異世界に転生したのにスキルも貰えずに吸血鬼に拉致されてロボットを修理しろってどういうことなのか

ピモラス

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旅立ち 北を目指して

予想しない来訪者

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焚火を囲んで体と服を乾かしながら簡単な食事を取った。
俺は食欲がまったくなかったが、無理やり流し込んだ。
「さて、日暮れまでに次の街に到着できるか問題だが、君たちの恰好で街に侵入を許してもらえるかも怪しいところではあるな」
俺はエータにそう言われて咄嗟に言い返してしまった。
「エータも不審者にしかみえないけど!?」
エータは目をクルクルさせながら
「吾輩はロボットであることさえ判明しなければ人間の基準など問題外だ」
とのことでした。ちぇ、面白くないのー。
薄暗い街道をテクテクと歩いていると遂には日が沈み暗くなってしまった。
「野営にするかね?」
先頭をあるくエータは唐突にそう言って少し先の丘の上を指示し
「あそこは安全そうであるな。見通しもよく適度に樹木もある」
そうして野営の準備をし始めていると、遠くから馬の蹄と松明の揺らぐ灯りが街道を進んでいるのが見えた。
俺が発見するよりもアレックスやエータなら早くから気付いているはずであり、行動を起こさなかったので俺も油断していた。
「ふむ、兵士だな。こちらに向かっている」
「え?え、昼間の?な、なんで!?」
俺はいつものビビリを発揮していたが
「何故か理由はわからんが、焚火の炎を見て仲間と勘違いしたのかもしれん。一応君は吾輩かアレクシウスの後ろに控えておくがよい」
そう言われてアレックスの後ろに隠れチラチラと近づく揺れる炎を見ていた。
馬は一頭で、乗っていたのはなんと先ほどの分隊長であった。
「夜分に失礼する」
馬を降りて丁寧に頭を下げた。
「な、なにしにきたんですか」
俺はアレックスの影からささやき声で言ったが聞こえておらず
「何用かね?昼間の続きがしたいというのなら吾輩が相手になってもよいが?」
わざわざ物騒な聞き方をしたので、俺は咄嗟に
「おい!」
と突っ込んでしまい。分隊長と目があった。
分隊長は俺をじっと見つめてから
「事情は兵に聞きました。私の監督不行き届としかいいようがない。大変申し訳ない」
俺に向かって頭を下げ始める始末。
「や、や、も、もういいですから頭を上げてください。兵隊さんもたくさん・・・」
俺は「たくさん殺してしまった」と言いそうになり言葉に詰まった。
分隊長は頭を上げて何かを言いたそうにしていた。
俺は空気は読めないけど、なんとなく不器用そうな分隊長に好感を持ち
「と、とりあえず座ります?え、エータお茶だして」
「何故だね?敵対者をもてなす覚えは・・・」
「いいから早く!」
そんなやり取りをしてとりあえず馬をつなぎ一緒に紅茶を飲むことになった。

分隊長は名前を「ゴールア」と言った。42歳だそうです。兜を外したらボウズ頭です。
一応俺も自己紹介をしたが、アレックスとエータは無反応だった。
「ケン殿。改めて命を救ってくださった事感謝します」
時代劇の武士みたいに胡坐で拳をついて頭を下げる胴回りだけ金属鎧の姿は滑稽だった。
大人な俺は笑いを飲み込んでスルーしてから
「も、もうお礼は十分ですから。な、何か別の要件があるのでは?」
俺はいつもならエータが交渉とかしてくれるから任せているが、エータは口を開いたと思ったら
「君はこの夜間でも馬を操れるのかね?騎兵はどの程度いるのかね?軍の規模はどれくらいだね?増援はあるのかね?」
そんな事ばかりを聞くので俺は
「もう!エータは黙っていてくれ!!」
そう前もって言ってしまって、頭フル回転で話しをしています。はい。
ゴールアの話しはちょっと理解できなかった。
まず、このまま王都に行って虐殺をするのならやめてくださいとの事だった。
俺はそんなことはしないから大丈夫ですと答えたらほっとしていた。
そして・・・お供をしたいといいだしたのだ。
俺は自分でもわかっているが、初対面の人とうまく話しなんて出来ない。できるワケがない!相手がおっさんだとしても挙動不審な自信がある!かわいい女子なんてもっての他!ジンナは例外!
ま、まあそれはいいとして、元々軍部や王朝に不満もあったのだが、今回の件でもう軍をやめる決意ができたとのことだった。妻子も無く、軍に尽くしてきたのだがとの事だが・・・
せっかく助かったのだから恩人に報いたいといった内容だった。
俺は歯にきぬ着せぬ(多分使い方間違えている)言い方で
「で、でも恩人って言ったって俺たちには損害はないけど、兵隊さんはいっぱい死んじゃいましたよ?」
思っていた事を言ったら、笑いながら
「私はあの時に恐怖を感じたのです。生きてきてあれほどの恐怖は味わったことがない」
そして恐怖を払拭するためにも、恩人に報いる為にも同行をとの事だった。
敵兵を助ける為に涙を流して味方を説得する者など見たことが無いと言った。
俺は理解できない心理だったが、エータが唐突に
「それを信じるだけの何かを君は持っているのかね?」
そう言うと一度立ち上がり、腰の剣を鞘ごと外し再度跪き剣を両手で掲げて俺に差し出した。
俺は腰の剣に手が伸びた時からアレックスの後ろにかくれてビビっていたが、切りかかるつもりではないらしかった。
アレックスは腕を組んで立っていたが、その剣を受け取り鞘から抜き、剣の腹をゴールアさんの肩に当てた。
「・・・ケンの為に死ぬと誓え」
え、これなんか騎士の儀式みたいなもの?
俺はアレックスの後ろからドキドキして見ていた。
「我が命、ケン殿に捧げる」
「・・・事は成った」
「はっ」
俺は何が起きているのかわからなかったが
「なんかかっこいいなー」
と他人事のように見ていた。
「ケン殿。いつでも『死ね』と命じてください」
よく通る低い声でゴールアさんはキリっとケンを見上げて言った。
「え、あ、いえ、死ねとかは絶対言いません!」
俺はそう答えたら、アレックスは「ふっ」と小さく笑い
「なんでもご命じください。わが主君」
そう言われた俺は
「あ、じゃあもうそういうのやめてください」
そう答えたらゴールアさんは困惑していた。
「ふむ、ではゴールアよ。吾輩の姿を見せよう。反応次第ではその命もらう」
とまた物騒な事を言いながらエータは全裸になり
「吾輩は人間ではない。通じるかわからないがロボット、機械生命体だ」
「鉄の体・・・」
そうつぶやいてゴールアさんは目を見開き固まってしまった。
「ちょ、エータ!ゴーリアさんを困らせないでくれよ!」
そういうとゴールアは
「ケン殿!ゴールアです。『ゴールア』または『ゴー』と呼んでください!」
俺は名前を間違えてしまったが、何かゴールアにドン引きしていた。
年上の「分隊長」なんて肩書もあるのに、なんで俺なんかに・・・
「君は『鉄腕のゴー』と呼ばれている者かね?」
エータがそう聞くとゴーリアはしわくちゃな顔になり
「あなた方に『鉄腕』などと呼ばれるのはおこがましい」
よくわからない反応をしていた。
こうして新しい仲間ゴーが加わることになってしまった・・・
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