少年に恋した男は二度恋に落ちる

丸井竹

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38.お前は俺のものだと奪われたのは男の方

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善は急げと二人はゴデの町に向けて出発した。三年ぶりの帰郷だった。
出来れば誰にも会いたくないというシフィルの要望に合わせ、こっそり貴族街に向かったのだが、なんとルークの屋敷の前でばったりロイダールに出会ってしまったのだ。

途端に顔を険しくしたシフィルにロイダールは、いかつい顔を赤くして聞かれてもいないことを否定した。

「ち、違う。その、マリア殿がルークの結婚に反対していると聞いて、説得にきたのだ。決して、やましいことがあったわけではない」

ルークの母親との仲を疑われては困るロイダールの誤解を恐れての発言だったが、シフィルは眉間にしわを寄せたまま一言も返さなかった。
ロイダールがルークの母親と深い仲になろうがなるまいが、シフィルには関係のない話だった。
シフィルにとってロイダールはいてもいなくても同じ、自分を捨てた父親だった。

冷やかなシフィルの表情に、ロイダールはようやく冷静さを取り戻し、改めて目の前に立つシフィルの姿を観察した。もう少年の装いではなかった。
結婚の挨拶に相応しい洗練されたドレスに身を包み、黙っていれば十分美しい若い女性の姿だった。

ロイダールはその顔立ちを感慨深い気持ちでじっと見つめた。
鋭い目元は確かに自分に似ていると思ったのだ。眉の形もそっくりだ。頑固そうな口元も似ている気がする。そうであるのに顔立ちが整った印象なのはやはり母親のルイゼの美形を受け継いでいるからだ。
赤い豊かな髪も母親譲りで美しい。

子供の頃はもっと細く柔らかい髪だったのだろうと思うと、無理やり髪を切ったというルイゼの言葉を思い出し胸が痛んだ。

しかし、かけられる言葉は何も無かった。シフィルはロイダールと会話する気は全くないというように唇を引き結び、その目は敵意さえ湛え燃えていた。

ルークがさりげなく前に出て二人の視線を遮った。

「ロイダール様が説得して下されば安心です」

母親のマリアはロイダールを歓迎したが、やはりシフィルのことは快く思わなかった。ロイダールの娘であるから、露骨に非難するわけにもいかなかったが、それでも、あれやこれや不満を並べて、亡き夫に誇れる嫁でなければ困ると二人の結婚に反対した。

ロイダールとルークは言葉を尽くし説得したが、マリアの気持ちはかわらなかった。
だいたい全員が言葉を切らしたとみると、シフィルは立ち上がり、両手をテーブルの上に叩きつけた。

大きな音が鳴り、マリアは驚いて、怯えたように背もたれの方へのけぞった。

「わかりました。ご不満なんですね。では、あなたがルークに相応しいと思われる女性を何人でもいいので連れてきてください。私、戦いますから。別に命をとったりはしませんよ。でも、勝つまで戦います」

本気で人を殺してきたことのある目は、その事実を知らない者にも説得力があったのだ。大切に大勢の召使や夫の親友、息子に守られてきたマリアは、生まれて初めて、命の危険を感じ震えあがった。

こうした女性はわずかな時間でさえそんな恐怖に晒されることに耐えられなかった。

「ゆ、ゆるします……」

マリアの声は少し掠れており、耳を澄ませなければ聞こえないぐらい小さかったが、シフィルの迫力に室内は静まり返っており、その場にいた全員がその言葉をはっきりと聞いたのだった。


ルークの母親の気が変わらないうちにと、許可証を手に入れるとシフィルとルークは教会を予約した。
誰も招くつもりはなかったのに、その日、こっそり集まったのはそうそうたるメンバーだった。

祭壇の左側にはゼルやアニー、子供学習院の子供達やロイダールに、シフィルの母親ルイゼが座っていた。右側はルークの母親マリアとエスコート役の謎の美男子が並び、その後ろには着飾った貴族令嬢が何人か並んでいた。

マリアが連れてきたルークの花嫁候補達だった。結い上げた髪には豪華な宝石が飾られ、豪奢なドレスに身を包んでいる。マリアは、ルークがシフィルよりたおやかで洗練された美女たちを目にすれば、結婚を躊躇うかもしれないと思ったのだ。

幸せな花嫁や結婚式を嫌悪するシフィルにとっては最悪な環境が整ったが、シフィルは止めるとは言わなかった。

ルークは純白のドレスに身を包んだシフィルに釘付けだった。その姿を見た途端、固く抱きしめ、離れたくないと言ったのだ。
シフィルは完全に戦闘態勢に入っていた。誰も来ないはずの式場に人が溢れ、しかも若くきれいな女が数人紛れ込んでいたのだ。完全に宣戦布告だ。

ルークを奪われないためにも絶対に最後までやり遂げなければならなかった。
町の教会とはいえ貴族の宣誓となるといろいろ手続きがあった。
祭壇の前に立って宣誓を繰り返すと、石板に手を置いて引き継いだ血の認証が行われた。

祭壇に父ロイダールの名前が記され、司祭が読み上げると、ロイダールはシフィルが血の繋がった娘なのだと改めて知らされることになった。
その手がルイゼの手を握り、小さく呟いた。

「今まで、本当にすまなかった……」

もしルイゼの愛を信じ切れていれば、手紙のことなど気にせず迎えに行けただろう。他の男と幸せになっているルイゼの姿を見たくないというちっぽけなプライドのせいで、忘れようと努めたのだ。それでも、愛した女性が幸せになったのかどうか見届けにいくべきだった。
いつもなら振りほどくロイダールの手を、ルイゼはそのままにしておいた。

ルイゼはシフィルを見つめていたのだ。一時も目を離さず見つめているのにシフィルは一度もルイゼの方を見ようとしなかった。
恨まれているとはわかっていたが、その壊れた絆がもう本当に戻らないのか、ルイゼはどうしても確かめたかった。

花嫁だというのにシフィルは少しも幸せそうに見えなかった。
ルークは微笑んでいるが、シフィルはまるで未だに世界中を敵に回して戦っているかのように敵意に満ちた目をしている。

最後の口づけで、ルークは参列者を意識して、紳士的にシフィルの頬に口づけした。
その直後、シフィルの両手がルークの頬を掴んだ。

「ん?!」

ルークが息をのむほど激しく、シフィルの唇がルークの唇に重ねられ、音が鳴るほど熱く舌を絡めた。
アニーとゼルが慌てて子供たちの目を隠し、マリアは顔を赤くして硬直した。隣の美男子は平然としていた。
令嬢達は持っていた扇で目元を隠しながらちらりと覗き見た。

ロイダールは実の娘の大切な場面であるから、目を離したくなかったが、なんとも居心地が悪く、背筋を曲げたり伸ばしたりしながら、必死にそのむずがゆくなるような時間を耐えた。
ルイゼは泣いていた。無意識にロイダールの手を握り返し、必死にその寂しさに耐えていた。

ルイゼはシフィルがもう自分を必要としないことを悟ったのだ。ルイゼの小さかった娘は、ルイゼに与えられたクリスティナという名前も、少年のクリスという名前もどちらも選ばなかった。
どちらも切り捨てたのだ。

シフィルの人生にいるのは目の前の夫だけなのだ。もうルイゼを振り返り、無邪気に笑いかけてくれた幼い娘はいないのだ。
必死にすがりついてきたその手を大切に握り返してやらなかったから、娘は諦めたのだ。
自分が欲しい物を決して与えてはくれなかった母親と父親のことを。

ルイゼは娘の式を台無しにしないように、必死に声を堪えた。
黙って涙を流しながら、あの柔らかな赤毛を短く切った日以来、クリスが泣かなかったことを思いだしていた。
最後に泣いたのは、「大嫌いだ」と叫んで飛び出して行った時だ。

それでも、ルイゼはシフィルが教会を出て行くまで視線を向け続けた。ただの一度も振り返ってもらえなくても、もう自分から目を逸らすことはすまいと思ったのだ。

教会の外に出ると、シフィルは戦利品を掲げた。結婚証明書だった。
ルークはまだ顔を赤くしていた。
人前であんな熱烈な口づけを受けるとは思いもしなかったのだ。

「これでお前は俺のものだな!」

昔の口調に戻って、シフィルがうれしそうに叫んだ。

「そんなものなくてもお前のものだろうが……」

突然猛烈に愛され始めたルークは嬉しい反面、戸惑うことばかりだった。
さっさとそこを立ち去ろうとする二人を教会から走り出てきた男が呼び止めた。

「待てよ!まさか俺にも一言もなくいくつもりか?」

シフィルが振り返り、笑顔になった。

「ゼル!来なくて良かったのに」

ゼルはルークにも会釈した。

「ルーク様、おめでとうございます」

ルークは糞運びになった時に、敬語はいらないと告げていたが、ゼルの態度は頑なだった。

「いろいろ世話になったな」

三人で草原に寝そべり、笑いあった日々が蘇るようだった。誰もが秘密を抱え、本音を隠していたというのに、今思えば、なぜか心から楽しかったと思える日々だったのだ。

「そうだ」と、シフィルは馬に積んでいた荷物から小さな包みを取り出して持ってきた。
そしてそれをゼルに押し付けた。

「俺達が作った香水だ。王都では高い値段で売られていて、貴族様しか買えないんだ。ちょっと匂いかいでみなよ」

ゼルは革袋に指を突っ込みかわいらしい小瓶を取り出した。
慎重に瓶の蓋を抜くと、鼻を近づけた。
確かに甘く、良い香りだったが、どこか懐かしく感じたのだ。

「おい、これ、俺知っているぞ?あれ、これ……」

糞運び仲間のゼルは当然その花を知っている。

「あれよりちょっとは良いんだよ。野生の動物の糞の方が匂いが良い」

ゼルは慌てて瓶の蓋を閉めた。

「糞の花か?!」

「貴族の連中は嗅いだこともないからわからないだろう?まあ知っていても気にしないかもな。糞の匂いが消えるんだ。試してみなよ」

全くお前というやつはと、ゼルは鼻に皺を寄せて首を横に振った。
シフィルはまた一つ思いついた。

「そうだ、それいくつか入っているから、母さんに一つあげてよ。俺が作って売っている香水なんだからいいだろう?」

ゼルは袋の中に複数の瓶が入っているのを確認すると、意地の悪いやつだなというように渋い顔になった。

「糞の花だって言っていいのか?」

「任せるよ。一応商品名も書いてあるだろう」

それだけ言うと、シフィルはルークの腕を引っ張った。

「早くここを立ち去ろう。教会の連中が出てきたら面倒だ」

心得てルークは馬にまたがり、シフィルを引っ張り上げた。白いドレスのままだが、馬上に上がれば武器の位置を確認する。
襲われればいつだって戦えるのだ。

「またな」

もう今度こそ会えないかもしれないと思いながら、ゼルは手を振った。

「ああ、またな!」

シフィルが叫び、ルークはゼルと視線を合わせ、力強く頷いた。
二人を乗せた馬が遠ざかっていくのを見送って、ゼルは心の底からほっとしていた。

なにより、ルークの想いが実ったことがうれしかったのだ。
男としてはかなり立ち直れないほど叩きのめされたはずだ。長年愛してきた男の純潔を目の前で他の男に奪われ、さらに愛してきたのは女だと判明したと思ったら、その女に絶対許さないと言われ、敵だとまで言われたのだ。
それなのに、愛した女に今は十分愛されているように見えたのだ。

「幸せになれよ」

もう姿の見えなくなった二人のために、ゼルは強く祈った。
同じ空の下、互いに幸せになれる未来がきっとあるとゼルは思った。
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