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第二章 エウクラトア聖王国

18話 聖都エウリディン

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 女子会をした次の日、公爵家の豪華な馬車に乗り、私達は聖都エウリディンへと向かった。

 聖都エウリディンまでの距離は馬車で一週間。結構遠いなと思った。前世なら馬車より遥かに早い車とか、電車や新幹線、それに飛行機があるからすぐに着くだろうけどまだそんな技術無いからな……この世界。

 それにきっとルフスとリドに乗って移動した方が早く着くと思うの。

 まあ、人の目があるからそんなことは出来ないけどね今は。

 ――そんなことを思ったけど一週間の馬車旅をそれなりに楽しんだ。

 あっという間に聖都に着いた私達。マーエルの養女になったことですんなりと聖都エウリディンに入れた。

 聖都エウリディンは中世ヨーロッパの様な街並み。だけど、白い建物が多い。聖王国って名乗っているからかな?と言う。

 今馬車で通っている場所はぱっと見治安が良さそうにも見えるけど、聖都全体を見ている訳ではないのでなんとも言えない。

 それにしても改めて地球とは違う街並みや人々を見ると『ああ、違う世界に来たんだな~』としみじみ思った。

 そして、聖都のリュミエール邸へと馬車は着いた。

「ふぅ……、 長旅お疲れ様でした」

 イエルが私に言った。イエルも馬車での移動が苦手なのか疲労が見える。

「お疲れ様」

「やっと聖都の屋敷へと着きましたわ!」

 イーセスも着いたー!!と言わんばかりに馬車移動から解放されている。

「今日はもうゆっくり過ごしましょうね」

 ナレスが穏やかに微笑みながら言う。そしてマーエルと一緒に夫婦の部屋へと向かった。

 相変わらずラブラブな夫婦だ。

 私も私に与えられた部屋へとルフスとリド、マリンにシストと向かった。

 ナディアに案内され部屋へと入る。

「アマネ様、こちらがアマネ様のお部屋でございます」

「うわぁ~、素敵なお部屋!」

 白と水色を基調とした可愛らしいお部屋。ちゃんと日当たりも良好で最高だ。

「こんな素敵なお部屋、私が使ってもいいの?」

「このお部屋はアマネ様が使う為に旦那様や奥様がお作りなられたお部屋です。 むしろアマネ様がお使いになられなければ皆様が悲しみますよ」

 ナディアはニッコリと笑いながら言った。

「それなら遠慮なく使わせてもらうね!」

 とりあえず、馬車での移動に私も疲れたのでソファーに座った。

 ルフスとリドは護衛として私の側にいるので立っている。マリンは私の側に来て私を癒してくれている。

 マリンは水の上級精霊なので、癒しの魔法が使える。回復魔法とは違い癒しの魔法はマッサージされている様でもある。

 小さいマリンが一生懸命に疲れた私を癒してくれた。

「マリンありがとう! 疲れた体が軽くなったよ!」

「アマネ様に喜んでもらえてマリンも嬉しいです!」

 可愛らしいマリンに私は心までも癒された。

 あれ?シストが見当たらないなと思って周りを見たら、シストは部屋の中を興味津々で探検していた。

「あたらしいおやへなの! あんぜんかどうかしらべるの!」

 はっ!!!!ここにも可愛らしい子がいた!!

 テクテクとシストは部屋の隅々まで見て回っていた。そして、全て確認してくると私のところへと一目散に向かって来た。

「アマネさま! ここはあんぜんなの! だからあんしんしていいよ!」

「シストありがとう!!」

 リュミエール邸で危険な場所は無いとは思うけど、この小さな精霊は私の為に確認してくれたのだろうと思うと大変嬉しい。

 ちょっとだけマーエル達を信頼していないみたいに思われるかもしれないけど、そこはまだ精霊の赤ちゃんであるシストだから微笑んでくれることだろうと思う。

 あと、危険があったら私も気づくし、ルフスとリドも反応するけどね。微笑ましいシストの行動でした。

「さて、これからのことを考えますか……」

 まずはどこから見に行こうかなと考える。

 ここはやっぱり本命の教皇から?それとも教会へと行ってみる?やっぱり枢機卿とかいう人達からかなー?

 どこら行こうか本当悩む。どうしましょう……。

 私が悩んでいると何処からか入って来たのか小鳥が目に入る。

「あれ? この子、何処から入って来たの?」

 換気の為に開けていたのか、開いていた窓から入って来た様だった。

 ふらふらと弱々しく飛んでいる小鳥。だけど、私のところへと向かって飛んで来ているのが分かる。

 私は疑問に思いながらも、悪い感じはしなかったので小鳥に向かって手を伸ばした。

 すると、小鳥は両手で作った私の手の平に止まった。

 力なく弱々しくて、心配になる。ぱっと見、外傷はない様に見えるけど……。

 一体この子はどうしたのだろうか……?

 するとリドが驚きながらこう言った。

「アマネ様! この子、光の下級精霊ですよ!!」

「えっ!?」

 どうして光の下級精霊がここにいるの!?しかも弱った状態で……。

「とりあえず、回復魔法を……」

 私の魔法は特別仕様だからきっと精霊にも効くはず。

 小鳥を回復させる様にイメージし、魔法をかける。しかし、あまり回復した様には見えなかった……。

「どうして回復魔法が効かないの……?」

「アマネ様、ただ単に元気が無いのでは無く、他に原因があるのでは……?」

 ルフスはそう言った。

 他の原因か……。精霊自体の何かの力足りないのかな……?

 ああ、アリーシアに聞きたい!!

 でも、小鳥の状態を見るとそんな猶予は無い様に見える……。

 それなら……。

「ナディア、今から少しの間この部屋には私のことを知っている人達しか近づけないでくれる?」

「かしこまりました」

 ナディアは私の言葉を理解すると一礼をしてから、部屋の外へと出ていった。

 私は外部の人たちが他に誰もいないことを確認すると、まずは結界を張った……。


 

 
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