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幼い女の子の初体験
しおりを挟む少女にとってそれは恐怖と嫌悪の象徴であった。
だから母親と同じようにしてみろといわれたときには、絶望と忌避感に襲われてただ逃げだしたいという激しい欲求が己の中に満ちるのを感じたのだ。
幼い未成熟な精神にとって湧き上がる逃走本能は真っ直ぐに強烈なものであった。
それでも自分を射すくめる父親という絶対者の視線で足が竦み、逃げ出すことなどできよう筈も無かった。
圧倒的な存在感に気圧されてただ凝視することしかできない。
どれだけそうしていたのか。
苛立たしげな父親の声に促されてとうとう手を伸ばした。
震える手、漏れる吐息。
やがて伝わる手のひらの感触。
己の顔ほどもある長さのそれを、生理的な嫌悪感を必死で抑えてなんとか握る。
浅黒く、太くて硬い。
自分がそれを目前にして握っているという事実に呆然としてしまう。
そのまま動けない。
しかし父親は幼い少女が現実を受け入れるための時間すら許さなかった。
急かすように、次の工程へ移るように言ってくる。
それからは少女は茫然自失のまま、機械的に身体を動かした。
敏感で感じすぎる精神にとっては最初の衝撃から立ち直れない状態でいるほうが、救いであるのかもしれなかった。
もう一方の手を差し出して、言われるままに包皮を剥き。
むき出しになった場所をあらためて握って、上下に動かす。
高まる体温、激しくなる動悸、汗を浮かべながら赤い顔でひたすらその動きに没頭する。
父親が満足そうな顔を浮かべるころには、少女はすでに陶然として自分の行為を受け入れ始めていた。
あたりにみちる生臭い匂いも、自分の手を汚す泡立つ粘液も気にならない。
そして訪れる終焉。
「もういい」という声に動きを止めた少女の手には白濁の粘液がべっとりとついている。
親指と人差し指で挟んで開くと、ねっとりと糸を引いて垂れていった。
本能的な衝動に襲われる。
熱に浮かされたような顔で、それを口に含んだ。
「おいしいか?」
「……うん」
達成感に満たされながら、少女の初体験は終わった。
それから山芋は大好きな食べ物になった。
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