4 / 9
平和を望む者
夢
しおりを挟む「行かないでよ!!お父さん!」
「レイグ。これはお国様からの命令なんだ。 お父さんだけじゃない。他の人も戦争に行かなくちゃいけないんだ。
だから、……だからっ…だから、レイグ。
お父さんが……、いなくなっても…」
「いなくなっちゃ、嫌だ!!やだよ! ……
お父さんは、戦争があるから行かなくちゃいけないんでしょ?…他の人も。」
「そうだ。…だから、」
「じゃあお父さん!僕がたくさん勉強して
偉い人になって、戦争を止めるから!
それまで!!それまで、待ってよ!
…そんなの、いなくならないでよ。死なないでよ。」
「……ごめん。ごめんな。今回の戦争は…
たくさんの国と戦うんだよ。
だから、いつか、お前が…
この戦争の歴史に、終止符を打ってれ。」
「待ってよ…行かないでよ…」
「いつまでも…父さんは、お前のそばにいるよ。」
父さんは、静かに俺の頭を撫でた後、
雪が積もった道を、静かに歩いていく。
一度振り返り、口癖の
「ありがとう。生まれてきてくれて」
父さんが無理矢理、笑顔を作っているのがわかった。…気に入らなかった。無理矢理頑張っているフリをしようとしていることが。
父さんの最後の笑顔から、俺は目を逸らし、
黙って、目の前に積もる雪道を黙って見つめた。
父さんは最後に、「…ごめんなさい。あと、ありがとう。」と言って その道を歩き始める。
そして、それからもう、父さんが帰ってくることはなかった。
戦争が終わって一年後、
父さんの死亡届を渡された9歳の俺は、
一年前と同じように
ただ黙って、あの雪道をずっと見つめていた。
長い時間。ずっと……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おーい、おいー。レイグ~。起きろよ~
アリア婆さんにみつかるぞ?」
「ハッ!!……お、ホントだ。教えてくれて
ありがとな。」
「呑気に爆睡しやがって幸せなやつ…」
「…そうだと…いいな。」
俺が見た夢は、幸せなんてものじゃない。
戦争。この存在こそが、俺の唯一の家族を
奪った。
俺だけじゃなく、多くの人が、この戦争に奪われた。…許せない。…戦争は、この世に存在しちゃいけない。
絶対に。戦争を消してやる。
戦争を歴史を…この人生を捧げて、終わらしてみせる。
「レイグ・アークァー。何をボーっとしてるの? 作業の続きをしなさいっ」
「あ、はい。」
クソ、また考え事して手が止まっちまってた。でもいつか、この目的を…達成
してみせる。
「なぁ、カイヤ。突然変なこと聞くが、
世の中を平和にするには何が必要だと
思う?」
「あ~。なんだろ。例えばぁ、
まず、国を乗っ取って、奴隷を解放すると
か?」
「…なるほど。」
「何真面目に考えてんだって!
そんな、国を乗っ取るなんてさ!
そもそもできないし!」
「いや、できる。順番を逆にするんだ。」
「は?」
そうだ。順番を逆にすれば、行ける。
国を乗っ取るには戦力が必要だ。
俺たちでも、戦力を集めることができる唯一の方法がある。
そう、
「先に、奴隷を味方にする。グリファンデは兵士より奴隷の方が数は勝ってる。」
「お、おう。でも、奴隷に力はないぞ?
武器もないし…」
「そう…だな。」
でも、それでも動かなきゃ何も変わらない。
この先の時代、どうなっていくかわからない。でもどっちにしろ、奴隷を支配下に置いておけば情報が手に入れやすいだろう。
「なぁ。カイヤ。この世を、平和にしたくないか?」
「どういう意味だ?」
「文字通り、この世界を救う。」
「そんなの、できるわけ…」
「俺も今までそう諦めてきた。
だが、あの頃の…父さんとの最後の記憶を見て思った。 戦争に終止符を打たなくちゃ行けないって…。」
「…レイグ。 俺も、戦争が消えてほしい。 同じだよ。レイグ。本気なら手伝う。この世界を、平和に導いてくれ!」
「…っ、そんな大袈裟な。
…でも、それくらい。やってみせる。」
この日から、俺たち2人は平和への道を歩み始めた。
2人で話し合った結果、奴隷の中でも顔の広い人物を雇って、奴隷から情報を集めることにした。
近くにある奴隷商店から、一人一人の奴隷について書かれた調査書を見て、1人の男を雇うことにした。
「この人物がいいだろう。」
「どれだどれだー?」
「モンシュ・リーファ。」
奴隷の中でその名をとどろかせているらしいが……
俺たちと同じ願望を持たない限り…。
今は、この男に頼るしか……ないのか?
0
あなたにおすすめの小説
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる