学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林

文字の大きさ
41 / 44
橋爪 裕翔

第十五話

しおりを挟む
安田やすだ康聖こうせい 視点


安田自動車株式会社の跡取り、安田康聖は焦りを覚えていた。それゆえ、先程から安田家の自室で落ち着きなくうろちょろとしていた
康聖の心配事、それは最近勢力を伸ばしているライバル社、西条自動車の事だった

「なぜ、やつらはこの俺を差し置いて協定を結んでいるのだ!この俺も誘うのが通りだろう!?」

そう、康聖は恭介たち六人が別荘でお泊まり会をしていることを知っていたのだ。その程度のことならば安田家の情報網でいくらでも耳に入る情報だった

「白金家に一条家に西蓮寺家、それに貮百免家だと!ふざけるな!アイツに俺は何も劣っていない!!同じ日本有数の自動車会社の息子として生まれ、同じ歳、それに俺は長男だ!アイツは三男!俺の方が上だ!なぜ!他の奴らはあんなやつと協定など!?」

そう、康聖は大きな勘違いをしていた
ただのお泊まり会をしている恭介たちのことを、名家どうしの協定を結んでいると勘違いしているのだ

「それにあの創命会の息子め!俺を裏切りおって!二度と橋爪家には寄付などしてやるものか!」

数年前、新たに中国での新自動車販売を成功させた西条自動車はその勢いで着々と売上をのばし続けてきた。それは安田自動車をも上回る数字となり、今の状態になっている
だがそれは次期社長である康聖にとって許されることではなかった。だから康聖は父親にある提案をした。

それは関東に強い影響力を持つ月城代議士に金を渡して、土地を格安で売ってもらい、新しく工場を建てるというものだった。父親はすぐに賛成してくれ、その案は上手くいったかのように思われた
だが、西条家にこのことが露見してしまったのだ。どこから情報が漏れたのかは分からないがこれは由々しき事態だった

しかもこのタイミングで月城代議士が肺炎にかかり入院をしてしまったのだ。しかも最近、西条家と仲の良い西蓮寺家の経営する病院だったのだ

そこで康聖は必死に考えた。それで思いついたのが近畿地方で勢力をのばす医療法人創命会の跡取り息子、橋爪裕翔を利用することだった。幸いにも西蓮寺家ほどの財力もなく、少し脅せば簡単に言うことをきくような扱いやすい駒だったため、康聖は裕翔を使い恭介を脅そうとしたがこれも裕翔が寝返ったことで失敗し、今安田家は窮地に立たされていた

「くそくそくそくそ!仕方ない、こうなったら直接俺が大阪に行って、創命会理事長になんとしてでも西蓮寺家と西条家の関係を潰すように仕向けさせてやる!俺を一度裏切ったんだ。この罪は重いぞ!」

恭介たちに安田家という大きな災いがふりかかるのも遅くはない

────────────

前々から名前だけ出てきていた『安田家』の跡取り息子『安田康聖』をようやく出演させることが出来ました!
この物語の最後の敵です!
この物語のクライマックスまであと少しです!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】

瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。 そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた! ……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。 ウィル様のおまけにて完結致しました。 長い間お付き合い頂きありがとうございました!

王道学園のモブ

四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。 私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。 そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

笑って下さい、シンデレラ

椿
BL
付き合った人と決まって12日で別れるという噂がある高嶺の花系ツンデレ攻め×昔から攻めの事が大好きでやっと付き合えたものの、それ故に空回って攻めの地雷を踏みぬきまくり結果的にクズな行動をする受け。 面倒くさい攻めと面倒くさい受けが噛み合わずに面倒くさいことになってる話。 ツンデレは振り回されるべき。

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

前世が俺の友人で、いまだに俺のことが好きだって本当ですか

Bee
BL
半年前に別れた元恋人だった男の結婚式で、ユウジはそこではじめて二股をかけられていたことを知る。8年も一緒にいた相手に裏切られていたことを知り、ショックを受けたユウジは式場を飛び出してしまう。 無我夢中で車を走らせて、気がつくとユウジは見知らぬ場所にいることに気がつく。そこはまるで天国のようで、そばには7年前に死んだ友人の黒木が。黒木はユウジのことが好きだったと言い出して―― 最初は主人公が別れた男の結婚式に参加しているところから始まります。 死んだ友人との再会と、その友人の生まれ変わりと思われる青年との出会いへと話が続きます。 生まれ変わり(?)21歳大学生×きれいめな48歳おっさんの話です。 ※軽い性的表現あり 短編から長編に変更しています

処理中です...