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第一章 はじまり
7話 名付けをしたらキラキラでした
しおりを挟む木の精は錯覚などではなく、本当に輝いていた。
「えっ!? なんか輝いているけどー!!」
私は少し叫んでしまうほどに驚いた。
「何か力が湧き上がってきます!!」
キラキラと輝く木の精は自分が光っていることなど気にせずにワクワクしている様子だった。
「えっ、えっ!? この状況どうすればいいのーーーー!!!!」
私の声が森に響き渡った瞬間だった。
◆◆◆
――数分後。
やっと光が収まり落ち着きを取り戻した。心なしか疲れた……。
「なんかこの世界に来て早々に疲れたわ……」
人は予想外のことに出会うと疲れるものである。私はそっと心の中でため息を吐く。
私とは対照的に木の精、エメはツヤツヤで元気に溢れている。
「いや~、私も驚きましたけどそれよりも力が漲っちゃって嬉しさの方が強かったです!!」
フンスーと鼻息が聞こえてきそうな程にエメはテンションが上がっている。
「アマネ様、私に名前を付けてくださってありがとうございます!! とっても気に入りました!!」
エメに満面の笑みでそう言われて良かったとほっとする。それにこんなに喜んでもらえるとは思わずこっちまで嬉しくなってくる。
「そんなに喜んでもらえてよかったよ」
エメの笑みにつられて私も笑顔になった。
「ええ、私の本体もキラキラ輝いています!」
「あはは……、そうだね……」
エマの本体だという樹も何故か名を付けてからずっとキラキラと輝いているのだ。
私はその現実からは目を背けていた……。今度は苦笑いになる。
私自身、もうこの世界に来て早々の出来事だけにどう対処していいかも分からない。
だからとりあえずスルーすることにした。
「そのキラキラは悪いものではないよね?」
悪い感じは私も感じている訳ではないのだけど、やっぱり何か悪影響なものだとすれば後味が悪い気がするし……。
「ええ、全く問題ありません! 大丈夫です!!」
またしても満面の笑みで答えてくれたエメ。
その様子に私は安心してスルーを決める。
「ならオッケー。 それはそうとここは聖域の森の何処らへんになるの?」
ずっと思っていたこと。名前騒動で聞きそびれたこと。
「そうです!! 私ども木の精は使徒様、アマネ様が降臨して私どもに問いかけたらアリーシア様のところへご案内することになっていたんです!」
「アリーシア様って?」
先程から出てくるアリーシア様。一体何者なのか?と私は疑問に思う。
「アリーシア様は世界樹と呼ばれる存在です」
「へぇ~、世界樹もあるんだね~」
きた! ファンタジー要素!!
私は密かにテンションが上がる。
「それではアリーシア様のところへご案内しますね!」
「ありがとう」
だけど、私はふと思った。
「ねえ、エメ」
「はい、なんですか? アマネ様」
「貴方この樹から離れても大丈夫なの?」
先程聞いたエメの本体であるこの樹から離れても大丈夫なのかと疑問に思ったのだ。
「大丈夫ですよ! 私は木の精の中でも上位の存在ですから!」
エメは胸を張って答えた。
「そうなんだね。 なら安心したよ」
私は改めてエメの本体である樹を見た。
これだけの御神木みたいな樹なら上位の存在と言われて納得するね……。
私はしみじみ思った。
「とりあえずアリーシア様のところへ向かわないと! 私ども木の精のことについてはアマネ様がご興味があれば後程説明しますね!!」
そしてエメはスタスタと歩き始めた。
私もエメの後をついて行く。
それにしても壮大な樹々たち。この樹ひとつひとつがエメみたいな木の精なのだろうか? だとしたら結構木の精って沢山いるんだなー。うん? そしたらエメが登場したところで他の木の精も出てきてもいいよね? うーん……偶々私が抱きついた樹が特別でエメと出会ったのかな? それとも出てこない理由があるのかな……?
私は考え事をしながらもエメを見失わないように後を歩き続ける。
それとこの聖域の森にはあとどんな存在がいるのか把握しないとね。
守るべき者と守るべきではない者を確認しなくては……。
一瞬自分の考えた事に対してあれ?と思った。
だがまあ良いかと気づかなかったことに私はした……。
――今のところまだエメ以外の存在とは出会ってない。不思議なくらい静か……。だけど、怖いとか気持ち悪いという雰囲気ではない。むしろ居心地が良いくらい。まだこの世界に来て数時間くらいなのにこんな感情は少し変かもしれないけど故郷の田舎に帰ってきたみたいな感じ。ここにずっといれば健康になれるわ……。
すると前を歩いていたエメが振り返り笑みを浮かべながら私に言う。
「アマネ様! もうすぐ着きますよ!」
「分かった」
エメは私の返事を聞くと再び前を向いた。
すると微かに水の音が聞こえてきた。
今向かっている場所は水のある所なのね。滝でもあるのかな?
そう思っていると徐々に水の音は大きくなっていく。
すると、沢山の間からチラチラと湖のような綺麗な水色が見えてくる。それに建物らしきものもチラッと見えた。
早く見たいような早る気持ちを抑え、エメを追い越さないようにする。
ワクワクという気持ちが溢れ出てくる。
――そして、ついに……。
視界が開けた。
目の前に広がっている光景に私は言葉も出なかった……。
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