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第二章 エウクラトア聖王国
14話 エウクラトア聖王国について②
しおりを挟むさて、次は今現在エウクラトア聖王国で権力を握っている人物を聞いていく。
「マーエル、今この国で権力がある人達は主に誰?」
「この国のトップである教皇、それから四大公爵家、教皇の子である皇子、枢機卿の4人ですね……」
それから、マーエルはそれぞれの名前も教えてくれた。
教皇――フランソワ・エウクラトア
皇子――パーシヴァル・エウクラトア
四大公爵家当主達。
ジルベルト・マーエル・リュミエール
デイヴィッド・アーデン
デクスター・バルフォア
ブランデン・クロスウェル
枢機卿。
エルズワース・ギボンズ
アンダース・オークス
カーター・モルガン
フレディ・コネリー
――以上がこの国の権力者。
まさかリュミエール公爵家がそんなに権力を持っているとは思わなかったよ。公爵家だから高貴な位だとは思っていたけどガッツリ権力があるお家だったのね。
ちなみにここでリュミエール公爵家の家族構成。
マーエルが現当主、マーエルの奥様であるナレスが公爵夫人。イエルがその息子でイーセスが奥さん。イエルとイーセスの子供がギエルとラネスという構成。
嫁いできた奥様は精霊の血を引かないのでは?という疑問にはリュミエール公爵家へ嫁いでくると精霊が力を与えてくれ、精霊の力を使うことができるということにしているそう……。
まあ、リュミエール公爵家へ嫁いでくるのは本物の精霊なのでバレないということ。権力があるからこそできることだよね……!
私がリュミエール公爵家のことを考えているとイエルが言う。
「今現段階で教皇側についている者はアーデン公爵家、バルフォア公爵家、枢機卿の四人です」
「ほとんどじゃん!」
リュミエール公爵家とクロスウェル公爵家だけじゃん!……まてよ、皇子は?
「待って、皇子は父親である教皇側についてないの?」
イエル達は少し困ったような顔になった。そして、イーセスが答えた。
「それがよく分からないのです……」
「よく分からない??」
「ええ。 父である教皇に従順のようでそうではないような気もするのです……」
イーセスが言うには皇子は教皇の言う通りにはしているが気持ちが葛藤しているように見えるようだ。父である教皇の在り方について疑問に思っている、けど行動にはうつせてないということみたい。
「皇子は教皇に反発する勇気が今はない。 気持ちを押し殺して従っているように私は見えた。 だけど、何かのきっかけがあれば動くかもしれない」
マーエルもそう付け加えた。
「皇子は完全に教皇側ではないと言うことね……。 だけど、まだそう確信が持てないといったところかな?」
私の言葉に頷くマーエル達。
「それから、クロスウェル公爵家については真っ向から教皇に対立しています。 クロスウェル公爵家は正しく歴史を継承してきた唯一の家です」
「おぉ! そんな立派な家もあるんだね~!」
私は感心した。だって人の歴史でちゃんと正しく伝えることは難しい。何処かで絶対に自分達の都合よく改ざんすることの方が多い。それをずっと正しく継承してるなんて……凄いの一言だ。
「だから、クロスウェル公爵家の一族は教皇が神に選ばれし者だとは絶対ないと思っています。 そして、神の子孫であると教皇が言った時もなんという戯言かと言ってしまう程です」
「すごっ……。 だけど、周りは言ってしまえば敵だらけなのによく権力を維持できてるね?」
これ程までズバッと言ってしまっては権力を取り上げられそうだけどな……。
「それがクロスウェルの凄いところなんですよ、アマネ様!」
「??」
クロスウェルは大貴族でありながら大商会を経営している一族。言うなればエウクラトア聖王国の経済を握っているともいえる一族なのだそうだ!
他国とも交流があるクロスウェル家。もし、この国の地位がなくとも一度国を出ると分かれば他国から引く手数多の優秀な一族。
そして、もう一つの理由としては四大公爵家は建国時からからある由緒正しきお家。教皇とて簡単に潰すことは出来ないし、何より歴代の教皇よりクロスウェル家の方が一枚上手らしい。
もう、クロスウェル家が教皇になれば良いんじゃね?とか思ってしまった私。
だけど、クロスウェル家の一族はこの位の地位が一番やりやすいと教皇の地位には全く興味が無いらしい。
「さらに権力を欲しがる者が教皇に擦り寄っているということでしょうね。 一番教皇に向いている人間がその地位に興味がないのですもの。 もちろん、わたくし達リュミエール家も教皇など興味もありませんしね。 この国を監視することが目的ですから、中立の立場を保っていますわ」
イーセスが残念だわ~というような感じで言う。
「クロスウェル家は教皇に反発するけど、教皇の地位には興味がないと示しているのも、まだ教皇側が馬鹿な行動に出ない理由の一つでもあるでしょうね」
イエルがそう言う。
「そういえば、教皇って世襲制なの?」
なんか教皇って教会の中のお偉いさんの中から誰が一番相応しいか、とかで決まるイメージがあるからさ。
私の問いに答えてくれたのはマーエル。
「そうです。 教皇や公爵家の者達は建国時に英雄となった信徒の血筋です。 当時はその尊い血を繋いでいくということで世襲制になったのです。 まあ、何百年も経った現在では血は薄れていますがね……」
ちゃんと正しくその地位に在ったのは最初の方だけだったのだろう……。
昨今はそうではないとずっと見てきたマーエルが嫌みそうに血は薄れているというのだから……。
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