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第11話 二人の転生者
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マツカゼの背に乗り、リアとサージは小さな声で会話をしていた。
『まさか転生者に助けていただけるとは思いませんでした。鑑定が効かないのも、もらったギフトなんですか?』
さらりとサージは鑑定が使えることをさらした。
『ああ。少なくとも完全鑑定の魔法でも、ステータスは見えないと聞いたな』
王都に住んでいたころ、リアは何人かの転生者の存在を知っていたが、むしろ避けていた。
それは、この人生が新たな人生であり、前世に囚われるのは何か違うと思ったからでもあるし、もっと即物的に、関わってもメリットがなさそうだと思ったからだった。
他の転生者は、前世の記憶をおぼろげにしか覚えていなかったのだ。異世界の知識があれば、たとえば科学分野などでは相当の業績が上げられそうなものだが、そこまではっきりとした記憶を持っている者はいないと、ルーファスは言っていた。
だが、この少年は違うようだった。
『せっかく転生しても、記憶に関するギフトを持っていないと、赤ん坊のうちにかなり忘れちゃうものらしいですよ』
『初耳だ』
ちゃんと言ってます。ある程度の記憶を持って生まれかわれると。
『あれ~? でも、リアさんははっきりと記憶はあるんですよね?』
『記憶に関するギフトかは分からないが、竜の血脈というギフトの中に、色々なギフトが含まれているんだ。たぶんそれだな』
『竜の血脈ですか。なんだか格好いいギフトですね。どれぐらいポイント使ったんですか?』
『1000ポイント』
『ほわっ!?』
『1000ポイントだよ。ちなみに同じ必要ポイントで亜神というのと覇王の卵というのと…なんかいくつかあったな』
『ええーっ! ええーっ!? 1000って! 僕の200ポイントでもかなり多いって言われたのに、いったい前世で何してたんですか!? 大量殺戮でもしたんですか!?』
意味不明の言語で叫ぶ少年に、後続の二人は訝しげな顔をする。
「ルルーさん、あれ何喋ってるんですか?」
「あたしの専門は古代語じゃなかったから…」
古代語と日本語の区別もつかないルルーであった。
『人聞きの悪い。確か女神さんは、魂の強度が高かったのと、人助けをいっぱいしたからポイントが多いとか言ってたぞ』
『へ~、それでもポイント増えるんですか。僕の場合は連続殺人犯を偶然、刺し違えて殺しちゃったんですよ』
それはそれですごいことである。
『それでもらったギフトが、魔法の天稟100、鑑定50、時空魔法適正30、疾病耐性10、毒耐性10 記憶整理10、容姿5、あと色々質問して合計222ポイントでした』
『鑑定ってそんなに必要なのか。魔法でもけっこう簡単に学べるぞ?』
『魔法の鑑定だと、相手が耐性持ってると効かないけど、この鑑定だと看破無効持っていない限りは見切れるんですよ。それよりリアさんは他に何持ってるんですか?』
ワクワクとサージが問いかけてくる。いささかバツの悪い思いでリアは答えた。
『竜の血脈と自己確認だけ。あとは能力値を上げた』
あんぐりと口を開けるサージ。呆れている表情に、理解の色が浮かぶ。
『ひょっとしてリアさんって、ゲームとかしない人ですか? ライトノベルとかも読まないですよね?』
『ドラクエは3までしたな。本は…山田風太郎とか好きだったぞ』
実際の強さを求めて忍術や古武術に手を出してしまうあたり、業の深さはリアの方が上であろう。
それから二人は前世の思い出話などをしたのだが、なんとサージは20歳の若さで死んでしまったのだそうだ。
その代わりゲームやネットの知識が豊富なので、この転生にはかなり計画性を持っていどんだとのこと。
接近戦に関するギフトよりは、ロマンを求めて魔法の才能を。乳幼児の死亡率を考えて、毒耐性と疾病耐性を獲得するところなど、確かに考えている。
『転生物の小説では鑑定とアイテムボックスは必須スキルなんですよ。だからまず鑑定を手に入れて、時空収納を使える時空魔法を手に入れたんです』
なるほど知識も多い。直感で選んだリアとはえらい違いである。
この時空収納という魔法は、リアやルルーの持つ魔法の袋と同じく容量が決まっているのだが、使用者の魔力でその上限が拡大し、さらに中に入っている物の時間が経過しないという点で、かなり違う性能となっている。
『あとテンプレで多いのは、ポイントを獲得して後からスキルを得るとか、他人のスキルを奪うとか、イメージした武器を作り出すとかですかね』
『イメージした武器を作り出すのはいいな。機関銃とか核ミサイルとか、オーバーテクノロジーだろ』
『でも機関銃程度なら効かないモンスターはたくさんいますし、核ミサイルレベルの魔法もありますしね』
『いや、前世の刀欲しいんだよ。イメージで作れるなら、正宗とか村正とか、じっくり見たことあるし』
『リアさん刀主人公ですか。まあ、日本刀は僕もちょっと憧れますけどね』
『一応前世でも、腕なら斬ったことあるんだけどな』
微妙な表情をサージはする。気持ちは分かる。
『古武術でな。剣術をやっていて、ちょっと本物の果し合いをすることになったんだよ。殺し合いとは違ったから、相手の腕を落としたところで立会人に止められたけど』
『どーいう人生を送ってたんですか、あなた。つーか、オークを簡単に殺してましたけど、まだ20歳にはなってないですよね?』
『13歳だ。初めてゴブリンを殺したのが10歳のときだな』
この世界では死は身近にある。そもそも食肉を自分で捌くことも多いため、殺生へのタブーは無きに等しい。
それでもリアの殺戮暦は、同年代に比べてありえないものなのだが、そもそもゴブリンもオークも害獣扱いなので問題はない。
そんな話を続けながら、一行はサージの村へと到着した。
ちなみにルルーとずっと会話をしていたカルロスは幸せそうだった。
それからのやり取りは、ごく簡単なものだった。
村長の前でオークの死体を引き出し、村人の手で村はずれに埋める。数年後には立派な肥料になっているだろう。
サージは一応誉められたが、両親からは散々に叱られていた。平然とした表情をしているところは、さすがというべきだろう。
そしてあえて騎士と分かるカルロスが前面に出て、両親と交渉をする。
サージを旅の仲間に加えようという算段である。
これは本人から申し出てきたもので、リアも了承したものだ。
ルルーとカルロスは最初反対したが、サージの魔法を見ていたから、戦力となることは分かっている。それでもまだ幼すぎるというのが反対の理由だった。
「10歳と言えば、もう私はゴブリンの集落を襲っていたぞ」
「あなたと一緒にしないでください」
だがリアは強硬に主張した。背景にあるのは、迫りくる千年紀である。
人類の危機に向けて、戦力になりそうな人材はなるべく多く育てておかなければいけない。
目的地が迷宮都市ということもあって、ついに二人は説得された。あそこなら、確かに安全にレベルを上げるのには最適だろう。
サージの両親との交渉も、速やかに終わった。
れっきとしたカサリア王国の貴族であるカルロスが、自分の従者として連れて行きたいと願ったのである。加えて本人もその気であり、村にいたサージの師匠となった魔法使いも、これを後押しした。
サージに教えられるものは、もう何もない。老いた魔法使いはそう言ったし、三男であるサージは、村の子供たちからも浮いていたのだ。
翌日、一行は村を出発した。
「そういえば姉ちゃんは、やっぱりカサリアの貴族なの?」
「言ってなかったな。私は王族だよ。父が王なのだけど、母が側室ですらないので、王位継承権はないんだけどね」
「oh…なんたるチート…」
馬とロバの背に揺られ、一行は迷宮都市を目指す。その間には、人間以外の住まう土地が広がっている。
獣人や亜人の住む領域へと踏み込む一同は、なんだかワクワクした気分になっていったのだった。
『まさか転生者に助けていただけるとは思いませんでした。鑑定が効かないのも、もらったギフトなんですか?』
さらりとサージは鑑定が使えることをさらした。
『ああ。少なくとも完全鑑定の魔法でも、ステータスは見えないと聞いたな』
王都に住んでいたころ、リアは何人かの転生者の存在を知っていたが、むしろ避けていた。
それは、この人生が新たな人生であり、前世に囚われるのは何か違うと思ったからでもあるし、もっと即物的に、関わってもメリットがなさそうだと思ったからだった。
他の転生者は、前世の記憶をおぼろげにしか覚えていなかったのだ。異世界の知識があれば、たとえば科学分野などでは相当の業績が上げられそうなものだが、そこまではっきりとした記憶を持っている者はいないと、ルーファスは言っていた。
だが、この少年は違うようだった。
『せっかく転生しても、記憶に関するギフトを持っていないと、赤ん坊のうちにかなり忘れちゃうものらしいですよ』
『初耳だ』
ちゃんと言ってます。ある程度の記憶を持って生まれかわれると。
『あれ~? でも、リアさんははっきりと記憶はあるんですよね?』
『記憶に関するギフトかは分からないが、竜の血脈というギフトの中に、色々なギフトが含まれているんだ。たぶんそれだな』
『竜の血脈ですか。なんだか格好いいギフトですね。どれぐらいポイント使ったんですか?』
『1000ポイント』
『ほわっ!?』
『1000ポイントだよ。ちなみに同じ必要ポイントで亜神というのと覇王の卵というのと…なんかいくつかあったな』
『ええーっ! ええーっ!? 1000って! 僕の200ポイントでもかなり多いって言われたのに、いったい前世で何してたんですか!? 大量殺戮でもしたんですか!?』
意味不明の言語で叫ぶ少年に、後続の二人は訝しげな顔をする。
「ルルーさん、あれ何喋ってるんですか?」
「あたしの専門は古代語じゃなかったから…」
古代語と日本語の区別もつかないルルーであった。
『人聞きの悪い。確か女神さんは、魂の強度が高かったのと、人助けをいっぱいしたからポイントが多いとか言ってたぞ』
『へ~、それでもポイント増えるんですか。僕の場合は連続殺人犯を偶然、刺し違えて殺しちゃったんですよ』
それはそれですごいことである。
『それでもらったギフトが、魔法の天稟100、鑑定50、時空魔法適正30、疾病耐性10、毒耐性10 記憶整理10、容姿5、あと色々質問して合計222ポイントでした』
『鑑定ってそんなに必要なのか。魔法でもけっこう簡単に学べるぞ?』
『魔法の鑑定だと、相手が耐性持ってると効かないけど、この鑑定だと看破無効持っていない限りは見切れるんですよ。それよりリアさんは他に何持ってるんですか?』
ワクワクとサージが問いかけてくる。いささかバツの悪い思いでリアは答えた。
『竜の血脈と自己確認だけ。あとは能力値を上げた』
あんぐりと口を開けるサージ。呆れている表情に、理解の色が浮かぶ。
『ひょっとしてリアさんって、ゲームとかしない人ですか? ライトノベルとかも読まないですよね?』
『ドラクエは3までしたな。本は…山田風太郎とか好きだったぞ』
実際の強さを求めて忍術や古武術に手を出してしまうあたり、業の深さはリアの方が上であろう。
それから二人は前世の思い出話などをしたのだが、なんとサージは20歳の若さで死んでしまったのだそうだ。
その代わりゲームやネットの知識が豊富なので、この転生にはかなり計画性を持っていどんだとのこと。
接近戦に関するギフトよりは、ロマンを求めて魔法の才能を。乳幼児の死亡率を考えて、毒耐性と疾病耐性を獲得するところなど、確かに考えている。
『転生物の小説では鑑定とアイテムボックスは必須スキルなんですよ。だからまず鑑定を手に入れて、時空収納を使える時空魔法を手に入れたんです』
なるほど知識も多い。直感で選んだリアとはえらい違いである。
この時空収納という魔法は、リアやルルーの持つ魔法の袋と同じく容量が決まっているのだが、使用者の魔力でその上限が拡大し、さらに中に入っている物の時間が経過しないという点で、かなり違う性能となっている。
『あとテンプレで多いのは、ポイントを獲得して後からスキルを得るとか、他人のスキルを奪うとか、イメージした武器を作り出すとかですかね』
『イメージした武器を作り出すのはいいな。機関銃とか核ミサイルとか、オーバーテクノロジーだろ』
『でも機関銃程度なら効かないモンスターはたくさんいますし、核ミサイルレベルの魔法もありますしね』
『いや、前世の刀欲しいんだよ。イメージで作れるなら、正宗とか村正とか、じっくり見たことあるし』
『リアさん刀主人公ですか。まあ、日本刀は僕もちょっと憧れますけどね』
『一応前世でも、腕なら斬ったことあるんだけどな』
微妙な表情をサージはする。気持ちは分かる。
『古武術でな。剣術をやっていて、ちょっと本物の果し合いをすることになったんだよ。殺し合いとは違ったから、相手の腕を落としたところで立会人に止められたけど』
『どーいう人生を送ってたんですか、あなた。つーか、オークを簡単に殺してましたけど、まだ20歳にはなってないですよね?』
『13歳だ。初めてゴブリンを殺したのが10歳のときだな』
この世界では死は身近にある。そもそも食肉を自分で捌くことも多いため、殺生へのタブーは無きに等しい。
それでもリアの殺戮暦は、同年代に比べてありえないものなのだが、そもそもゴブリンもオークも害獣扱いなので問題はない。
そんな話を続けながら、一行はサージの村へと到着した。
ちなみにルルーとずっと会話をしていたカルロスは幸せそうだった。
それからのやり取りは、ごく簡単なものだった。
村長の前でオークの死体を引き出し、村人の手で村はずれに埋める。数年後には立派な肥料になっているだろう。
サージは一応誉められたが、両親からは散々に叱られていた。平然とした表情をしているところは、さすがというべきだろう。
そしてあえて騎士と分かるカルロスが前面に出て、両親と交渉をする。
サージを旅の仲間に加えようという算段である。
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ルルーとカルロスは最初反対したが、サージの魔法を見ていたから、戦力となることは分かっている。それでもまだ幼すぎるというのが反対の理由だった。
「10歳と言えば、もう私はゴブリンの集落を襲っていたぞ」
「あなたと一緒にしないでください」
だがリアは強硬に主張した。背景にあるのは、迫りくる千年紀である。
人類の危機に向けて、戦力になりそうな人材はなるべく多く育てておかなければいけない。
目的地が迷宮都市ということもあって、ついに二人は説得された。あそこなら、確かに安全にレベルを上げるのには最適だろう。
サージの両親との交渉も、速やかに終わった。
れっきとしたカサリア王国の貴族であるカルロスが、自分の従者として連れて行きたいと願ったのである。加えて本人もその気であり、村にいたサージの師匠となった魔法使いも、これを後押しした。
サージに教えられるものは、もう何もない。老いた魔法使いはそう言ったし、三男であるサージは、村の子供たちからも浮いていたのだ。
翌日、一行は村を出発した。
「そういえば姉ちゃんは、やっぱりカサリアの貴族なの?」
「言ってなかったな。私は王族だよ。父が王なのだけど、母が側室ですらないので、王位継承権はないんだけどね」
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