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24.最後の悪人
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ギースはすぐに夜勤の警備兵を走らせゼインのいる騎士団に連絡を送った。
自分はそのまま馬を走らせなんとか朝方になってマグドロー家の屋敷に到着した。
ここである確信はなかったが、いろいろ捜索しながら考えた結果、アイラを恨んでいる人物を考えればここしかなかった。
アイラの依頼でこの屋敷の悪人共を襲い、半数を殺し半数を役人の手に渡したのだ。
全員処刑されたはずだが、逃げ延びたものがいたのかもしれない。
屋敷の中を探し回っていたギースは地下牢の入り口を見つけられず、なかなかそこへたどり着けなかった。
やっと隠し扉から地下室に下りると、そこは先ほどまで人がいたかのように灯りが入り、抜け道までの通路が照らし出されていた。
そこを進み、奥の牢屋の前でギースは足を止めた。
扉の開け放たれた牢の中にまだ乾いていない大量の出血の跡を見つけたのだ。
膝をついて触れるとぬるりとして、厚みもあった。
「くっ……」
ギースは唇を噛んだ。
血の上を何かを引きずった跡が続いていており、途中から消えていた。
引きずったアイラを担ぎ上げたのだと察し、ギースはさらに手掛かりはないかとあたりを探した。
何もないとみると、外に飛び出した。
血や馬の足跡、そうしたものを探して辺りを探り、この先に悪党が利用できるような場所があっただろうかと考えた。
即座に自分たちが隠れ家に使っていた北ルードの谷間を思いだした。
悪党はこの国にいられない。
逃げるならやはり山を越える道なのだ。
その方角にやはりわずかな人が通った痕跡を見つけ、ギースは短剣を抜き、道筋に印を刻んだ。
さらに枝を折って人の通った跡がわかるようにした。
ギースは徐々に険しくなる山道を一人進んでいった。
一方、マグドローは縛り上げたアイラの体を抱きながら、うっそうと茂る木々を頂いた崖の上に潜んでいた。
よく知る土地であり、長く潜伏してきた森の中で、マグドローの知らぬ道はなかった。
白み始めた空の下、マグドローは一本の細道を見下ろしていた。
北ルードの山を越えるその道は国境に繋がり、最初の門がその先に見えている。
門は二つでどちらも足場もない岩山の間を見事に塞いでいるのだ。
まだ出血が続くアイラは貧血のためか意識は朦朧としたままだった。
「最近あのあたりの守りは手薄なのだ。あそこを通る予定の悪人は全員処刑されたはずだからな」
マグドローはアイラの乳房をしゃぶりながら、行商人に扮してあそこを通り抜けるつもりだと得意げに説明した。
夜を森の中の隠れ家でしのいだマグドローは血に染まったアイラを布でくるみ、自分は髭をそり、小ぎれいな商人風の服に着替えていた。
「一人では怪しまれたら言い逃れも出来ないが、お前が人質であればあの程度は潜り抜けられるだろう」
馬車が一台やってきて、簡単な荷改めで通過していった。
「ほらみたか。一人や二人なら簡単に通れる。見張りも二人しかいない。この時間帯が一番少ない。
また少ししたらもう一台馬車がくる。乗っているのはちょうど二人だ。
殺して入れ替わればうまく通過できるだろう」
アイラの体をシーツでまき直し、緩やかな斜面を降りようとしたマグドローの目に予想外の光景が飛び込んだ。
慌てたように兵士たちが門から出てきたのだ。
いつも観察しているようなのんびりとした様子ではなかった。
警戒するように目を光らせ、抜刀している。
「何か知らせがいったのかもしれない」
マグドローは呟いた。
しばらく待っていると、さらに兵が駆け付けて誰かの捜索まで始まった。
これでは門を通過しようとする馬車が厳しい取り調べを受けるのは目に見えている。
マグドローは舌打ちし、今から通過するのは無理だと悟った。
ひとまず身を隠し数日やり過ごすしかないかもしれない。
「野盗の根城へ行くぞ。役人が一度調べに来てからは無人のはずだ」
マグドローは行き先を変更し、さらに人が増える前に身を隠そうと崖の反対側に下り始めた。
マグドローの屋敷ではギースからの知らせを受けゼインの所属する第三騎士団が全員で詰めかけていた。
そして地下牢の血だまりを見つけると、リオン隊長がすぐに応援を呼ぶと外へ飛び出した。
隊員の一人がこぼれていた液体に鼻を近づけ、指で舐めると吐きだした。
「子殺しの薬だ」
それが女性の体を壊すことを知っていたゼインは蒼白になった。
放置されている手枷についた血もまだ乾いていなかった。
「とりあえず国境沿いに王の騎士達の派遣要請をした。この辺りを一斉に捜索することになる」
隊長の言葉を受け、全員で外に出るとまた血の跡がみつかり、ゼインは心の苦痛に低く呻いた。
「ゼイン、木に印がある。ギースという男はこっちに向かったようだな。やはり国境か」
冷静にドイルが方角を確かめながら進み始めると、誰かが思い出したように声を上げた。
「影狼の根城がある。危険だが、谷底を行けば国境を越えるはずだ。生きて流れに乗ることができればだが」
一同は顔を見合わせ、無言で走り出した。
ゼイン達より一足早くマグドローとアイラに追いついたのはギースだった。
懐かしい隠れ家への道は歩く者もなくなり、木々や茂みに覆い隠されていた。
なんとかかき分け、視界が少し開けると、だいぶ先の方に白い荷物を抱えて歩く男の姿を見つけたのだ。
それがアイラだと察し、ギースは隙を見て奪えないかと追跡したが、近づく隙がない。
マグドローはアイラをまるで命綱であるかのように片時も離さず、その首筋をいつでも切れるように短剣を構え、慎重な動きだった。
さらに近づけば白いシーツの下の方は血で赤く染まっている。
既に大きな怪我をおっていれば乱闘に巻き込むだけでも出血を増やし死なせてしまうかもしれない。
さらに悪いことに、マグドローは、谷底に通じる裏道を見つけそこから下り始めた。
その下はまさに急流になっており、ロープを張って仲間たちと合図をしながら渡ることが出来たが、一人ではどうにもならない通り道であった。
あんな状態のアイラを連れていけば確実に殺されてしまう。
それ以上進ませまいとギースは走り、声を張り上げた。
「待て!どこに行く気だ!」
足を止めたマグドローは振り返り、即座に短剣をアイラに突き付けた。
全てを失い、誰を殺しても構わないと思っている危険な目と対峙し、ギースは小さく舌を鳴らした。
「お前の望みは何だ」
「お前がこの女の騎士なのか?だが、残念ながらこの女はもう子供が産めないぞ」
マグドローは突然現れた男を恩赦の条件が記されていた巻物にあった騎士だと思った。
アイラの監視と保護が役目のはずであった。
男の視線はマグドローが抱えているアイラにぴったりと向けられている。
ギースはマグドローの言葉を聞き流した。
マグドローの腕の中で気を失ったように抱かれているアイラは目を開けているのか閉じているのかもわからなかった。
ただ、体に巻き付いたシーツが恐ろしい量の血で染まっている。
「それでも取引が出来ると思っているから大事に抱えているのではないのか?さっさと条件を言え」
「国境を抜けたい。無事に。そしてそうだな、土産になる財も欲しいな」
「土産を渡し、国境の兵を引けばその女を返すのか?」
そんな権限がこの男にあるのか訝るようにマグドローは男を見据えた。
戦えば当然歯が立たないほどの戦士だとわかる。
身に付けた鎧も個人では揃えられないほど良質な物だ。
「下手な真似をすれば殺すぞ」
脅すような声を上げると期待以上の返事が返ってきた。
「その女を無事に返すなら望みをきいてやる」
マグドローは醜く顔を歪ませた。
この女は思った以上に良い取引材料になるのだと気づいたのだ。
「その前に、彼女が生きているか証拠を見せろ」
マグドローがアイラの髪を掴みあげ、顔をギースの方に向けさせた。
血の気の失せた顔が立ち上がり、わずかに瞼が動いた。
唇の端から血が伝った跡が見えた。
一刻の猶予も無いとギースは悟った。
「すぐに話を通す。用意が出来たら呼びにくる」
ギースは身を翻し、ゼインと合流するべく走り出した。
森を抜けてきた騎士団は即座にギースの姿を見つけ、取り囲んだ。
進み出たゼインにギースは見てきたことを報告した。
「恐らく出血が止まっていない。このままでは命が尽きる。さっさと国境を通過させた方がいい。異国になるがそこであいつを捕まえる方がいいだろう」
騎士達は顔を合わせた。規律に縛られる彼らが国境を越えるには許可がいる。
ましてや処刑を許されたとはいえ、女王の意に反して生かされている女だ。
女王の許可が出るわけがなかった。
それどころか、その男はマグドローだろうとギースが告げたのだ。
騎士団の名誉にかけ、処刑されたはずの男であった。
生きているとなれば女王はアイラもろとも殺せと命じるだろう。
「騎士を抜けます」
ゼインの言葉にドイルが引き留めた。
「お前も処罰対象になるぞ!」
「無理だ。もう……彼女を失っては生きていけない」
ゼインの沈痛な表情に仲間たちも言葉を閉ざした。
「俺が向こうへ行く」
ギースがきっぱりと言った。
「ゼイン、彼女はお前が思っているよりずっと強い女だ。絶対に生きることを諦めない。ぎりぎりまで戦える女だ。お前が諦めるな」
アイラを長く知る男の言葉にゼインはわずかな嫉妬を覚えながらも頷いた。
男達は大急ぎで作戦を話し合い、準備にとりかかった。
自分はそのまま馬を走らせなんとか朝方になってマグドロー家の屋敷に到着した。
ここである確信はなかったが、いろいろ捜索しながら考えた結果、アイラを恨んでいる人物を考えればここしかなかった。
アイラの依頼でこの屋敷の悪人共を襲い、半数を殺し半数を役人の手に渡したのだ。
全員処刑されたはずだが、逃げ延びたものがいたのかもしれない。
屋敷の中を探し回っていたギースは地下牢の入り口を見つけられず、なかなかそこへたどり着けなかった。
やっと隠し扉から地下室に下りると、そこは先ほどまで人がいたかのように灯りが入り、抜け道までの通路が照らし出されていた。
そこを進み、奥の牢屋の前でギースは足を止めた。
扉の開け放たれた牢の中にまだ乾いていない大量の出血の跡を見つけたのだ。
膝をついて触れるとぬるりとして、厚みもあった。
「くっ……」
ギースは唇を噛んだ。
血の上を何かを引きずった跡が続いていており、途中から消えていた。
引きずったアイラを担ぎ上げたのだと察し、ギースはさらに手掛かりはないかとあたりを探した。
何もないとみると、外に飛び出した。
血や馬の足跡、そうしたものを探して辺りを探り、この先に悪党が利用できるような場所があっただろうかと考えた。
即座に自分たちが隠れ家に使っていた北ルードの谷間を思いだした。
悪党はこの国にいられない。
逃げるならやはり山を越える道なのだ。
その方角にやはりわずかな人が通った痕跡を見つけ、ギースは短剣を抜き、道筋に印を刻んだ。
さらに枝を折って人の通った跡がわかるようにした。
ギースは徐々に険しくなる山道を一人進んでいった。
一方、マグドローは縛り上げたアイラの体を抱きながら、うっそうと茂る木々を頂いた崖の上に潜んでいた。
よく知る土地であり、長く潜伏してきた森の中で、マグドローの知らぬ道はなかった。
白み始めた空の下、マグドローは一本の細道を見下ろしていた。
北ルードの山を越えるその道は国境に繋がり、最初の門がその先に見えている。
門は二つでどちらも足場もない岩山の間を見事に塞いでいるのだ。
まだ出血が続くアイラは貧血のためか意識は朦朧としたままだった。
「最近あのあたりの守りは手薄なのだ。あそこを通る予定の悪人は全員処刑されたはずだからな」
マグドローはアイラの乳房をしゃぶりながら、行商人に扮してあそこを通り抜けるつもりだと得意げに説明した。
夜を森の中の隠れ家でしのいだマグドローは血に染まったアイラを布でくるみ、自分は髭をそり、小ぎれいな商人風の服に着替えていた。
「一人では怪しまれたら言い逃れも出来ないが、お前が人質であればあの程度は潜り抜けられるだろう」
馬車が一台やってきて、簡単な荷改めで通過していった。
「ほらみたか。一人や二人なら簡単に通れる。見張りも二人しかいない。この時間帯が一番少ない。
また少ししたらもう一台馬車がくる。乗っているのはちょうど二人だ。
殺して入れ替わればうまく通過できるだろう」
アイラの体をシーツでまき直し、緩やかな斜面を降りようとしたマグドローの目に予想外の光景が飛び込んだ。
慌てたように兵士たちが門から出てきたのだ。
いつも観察しているようなのんびりとした様子ではなかった。
警戒するように目を光らせ、抜刀している。
「何か知らせがいったのかもしれない」
マグドローは呟いた。
しばらく待っていると、さらに兵が駆け付けて誰かの捜索まで始まった。
これでは門を通過しようとする馬車が厳しい取り調べを受けるのは目に見えている。
マグドローは舌打ちし、今から通過するのは無理だと悟った。
ひとまず身を隠し数日やり過ごすしかないかもしれない。
「野盗の根城へ行くぞ。役人が一度調べに来てからは無人のはずだ」
マグドローは行き先を変更し、さらに人が増える前に身を隠そうと崖の反対側に下り始めた。
マグドローの屋敷ではギースからの知らせを受けゼインの所属する第三騎士団が全員で詰めかけていた。
そして地下牢の血だまりを見つけると、リオン隊長がすぐに応援を呼ぶと外へ飛び出した。
隊員の一人がこぼれていた液体に鼻を近づけ、指で舐めると吐きだした。
「子殺しの薬だ」
それが女性の体を壊すことを知っていたゼインは蒼白になった。
放置されている手枷についた血もまだ乾いていなかった。
「とりあえず国境沿いに王の騎士達の派遣要請をした。この辺りを一斉に捜索することになる」
隊長の言葉を受け、全員で外に出るとまた血の跡がみつかり、ゼインは心の苦痛に低く呻いた。
「ゼイン、木に印がある。ギースという男はこっちに向かったようだな。やはり国境か」
冷静にドイルが方角を確かめながら進み始めると、誰かが思い出したように声を上げた。
「影狼の根城がある。危険だが、谷底を行けば国境を越えるはずだ。生きて流れに乗ることができればだが」
一同は顔を見合わせ、無言で走り出した。
ゼイン達より一足早くマグドローとアイラに追いついたのはギースだった。
懐かしい隠れ家への道は歩く者もなくなり、木々や茂みに覆い隠されていた。
なんとかかき分け、視界が少し開けると、だいぶ先の方に白い荷物を抱えて歩く男の姿を見つけたのだ。
それがアイラだと察し、ギースは隙を見て奪えないかと追跡したが、近づく隙がない。
マグドローはアイラをまるで命綱であるかのように片時も離さず、その首筋をいつでも切れるように短剣を構え、慎重な動きだった。
さらに近づけば白いシーツの下の方は血で赤く染まっている。
既に大きな怪我をおっていれば乱闘に巻き込むだけでも出血を増やし死なせてしまうかもしれない。
さらに悪いことに、マグドローは、谷底に通じる裏道を見つけそこから下り始めた。
その下はまさに急流になっており、ロープを張って仲間たちと合図をしながら渡ることが出来たが、一人ではどうにもならない通り道であった。
あんな状態のアイラを連れていけば確実に殺されてしまう。
それ以上進ませまいとギースは走り、声を張り上げた。
「待て!どこに行く気だ!」
足を止めたマグドローは振り返り、即座に短剣をアイラに突き付けた。
全てを失い、誰を殺しても構わないと思っている危険な目と対峙し、ギースは小さく舌を鳴らした。
「お前の望みは何だ」
「お前がこの女の騎士なのか?だが、残念ながらこの女はもう子供が産めないぞ」
マグドローは突然現れた男を恩赦の条件が記されていた巻物にあった騎士だと思った。
アイラの監視と保護が役目のはずであった。
男の視線はマグドローが抱えているアイラにぴったりと向けられている。
ギースはマグドローの言葉を聞き流した。
マグドローの腕の中で気を失ったように抱かれているアイラは目を開けているのか閉じているのかもわからなかった。
ただ、体に巻き付いたシーツが恐ろしい量の血で染まっている。
「それでも取引が出来ると思っているから大事に抱えているのではないのか?さっさと条件を言え」
「国境を抜けたい。無事に。そしてそうだな、土産になる財も欲しいな」
「土産を渡し、国境の兵を引けばその女を返すのか?」
そんな権限がこの男にあるのか訝るようにマグドローは男を見据えた。
戦えば当然歯が立たないほどの戦士だとわかる。
身に付けた鎧も個人では揃えられないほど良質な物だ。
「下手な真似をすれば殺すぞ」
脅すような声を上げると期待以上の返事が返ってきた。
「その女を無事に返すなら望みをきいてやる」
マグドローは醜く顔を歪ませた。
この女は思った以上に良い取引材料になるのだと気づいたのだ。
「その前に、彼女が生きているか証拠を見せろ」
マグドローがアイラの髪を掴みあげ、顔をギースの方に向けさせた。
血の気の失せた顔が立ち上がり、わずかに瞼が動いた。
唇の端から血が伝った跡が見えた。
一刻の猶予も無いとギースは悟った。
「すぐに話を通す。用意が出来たら呼びにくる」
ギースは身を翻し、ゼインと合流するべく走り出した。
森を抜けてきた騎士団は即座にギースの姿を見つけ、取り囲んだ。
進み出たゼインにギースは見てきたことを報告した。
「恐らく出血が止まっていない。このままでは命が尽きる。さっさと国境を通過させた方がいい。異国になるがそこであいつを捕まえる方がいいだろう」
騎士達は顔を合わせた。規律に縛られる彼らが国境を越えるには許可がいる。
ましてや処刑を許されたとはいえ、女王の意に反して生かされている女だ。
女王の許可が出るわけがなかった。
それどころか、その男はマグドローだろうとギースが告げたのだ。
騎士団の名誉にかけ、処刑されたはずの男であった。
生きているとなれば女王はアイラもろとも殺せと命じるだろう。
「騎士を抜けます」
ゼインの言葉にドイルが引き留めた。
「お前も処罰対象になるぞ!」
「無理だ。もう……彼女を失っては生きていけない」
ゼインの沈痛な表情に仲間たちも言葉を閉ざした。
「俺が向こうへ行く」
ギースがきっぱりと言った。
「ゼイン、彼女はお前が思っているよりずっと強い女だ。絶対に生きることを諦めない。ぎりぎりまで戦える女だ。お前が諦めるな」
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