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はじまり

AM5:00

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「まず初めに君に質問だ。
君にはこの世界がどぅ映っているのか?」


今、私は暇である。
ベッドに横になる生活を続けて4日が過ぎた。

特にやることがない。

仕事はやる気が出なくて行っていない。

外の音が流れ、窓から突き刺す日差しを感じて、時の流れを感じる。

暇だと太る。お腹も減る。

昔、母に言われた言葉が
こんな時、頭によぎる

「働かぬ者食うべからず」と


私は今は働いてはいないが
月に10日ほど出れば、普通のサラリーマン以上の給料が稼げる。

そのためか1ヶ月まともに働く気が起きない。

食料が無くなればスーパーへ
暇つぶしに喫茶店へ
家から40分離れた喫茶店へ
わざわざ出向く

時間潰しだ。


AM9:00
人々は仕事や学校や何かに追われ
駅には様々な人が集まり

くだらないことをしている

滑稽だ。

コンビニの前で仕事の電話をする者
タバコを吹かす者

何かの集まりか?おばさん連中

この時間はもう既に
仕事が開始した時間なのか?

サラリーマン何人かが
話し合いをしていたり

トラックがやけに多い

年寄りも多い。


私は電車に乗りお馴染みの喫茶店へ入った。

喫茶店は喫煙ができる唯一の場所だ。
喫煙者からしたら「オアシス」であろう。

禁煙ブームのこの世界に
私達喫煙者は喫茶店と言うちょっとした憩いの場が
必須だ。


喫茶店へはいると良く見えてくる。

聴こえる。感じる。

私は爆音で聞いていたイヤホンを
耳から外して、その場の空気を感じた。

そして再び観る。


ガラス越しに人を眺め
コーヒーを片手にタバコを吸うだけの時間だ。

隣の席のオヤジは
ビジネスマンか。

電話を片手にパソコンを開いている。


その隣のサラリーマンは、
資料を熱心にチェックしている。

これらは、仕事モード。つまり表の顔。


私は知っている
こやつらサラリーマンの裏の顔を…。


人々は言う。

「死ぬのが怖いと」

人々は言う。

「生きる意味を知りたいと」

人々は言う。

「お金があったら何でもできると」

人々は言う。

「この世は弱肉強食だと」

人々は言う。

「もう生きるのが辛いと」

私は言う。

「退屈だと」


朝と夜が来て、一日が終わる。
次の日が来て、また終わり。


今日という日は今日しかないと。


月日が変わり一年と区切りを付け
無事に過ごせた日々にお祝いを

成人を祝い 皆酒を呑む


歴史を築き、法律をつくり
人類がより住みいやすい世界を
少なくともこの日本は作り上げたのだ



人々がそれらを忘れ、知らず気付かず


多くの命を落としていく。


「君は今何が見える?」
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