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ぺたんこ胸のエルフ娘がビキニアーマーを着て今日はオークにおっぱいを狙われちゃうようです①
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「だからねぇ! わたしがねぇ! こう……バサッと切りつけたの!」
冒険者酒場は今日も繁盛していた。
夕闇に包まれだして一仕事終えた冒険者たちで溢れるその一角。
エルフと人間とホビットの一組がテーブルを囲んでいる。
「もうギリギリで凶悪な親玉オークの鼻先を掠めた……いや、あれは……。当たってた! うん、そう! ズバっと切ってやったわ!」
どうやらべろべろになったエルフが他二人を相手に武勇伝を語っているようだった。
金色の髪を後ろで結ったその顔は、麦酒に満たされた杯を片手にへべれけになっていても見目麗しい。
ヘレンさんだった。
そして聞かされているのはジョッドとヤク。
オークたちに散々好き放題されて放り出された帰り道、やりきれないヘレンさんは酒場にいたジョッドとヤクを捕まえたのだった。
「そして逆上した化け物はすごい勢いで突っ込んでくる! もうなりふり構わなくなって手下も襲ってくる! さすがのわたしも多勢に無勢! そして!……そして……」
「……そして?」
一旦詰まった様子のヘレンさんにジョッドが合いの手を入れる。
たぶんいい感じの言い回しを優美で華奢な頭の中で必死に考えているのだろう。
こういうときの彼女は無駄にがんばり屋さんだった。
次の瞬間、ピコーンと頭の上に閃きの光が灯るのが傍目にもわかった。
「そして……っ! 状況を冷静に判断したわたしは気合とともに一閃! 思わず仰け反るオーク達! その隙を見て、戦略的撤退に移ったの! これはただ逃げたわけではないわ! 勝機が無いとわかれば無理をしないで、一時的に退くのも戦法なのよ! だから相手の様子を偵察できた上に無事に帰ってこれた! これはもう勝利と言っても過言じゃないかしら!」
一気に言い切ると、ぐいーっと杯をあおる。
満杯だった酒が半分も無くなった。
はーっと息を吐きながら、一旦静かになる。
勇ましさもなりを潜め、テーブルに半眼の視線を落としている。
とりあえず終わったのかな?と判断したジョッド。
「まあ、なんにしろ勝ったんなら、もう行かなくてもいいんじゃない? オークなんかにこだわる必要なんてないよ。ましてや戦士になってさ」
ぴくりと肩が反応するヘレンさん。
やがてわなわなぶるぶると取っ手を握った手が震えだす。
あ、やばい、踏んじゃったかな? まずいところを?
と、危惧するももう遅かった。
「……オークなんか? なんかってなによ! あいつらっ! あいつらがわたしに何をっ!……」
そこで固まる。
あぁ、なんかされたんだなぁと察した。
ジョッドはそこでとどまるだけの配慮があったが、横に座っていたヤクは違った。
それまで黙って聞いていた真面目な狩人は聞いてしまう。
「何かされたのか?」
「…………」
沈黙が落ちる。
それは大噴火の前兆だった。
「なんにもされてないわよっ!! されるわけないでしょう!? もう! 変なこといわないでっ!! ハレンチなこと言わないでっ!! 不愉快だわっ! ……もう帰る。……おうち帰るっ!!」
別に変なこともハレンチなことも言ってないから、大体わかってしまった。
二人は不憫そうに可哀想な子を見る目で、興奮のあまり幼児退行しながら席を立ったエルフの背中を見ていた。
ほとんど半裸の綺麗な背中はどこで悪戯されてもおかしくないエッチなものだった。
そうしてぷりぷりとヘレンさんが帰っていった後。
静かになったテーブルを二人で囲み、酒を口に運ぶ。
やがて。
「……でもさ」
「ああ」
「そんな目にあってまで、なんで戦士でオークと闘うことにこだわるんだろうね?」
「……俺には」
「うん」
「ヘレンさんだからとしか言いようがないな」
「……」
「……」
「……そうだね」
考えるだけ無駄だということを二人は確認した。
それだけでも収穫だった。
………
ふらつきながら家路を急ぐ。
酔った上に興奮しているため足運びはふらふら。
煮えくり返った頭でヘレンさんは屈辱の記憶を反芻していた。
天才魔法使い。
数千年に一人の風の使い手。
シルフェの加護を得た者。
それがヘレンさんがかつて欲しいままに得ていた称号だった。
生まれた瞬間に両親は自分から発せられる魔力の天稟に歓喜した。
物心ついたころには初級魔法はおろか中級魔法もおもちゃにしていた。
そして魔法学院に入学してからは突出した才能を存分に開花させて将来を嘱望されたエリート魔法使いの道を驀進した。
そんな自分だからこそ、魔力とは真逆に完全に抜け落ちていた運動能力に劣等感を持っていた。
必須科目の武技基礎訓練ですらぎりぎり、補修を重ねてお情けでやっと取った時には悔しくて恥ずかしくて周囲全てを最大風魔法でぶっ飛ばしてやろうかとさえ思った。
そして才能だけでなく、努力と思い込みの強さにも恵まれていたがんばり屋さんは自分の唯一の欠点を埋めるために一念発起する。
魔法を使わないで魔物と闘えるようになる!
せめて人並みに戦士っぽく動けるようになれば、魔法だけで調子に乗ってる勘違い野郎だと思われなくてすむ筈だ!
とりあえず最弱な魔物でも倒して、慣れていくことに決めた。
知識だけはいろいろあるが、こと剣を使った戦闘においてもっとも弱い魔物となると、経験者に聞くのがいい。
だから戦士職の知り合いに実戦において一番弱い魔物を聞いた。
すぐに教えてくれた。
だが、恐らくとんでもないくらい余計な一言もその戦士は言ってしまったのだ。
「一番弱い魔物? ああ、オークだな。あいつらに勝てないようなら戦士以前の問題だ。馬の糞よりも価値がないかもしれないな」
そうして誰も自分を知らない筈の辺境の街までわざわざやってきて。
やっと見つけたオーク達との死闘が始まったのだった。
馬の糞どころか、すき放題身体を弄ばれておしっこを漏らしてしまうという、死んでも死に切れない大きな十字架を背負って。
それまでおぼつかないなりに交互に運んでいた足をぴたりと止める。
辺境の冒険者街、宿屋が連なる通りには馬がつながれている。
馬臭い。
その匂いがこれまでの記憶を喚起したのに違いなかった。
そして決意に満ちた眼差しで夜空に浮かぶ星を見上げた。
毛むくじゃらで邪悪な顔をしたオーク達の顔が思い浮かぶ。
「わ、わたしは馬の糞じゃない! お前らを倒して……馬の糞じゃないことを証明するんだーーーっ!」
ぶりっと。
すぐ横につながれていた馬が大きなヤツを放った。
………
「親愛なる戦友諸君。わたしはそろそろ次の段階へ進みたいと思う」
厳かに告げる声。
それは崇高な目的意識に基づいた使命感に満ちたものだった。
「ま、まさか」
「もしやアレですかっ!」
「そんなっ! まだ早いのでは!?」
ざわざわとざわつき始める。
しかしそんな周囲の様子に発言した当人は全く動じている様子は無い。
あるのはただやるべきことを為すという自然体の決意の塊。
テーブルの上に肘を突き、組んだ毛むくじゃらの手のひらにイノシシ鼻を押し付けた顔の目は堅く閉じられている。
眉に深く刻まれた皺には厳粛という言葉だけが似つかわしい。
「もはや機は熟した。諸君らは気がついてないようだが、前回の状況からわたしは勝機を見出したのだ。そう……」
カッと眼光鋭く見開いた。
「ヘレンさんのおっぱいを戴くのだ!!」
声高らかにボスオークは宣言した。
一瞬の沈黙の後。
一気に沸き立つ子分オークたち。
「……っすっげーー!!」
「マジで!? い、いや、マブで!?」
「あのカワイコちゃんのおっぱいを丸出しにしちゃうんすか!?」
「ボス、あんた、やるときはやるヒトだとおもってたYO!」
そうして口々に称える声が上がり、やがてそれはボスオークコールへと成っていく。
「ボース! ボース! ボース! …………」
そのころにはボスオークもにこやかに手を上げてその声に応えていた。
困難な偉業へと挑戦する指導者と、その部下たち。
いまや完全に心はひとつ。
組織としてこれ以上はない一体感に包まれながら、ボスオークは言葉を紡ぐ。
「ヘレンさんのぺたんこ胸がこの世界に生まれたただの奇跡だというのは言うまでもないが、いよいよそれを直接拝ませていただく時が来たのだと確信した! 布一枚で包まれていてもあれだけ魅了するもの、むき出しにしてもろだしにしたらどんな風になってしまうのか想像するだけで恐怖すら感じる。しかし我々は恐れてはいけない。現世に降臨した女神の賜物を拝まずに栄えある雑魚モンスターに生まれた意味など果たしてあろうか! オークの本懐はそこにあり!」
「「イエッサーっ!!」」
「それでは作戦を説明する! ヘレンさんが来るのを待つ! 来たら適当に戦ってあげる! そして良い感じのタイミングで襲って……おっぱいを拝ませていただく! あとは各自の判断で動け!」
「「イエッサーっ!!」」
完璧な作戦であった。
子分オーク達は肩を組み、「やろうな」「ああ、やってやろうぜ」「俺たちなら出来るさ」などと涙を流して沸き立っている。
”フフフ、こいつら。ひよっこどもが一丁前の顔になりやがった”とボスオークは部下たちの成長にまんざらでもない気分に浸っていた。
そしてイノシシ顔のモンスターたちの興奮が最高潮に達したその時。
カランカランと見張りからの鳴子が音を立てた。
ぴたりと落ちる静寂。
木製の板が鳴らす音の信号を受け取った子分オークは緊張した声を上げる。
「金髪! 可愛い! ぺったんこ! パターンオールグリーン! ヘレンさんです!」
一同に衝撃が走る。
まさに今。
歴史が変わろうとしている。
「この時が来たか……。さあ野郎ども! 俺たちの男坂を駆け上ろうぜ!!」
そのボスオークの宣言で。
後に「ちっぱいの夜明け作戦」と呼ばれる一大侵攻作戦は始まったのであった。
冒険者酒場は今日も繁盛していた。
夕闇に包まれだして一仕事終えた冒険者たちで溢れるその一角。
エルフと人間とホビットの一組がテーブルを囲んでいる。
「もうギリギリで凶悪な親玉オークの鼻先を掠めた……いや、あれは……。当たってた! うん、そう! ズバっと切ってやったわ!」
どうやらべろべろになったエルフが他二人を相手に武勇伝を語っているようだった。
金色の髪を後ろで結ったその顔は、麦酒に満たされた杯を片手にへべれけになっていても見目麗しい。
ヘレンさんだった。
そして聞かされているのはジョッドとヤク。
オークたちに散々好き放題されて放り出された帰り道、やりきれないヘレンさんは酒場にいたジョッドとヤクを捕まえたのだった。
「そして逆上した化け物はすごい勢いで突っ込んでくる! もうなりふり構わなくなって手下も襲ってくる! さすがのわたしも多勢に無勢! そして!……そして……」
「……そして?」
一旦詰まった様子のヘレンさんにジョッドが合いの手を入れる。
たぶんいい感じの言い回しを優美で華奢な頭の中で必死に考えているのだろう。
こういうときの彼女は無駄にがんばり屋さんだった。
次の瞬間、ピコーンと頭の上に閃きの光が灯るのが傍目にもわかった。
「そして……っ! 状況を冷静に判断したわたしは気合とともに一閃! 思わず仰け反るオーク達! その隙を見て、戦略的撤退に移ったの! これはただ逃げたわけではないわ! 勝機が無いとわかれば無理をしないで、一時的に退くのも戦法なのよ! だから相手の様子を偵察できた上に無事に帰ってこれた! これはもう勝利と言っても過言じゃないかしら!」
一気に言い切ると、ぐいーっと杯をあおる。
満杯だった酒が半分も無くなった。
はーっと息を吐きながら、一旦静かになる。
勇ましさもなりを潜め、テーブルに半眼の視線を落としている。
とりあえず終わったのかな?と判断したジョッド。
「まあ、なんにしろ勝ったんなら、もう行かなくてもいいんじゃない? オークなんかにこだわる必要なんてないよ。ましてや戦士になってさ」
ぴくりと肩が反応するヘレンさん。
やがてわなわなぶるぶると取っ手を握った手が震えだす。
あ、やばい、踏んじゃったかな? まずいところを?
と、危惧するももう遅かった。
「……オークなんか? なんかってなによ! あいつらっ! あいつらがわたしに何をっ!……」
そこで固まる。
あぁ、なんかされたんだなぁと察した。
ジョッドはそこでとどまるだけの配慮があったが、横に座っていたヤクは違った。
それまで黙って聞いていた真面目な狩人は聞いてしまう。
「何かされたのか?」
「…………」
沈黙が落ちる。
それは大噴火の前兆だった。
「なんにもされてないわよっ!! されるわけないでしょう!? もう! 変なこといわないでっ!! ハレンチなこと言わないでっ!! 不愉快だわっ! ……もう帰る。……おうち帰るっ!!」
別に変なこともハレンチなことも言ってないから、大体わかってしまった。
二人は不憫そうに可哀想な子を見る目で、興奮のあまり幼児退行しながら席を立ったエルフの背中を見ていた。
ほとんど半裸の綺麗な背中はどこで悪戯されてもおかしくないエッチなものだった。
そうしてぷりぷりとヘレンさんが帰っていった後。
静かになったテーブルを二人で囲み、酒を口に運ぶ。
やがて。
「……でもさ」
「ああ」
「そんな目にあってまで、なんで戦士でオークと闘うことにこだわるんだろうね?」
「……俺には」
「うん」
「ヘレンさんだからとしか言いようがないな」
「……」
「……」
「……そうだね」
考えるだけ無駄だということを二人は確認した。
それだけでも収穫だった。
………
ふらつきながら家路を急ぐ。
酔った上に興奮しているため足運びはふらふら。
煮えくり返った頭でヘレンさんは屈辱の記憶を反芻していた。
天才魔法使い。
数千年に一人の風の使い手。
シルフェの加護を得た者。
それがヘレンさんがかつて欲しいままに得ていた称号だった。
生まれた瞬間に両親は自分から発せられる魔力の天稟に歓喜した。
物心ついたころには初級魔法はおろか中級魔法もおもちゃにしていた。
そして魔法学院に入学してからは突出した才能を存分に開花させて将来を嘱望されたエリート魔法使いの道を驀進した。
そんな自分だからこそ、魔力とは真逆に完全に抜け落ちていた運動能力に劣等感を持っていた。
必須科目の武技基礎訓練ですらぎりぎり、補修を重ねてお情けでやっと取った時には悔しくて恥ずかしくて周囲全てを最大風魔法でぶっ飛ばしてやろうかとさえ思った。
そして才能だけでなく、努力と思い込みの強さにも恵まれていたがんばり屋さんは自分の唯一の欠点を埋めるために一念発起する。
魔法を使わないで魔物と闘えるようになる!
せめて人並みに戦士っぽく動けるようになれば、魔法だけで調子に乗ってる勘違い野郎だと思われなくてすむ筈だ!
とりあえず最弱な魔物でも倒して、慣れていくことに決めた。
知識だけはいろいろあるが、こと剣を使った戦闘においてもっとも弱い魔物となると、経験者に聞くのがいい。
だから戦士職の知り合いに実戦において一番弱い魔物を聞いた。
すぐに教えてくれた。
だが、恐らくとんでもないくらい余計な一言もその戦士は言ってしまったのだ。
「一番弱い魔物? ああ、オークだな。あいつらに勝てないようなら戦士以前の問題だ。馬の糞よりも価値がないかもしれないな」
そうして誰も自分を知らない筈の辺境の街までわざわざやってきて。
やっと見つけたオーク達との死闘が始まったのだった。
馬の糞どころか、すき放題身体を弄ばれておしっこを漏らしてしまうという、死んでも死に切れない大きな十字架を背負って。
それまでおぼつかないなりに交互に運んでいた足をぴたりと止める。
辺境の冒険者街、宿屋が連なる通りには馬がつながれている。
馬臭い。
その匂いがこれまでの記憶を喚起したのに違いなかった。
そして決意に満ちた眼差しで夜空に浮かぶ星を見上げた。
毛むくじゃらで邪悪な顔をしたオーク達の顔が思い浮かぶ。
「わ、わたしは馬の糞じゃない! お前らを倒して……馬の糞じゃないことを証明するんだーーーっ!」
ぶりっと。
すぐ横につながれていた馬が大きなヤツを放った。
………
「親愛なる戦友諸君。わたしはそろそろ次の段階へ進みたいと思う」
厳かに告げる声。
それは崇高な目的意識に基づいた使命感に満ちたものだった。
「ま、まさか」
「もしやアレですかっ!」
「そんなっ! まだ早いのでは!?」
ざわざわとざわつき始める。
しかしそんな周囲の様子に発言した当人は全く動じている様子は無い。
あるのはただやるべきことを為すという自然体の決意の塊。
テーブルの上に肘を突き、組んだ毛むくじゃらの手のひらにイノシシ鼻を押し付けた顔の目は堅く閉じられている。
眉に深く刻まれた皺には厳粛という言葉だけが似つかわしい。
「もはや機は熟した。諸君らは気がついてないようだが、前回の状況からわたしは勝機を見出したのだ。そう……」
カッと眼光鋭く見開いた。
「ヘレンさんのおっぱいを戴くのだ!!」
声高らかにボスオークは宣言した。
一瞬の沈黙の後。
一気に沸き立つ子分オークたち。
「……っすっげーー!!」
「マジで!? い、いや、マブで!?」
「あのカワイコちゃんのおっぱいを丸出しにしちゃうんすか!?」
「ボス、あんた、やるときはやるヒトだとおもってたYO!」
そうして口々に称える声が上がり、やがてそれはボスオークコールへと成っていく。
「ボース! ボース! ボース! …………」
そのころにはボスオークもにこやかに手を上げてその声に応えていた。
困難な偉業へと挑戦する指導者と、その部下たち。
いまや完全に心はひとつ。
組織としてこれ以上はない一体感に包まれながら、ボスオークは言葉を紡ぐ。
「ヘレンさんのぺたんこ胸がこの世界に生まれたただの奇跡だというのは言うまでもないが、いよいよそれを直接拝ませていただく時が来たのだと確信した! 布一枚で包まれていてもあれだけ魅了するもの、むき出しにしてもろだしにしたらどんな風になってしまうのか想像するだけで恐怖すら感じる。しかし我々は恐れてはいけない。現世に降臨した女神の賜物を拝まずに栄えある雑魚モンスターに生まれた意味など果たしてあろうか! オークの本懐はそこにあり!」
「「イエッサーっ!!」」
「それでは作戦を説明する! ヘレンさんが来るのを待つ! 来たら適当に戦ってあげる! そして良い感じのタイミングで襲って……おっぱいを拝ませていただく! あとは各自の判断で動け!」
「「イエッサーっ!!」」
完璧な作戦であった。
子分オーク達は肩を組み、「やろうな」「ああ、やってやろうぜ」「俺たちなら出来るさ」などと涙を流して沸き立っている。
”フフフ、こいつら。ひよっこどもが一丁前の顔になりやがった”とボスオークは部下たちの成長にまんざらでもない気分に浸っていた。
そしてイノシシ顔のモンスターたちの興奮が最高潮に達したその時。
カランカランと見張りからの鳴子が音を立てた。
ぴたりと落ちる静寂。
木製の板が鳴らす音の信号を受け取った子分オークは緊張した声を上げる。
「金髪! 可愛い! ぺったんこ! パターンオールグリーン! ヘレンさんです!」
一同に衝撃が走る。
まさに今。
歴史が変わろうとしている。
「この時が来たか……。さあ野郎ども! 俺たちの男坂を駆け上ろうぜ!!」
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