つがいの薔薇 オメガは傲慢伯爵の溺愛に濡れる

沖田弥子

文字の大きさ
43 / 112

耽溺の別荘 13

しおりを挟む
「ああ。想像したとおり、素晴らしく綺麗な体だ。こんなに痕を付けられて可哀想に」

 トキの乾いた手のひらが、露わになった胸を這う。素肌には晃久の付けた所有の証が、いくつも付けられている。
 感触を確かめるようにじっくりと鎖骨をなぞられ、平らな胸や腹を幾度も往復して撫で擦られる。
 嫌なのに、男の手のひらに触れられて、澪の体の芯がじわりと疼く。

「でも汚したくなる若旦那様の気持ちも同じ男としてよく分かります。そんなにいやいや言われたら、なおさら」
「んっ、もう……はなして……」

 ぢゅっ、と音を立てて乳首を吸い上げられる。突然体を走った強烈な快感に、澪は背を撓らせた。

「ひっ、ああっ、やぁ」

 胸を反らせば、もっととせがんでいるように突起は突き出される。
 きつく吸われて、甘噛みされる。無理やりに快楽を与えられ、澪の眦に涙が浮かぶ。

「可愛い声だ。もっと聞かせてください」

 愛撫は執拗に続けられた。腫れるほど両方の突起を弄られて、じんとした痛みを覚える。
 それなのに下腹は疼き、花芯はスラックスの下で頭を擡げていた。
 トキは胸を愛撫しながら澪のスラックスを下着ごと押し下げた。隠されていた欲望が露わにされる。

「あっ」
「こちらも吸ってあげます」

 体をずらしたトキは蜜を零している花芯を躊躇いもなく口に含む。じゅ、とわざと音を立てながら蜜を吸い上げて、上目で澪の痴態を眺めていた。

「やっ、やだ、いや、吸わないで……!」

 押さえつけられていた両腕が解放されたので、澪は滅茶苦茶にトキの肩や背を叩いた。トキは一旦花芯から唇を離す。
 聞き入れてくれたのだろうか。澪はほんの少し安堵して、足の間に体を割り入れたトキを縋るような目で見た。

「澪様。痛いです」
「あっ……ごめんなさい」

 叩いたりしてはいけなかった。
 素直に謝り、手を引いた澪の肩を大きな手のひらが強い力で押し倒していく。

「いけない子は寝ていましょうね」
「えっ……」

 作業台に仰向けになり、膝裏を抱え上げられる。そうされると体を起こせないので自由が利かなくなる。澪の動きを封じたトキは再び花芯にしゃぶりついた。

「ひぁっ、あぁっ、い、いや……」

 舌を使って丁寧に裏筋を舐め上げられ、ねっとりと熱い口腔に含まれる。腰を振って抵抗を試みたが、男の情欲を煽る結果にしかならなかった。
 唇で扱かれ、じゅるじゅると吸い上げられる。先端の孔に舌先がねじ込まれてまた蜜が滲めば、きつく喉奥に啜られた。巧みなトキの技に翻弄されて、瞬く間に射精感が込み上げる。

「やぁ、だめ、いきたくない……、だめぇ」

 澪の悲鳴じみた嬌声が厨房に響き渡る。花芯を銜えるトキの黒髪を手で掻き乱して、必死に止めさせようとした。

「いって」

 くぐもった声が痺れるような刺激を花芯に与える。
 快楽を覚えた花芯は澪を裏切り、白蜜を弾けさせた。
 ごくりと、トキの喉仏が上下する。名残惜しそうに先端を、ちゅと吸ってから、男はようやく花芯を解放した。

「最高です。味も、声も、体も」
「うぅ……」

 絶望的な気分に打ちのめされながら、放った後の気怠い体を起こそうとする。
 しかしトキに腰を掴まれて引き寄せられ、両足を彼の肩に抱え上げられた。

「えっ。なにをするんです?」
「なにをとは? セックスするんです」

 澪は驚愕に息を呑んだ。
 今ので終わりではなかったのか。
 まさか、晃久と同じように楔を挿入されて、中出しされるのか。
 それだけはいやだった。
 晃久が主人だからとか、三万で買われたとか、理屈ではなかった。
 妊娠するかもしれない。それならば、晃久の精でなければ受け入れたくない。

「いやっ、いやぁ、はなして、はなしてぇ」
「大丈夫です。濡らしてから挿れるので」

 澪が暴れても全く意に介さず、トキは易々ともがく体を押さえつける。
 つぷりと蕾に指が挿入されて、晃久とは異なる指の感触に嫌悪を感じた。

「ひっ……」
「もう濡れてますね。下の口も柔らかくて素直だ」

 なぞるように肉環をぐるりと弄られてから指を引き抜かれ、代わりに硬いものを押し当てられる。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 8/16番外編出しました!!!!! 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭 3/6 2000❤️ありがとうございます😭 4/29 3000❤️ありがとうございます😭 8/13 4000❤️ありがとうございます😭

クローゼットは宝箱

織緒こん
BL
てんつぶさん主催、オメガの巣作りアンソロジー参加作品です。 初めてのオメガバースです。 前後編8000文字強のSS。  ◇ ◇ ◇  番であるオメガの穣太郎のヒートに合わせて休暇をもぎ取ったアルファの将臣。ほんの少し帰宅が遅れた彼を出迎えたのは、溢れかえるフェロモンの香気とクローゼットに籠城する番だった。狭いクローゼットに隠れるように巣作りする穣太郎を見つけて、出会ってから想いを通じ合わせるまでの数年間を思い出す。  美しく有能で、努力によってアルファと同等の能力を得た穣太郎。正気のときは決して甘えない彼が、ヒート期間中は将臣だけにぐずぐずに溺れる……。  年下わんこアルファ×年上美人オメガ。

運命じゃない人

万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。 理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

回帰したシリルの見る夢は

riiko
BL
公爵令息シリルは幼い頃より王太子の婚約者として、彼と番になる未来を夢見てきた。 しかし王太子は婚約者の自分には冷たい。どうやら彼には恋人がいるのだと知った日、物語は動き出した。 嫉妬に狂い断罪されたシリルは、何故だかきっかけの日に回帰した。そして回帰前には見えなかったことが少しずつ見えてきて、本当に望む夢が何かを徐々に思い出す。 執着をやめた途端、執着される側になったオメガが、次こそ間違えないようにと、可愛くも真面目に奮闘する物語! 執着アルファ×回帰オメガ 本編では明かされなかった、回帰前の出来事は外伝に掲載しております。 性描写が入るシーンは ※マークをタイトルにつけます。 物語お楽しみいただけたら幸いです。 *** 2022.12.26「第10回BL小説大賞」で奨励賞をいただきました! 応援してくれた皆様のお陰です。 ご投票いただけた方、お読みくださった方、本当にありがとうございました!! ☆☆☆ 2024.3.13 書籍発売&レンタル開始いたしました!!!! 応援してくださった読者さまのお陰でございます。本当にありがとうございます。書籍化にあたり連載時よりも読みやすく書き直しました。お楽しみいただけたら幸いです。

処理中です...