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第二章 エウクラトア聖王国
51話 偵察①
しおりを挟むまずは私の精霊達と合流する。私の精霊には教会で潜入した時の様に存在感を薄くする魔法をかけて城へと来てもらっている。
ちなみに私が魔法をかけたから存在感を薄くしていても精霊達が何処にいるかはすぐに分かる。
といっても私の精霊達はリュミエール公爵家に与えられた控え室にいるけどね。
「まずは私の精霊達と合流する為にリュミエール公爵家の控え室に行くね!」
「アマネ様の精霊様もいらしていたのですね」
「お留守番と言ってもきっとついてきちゃうだろうし、なにより私が精霊達のことを信頼しているからね! 側に居てくれるだけで安心するの」
私がそう言うとレイナードは優しく微笑む。
「アマネ様のおっしゃる通りですね。 私も精霊達が居てくれるだけで心強いですから」
「そうだよね!」
なんかレイナードは私の正体に薄々気づいていると思うんだよね~。まあ、私が本来の姿を見せちゃったからっていうのもあるけどさ。
だって私の側に人型の精霊がいることに驚いてないし、それに私が使う魔法についてもつっこんでこないし……。
でもまあ、レイナードに神の使徒だと気づかれても大丈夫か!精霊が懐いているくらいだしね!
それからレイナードと話しながら歩いてリュミエール公爵家の控え室に着いた。
リュミエール公爵家の控え室にささっと入るとみんなの魔法を一度解いた。
「みんな戻ってきたよ~」
私の言葉に反応する精霊達。
「アマネ様おかえりなさいませ!」
「おかえり~、アマネさま」
マリンとシストが嬉しそうに迎えてくれた。
「アマネ様ご無事で何よりです」
「アマネ様変な輩に何もされませんでした?」
ルフスとリドは教皇達に絡まれることを危惧していた様子……。
「大丈夫だよ! そんなに柔じゃないって!」
ルフスとリドの過保護ぶりは変わらず。そんな二人に笑いつつ私は精霊達に言う。
「さて、みんな偵察に行くよ!」
私の言葉に浮き足立つ精霊達。
「やっと馬鹿な奴らの顔を拝めるのですね!」
「神の使徒を偽ったことを後悔すればいい!」
「少しお仕置きしてもいいですか!?」
「やった~、ぼく、たくさんあそぶね~♪」
ちょっと待って。なんかみんなで偵察に行くって言ったのにお仕置きする前提になっていない?
「まだ、お仕置きはしないよ! 今は観察するだけ! もし、じっとしていられないのならここに置いて行くよ!」
私からそう言われて精霊は渋々お仕置きは我慢してすると約束してくれた。
「置いていかれるのは嫌です……」
「我慢いたします……」
「マリンも大人しくしています……」
「え~、あそんじゃダメなの……」
私の精霊達の様子にレイナードも苦笑いしている。
「さて、こうしている時間がもったいない。 また魔法をかけるからね!」
そう言って今度は私とレイナードも含めて存在感を薄くする魔法をかけた。それから、重ねがけで認識阻害の魔法もかけた。
これで、万が一声を出してしまって存在がバレたとしても私とレイナードだということは認識出来ないだろう。
だけど、私の魔法は強いから声を出したとしても姿を見られる人はいないだろうと思うけどね!
万が一を考えてってことで魔法の重ねがけをした。
それから、テレパシーチャットも一応確認。
(みんな~、聞こえる?)
(聞こえます!)
(良好です!)
(大丈夫です!)
(きこえるの~!)
「……」
精霊達がテレパシーで答える中、レイナードは固まっていた。
私はテレパシーでレイナードを呼ぶ。
(レイナード?)
私の呼びかけにレイナードはハッと私の方へと見る。
「アマネ様……、これは一体? 頭の中でアマネ様の声が聞こえる……」
レイナードはテレパシー初めてだった。説明するの忘れていた!
「レイナード、これはテレパシーと言って声に出さなくても会話ができる魔法だよ。 だから、心の中で私に話しかけてみて?」
レイナードは私の言う通りにしてくれた。
(ア、アマネ様?)
(はーい! レイナードもテレパシー大丈夫だね!)
テレパシーが正常にかかっている事を確認したとろで……。
(さぁ! 観察対象のところへ)
((((出発~!!!!))))
私はテンション高めな精霊達とちょっと混乱しているレイナードと共に再びパーティー会場へと戻った。
私達は堂々とパーティー会場へと戻る。出てくる時とは違い誰からも注目される事なくすんなりと入った。
(アマネ様、凄いですね……。本当に僕らが見えていないのかちっとも誰とも視線が合いません)
この状況に慣れてきたレイナード。だけど、一人称が『私』から『僕』に変わったところをみると、まだ冷静ではないのだろうと思う。
冷静ではないけど、ちょっと楽しそうなレイナード。そんなレイナードが少し可愛らしく思える。
私はクスリと笑った。
(お目当ての人達はどこかな~?)
(あっ! アマネ様あちらではないでしょうか?)
リドがお目当ての人物を見つけてくれた。
リドが言う方へと視線を向けるとそこにいたのは教皇と枢機卿、バルフォア公爵がいた。
偽者さんと皇子は……、ダンスを踊っているね……。
相変わらず死んだような表情をしている皇子様だね。対して偽者さんは満足そうに笑っているけど……。
あんな表情な皇子なのに気にならないのか?偽者さんよ……。
ダンスしている二人は後回しで何やら会話しているであろう教皇達へと近づいて行った。
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