あ、はい。それはもちろんでございます」
もうバレちゃったし、ウィチタに事の経緯を説明して使用人用の部屋で待機してもらうことにした。
「おいらの事バレちゃ駄目なのか?」
(しゅんとしてる、!可愛い…)
「うん。僕たち人はね、ドラゴンは存在しない生き物だと思ってるんだ。だから、もしドラゴンがいるってみんなにバレたら大変なことになるんだよ」
「大変なことってなんだぞ?」
「ドラゴンの牙とか爪とかがほしくてドラゴンを倒そうとする人とか、ドラゴンの体の中を知りたくて誰かに倒してきてもらったりする人が出てくると思う」
「おいら達、何も悪い事してないのに殺されちゃうのか?」
「…うん」
「なんでそんなひどい事するんだぞ?」
「人間はお金が好きだからね。お金のためになんでもする人がいるんだよ。あ、でも悪い人ばかりじゃないよ?守ろうとしてくれる人もいるはずだから」
「リランみたいに?」
「そ、うだね…うん。トトのことはちゃんと守る!」
「へへっ、ありがとうだぞ」
目をキラキラさせて見つめてくるトトに対して改めて守ろうと思う。
そうこうしてるうちに兄と姉が父と一緒に帰ってきた。トトにはまた影の中に入ってもらって、母と一緒に出迎えた。
「おかえりなさい。旦那様、ナード、ルビー」
「おかえりなさい!」
「ああ、ただいま。カロン、リラン」
僕たちに目を向けそう言うと母と部屋に戻っていった。また花を飛ばしながら話してる。
「あま~~い」
砂を吐くみたいに口を開けながら姉が言った。兄は苦笑気味で姉にしっと人差し指を口に当てている。その仕草可愛い過ぎではありません?
「おかえりなさい。兄様、姉様」
「うん。ただいま、リラン」
「ただいま!私がいなくて寂しかったでしょ~」
僕に目線を合わせて挨拶してくれる兄と姉。姉にはとびっきりの笑顔を向けてみた。そしたら
「もー、リランが冷たーい!」
って膨れながら侍女に引っ張られていった。最近なんか姉を弄りたくなるんだよね。悪戯もしたくなるから抑えるの大変大変。
「あまりいじめちゃ駄目だよ?」
僕の思考を読み取ったように笑いながら兄が言った。んー、蕩けそうなくらい優しい笑顔。僕寂しかったんだなって。ぎゅーっと兄に抱きついて安心する。いい匂いで兄の服に顔を擦り付ける。
「やっぱり寂しかったんだね。…(パーティー行くのやめよう)」
兄が最後なんて言ったかわからなくて顔を上げた。こんなに密着してるのに聞こえなかったから空耳かも?と首を傾げてると兄がヒョイっと僕を抱き上げて兄の部屋に連れて行ってくれた。
それから兄が着替えて、話をしながら食堂に向かった。
今日の夕食はシーフードのパエリアと鳥のグリル焼き、サラダ、コーンスープ。デザートはブリュレしたプリンだった。ほろ苦くて美味しかった!
ご飯が終わって父の私室に来るように言われた。はぁ、いよいよか……まあ、父と兄のことだから悪いようにはならないってわかってる。心配してた姉は母からお話があるようで盗み聞きされる事はなさそう。よかった!
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