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心清らかな公爵令嬢(タラレッダ視点)
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「アルダタ、アルダタ!」
全く、あの美男子の坊やはどこに行ったのかね。
まさかあの後、マリルノ様と一緒に、向こうのお屋敷まで行ったんじゃなかろうね。
まぁ客人をもてなすのも仕事のうちだから、マリルノ様が望まれるなら仕方ないことだね。
私がティーパーティーのお相手をしたのも、あくまで仕事の一環だ……と言いたいところだけれど、あれはさすがにやりすぎだったかもしれないね。
マリルノ様のお言葉に甘えて、クッキーまで頂いちまった。
焼いたことは千度あるけれど、口にしたことはほとんどなかったからね。
あんなにうまいもんかと、思わず自分の腕を褒めたくなっちまったよ。
まぁ、ペドロル様が購入されている材料が良いってこともあるんだろうけどさ。
それにしてもマリルノ様は、素晴らしい人だね。私みたいな使用人にも分け隔てなく接してくれてさ。
このお屋敷に来た客人の中で、あんな人今までいたかい、って話だよ。
そりゃあ身分が違うのだから、お屋敷に来られる方々は、私らみたいな使用人に挨拶する必要もないし名前も覚える必要もない。
でもね、あたしらだって人間なんだよ。マリルノ様みたいに温かく接してくださったら、そりゃあ嬉しいに決まってるじゃないか。
だからね……ちょっと心配ではあるんだよ。マリルノ様はちょっと変わったところもあるけれど、あんなにもお優しくて、真っ直ぐなお方だろう?
それに対して、ペドロル様。
主人のことを悪く言うのは憚られるけれど、あのお方はちょっと。性格的にもそうだし、何より良くないのは……ここだけの話、彼の女癖の悪さだよ。
私たちの耳にはいろんな噂が入ってくる。というのも、使用人たちはみんな噂が大好きだからさ。
それに私らの主たちは、みんな私らをいないものとして扱うだろう?
私らは屋根裏にいるネズミと同じ。
いくら話を聞かれても、ネズミ同士チューチュー鳴くだけだから、何も怖くはないってことだろうよ。
ペドロル様の女癖の悪さなんて、使用人はみんな知ってるよ。あっちにもこっちにも女を作ってるってね。
まぁほとんどは遊びなんだろうけどさ。
でもね、私ら使用人が知っているからって、マリルノ様が知ってらっしゃるとは限らない。だから私、それとなく探ってみたんだ。
「ペドロル様のことはどのように思っておられるのですか?」ってね。
もちろん出過ぎたことだってのはわかってる。
でも「身分なんて関係ないわ、話しましょう」なんてお茶に誘われたこと、一度もなかったからね。
そのくらいのことは聞いてもいいと思ったんだ。
マリルノ様は案の定、悪いことを一つも言わないんだ。
「自分の意志を強く持たれていて立派」とか、「社交性があって、学園でも友人が多い」とかさ。
婚約相手が女遊びしてるかもなんて話、ひとつも出てこない。代わりにされるのは、おうちで飼っているワンちゃんの話!
なんでも、よく散歩で行くお気に入りの場所があって、そこにワンちゃんを連れて行って思い切り遊ぶんだとさ。
なんだか下世話な私の心まで洗われるような気分になったよ。
しかし私みたいなもんは、やきもきもするからね。思わずこっちから言い出したくなったくらいさ。
「ペドロル様には、女性のご友人も少なくないんじゃないですか?」ってね。
もちろんそんなこと、口が裂けても聞けるわけないけどさ。
全く、あの美男子の坊やはどこに行ったのかね。
まさかあの後、マリルノ様と一緒に、向こうのお屋敷まで行ったんじゃなかろうね。
まぁ客人をもてなすのも仕事のうちだから、マリルノ様が望まれるなら仕方ないことだね。
私がティーパーティーのお相手をしたのも、あくまで仕事の一環だ……と言いたいところだけれど、あれはさすがにやりすぎだったかもしれないね。
マリルノ様のお言葉に甘えて、クッキーまで頂いちまった。
焼いたことは千度あるけれど、口にしたことはほとんどなかったからね。
あんなにうまいもんかと、思わず自分の腕を褒めたくなっちまったよ。
まぁ、ペドロル様が購入されている材料が良いってこともあるんだろうけどさ。
それにしてもマリルノ様は、素晴らしい人だね。私みたいな使用人にも分け隔てなく接してくれてさ。
このお屋敷に来た客人の中で、あんな人今までいたかい、って話だよ。
そりゃあ身分が違うのだから、お屋敷に来られる方々は、私らみたいな使用人に挨拶する必要もないし名前も覚える必要もない。
でもね、あたしらだって人間なんだよ。マリルノ様みたいに温かく接してくださったら、そりゃあ嬉しいに決まってるじゃないか。
だからね……ちょっと心配ではあるんだよ。マリルノ様はちょっと変わったところもあるけれど、あんなにもお優しくて、真っ直ぐなお方だろう?
それに対して、ペドロル様。
主人のことを悪く言うのは憚られるけれど、あのお方はちょっと。性格的にもそうだし、何より良くないのは……ここだけの話、彼の女癖の悪さだよ。
私たちの耳にはいろんな噂が入ってくる。というのも、使用人たちはみんな噂が大好きだからさ。
それに私らの主たちは、みんな私らをいないものとして扱うだろう?
私らは屋根裏にいるネズミと同じ。
いくら話を聞かれても、ネズミ同士チューチュー鳴くだけだから、何も怖くはないってことだろうよ。
ペドロル様の女癖の悪さなんて、使用人はみんな知ってるよ。あっちにもこっちにも女を作ってるってね。
まぁほとんどは遊びなんだろうけどさ。
でもね、私ら使用人が知っているからって、マリルノ様が知ってらっしゃるとは限らない。だから私、それとなく探ってみたんだ。
「ペドロル様のことはどのように思っておられるのですか?」ってね。
もちろん出過ぎたことだってのはわかってる。
でも「身分なんて関係ないわ、話しましょう」なんてお茶に誘われたこと、一度もなかったからね。
そのくらいのことは聞いてもいいと思ったんだ。
マリルノ様は案の定、悪いことを一つも言わないんだ。
「自分の意志を強く持たれていて立派」とか、「社交性があって、学園でも友人が多い」とかさ。
婚約相手が女遊びしてるかもなんて話、ひとつも出てこない。代わりにされるのは、おうちで飼っているワンちゃんの話!
なんでも、よく散歩で行くお気に入りの場所があって、そこにワンちゃんを連れて行って思い切り遊ぶんだとさ。
なんだか下世話な私の心まで洗われるような気分になったよ。
しかし私みたいなもんは、やきもきもするからね。思わずこっちから言い出したくなったくらいさ。
「ペドロル様には、女性のご友人も少なくないんじゃないですか?」ってね。
もちろんそんなこと、口が裂けても聞けるわけないけどさ。
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