外資系でハッピーライフ⁈

麻梛 諒

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よくいる人の話

忘却の彼方に…

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これは、私が最近まで在籍していた
会社で実際に起こった事である。


私が立ち上げに携わったA社には
私の入社当初から営業の男性がいた。
50代も後半くらいだったか。
頭は白髪の混じったごま塩頭。

人当たりは一見良いので、営業には
向いているのかも…と思っていたのですが。
私が辞める間際には、お客様からの
苦情が酷くなっていた。

かくいう私も最初は仕事出来る人
なんだろうな…と思っていたのだ。

ん? 何か物忘れが酷くないか…?
そう感じはじめたのは一緒に働き始めて
何ヶ月か経った頃

なぜか彼の頭の中で、私の事を部下
みたいに思っていたふしがあり、
あれやっておいて、これやっておいてと
いうメールも多かった。

大体夕方16-17時頃予定を入れては
戻れる時間なのに直帰。
社長が出張中なら、平気で勤務時間中に
『ちょっと床屋に行ってきます』で
出掛けてしまう人だった。


ある日の事、お客様からのメールを
転送して来て、お願いしますと書いて
あったのだけれど。

よくよく下まで読むと私のところでの
手配だけでは足りず、他にも別途、彼が
手配しなければならない事が書いてあった。

それを彼に伝えると、『ああ…』と
思い出したかのように言い、
『連絡しておきます。』と返って来たので
もちろん、不足している事はきちんと
手配したのだろうと思っていた。

でも彼はやはり手配も客先への
連絡もすっかり忘れてしまっており、
結局は彼自身が客先に出向く羽目になり
ほぼ一日中掛かって作業を終えていた。


またある時には特注品であると
特別コードが必要で私がシステムに
入力が出来ないので、それを伝えると、
『ああ…』と。

彼が『ああ…』と言う時には問題がある。
周りも気づいて来た頃だ。

客先には僕が伝えますから、取り急ぎ
普通ので進めて下さいと言われたので
ノーマルで発注をして進んでいた。

その後、営業の彼から何も言われずに
いたので私も他の仕事に忙殺され、
客先には説明してノーマルで
良くなったのだろうと思っていたら、
やはり、客先に伝える事自体を
お忘れになっていた。

この事件はかなり問題になった。

対策としてメモをしたらどうかとか
メモがダメなら携帯でアラームとか
したらどうだろうか…と何回言ったか…
全く響かなかった。

彼の中での私のポジションは部下なので
部下から言われたくないらしく。
同僚には私が怒るからわざと故意に
やらないと言っていたそうだけど。

私に言わせれば単に物忘れが酷くて
やらないといけない事すら覚えて
いられないだけだったと思う。


そして私がこのごま塩頭を最悪だと
思った事態は…

彼がお客様からのご発注書を、印鑑を
押すために自分で持っていて、1か月以上
誰にも渡さず持ちっ放しになっていた事。

しかも渡してない事を忘れて、私に
納期を聞いて来た。


いやいや、納期もちろん間に合いません
それでも私は、本国へ何とか頼み込んで
頼み込んで、DHLで最終的な配送先に
あたるエンドユーザーさんのところに
直送してもらうように手配が出来た。

最後はDHLさんの当日配達区域外で
チャーターをしなければならなかったが
それは最終的な納期の為に必要な事だった
ので仕方なかった。


そもそも全ての原因は忘却の彼方に
記憶をおいやって知らん顔の
ごま塩頭がいけなかったのである。

今彼は、通常の営業は難しいと思われて
新規開拓に回っているのだが、ごま塩頭は
昇進気分で変に張り切ってしまっている。

その事に客先がかなり恐怖に
慄いている事も知らずに…

普通だったらクビになりそうな失敗
ばかりなのだけれど、そのまま給与にも
響かず、働き続けられるのだから、
外資系はある意味天国なんだろう。



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