とりあえず異世界を生きていきます。

狐鈴

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新しいスキルの検証

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「うーむむむぅ……どの魔石を取り込もうかなぁ」

 ナヴィとの話が終わり戦利品回収も終わったので、その場に留まって、どの魔石を取り込むべきか……と悩んでいます。

「ロックスコーピオンとゴーレムみたいな岩地にいるような魔物の魔石か…………。それともアイスリザード、スノーゴーレム、スノーウルフの寒冷地にいる魔物か……はたまた、さっきのオーガさんの魔石も有りだね」

 私の持つスキル【竜鱗(剣・氷)】は、氷と表記はされているけれど、使った感じだと氷を帯びた竜鱗という感じなので、氷雪系のスキルといった属性っぽさがあまりない。
 無くはないけど薄いと言いますか……刺さったら少し凍るだけだし。十分脅威にはなるな……

 なので岩系……属性で言うなら土属性系統になるのかな? それと氷、または雪系統のスキルの両方を獲得しておきたい。
 火水土風といった属性も備えておけば選択肢増えるしね。
 あれ……雪や氷は水系統の属性に分類されるで良いんだよね、きっと。

「よし、とりあえずはさっきのオーガさんっぽい魔物の魔石にしよう。私の打撃に耐えたスキルもあるかもだし。というわけでペタっとな」

『フロストオウガの魔石を確認しました。
 領域を確認、魔石を取り込みます。

 フロストオウガの魔石の取り込みが完了しました。
 スキル【剛体】【衝撃吸収】【氷焔】が
 使用可能になりました。
【剛体】は重複するため表示されません』

 おー、スキルが三つも。
 【剛体】は持ってたけど。

 そしてオーガさんかと思ってたらオウガさんだった。
 まぁ似たようなもんだ。
 スキルの確認は後回しにして、お次はリンクだ。

「リンクするとなると、いずれはヨークやシリューみたいに表に出てこられるようになるって事だよね」
「グルルゥッ」
「わふぅ!」

 私のそばで待機していた二人が意味を理解しているのか嬉しそうに返事をする。
 将来的に、この子達みたいな家族が増える……って考えると組み合わせも少し考えないとなぁ。
 私が取り込んでいる魔石達がこれで……


  領域:《紫刃龍騎》《森林鷹狗》 サハギン
      フォレストマンティス 
      ハイオーク エアーハント シャドー
      迷宮核 シペトテク
      ジャガール(異) アーマードゴブリン
      フロストオウガ(0)

 サハギン、ハイオーク、アーマードゴブリン、フロストオウガあたりは……組み合わせても碌な事にならない気がする。
 半魚人ゴブリンオークオウガ……なまじ人型なだけに、ヨークやシリューの様に触れ合うのが辛そう……
 いや、まさかの突然変異で人型の子が出てきたとしても冷遇したりはしないけどもっ

 さすがにオークに迫られるのは無理……

 ま、まぁ話しが逸れちゃったけど、迷宮核もリンクができないってナヴィが言ってたし、シペトテクもどんな魔物か知らないから怖いし……スキルは凄いんだけどね。
 そうなると選択肢がほとんどないな……

 まぁ無理に突拍子もない組み合わせする必要もないし、コレとコレかな……それと魔石はコッチだっ

『シャドーとジャガール(異)の魔石をリンクしました。

 ロックスコーピオンの魔石の取り込みが完了しました。
 スキル【擬態】【毒液】が
 使用可能になりました。
 【擬態】は【気配偽装】に統合される為、表示されません』

「よし。完了っと」

 これであとは新しいスキルの確認だけだね。

【気配偽装】周囲のモノに気配を偽装する。

【毒液】毒液を出す。

【衝撃吸収】衝撃を吸収する。

【氷焔】冷たい焔。



 うーむ……【気配偽装】は、良くなったのかどうなのか……。
 まぁ私は気配を消して行動とかできないから、そこは嬉しいんだけど姿見られたらアウトって事だよね?
 いや待てよ。
 そもそも【擬態】使った時は匂いで簡単にバレたし、私としてはコッチの方が使いやすいのかもしれない。

 とりあえず【気配偽装】ON!

「ゔぉふ?!」
「って、どしたのヨーク?」

 私がスキルを使用するとヨークが驚いた様な反応をして私の周囲の匂いを確認しだした。
 そんなにふんふん匂い嗅いでどうしたのさ。

 ヨークがそんな感じなのにシリューは私の方をジっと見ている。
 ヨークとシリューの反応の違いがわからない……
 二人の言ってる事が分かればいいのになぁ。

 とりあえず【気配偽装】は保留で次は【毒液】!

 スキルを使ってみると手の平から、紫色の毒々しいドロリとした液体が溢れてきた。

「ぎにゃああ!? 汚なっ! なにこればっちぃ!」

 ボタボタと溢れる紫色の液体を見て、咄嗟にその場から離れたくなるけど私自身から出てきているので逃げられない。
 なので、すぐにスキルを止める。

「何コレ、こんなの使いたくない……」

 コレはロックスコーピオンのスキルだ。じゃあアレだ。
 本当なら蠍の尻尾のトゲの辺りから出るヤツだ。
 少なくとも手の平からドバドバ出すヤツじゃない。

 私の手から溢れた毒液が、雪を紫色に染めていた。

「あー。かき氷食べたい」

 ちょっと現実逃避してみた。
 とはいえ、さすがにこの毒で汚染された場所の放置は不味いと思う。
 思うので……

「【迷宮領域拡大】してからの【迷宮創造】で、毒の除去っ!」

 出来るか分からないけれど、何もせずに放置する訳にもいかないので【迷宮領域拡大】で毒液が拡がっている雪と地面を領域化する。
 そして毒と混ざった雪と雪解け水を綺麗な水に……できた!
 あとは毒が染み込んだ地面から、毒を消せれば…………おっ、コッチもできたっ

「ふー……汚染除去完了! 焦った……」

 なんでスキル検証で、こんなにも疲れなければいけないんだ……
 いや【毒液】だもんね。こうなる事は予測するべきだったか……
 これは【毒液】は使い方を考えなきゃだなぁ。
 後片付けは問題ないとして……

 それにしても【迷宮領域拡大】と【迷宮創造】は、思ったより出来る幅が広いのかな?
 石や木の加工に使っていたけれど、毒の処理もできるなんて便利かも。
 出来なかったら、とりあえず収納して捨てる場所を探さなきゃだったよ。

「さてさて、お次は【衝撃吸収】!」

 さっそく【衝撃吸収】を使ってみたけれど、コレは攻撃を受けてみないと効果が分からないかな?

「ヨーク、こっちにどーんっておいで」
「わふ? ……わふん!」

 最初、私の言いたい事が分からなかったらしいヨークが、首をコテンと傾げて若干の間をおいてから、私の意図を察したらしく嬉しそうに胸に向かって突っ込んできた。

「おっとと……よーしよし。良い子だねー」

 ヨークが私の胸に飛び込んできたけれど、いつもなら胸に頭突きをされると、ゴフっと肺の空気が口から漏れる程度には衝撃を受けるのに、今回はそれが無かった。

 体重がかかっているので、すぐに半歩程度うしろに下げられたけど、衝撃が軽減……いや吸収か。されると随分と違うなぁ。
 どの程度までの衝撃なら許容できるんだろう。
 いくらでも? ……さすがにそれは無いか。
 それにそんな実験したら死にかねない。
 一度なら平気とはいえ私だって死にたくないし、確実に周囲からストップがかかる。

 …………いや、マグナスさんは面白いとか言って喜んで協力しそうだ。

 まぁ、ともあれこの【衝撃吸収】があれば攻撃で怯む事が少なくなるはず。
 打撃はもちろんの事、刃物相手の斬撃や刺突も竜鱗などで受けた時の衝撃を無くせるだけで、かなり動き易くなるはずだ。
 うん、いいね。


 さて最後のスキルはコイツだ。
 【氷焔】
 冷たい焔って何だよ。
 氷系なのか炎系なのか、どっちだよ。

 さっき戦った時にフロストオウガが足を焼いてたから、火として使えるうえに、冷たいって事?
 【氷焔】で焼いたお肉って食べられるのかな……?

 とりあえず【氷焔】を使用。

 スキルを使うと私の掌に青白い炎が灯る。

「やっぱり、さっきみた光だ。というか炎だ」

 私の手の上でユラユラと揺れる炎は、なかなかに綺麗だ。

「でも熱くないな……」

 綺麗だけど、それだけだ。
 熱を感じない。
 ライターだって、あんなに小さい火なのに熱は感じられる。
 でも【氷焔】には、それがない。

「うーん。下手に触るのも怖いし、また魔物に使っての検証しかないかな」

 と、魔物さんに酷い事をしようかと考えていて、ふと思い至る。

「そうだ。さっき倒した魔物を炙ればいいんだ」

 思い至れば、すぐに行動あるのみ。
 すぐに収納したフロストオウガを取り出して見る。

「やっぱり炙ってた足の部分は焼けてるよなぁ」

 それを確認してから、他の箇所を焼きはじめる。

 すると肉の焼ける香ばしい匂いがし始める。
 焼き肉食べたい。
 それにしても魔物の姿そのままなのに、焼き始めて美味しそうに感じるなんて……私、毒されているなぁ。
 前世だったら下手したら当分は、お肉が食べられなくなりそうな事をしている気がする。

 いくらか焼けたところでスキルを消して、焼いた箇所を観察する。
 見た目は焼けてる……
 お次は焼いた箇所にそっと触れてみる。

「むっ……冷たい。凍っているみたいに冷たいぞ……」

 ペチペチと触ってみると、表面は焼けていて中が凍っているようにみえる。
 一応、切って確認もする。
 うん。凍ってるね。

「何コレ、炎みたいに燃えひろがるし焼けるのに、凍るの? 凶悪すぎない?」

 魔物ならまだしも、人には使わない方がいいね。

 あと森で使ったら大惨事になりそう。
 雨が降ってても消えないのかな?
 その辺も、後々に検証してかなきゃだね。


 よしっ!
 このへんで終わりにしようか!

 今日も有意義なスキル検証だったね!

 いや【氷焔】は怖すぎでしょ……


 なんかドッと疲れたので、シリューに跨って帰る事にしましたよ。




//////////////////////////////////////////////////////


後書き
狐鈴「紫色のかき氷って何味があるんだろう」
シラハ「私の毒液シロップなら、ここにあるよ?」
狐鈴「シラハなら食べられるだろうけど、私は死んじゃうから!」
シラハ「シャクシャク……うん不味い」
狐鈴「うわぁ……」
シラハ「ドン引きするなよっ! こんな体にしたのアンタでしょ!」
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