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再会

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「ッ!?」

 瞬時、全身に強烈な衝撃が走った。
 ヤツの突撃を受け止めた俺の銃剣から伝わったものだった。

 コイツ、"ただの口だけ"じゃない...!
 油断すれば、確実にやられる。

 そう思った時、身体が自然と反撃していた。
 押し返すと、ヤツは大きく後ろに下がり、

「さすがだね、これを防ぐなんて。でも"6年間"、僕だってあっちで努力してきたんだよ」

 嬉しそうな口調でそう言った。

「"6年間"? さっきから何なんだよお前、俺と会った事があるみたいに」
「あるよ、何度も何度も。ちょっと前だって"話した"しね」

 コイツ、俺の事を知ってる?
 声が加工されていて、よく分からない。

 6年間って、6年前は俺が"中学3年"だ。
 なおかつ、俺とこの前まで"話した"?
 その時、昨日深夜のユキの言葉がフラッシュバックした。

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『うん。似てたけど、違ったらわるいかなーって思って話しかけなかったけど...話しかけた方が良かったかな』

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 ...へぇ
 確信に変わった瞬間、俺は自然と笑みが出た。

「んだよ。帰って来てたなら早く家来いよ」
「帰ってきたの1週間前だからね。すぐこんなのに巻き込まれて、最悪だよ...というか、気付いたんだね」
「ようやくな。隠さなくてもいいだろ別に」
「...だってこうした方が」

 そう言いながら、黒能面を外していき、

「驚いてくれるかなって」

 予想より大人になった顔がそこにはあった。
 でも変わってないな、中学の頃から。
 正直涙が出そうになったが、ぐっと堪え、

「何されても充分驚くに決まってんだろ、日本にいるなんて思わねぇんだしよ」
「...そっか。急にこんな事してごめんね。どうしても久しぶりにルイ君と、勝負したかったんだ」
「言えばいつでもやってやるよ。別に、こんなタイミングじゃなくたって」
「いや、今じゃなきゃダメなんだ。お互い培ってきたモノを知らない、今じゃなきゃ。そうじゃないと、君に一つでも知られれば、勝てないだろ?」
「んな極端な。俺はAIじゃねぇぞ」
「はは。AIかぁ。僕の中では、AIの何倍もルイ君は上だけどね」

 アスタの顔は、どこか嬉しそうに見えた。
 俺も同じ気持ちだ。
 
 またこうやって話せる日が来るなんて。
 変な事せず普通に会いに来いよ、ほんと。

「あれ、ルイ? まだ入ってこないの?」

 数分アスタと話し合っていると、ユキがひょこっと顔を出してきた。
 ユキは一瞬気付かなかったが、数秒でアスタだと気付いた。

「え!? アスタ君!?」
「久しぶり、新崎さん。より美人になったね」
「あなたこそ、さらに大人っぽくなったというか...ねぇねぇ、2日前に渋谷駅地下にいた!?」
「あぁ、いたよ。もしかして見かけた?」
「うん、見かけた! ルイにも話してたの、話しかければよかったかなーって」
「そうだったんだね、話しかけてくれてよかったのに」

 3人で話していると、中学時代に戻ったようだった。
 いつもテストや運動で勝負していた俺たち。

 まるで以心伝心のように、話したい事や話してる事が伝わってくる。
 やっぱりこの感じは、昔から付き合いあるヤツとしか味わえないな。
 こんな状況じゃなきゃ、皆で焼き肉でも行きたいのに...

「さて、ルイ君。色々話したいとこだけどさ、"さっきの続き"、してくれないかな?」
「おい、まだやんのか?」
「決めとこうよ。今はどっちが、"本当に強いのか"を、ね?」
「...しゃぁねぇな」
「なになに? 二人で何してたの?」
「ちょいとアスタに挑まれてな。ユキはそこで見ていてくれ」
「邪魔はしちゃダメだよ、新崎さん」

 アスタはそう言いながら、黒能面を付けつつ、間合いを取っていく。
 広い場所に変えた俺たちは、充分な距離がここにはあった。

「ケガとかないようにね? ルイも、起きたばっかりなんだから」
「分かってるって」

 俺はもう一度〈ゼロインフィニット・アークイーリス〉を取り出した。
 アスタも青黒い剣を再び出現させる。
 まるで会いたかったというように、お互いから羽根が散った。

「それじゃ、準備はいい?」
「いいぜ、いつでも来い」
「...なら、遠慮なく!!」

 たぶん俺たちは、勝負結果なんて本当は気にしちゃいない。
 ただ一緒にいたい、その気持ちだけだったんだと思う。

 ぶつかるだけでそれが伝わる。
 例えそれが、テストだろうと運動だろうと、剣だろうと。

「...負けたよ」

 刃先が胸の前で止まった時、アスタはそう一言呟いた。
 俺の前に"あの剣"は届いていない。
 アスタの速さより、俺の避けの速さが一瞬だけ上回ったからだ。

「負けだ、負けッ!! 負けだーッ!!!!」

 その場に寝っ転がったアスタは叫び始めた。

「アスタ君速すぎない!? それに勝つルイ、意味分からないんだけど...」
「おかしいよ..."この能面"を付ければ、"身体能力1.5倍"になるのに」
「そんなのがあるの!?」
「この前手に入れたんだ。"七首黒能面"っていうのを倒してね。それでもルイ君には勝てなかったんだよ!? 昔からだけど、おかしいって...」
「アスタ君、それはルイがね、"イーリス・マザー構想の成功者"ってのもあると思う」
「はぁ!?!? え!?!? ルイ君そうなの!?!?」
「ま、まぁそうらしいけど、関係ねぇよ、気にすんな」
「いやいやいや、関係ありすぎでしょ!?!? なんか...今までの事...納得いったかも...はは...ははは」

 アスタが壊れた。
 ちなみに、アスタの剣には"EL"と書いてあった。

 その後、俺は無事会議に参加出来たわけだけど、そこには豪華な食事と待遇が待っていた。
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