とりあえず異世界を生きていきます。

狐鈴

文字の大きさ
124 / 144

仮設住宅、建てちゃいます。

しおりを挟む
 なんか寒くて目が覚めました、おはようございます。

 って、今日はやけに冷えるなぁ……と思ったけど、これって母さんの影響だよね?
 マグナスさんは人化してる時は熱気とかを感じないけど、やっぱり真化する前だと力の制御が利かないのかな?

 家の中が寒いので、いつもより一枚多く服を着込んで活動開始。

「おお…シーちゃん、おはよう」
「お爺ちゃん、おはよー」

 お爺ちゃんの来訪から数日、お爺ちゃんは家に泊まっている。
 レイリーも家に入れると狭いので、マグナスさんの寝床で引き取ってもらった。
 帰らなくて良いの? と聞いたんだけど、お爺ちゃんと一緒に戻らないと帰ってこなさそうだから……と嘆いていた。

「今日は昨日より随分と寒くなったようだし、そろそろマグナスから竜鱗を貰った方が良いんじゃないか?」
「そうだね。あとでマグナスさんにお願いしてみるよ」
「その必要はない! 朝一で持ってきたぞ!」

 お爺ちゃんと話をしていたら、唐突にマグナスさんがやって来た。

「起き抜けにマグナスさんの声は頭に響くので、もう少し静かにして貰えると助かります……。でも竜鱗は、ありがたく貰っておきます」
「うむ!」

 朝からマグナスさんは元気だなぁ……
 寒い日の朝は布団から出たくない私にとって、そのテンションは辛い……

「娘ちゃんは、朝って元気ないんだねー」
「朝っぱらからレイリーに会って、元気な人っているんですか?」
「朝から娘ちゃんが手厳しいっ!」
「せっかくのシーちゃんとの団欒に水を差すとは……」
「ガイアスの娘には、この冷気は少々堪えるだろうと思ったから急いで持ってきたのだ! 許せ長老!」
「マグナスさんの竜鱗は暖かいですねぇ……。手がじんわりと暖かく……あ、やっぱり熱いです」

 レイリーを黙らせてから、マグナスさんの持ち込んだ竜鱗で暖を取る。
 でも、そのままだと直接触ってなくても熱いなぁ……

「なら、少し砕くか!」

 マグナスさんは、そう言うと竜鱗を何度も殴り付けて、いくつかの破片を作る。
 私が殴ったら火傷しそう……そもそも砕けるかも怪しいし。

 いくつかに分けた破片を家の各所に置いて、どうにか私が家の中で凍えずにすむ室温にできた。ふぃ~…ぬくぬく
 

「ここまでシーちゃんが寒がるのなら、そろそろ私は外に出なきゃ駄目ね」
「まだ平気だよ……?」
「でも無理をさせて風邪でもひいたら大変よ」

 母さんの心配はもっともだ。
 私は、今生では風邪をひいた記憶はないけれど、村に閉じ込められていた時に、よく風邪をひかなかったもんだと思う。
 最悪、風邪を拗らせて死んでたんじゃないかな……

 エルフのルミーナさんなら風邪に効く薬も取り扱ってるかもだけど、別に風邪をひきたい訳でもないしね。

「なら母さんが、ゆっくりできる場所を用意してくるね」
「無理はしないでね」
「うん!」


 私は食事を摂ると、母さんの為の仮設住宅を作る為に行動を開始する。

「我もついて行こう」
「一人でも大丈夫だよ?」
「レティーツィアの為の場所を用意するとなると、シラハはまた魔力を沢山使うのだろう? それなら、もしも動けなくなった時の為にも我が側に居なければな」
「そうだね。それじゃあ、もし私が倒れたらよろしくね」
「できれば倒れる前にスキルの使用を止めて欲しいのだが……。まぁ、シラハの気の済むようにするといい」

 父さんが少し呆れた様子で、私にそう伝える。
 心配かけない為にも、倒れる事のないようにしないとね。



 私と父さんは、仮設住宅を建てる候補地をいくつか見繕う。
 その中で父さんがお薦めしたのが、神様に会った岩山だった。
 父さん曰く、あの岩山周辺は魔力が濃いわりには魔物も少なくて、なかなかに快適な場所なんだそうな。
 魔力が濃いと、なんだか調子が良くなるらしいんだってさ。

 さすがは神様だなー……と思ったんだけど、そんな場所に仮設住宅建てちゃって良いのかな?
 神様の領域に御利益があるのかは分からないけど、父さんの話を聞く限りだと好ましい場所みたいだし……
 でも、なんか罰当たりな気もするんだよね……どうしよっかな。


 なんて少し悩みはしたけれど、一時的にその場所を使わせて貰うだけだし、神様はきっとそんな些細な事は気にしない…はずっ

 母さんには、居心地良く過ごしてもらいたいしね!

 というわけで【迷宮領域拡大】で、魔力をどばーっと流して私の領域をー……って、岩山に上手く魔力が流れない。
 やっぱり神様の領域だし、それは無理かぁ……ちょっと岩山の表面だけ均したかったんだけどな。

 それが無理なら、周囲の雪に魔力を流して……これなら問題なさそうだね。
 私の領域となった雪を動かして、岩山を雪で固めて、形を整えて……
 よし完成っ!

「今回は作るのが早かったな」
「少し慣れたってのもあるけど、どうも雪は地面を均すのよりは楽みたい」
「なるほどな、扱う物によって難度が変わるのか」
「形が変えやすいからかな? それよりも一度、人化を解いた状態で父さんに上に乗って貰いたいんだけど、良いかな?」
「強度を調べたいのだろう? それくらいは手伝うとも。でなければ後で何をしていたのだ、とレティーツィアに怒られてしまうからな」
「母さんなら怒るんじゃなくて、父さんを蔑んだ目で見てきそうだよね」
「……それは怖いな」

 父さんが竜の姿に戻りながら、雪山と化した元岩山の上に乗って崩れないかを確認していく。
 雪を押し固めれば氷みたいになるし、ここは一年を通して冬みたいだから、暖かくなって溶けちゃう心配もない。

「うむ。特に問題はなさそうだな」
「良かった。父さん、ありがとう」

 父さんによる検証も終わって、無事に仮設住宅は完成だ。

「シラハは魔力をそれなりに使っているし、今日の狩りは我がやっておこう。シラハは、早めに帰って休んでいるといい」
「うん。それじゃあ、今日のご飯は任せちゃうね」
「任せるがいい!」

 父さんの提案はありがたいんだけど、この前は生焼け肉が出てきたし、焼くくらいは私がやろうかなー……とか、ちょっと言い出しにくい。

 まぁ生焼けだろうと生肉だろうと、お腹壊す人なんて誰もいないんだけどね……。
 単純に、その日の焼き加減がレアかミディアムかウェルダンかってだけの話だし。
 あー……お肉の事を考えていたらヨダレが……





「あ、シラハだー。やっほー」
「シラハさん、こんにちは」
「クーリヤさんにルミーナさん、こんにちは。ルミーナさんが畑にいるの珍しいですね」

 私が畑を通りがかると、クーリヤさんとルミーナさんが何やら話をしていた。
 この二人は、よく一緒にいるなぁ。

「時々クーリヤさんの家のお野菜と、ウチの薬を交換してるんですよ」
「ルミーナの作ってくれる薬で野菜が元気になるからねー。虫除けにもなるしー」
「便利なモノがあるんですね」
「私達エルフは森の中で暮らしてるから、虫除けは必需品なのよ」
「森の中に住んでるから、虫とか平気なのかと思ってました」
「虫は無理。私達の家って樹木をくり抜いて作られてるから、虫が湧いたら最悪よ?」

 うわー…それはイヤだ。
 でも木の中に作られた家は見てみたいなぁ。

「虫は野菜を齧って駄目にするから嫌いー」
「こんな寒い場所にも虫って湧くんですね」
「その環境に適した虫は少なからずいるものよ」

 虫の話をしてると、なんか体がムズムズしてくる……。


「そうそう…話は変わるんだけどね。少し前から人間の国がバタバタしてるみたいよ?」
「人間の国って……いくつかあると思うんですけど」
「あー…そうだよね。なんだったかな……たしか帝国とか呼ばれてた気がするんだけど」
「帝国というと、ガルシアン帝国の事ですか?」
「そんな感じだった気がするわ」

 ルミーナさん随分と曖昧な……

「その帝国が、どうかしたのー?」
「なんか鉄製品や食料品を集めてるとか? そんな事を仲間が言ってたの」
「食料はともかく鉄製品を集めてるって、農具とかじゃないんですよね?」
「荷を調べた訳じゃないから、ハッキリとした事は分からないみたいなんだけど、たぶん武器なんじゃないかって」
「なんの為に……って、考えるまでもないですよね」
「まぁ、戦争しかないよねー」
「何処を攻めるのかは、まだ分からないけど、私達エルフが住んでいる森に来るんじゃないかって、皆が不安がってるのよね」

 エルフの森が帝国とどれくらいの距離があるかは知らないけれど、きな臭い動きがあれば警戒はするよね。

「エルフが住んでいる場所は人に知られているんです?」
「知られてはいないはずなんだけど、私達が気が付いてないってだけで相手にはバレているって事も考えられるし……」
「そうですよね」
「最近は誰かが攫われたって話も聞いてないから、大丈夫だと思うんだけど……」
「攫われた事があるんですか?」

 ルミーナさんが怖い事をサラッと言っているけれど、よくある事なのかな……

「昔はそこそこね。攫われて奴隷にされるらしいの。エルフは人間に人気らしいし」
「取り戻そうとかは……」
「したみたいだけど、誰も帰ってこなかったって……。だから昔住んでた場所を捨てて、今私達が住んでいる森に移り住んだらしいの」
「人間は碌なことしませんね……」
「だねぇ……。でも全部の人間が悪い訳じゃないのも分かってるし、どうする事もできないから」

 ルミーナさんの言葉には諦めの感情が含まれている気がした。
 どれくらい前の事なのかは不明だけど、同じ人間がやった事として、なんか気まずい。

「だから人間の街には入らないで、できる範囲で情報を集めてるの。まぁ警戒するくらいの事しかできないんだけど」
「何もしないよりは、良いんじゃないかなー」

 帝国か……あそこには良い印象がないからなぁ。
 力ある人が士官できる実力主義、みたいな事を言ってたっけ?

 そうなると力を誇示する為に、戦争を引き起こすなんて事もありえるのかな……やだやだ。


「そんなに心配なら炎竜様に助けてもらうとか、どうー?」
「クーリヤさんが頼んでくれるの?」
「私より、シラハの言う事の方が聞いてくれる気がするー」
「言いたい事は分からなくもないですけど、引っ越してきたばかりの私が頼み事するのは気が引けるんですけど……」

 こっちに来てから、買い物するのにルミーナさんにはお世話になってるから、力になるのは構わないんだけど……

 もしも本当に帝国が攻めてきた場合、マグナスさんに出動してもらったら、攻めた側が蹂躙されちゃうよね。
 いや……攻めてきたんだから同情はしないんだけど、その場合は一番被害を受けるのは末端の兵士な訳で……その人達の中で強制されて戦争に参加した人が、私がマグナスさんに声をかけたが為に殺される…って言うのが辛い。

 こんな考えをしてる時点で、私は戦争だとか人を指揮する立場は向いてないんだろうけど……もしも、その矛先が全部私に向けられたとしたら問答無用で殺すんだろうなぁ、と矛盾した考えが私の中にはある。


 いや、もっと単純に考えよう……
 全く面識もない兵士の心配と、たまにくる行商とお喋りする程度の付き合いだとしても、どちらかを選ぶとなれば当然ルミーナさんを選ぶ。

 両方を救う?
 無理無理。私に、そこまでの行動力はないし。

 戦争を止めるにしても、ルミーナさん達エルフを避難させるにしても、反発してくる人達は出てくる。
 そんな人達を説得できるほどの影響力なんて私にはない。

 だから、もしもルミーナさん達が危機に陥ったら、それを助ける。
 私に出来る事なんて、そんなもんだ。



「わかりました。マグナスさんには私が話をしておくので、ルミーナさんは何か動きがあれば教えてください」
「ええ、わかったわ。ありがとうシラハさん」

 ルミーナさんが、ホッとした表情になる。
 でも、これってもしもの話だからね。


 このやり取りが杞憂に終わってくれるのが一番だよね。









//////////////////////////////////////////////////////

後書き
神様「たまには扉を置いてある場所の空気でも入れ替えるとするかの……って、なぜ全方位を塞がれておるのじゃ!?」
シラハ「あ、ちょっと岩山を借りてますよ」
神様「これは借りてるという程度ではない気がするのじゃ!」
シラハ「あとで元に戻しておくので大丈夫です」
神様「すでに大丈夫じゃないんじゃが……」
シラハ「母さんの真化が終わるまでで良いんです。でないと母さんの事が気になって気になって、うっかり死んじゃいそうです」
神様「酷い脅し方なのじゃ! 神を脅迫するとか、お主は本当に怖いヤツなのじゃ!」
シラハ「今度、お供物を持ってくるので機嫌をなおしてくださいよ」
神様「妾をモノで釣ろうなどとは……。そういえばテラの世界にはタピオカという物を入れた飲み物があると聞いたのじゃ。それを持ってきてくれたら許してやるのじゃ!」
シラハ「なるほど、わかりました。……タピオカってデンプンだっけ? まぁ、神様はタピオカを食べた事ないだろうしカエルの卵でも入れておけば誤魔化せるよね?」
神様「それだけは絶対にやめるのじゃー!」
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

コンバット

サクラ近衛将監
ファンタジー
 藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。  ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。  忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。  担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。  その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。  その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。  かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。  この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。  しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。  この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。  一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。

処理中です...