136 / 144
おはようございまする!
しおりを挟む
「ん……」
【主の部屋】から外へと意識が戻った事で、空気が変わったのがわかった。
それと、父さんや母さんの匂いもする。
二人の匂いがすると安心するなぁ。
身体が怠い気がするけど、とにかく起きた事を伝える為にも目を開けないと、と思って目を開ける。
すると何度か見た覚えのある天井が視界に映る。
やっぱり領主様に迷惑を掛けちゃってたか……と半ば諦めの気持ちが芽生える。
物事って上手くいかない事が多いよね……
と、思考が遠くに行きそうになってしまったけど、現実を受け止めねばっ
「よっと……」
怠さの残る身体を起こすと、私と同じタイミングで戻ってきたのであろうカトレアさんと目があった。
「おはようさん」
「おはようございます、カトレアさん」
「シーちゃん!」「シラハ!」
カトレアさんに挨拶をしたら、母さんと父さんが詰め寄ってきたので、ちょっとビックリしてしまった。
長時間【主の部屋】に居たせいか、まだ少し切り替えが出来ていない気がする。
「父さん母さん、おはよう。ちょっと寝坊しちゃったみたいでゴメンなさい」
ちょっとじゃないらしいけど……とにかく心配かけてしまった事については謝っておかなきゃね。
「何を言っているの……シーちゃんが謝る必要なんてないわ。目を覚ましてくれれば、それで良いのよ」
「そうだぞ、シラハ。本当に良かった」
母さんが涙ぐみながら私にギューと抱きついてくる。
少し苦しいけど、あったかい……
母さんの背中に手を回して私もギュっとしておく。
母さんに抱きつきながら、ふと部屋を見渡すとカトレアさんが私達のやり取りを見守っていた。
ちょっと恥ずかしい……
「本当に、アンタには甘々なんだね……」
しかも、ちょっと呆れられている気がするっ
「こんな姿を見ていると、なんだか二人が竜だという事を忘れそうになるね……」
と、カトレアさんが呟く。
そっかカトレアさんは、二人が竜だって言うのは知っているんだ。
父さんと母さんが進んで説明したってのは想像がつかないし、カトレアさんが察して確認でもしたのかな?
「シーちゃん、ごめんなさいね。私のせいで辛い思いをさせて……」
私に抱きついて落ち着いたのか、母さんが謝ってきた。
母さんのせいって……倒れた時にも、そんな事を言っていたけれど、気にしないでほしい。
竜の子の魔石を取り込んだ事で、私に真化の影響が及んでいるのだとしても、それは私達の家族としての繋がりでもあるのだから。
「私は寝てただけだから辛くはなかったよ。だから謝るのはナシだよ」
「……わかったわ」
しょうがないわね、といった雰囲気の母さん。
だけど、どうしようもない事で謝られるのも心苦しいからね。
さて……十日も経過しているって話だけど、街はどんな状況なんだろう。
「ねぇ、お爺ちゃん達はどうしてるの?」
さすがに街の外で待機しているなんて事はないと思うけど、確認は必要だ。
「お義父様は散々ゴネていたけれど、レイリーとマグナスが連れ帰ったわ」
「シラハが心配だと喚いてばかりだったな」
「ガイアスも狼狽えてばかりだったと思うわ」
「そ、そんな事ないぞっ」
父さんがあたふたと動揺している姿を見て、ふふっと笑ってしまう。
心配をかけたお爺ちゃんや苦労をかけたレイリーやマグナスさんには、帰ったら何かしてあげないと、かな?
「そういえば、シリューやヨークは?」
ヨークはレイリーのところへ行ってもらったけど、シリューには魔物を倒してもらっていたはず。
「あの子達は、シーちゃんが眠って少ししたら消えてしまったわ」
「え…消え……」
母さんの言葉を聞いて背中がヒヤリとした。
私の中に戻せないでいると消えちゃう?
じゃあ、シリューやヨークは……と、一瞬考えてしまったけど【主の部屋】の中でステータスを確認した時に《紫刃龍騎》と《森林鷹狗》の名前はあったから大丈夫だと自分に言い聞かせる。
以前にナヴィが、シリューとヨークは私の中で溜めた魔力を使って活動するって言ってたし、魔力が無くなったら姿を維持できなくなるってだけのはずだ。きっと。
二人の無事は確認したいけど、今いる所は領主様の屋敷だからね。
さすがに此処で呼び出すのはマズい。
なので次の質問。
「街は特に被害はなかったんだよね?」
被害についてはカトレアさんにも聞いたけど念のため……
「どうなのかしら……私達はシーちゃんに付きっきりだったし、街の事はわからないわ……」
そうだよね……母さん達は街に興味ないもんね。
これは質問した私のミスだね。
「アルクーレの街の被害は軽微だ。怪我人は出たが死者は出なかった」
すると、そこへタイミング良く領主様がセバスチャンさんを連れてやって来た。……と思ったけど、どうもカトレアさんが私が目を覚ました事を報告したらしい。
それで、わざわざ領主様が来てくれたと。
なんか申し訳ないです……
偉い人なのに足を運ばせてばかりな気がするなぁ私。
「突如現れた竜と蛇の魔物が魔物の群れと帝国兵を蹴散らし、アルクーレの街は無傷。まぁ街道が多少荒れはしたが、魔物の群れと争っていたら……という事を考えれば、被害は無かったといっても差し支えないな」
と、領主様自ら説明してくれたけど、ちょっと待って。
魔物と帝国兵?
魔物はともかく帝国兵も一緒に蹴散らしちゃったの?
ちらりと父さんを見ると若干気まずそう。
責めてるんじゃないよ?
何があったのか知りたいだけだよ。
「物見の報告では五体の竜と空を飛ぶ大きな蛇のような魔物が出現したと言う。それらの暴れっぷりが凄まじく、その蛇の魔物が帝国軍にまで牙を剥き、かなりの被害が出たそうだ」
それ……シリューじゃない?
私のせいで帝国兵に被害が出ちゃったって事?
「ち、ちなみに帝国兵には、どれくらいの被害が……?」
恐る恐る尋ねると、
「正確な数は不明だが……二千人以上は死者が出たのではないかと報告を受けている」
「二千……」
数を聞いてクラっとした。
私の中にいる魂と比べれば数は少ないけれど、それでも私の行動で二千人もの死者が出たとなれば、さすがに堪える。
「犠牲になった帝国兵は気の毒だが、それは派兵した側の責任だ。こちらが気にする必要はない」
「そう……ですね」
ヤバい……ちょっと目の前が真っ暗になりそう。
領主様の言い分はもっともだけど、殺したのはシリュー……つまりは私の責任だ。
アルクーレの街を守る為なら、帝国兵だってブッ飛ばす! くらいの気持ちでいたけど、実際にそれだけの人を殺したとなると、それなりに揺らぐよね……
私に危害を加えようとした人を仕留めるのは平気なのにな……
私がショックを受けていると追い打ちとばかりに、領主様がペラリと一枚の手紙を取り出した。
「シラハ……この手紙は君が書いたモノか?」
ああ、私が書いたヤツだ。
だけど、それを認めるのはな……
「なんですかソレ」
「そうか……違うのか」
私が惚けると、領主様はあっさりと引き下がって、手紙をセバスチャンさんに預ける。
良いんですか、それで?
あまりにもあっさりしているので、バレているんじゃ……って気もするけれど、そこにはもう触れないでおこう。
「目覚めたばかりだし、もう何日かはゆっくりして行くといい」
「あ、はい。ありがとうございます」
特に追及される事もなく会話は終了。
そして領主様は退室。
ボロを出しそうだから、追及されなくて良かったけど……
ボフッとベッドに倒れ込むと、さっきの話を思い返してモヤモヤする。
あ~……帝国兵さん、ごめんなさい。
謝って済む事ではないけれど、心の中でだけでも謝っておく。
そして自分のメンタルを守る為にも、一旦思考停止して眠りにつくとしようかな……
◆ルーク・アルクーレ視点
「はぁ……」
シラハとの会話を終えて執務室へと戻り溜息一つ。
「シラハ様に事実確認をしなくて宜しかったのですか?」
「シラハが惚けるのなら、それで構わない。むしろ、そんな事実を抱え込みたくない」
「そのような事を仰って……ですが、あのお二人の前でシラハ様を問い詰めるような真似をすれば、何をされるかわかりませんからな」
シラハが竜を動かせるかどうか、というのは確認しなければならない事ではあるが、今でなくても問題はあるまい。
シラハの両親を怒らせると、恐ろしそうだし……
シラハ自身も本調子ではないだろうしな。
今回、アルクーレの街に被害は無かった。
先日、王都から被害確認に来た役人に、魔物の群れが本当に来たのかと疑われたから、街の西側に大量に山積みになっている魔物の死骸を見せてやったら、青ざめた表情になりながらも漸く信じた様子だった。
虚偽だと発覚すれば領主といえど罰せられるというのに、そんな嘘をつく訳ないだろうが……
帝国側に被害が出た事は王都にも報告済みだから、あとは向こうでどうにかしてもらいたい。
ついでに竜の事も報告はしてはあるが、こちらに関しては半信半疑といった感じだった。
竜が街を守った、なんて話は信じ難いのだろう。
これについては仕方がないと思っている。
逆の立場だったら、私も同じ反応をしそうだ。
あっさりと退いて行った竜の動きは奇妙なもので、これがシラハの指示だと言うのなら多少は納得もできるのだがな……
「ルーク様。事後処理はまだまだ沢山ありますので、頭を悩ますのは手を動かしながらでお願い致します」
「悪魔か……」
「執事でございます」
ニコリと笑いながら、そんな事を宣うセバスを睨みながらも、私は手を動かし始めた。
//////////////////////////////////////////////////////
後書き
シラハ「あくまで執事ですから……とか言わないんだ」
狐鈴「言っても何の伏線にもならないしね……」
シラハ「悪魔な執事さんと名前が同じってだけだしね」
狐鈴「なんで執事=セバスチャンってイメージがあるんだろうね」
シラハ「私に聞かれても……って知らないでセバスチャンの名前を使ってるの?」
狐鈴「まぁ…執事だから~って理由で……」
シラハ「安直!」
【主の部屋】から外へと意識が戻った事で、空気が変わったのがわかった。
それと、父さんや母さんの匂いもする。
二人の匂いがすると安心するなぁ。
身体が怠い気がするけど、とにかく起きた事を伝える為にも目を開けないと、と思って目を開ける。
すると何度か見た覚えのある天井が視界に映る。
やっぱり領主様に迷惑を掛けちゃってたか……と半ば諦めの気持ちが芽生える。
物事って上手くいかない事が多いよね……
と、思考が遠くに行きそうになってしまったけど、現実を受け止めねばっ
「よっと……」
怠さの残る身体を起こすと、私と同じタイミングで戻ってきたのであろうカトレアさんと目があった。
「おはようさん」
「おはようございます、カトレアさん」
「シーちゃん!」「シラハ!」
カトレアさんに挨拶をしたら、母さんと父さんが詰め寄ってきたので、ちょっとビックリしてしまった。
長時間【主の部屋】に居たせいか、まだ少し切り替えが出来ていない気がする。
「父さん母さん、おはよう。ちょっと寝坊しちゃったみたいでゴメンなさい」
ちょっとじゃないらしいけど……とにかく心配かけてしまった事については謝っておかなきゃね。
「何を言っているの……シーちゃんが謝る必要なんてないわ。目を覚ましてくれれば、それで良いのよ」
「そうだぞ、シラハ。本当に良かった」
母さんが涙ぐみながら私にギューと抱きついてくる。
少し苦しいけど、あったかい……
母さんの背中に手を回して私もギュっとしておく。
母さんに抱きつきながら、ふと部屋を見渡すとカトレアさんが私達のやり取りを見守っていた。
ちょっと恥ずかしい……
「本当に、アンタには甘々なんだね……」
しかも、ちょっと呆れられている気がするっ
「こんな姿を見ていると、なんだか二人が竜だという事を忘れそうになるね……」
と、カトレアさんが呟く。
そっかカトレアさんは、二人が竜だって言うのは知っているんだ。
父さんと母さんが進んで説明したってのは想像がつかないし、カトレアさんが察して確認でもしたのかな?
「シーちゃん、ごめんなさいね。私のせいで辛い思いをさせて……」
私に抱きついて落ち着いたのか、母さんが謝ってきた。
母さんのせいって……倒れた時にも、そんな事を言っていたけれど、気にしないでほしい。
竜の子の魔石を取り込んだ事で、私に真化の影響が及んでいるのだとしても、それは私達の家族としての繋がりでもあるのだから。
「私は寝てただけだから辛くはなかったよ。だから謝るのはナシだよ」
「……わかったわ」
しょうがないわね、といった雰囲気の母さん。
だけど、どうしようもない事で謝られるのも心苦しいからね。
さて……十日も経過しているって話だけど、街はどんな状況なんだろう。
「ねぇ、お爺ちゃん達はどうしてるの?」
さすがに街の外で待機しているなんて事はないと思うけど、確認は必要だ。
「お義父様は散々ゴネていたけれど、レイリーとマグナスが連れ帰ったわ」
「シラハが心配だと喚いてばかりだったな」
「ガイアスも狼狽えてばかりだったと思うわ」
「そ、そんな事ないぞっ」
父さんがあたふたと動揺している姿を見て、ふふっと笑ってしまう。
心配をかけたお爺ちゃんや苦労をかけたレイリーやマグナスさんには、帰ったら何かしてあげないと、かな?
「そういえば、シリューやヨークは?」
ヨークはレイリーのところへ行ってもらったけど、シリューには魔物を倒してもらっていたはず。
「あの子達は、シーちゃんが眠って少ししたら消えてしまったわ」
「え…消え……」
母さんの言葉を聞いて背中がヒヤリとした。
私の中に戻せないでいると消えちゃう?
じゃあ、シリューやヨークは……と、一瞬考えてしまったけど【主の部屋】の中でステータスを確認した時に《紫刃龍騎》と《森林鷹狗》の名前はあったから大丈夫だと自分に言い聞かせる。
以前にナヴィが、シリューとヨークは私の中で溜めた魔力を使って活動するって言ってたし、魔力が無くなったら姿を維持できなくなるってだけのはずだ。きっと。
二人の無事は確認したいけど、今いる所は領主様の屋敷だからね。
さすがに此処で呼び出すのはマズい。
なので次の質問。
「街は特に被害はなかったんだよね?」
被害についてはカトレアさんにも聞いたけど念のため……
「どうなのかしら……私達はシーちゃんに付きっきりだったし、街の事はわからないわ……」
そうだよね……母さん達は街に興味ないもんね。
これは質問した私のミスだね。
「アルクーレの街の被害は軽微だ。怪我人は出たが死者は出なかった」
すると、そこへタイミング良く領主様がセバスチャンさんを連れてやって来た。……と思ったけど、どうもカトレアさんが私が目を覚ました事を報告したらしい。
それで、わざわざ領主様が来てくれたと。
なんか申し訳ないです……
偉い人なのに足を運ばせてばかりな気がするなぁ私。
「突如現れた竜と蛇の魔物が魔物の群れと帝国兵を蹴散らし、アルクーレの街は無傷。まぁ街道が多少荒れはしたが、魔物の群れと争っていたら……という事を考えれば、被害は無かったといっても差し支えないな」
と、領主様自ら説明してくれたけど、ちょっと待って。
魔物と帝国兵?
魔物はともかく帝国兵も一緒に蹴散らしちゃったの?
ちらりと父さんを見ると若干気まずそう。
責めてるんじゃないよ?
何があったのか知りたいだけだよ。
「物見の報告では五体の竜と空を飛ぶ大きな蛇のような魔物が出現したと言う。それらの暴れっぷりが凄まじく、その蛇の魔物が帝国軍にまで牙を剥き、かなりの被害が出たそうだ」
それ……シリューじゃない?
私のせいで帝国兵に被害が出ちゃったって事?
「ち、ちなみに帝国兵には、どれくらいの被害が……?」
恐る恐る尋ねると、
「正確な数は不明だが……二千人以上は死者が出たのではないかと報告を受けている」
「二千……」
数を聞いてクラっとした。
私の中にいる魂と比べれば数は少ないけれど、それでも私の行動で二千人もの死者が出たとなれば、さすがに堪える。
「犠牲になった帝国兵は気の毒だが、それは派兵した側の責任だ。こちらが気にする必要はない」
「そう……ですね」
ヤバい……ちょっと目の前が真っ暗になりそう。
領主様の言い分はもっともだけど、殺したのはシリュー……つまりは私の責任だ。
アルクーレの街を守る為なら、帝国兵だってブッ飛ばす! くらいの気持ちでいたけど、実際にそれだけの人を殺したとなると、それなりに揺らぐよね……
私に危害を加えようとした人を仕留めるのは平気なのにな……
私がショックを受けていると追い打ちとばかりに、領主様がペラリと一枚の手紙を取り出した。
「シラハ……この手紙は君が書いたモノか?」
ああ、私が書いたヤツだ。
だけど、それを認めるのはな……
「なんですかソレ」
「そうか……違うのか」
私が惚けると、領主様はあっさりと引き下がって、手紙をセバスチャンさんに預ける。
良いんですか、それで?
あまりにもあっさりしているので、バレているんじゃ……って気もするけれど、そこにはもう触れないでおこう。
「目覚めたばかりだし、もう何日かはゆっくりして行くといい」
「あ、はい。ありがとうございます」
特に追及される事もなく会話は終了。
そして領主様は退室。
ボロを出しそうだから、追及されなくて良かったけど……
ボフッとベッドに倒れ込むと、さっきの話を思い返してモヤモヤする。
あ~……帝国兵さん、ごめんなさい。
謝って済む事ではないけれど、心の中でだけでも謝っておく。
そして自分のメンタルを守る為にも、一旦思考停止して眠りにつくとしようかな……
◆ルーク・アルクーレ視点
「はぁ……」
シラハとの会話を終えて執務室へと戻り溜息一つ。
「シラハ様に事実確認をしなくて宜しかったのですか?」
「シラハが惚けるのなら、それで構わない。むしろ、そんな事実を抱え込みたくない」
「そのような事を仰って……ですが、あのお二人の前でシラハ様を問い詰めるような真似をすれば、何をされるかわかりませんからな」
シラハが竜を動かせるかどうか、というのは確認しなければならない事ではあるが、今でなくても問題はあるまい。
シラハの両親を怒らせると、恐ろしそうだし……
シラハ自身も本調子ではないだろうしな。
今回、アルクーレの街に被害は無かった。
先日、王都から被害確認に来た役人に、魔物の群れが本当に来たのかと疑われたから、街の西側に大量に山積みになっている魔物の死骸を見せてやったら、青ざめた表情になりながらも漸く信じた様子だった。
虚偽だと発覚すれば領主といえど罰せられるというのに、そんな嘘をつく訳ないだろうが……
帝国側に被害が出た事は王都にも報告済みだから、あとは向こうでどうにかしてもらいたい。
ついでに竜の事も報告はしてはあるが、こちらに関しては半信半疑といった感じだった。
竜が街を守った、なんて話は信じ難いのだろう。
これについては仕方がないと思っている。
逆の立場だったら、私も同じ反応をしそうだ。
あっさりと退いて行った竜の動きは奇妙なもので、これがシラハの指示だと言うのなら多少は納得もできるのだがな……
「ルーク様。事後処理はまだまだ沢山ありますので、頭を悩ますのは手を動かしながらでお願い致します」
「悪魔か……」
「執事でございます」
ニコリと笑いながら、そんな事を宣うセバスを睨みながらも、私は手を動かし始めた。
//////////////////////////////////////////////////////
後書き
シラハ「あくまで執事ですから……とか言わないんだ」
狐鈴「言っても何の伏線にもならないしね……」
シラハ「悪魔な執事さんと名前が同じってだけだしね」
狐鈴「なんで執事=セバスチャンってイメージがあるんだろうね」
シラハ「私に聞かれても……って知らないでセバスチャンの名前を使ってるの?」
狐鈴「まぁ…執事だから~って理由で……」
シラハ「安直!」
68
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
コンバット
サクラ近衛将監
ファンタジー
藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。
ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。
忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。
担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。
その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。
その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。
かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。
この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。
しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。
この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。
一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる