21 / 67
犠牲
しおりを挟む
まずは俺が走って前に出た。
誰かが出なければ、アイツの巨大銃で撃たれて間違いなく全員死ぬ。
...だったら
...俺が!!
何とか予定通りにアイツは2つの巨大銃を俺に合わせきた。
後の事は二人に任せるしかない。
「コイツは一旦俺がやる!!! 二人はあっちを頼む!!!」
二人からは「分かった」という言葉が響いた。
「自分から死にに行ってくれるなんて、なんとまぁ、最近の若者はアホに磨きがかかってますねぇ~」
「ルイをバカにするなんて...許せない!!!」
「ちょ!? 新崎さん!?」
後ろで会話が聞こえるが、今はそれどころではない。
俺は"この絶対絶望野郎"をどうにかしなくてはいけない。
本当はやりたいわけがない。
目の前に"死"があるんだ。
誰がやりたいと思う?
でも、俺は決めたんだ。
死んでもアイツを壊すって。
あのクソふざけた総理をぶち壊すって。
どんな事だって乗り越えて。
...アイツに...絶対辿り着く!!!
突如轟音が鳴り響き、ヤツの片方の銃に禍々しいモノが溜まっていった。
ヤバい!!!
コイツを止めないと!!!
絶対死ぬ!!!
この少しの猶予、見逃したら終わると感じた俺は、即座に脳内で【大蝶イーリス】を呼んだ。
するとユエさんの言った通り、"ズノウ"というスキルっぽいものの一覧が脳内に出現した。
その中の一つを選ぶと、俺の身体はヤツへと大きく飛んだ。
跳躍し、天魔神の腹部分にまで到達した俺の身体。
5メートルくらいは飛んでるんじゃないか?
武器の先端からは"異様に長い閃光刃"が現れ、後部の蝶の羽根が大きく舞った。
その瞬間に上半身は捻られ、
「ッ!!」
初撃が繰り出された。
1発目は赤、2発目は黄、3発目は青、4発目は紫と、"色の光爆撃斬"が次々ヤツへと叩き込まれた。
その度に、幾つも散らばる七色蝶の羽根。
最後の一撃を放つと、意外にもヤツは怯み、巨大銃の攻撃は一旦止まった。
見るからに、かなりの威力を有した連撃だ。
この威力って...
俺はユエさんの一言がフラッシュバックした。
###
『それはね、【大蝶イーリス】っていう"UnRule"の一番最後のボス"R.E.Dの分身"が持つ予定だった"イレギュラーな銃剣"なの』
###
そうか...
いける...!!
これならやれる!!!
「三船君!! 今から参戦する!!」
後ろを振り向くと、アオさんが走って来ていた。
白く細長い剣からは、なんと真空斬が飛び、一気に6発ほどがヤツへと当たった。
だが、先程のようなくらった様子は無く、
「...やっぱりか...僕のでは、気休めにしかならない」
あの剣は相当強力なもののはず。
この"UnRule"開発員の一人が、自分の武器にあえて弱いものを選ぶはずが無い。
使ってる武器の強さだけじゃ、コイツには太刀打ちできないって事なのか?
ユキたちの方を見ると、残り3人と戦っている。
たぶんもう少しでこっちに来てくれるはず。
と思った途端、ヤツはまた光り始めた。
さっきまでの巨大銃がまさかの"盾と剣"に入れ替わっている。
「な...!! コイツ武器変えるのか!?」
「アイツは分が悪いと感じた武器は有利になるものに変えてくる!!! 注意してくれ!!!」
「...はい!!!」
俺は次のズノウを選ぶ。
さっきは〈七色蝶新星(セブンズ・スーパーノヴァ)〉を選んだが、次はコイツだ。
選んだ途端、俺の銃剣は変形しだした。
「!? これは!?」
長く伸びた形状となったコレは、もはや両手で持つ必要が出てきた。
大きく丸み帯びた銃口となったそこには、いろんな色の光が溜め込まれていく。
あっという間に溜まったそれは、ヤツへと放たれた。
なんと一発でヤツの盾を貫通し、左腕を吹き飛ばした。
左腕はタキシード風の黒い悪魔の方だ。
その腕は一瞬で霧のように消えていく。
よし、次はコイツで...!!
とやろうとしたが、アイツは怯むこと無く巨大剣を振り下してきた。
だけど、ただの空振り。
しかし、"違和感のある空振り"だった。
"今の攻撃"は一体なんだ?
俺の身体に異常は無い。
というか、"俺に向けて"じゃないように見えなかったか?
...もしかして
「アオさん! 大丈夫で」
振り向いた刹那。
その視線の先。
...
.....
......?
あれは...なんだ...?
ア レ ハ ...... ナ ン ダ ......?
"誰か"がバラバラにされており、体の破片が幾つも飛び散っていた。
鮮血に染まっていく東京駅。
俺は"誰"を見ている?
見てはいけないものを見ている。
第六感がそう発する。
あの"散らばった破片の正体"を俺は知っている。
いや、ここにいる全員が知っている。
俺は力無き言葉で"その人物の名"を呼んだ。
「......アオ......さん......?」
誰かが出なければ、アイツの巨大銃で撃たれて間違いなく全員死ぬ。
...だったら
...俺が!!
何とか予定通りにアイツは2つの巨大銃を俺に合わせきた。
後の事は二人に任せるしかない。
「コイツは一旦俺がやる!!! 二人はあっちを頼む!!!」
二人からは「分かった」という言葉が響いた。
「自分から死にに行ってくれるなんて、なんとまぁ、最近の若者はアホに磨きがかかってますねぇ~」
「ルイをバカにするなんて...許せない!!!」
「ちょ!? 新崎さん!?」
後ろで会話が聞こえるが、今はそれどころではない。
俺は"この絶対絶望野郎"をどうにかしなくてはいけない。
本当はやりたいわけがない。
目の前に"死"があるんだ。
誰がやりたいと思う?
でも、俺は決めたんだ。
死んでもアイツを壊すって。
あのクソふざけた総理をぶち壊すって。
どんな事だって乗り越えて。
...アイツに...絶対辿り着く!!!
突如轟音が鳴り響き、ヤツの片方の銃に禍々しいモノが溜まっていった。
ヤバい!!!
コイツを止めないと!!!
絶対死ぬ!!!
この少しの猶予、見逃したら終わると感じた俺は、即座に脳内で【大蝶イーリス】を呼んだ。
するとユエさんの言った通り、"ズノウ"というスキルっぽいものの一覧が脳内に出現した。
その中の一つを選ぶと、俺の身体はヤツへと大きく飛んだ。
跳躍し、天魔神の腹部分にまで到達した俺の身体。
5メートルくらいは飛んでるんじゃないか?
武器の先端からは"異様に長い閃光刃"が現れ、後部の蝶の羽根が大きく舞った。
その瞬間に上半身は捻られ、
「ッ!!」
初撃が繰り出された。
1発目は赤、2発目は黄、3発目は青、4発目は紫と、"色の光爆撃斬"が次々ヤツへと叩き込まれた。
その度に、幾つも散らばる七色蝶の羽根。
最後の一撃を放つと、意外にもヤツは怯み、巨大銃の攻撃は一旦止まった。
見るからに、かなりの威力を有した連撃だ。
この威力って...
俺はユエさんの一言がフラッシュバックした。
###
『それはね、【大蝶イーリス】っていう"UnRule"の一番最後のボス"R.E.Dの分身"が持つ予定だった"イレギュラーな銃剣"なの』
###
そうか...
いける...!!
これならやれる!!!
「三船君!! 今から参戦する!!」
後ろを振り向くと、アオさんが走って来ていた。
白く細長い剣からは、なんと真空斬が飛び、一気に6発ほどがヤツへと当たった。
だが、先程のようなくらった様子は無く、
「...やっぱりか...僕のでは、気休めにしかならない」
あの剣は相当強力なもののはず。
この"UnRule"開発員の一人が、自分の武器にあえて弱いものを選ぶはずが無い。
使ってる武器の強さだけじゃ、コイツには太刀打ちできないって事なのか?
ユキたちの方を見ると、残り3人と戦っている。
たぶんもう少しでこっちに来てくれるはず。
と思った途端、ヤツはまた光り始めた。
さっきまでの巨大銃がまさかの"盾と剣"に入れ替わっている。
「な...!! コイツ武器変えるのか!?」
「アイツは分が悪いと感じた武器は有利になるものに変えてくる!!! 注意してくれ!!!」
「...はい!!!」
俺は次のズノウを選ぶ。
さっきは〈七色蝶新星(セブンズ・スーパーノヴァ)〉を選んだが、次はコイツだ。
選んだ途端、俺の銃剣は変形しだした。
「!? これは!?」
長く伸びた形状となったコレは、もはや両手で持つ必要が出てきた。
大きく丸み帯びた銃口となったそこには、いろんな色の光が溜め込まれていく。
あっという間に溜まったそれは、ヤツへと放たれた。
なんと一発でヤツの盾を貫通し、左腕を吹き飛ばした。
左腕はタキシード風の黒い悪魔の方だ。
その腕は一瞬で霧のように消えていく。
よし、次はコイツで...!!
とやろうとしたが、アイツは怯むこと無く巨大剣を振り下してきた。
だけど、ただの空振り。
しかし、"違和感のある空振り"だった。
"今の攻撃"は一体なんだ?
俺の身体に異常は無い。
というか、"俺に向けて"じゃないように見えなかったか?
...もしかして
「アオさん! 大丈夫で」
振り向いた刹那。
その視線の先。
...
.....
......?
あれは...なんだ...?
ア レ ハ ...... ナ ン ダ ......?
"誰か"がバラバラにされており、体の破片が幾つも飛び散っていた。
鮮血に染まっていく東京駅。
俺は"誰"を見ている?
見てはいけないものを見ている。
第六感がそう発する。
あの"散らばった破片の正体"を俺は知っている。
いや、ここにいる全員が知っている。
俺は力無き言葉で"その人物の名"を呼んだ。
「......アオ......さん......?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる