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いなくなった部屋
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インシュタルが再び部屋に入った時、既にジェンヌの姿はなかった。
なわなわと震えるインシュタルの背後から女性が声をかける。
「貴方はこの家の跡取りなのですよ。あんな平民、認められません」
その言葉に、インシュタルは女性を睨みつけた。
「認めない?巫山戯るな。彼女は、ようやく見つけた私の宝・・・。彼女以外と結ばれる気はないっ!」
「何を言うの!」
「彼女を認められないというなら私はこの家を出る」
「!そ、そんな。そこまで・・・」
インシュタルは7歳の時、記憶を取り戻してから訳のわからない事をいい、自殺未遂を繰り返す子どもだった。
しかし、治療の甲斐あってか、いつしかその異様な行動が収まると、今度はとんでもないぐらいの優秀さを見せつけた。
習いもしていない文字を書き、大人顔負けの教養のある子どもへと変化したのだ。
当然周りは天才だと褒め称え、容姿の良さから、年頃の少女達は彼に憧れるようになった。
そんな価値のある我が子を当然、女性は可愛がっていた。
故に婚約者も、候補として無理やり結ぶような真似はしなかったのだ。
インシュタルであれば、家にとって有意義な恋人を作ると思って。
だが、結果は平民。
そんな事が許せるはずもない。平民1人消えたところで何も変わらない。だが、7歳の時からインシュタルは女性を母と呼ぶこともなければ、慕うこともなかった。
女性は本能的にジェンヌを殺めれば自身の命も危ないと感じていたのかもしれない。
インシュタルの手が自身の喉へとかかる、今のように。
「何処に行ったの?ねぇ、何処に連れてったの?」
「あ、ああ・・・」
「早く、連れ戻さないと・・・」
「し、知らな・・・」
グッと喉に触れている手の力が強くなる。
「本当よ、使用人に外に連れ出すよう頼んだんだもの!」
「どの使用人ですか?」
「お、覚えてな・・・」
たかが使用人。女性にとって、使用人はただの道具であり、いう事を聞くのであれば誰であろうとどうでもいいことだった。
「出て行ってください」
「わ、わたくしは貴方の母親よ!?どうして・・・」
「いいから出て行け!」
これ以上、聞いても無駄だろうと判断し、インシュタルは母親面する女性を追い出した。
この部屋は彼にとって『少女』とつながっている大切な部屋。
そこに異物が入りこみ、あろうことか、長い月日探し求めた、見つけた彼女を追い出すなど・・・
全てが空回りし、自身の思い通りにならない今に、彼は苛立ちを隠せなかった。
なわなわと震えるインシュタルの背後から女性が声をかける。
「貴方はこの家の跡取りなのですよ。あんな平民、認められません」
その言葉に、インシュタルは女性を睨みつけた。
「認めない?巫山戯るな。彼女は、ようやく見つけた私の宝・・・。彼女以外と結ばれる気はないっ!」
「何を言うの!」
「彼女を認められないというなら私はこの家を出る」
「!そ、そんな。そこまで・・・」
インシュタルは7歳の時、記憶を取り戻してから訳のわからない事をいい、自殺未遂を繰り返す子どもだった。
しかし、治療の甲斐あってか、いつしかその異様な行動が収まると、今度はとんでもないぐらいの優秀さを見せつけた。
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当然周りは天才だと褒め称え、容姿の良さから、年頃の少女達は彼に憧れるようになった。
そんな価値のある我が子を当然、女性は可愛がっていた。
故に婚約者も、候補として無理やり結ぶような真似はしなかったのだ。
インシュタルであれば、家にとって有意義な恋人を作ると思って。
だが、結果は平民。
そんな事が許せるはずもない。平民1人消えたところで何も変わらない。だが、7歳の時からインシュタルは女性を母と呼ぶこともなければ、慕うこともなかった。
女性は本能的にジェンヌを殺めれば自身の命も危ないと感じていたのかもしれない。
インシュタルの手が自身の喉へとかかる、今のように。
「何処に行ったの?ねぇ、何処に連れてったの?」
「あ、ああ・・・」
「早く、連れ戻さないと・・・」
「し、知らな・・・」
グッと喉に触れている手の力が強くなる。
「本当よ、使用人に外に連れ出すよう頼んだんだもの!」
「どの使用人ですか?」
「お、覚えてな・・・」
たかが使用人。女性にとって、使用人はただの道具であり、いう事を聞くのであれば誰であろうとどうでもいいことだった。
「出て行ってください」
「わ、わたくしは貴方の母親よ!?どうして・・・」
「いいから出て行け!」
これ以上、聞いても無駄だろうと判断し、インシュタルは母親面する女性を追い出した。
この部屋は彼にとって『少女』とつながっている大切な部屋。
そこに異物が入りこみ、あろうことか、長い月日探し求めた、見つけた彼女を追い出すなど・・・
全てが空回りし、自身の思い通りにならない今に、彼は苛立ちを隠せなかった。
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