学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林

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西条 誠

第九話

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桜田門学院の新入生歓迎会、それは毎年恒例の全学年参加行事だ。

「お前らはこの部屋で待機だぞ。生徒会のメンバーが来ると思うから大人しく待っとけよ」

月城先生を初めとした一年生の学年担当の先生たちは生徒たちをちょっとした広間みたいな所に待機するように言ったあと広間を出て行った

(歓迎会ってどんな感じなんだろ?グラウンドでするって言ってから屋外パーティーみたいなものかな?)

恭介がそんなことを考えていると広間の両開きの扉が開けられた

「諸君、待たせたね。準備が出来たから案内するよ。あっ、僕は生徒会会計の本郷優馬ほんごうゆうまだよ。よろしくね」

おぉ、オールバックの超イケメン!
ていうかなんでこの学院の人って美男美女しかいないんだろ!世の中って不公平だよね!

「じゃ、A組の人から順番に着いてきてね。あっ、それと本当はグラウンドで屋外パーティーの予定だったんだけど先週の台風の影響でグラウンドの整備がまだ追いついてないから君たちが入学式をした桜田記念ホールでする事になったから」

生徒たちは優馬の後ろを着いていき桜田記念ホールに入った

入学式の時は椅子が並べられてたけど今回は立食パーティーみたいな感じかな?でもスタッフも大勢いるしこれって本当に学生のパーティーなんだよね?

恭介がそう思うのは無理がないほどの豪華さだった
一流ホテルから派遣されたシェフ 
最高級の料理
それを運ぶ完璧な給仕係
会場を盛り上げる生演奏をする楽団
学生が参加する程度のパーティーとは思えない程の設備が整えられており新入生は唖然とした

「さ、好きな所に立って飲み物でも飲んで生徒会のメンバーが揃うのを待っていてくれるかな?」

そう言って優馬は記念ホールの舞台裏に消えていった


何食べようかなぁ。あっ、あのお肉美味しそう!
でも皆いる前でガツガツ食べるのってみっともないし今はジュースだけにしとこうかな

「すみません、リンゴジュースを」
「リンゴジュースですね。かしこまりました」

その辺りに立っていた給仕にそう告げてリンゴジュースを受け取ると恭介はホールの端っこの方に立った

はぁ、やっぱ僕パーティーってなんか苦手だなぁ
周りの目を気にしないといけないし、それに立食じゃなくて普通に座って食べたいし

そんなことを考えている時、ホールの明かりが落とされ舞台に立つ、メガネをかけた女子生徒にスポットライトが当てられた

『新入生の皆さん、この度はこの栄えある桜田門学院高等学校へのご入学誠におめでとうございます。今日は我々生徒会が主催として行っている新入生歓迎会です。皆さん、思いっきり楽しんで下さいね。申し遅れましたが私は本日の司会を務める生徒会の風紀員長をしております佐藤茉莉さとうまりと申します。どうぞよろしくお願いします』

辺りから拍手が起こる

『ではまず、二年生、三年生の入場です』

その言葉と共に舞台脇の扉が開いて上級生らしき人たちが入ってくる

『次は久保隆志くぼりゅうじ生徒会長より乾杯の言葉を頂きます。皆さん、飲み物を手に取って下さい』

司会の茉莉が舞台から降りると入れ替わるように生徒会長の久保隆志が入ってきた

「えー皆様、今年度生徒会長を務めることになった久保隆志くぼりゅうじです。どうぞよろしく。今回は可愛い後輩たちの歓迎会との事なので上級生の皆様は無礼講という事でお願いしますね?下級生の皆様も今日は遠慮することなくどんどん上級生に話しかけて交流を深めてください。では、皆様準備はよろしいでしょうか?」

生徒たちが飲み物を手に持った
隆志はそれを見計らった

「それでは新入生の入学を祝って、乾杯!」

「「「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」」」

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