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逃走 窃盗 戦闘
ジンナと仲間の挨拶
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ジンナの家の中で、俺とジンナは立ったまましばらく無言で抱き合っていた。
俺は食事をもってきた事を思い出して
「とりあえず座って。ジンナの食事を持ってきたんだ」
そうしてジンナを椅子に座らせて食事をすすめた。
俺もジンナの隣に椅子を持ってきて座ると、ジンナは俺の手を握り
「私、私ずっとケンに会いたくて、ずっと心配で・・・」
また一滴の雫が頬を伝った。俺はなるべく優しく頬を指で拭ってあげて
「俺もずっとジンナに会いたかった。村から煙が見えた時は、ホントにどうしようかと・・・とりあえず食べて」
俺が笑顔でそう言うと、ジンナは食事を始めた。
俺の手を握ったままだったが、俺もジンナが愛おしく、放したくなかった。
ジンナの食事を見守りながら、少しここまでの事を話しているうちにドアがノックされた。
俺がドアを開けると、アレックスを先頭にエルとエミカがいる。
ジンナはまだ食事中だったし、俺はもう少しジンナと二人でいたいと思い
「ジンナはまだ食事中なんで、落ち着いたら呼びに行くから家で待ってて」
そう言って一度帰ってもらった。
俺はジンナにこれまでの事や、ジンナに頼みたい事を簡単に説明した。
「そのエミカって地底人の一族が、子供が生まれなくなっているみたいで・・・もしかしたらジンナなら何かわかるかもしれないと思って」
「・・・それが済んだら、またケンは行ってしまうの?」
悲しそうな顔で俺を見つめるジンナを俺は抱きしめた。
なんていっていいのかわからないけど、俺はなんとかジンナを安心させようと思い
「俺が帰ってくるのはジンナの所だよ。だから大丈夫」
うまく言葉にできたようには思えなかった。ジンナは俺の腕の中で
「わかってる。ケンを困らせているのは・・・でも・・・」
そうして無言で抱き合っていると、玄関が勢いよく開かれ
「あ、兄貴!お楽しみのトコ失礼します!ちょっと豚人どもが来たみたいなんであっしらは行ってきますから!じゃ!」
エルはそう言って行ってしまった。
ジンナと俺は顔を見合わせて固まっていたが、
「ま、まあアレックスがいれば大丈夫だろう」
そういって笑っていたが、俺はジンナを置いて様子を見に行くことにした。
村の中は静かだったが、遠くの暗闇の所々に炎が動いているのが見えた。
松明か何かを持って移動しているのだろうか?
まだ戦いは始まっていないようだ。俺は昼間に長老がいた辺りに向かってみた。
そこでは焚火があり、数人が話し合っているようだった。
「ケン殿も来てくださったのですね」
長老は俺の姿を確認してそう声をかけてきた。
武器とは言えないような、ただの丸太を担いでいる・・・
ユリが豚人の接近に気付いて長老宅に知らせに来て、外に出てこちらに向かうとアレックス達が村から出ていこうとしている所だったらしい。
「こちらの方角で間違いないようで、ユリが様子を見に行っています。村の中は安全なのでケン殿もユリが戻るのを・・・」
「長老!来た!」
誰かがそう叫ぶと、暗闇の中からブヒブヒいいながらドタドタとした足音が迫ってきた。
あれ?豚人って移動するときって足音殺してたような・・・
「お前達!ケン殿を守れ!私が出る!」
そう言って松明と丸太を片手ずつもった長老が前に出た。
長老の松明に照らされる豚人の姿が見えた。
五匹ほどか?目を血走らせ、体は傷だらけで半狂乱のように走っていた。
長老は片手で軽々と振り上げた丸太で叩くと、鈍い音を立てて豚人の頭は体にめり込んでつぶれた。
巨体とは思えぬ素早さで丸太を振り回し、隣の豚人の頭を正確に狙い粉砕した。
連撃は止まることなく、まるで舞うように次々と敵を叩き潰していく。
最後に潰された豚人は最初から片手を失っていた。
「これはきっと前方でアレクシウス様が戦っているのでしょう。命惜しさに逃げ惑う豚人など我らの敵ではない」
長老の圧倒的な戦い方に俺はびびっていた。そしてその落ち着いた話し方が余計に恐怖をさそった。しかし、段々と言っている意味がわかり、ここに来た豚人はアレックスから逃げてきたのだろうと考えることができた。
「ここで待っていればユリやアレクシウス様も戻られるでしょう」
そう言われ、俺は待っていた。
「今日は俺たちの出番はないかもしれないな」
「ああ、しかし最近多いな」
村人たちの話しを聞いていたら、本当に頻繁に襲撃があるんだなと改めて実感した。
俺は少し恐ろしい気分だったが、以前に「この村には狼人より強い人たちがいる」とジンナが言っていたのを思い出し、この村の中ならジンナの安全も確保されていると思い安心もできた。
ユリを先頭にアレックス達が帰ってきた。アレックスは相変わらず返り血まみれだった。
「おかえりアレックス。怪我はない?」
俺は返り血に少し引いていたが、俺は声をかけた。
「・・・怪我なぞ治る」
ちらりと俺を見てそう答える。俺は無言で頷いていた。
「アレクシウス様。豚人討伐ありがとうございます」
長老はそうねぎらっていたが、アレックスは「・・・豚人など相手にならん」と答えていた。
エルはいつも通りだったけど、神妙な顔をしたエミカと、アレックスの戦いを初めて見たであろうユリは顔色が悪かった。
「エルとエミカもおつかれさま。二人とも怪我はない?」
「豚人って金持ってないんすね」
「あ、ああ、私は何もしていない・・・」
「ま、まあみんな無事でよかった。とりあえず戻ろう」
そうしてジンナの家に向かうことになった。
ジンナの家に向かう途中でアレックスが「服を洗う」と井戸により洗濯と体を洗っていた。
エルやエミカの話しでは、エルが豚人の接近に気付いてアレックスとエミカに伝えると、「村を守るために打って出る」事になったそうだ。
エルの先導で豚人の集団を見つけるとアレックスは突撃した。
アレックスは豚人集団に突っ込むと、手あたり次第に豚人を掴み、他の豚人に投げつけたり、そのまま掴んだ豚人で他の豚人を殴りつけたりといった感じで暴れると、あっという間に豚人は数を減らして逃げ出したようだ。
「最初は百人くらいはいたんすかね?逃げたのは十か二十かそんなもんかな」
「私も戦おうと思っていたのだが、あまりの速さで・・・」
だいたい予想していたが、そんな感じで近くで見ていたユリと合流して村に戻ってきたようだ。
「・・・家で服を乾かす」
そういってアレックスは全裸で先に家に戻る事になった。
俺はエルとエミカをつれてジンナの家に入った。
「ただいま、ジンナ」
ジンナは椅子に座っていたが、俺が家に入ると立ち上がった。
「おかえり。無事?」
「ああ、俺は村からでてないよ。あ、こちらがさっき話したエミカで、この小さいのがエル」
エミカは一歩前に出て足を揃えてから
「紹介に預かりましたエミカナグ・サンツ・クツ・プオンです。『エミカ』とお呼びください。以後お見知りおきを」
ビシっとした挨拶をした。それと対照的にエルは
「ちょっと兄貴、小さいのってなんすか小さいのって!」
それをきょとんとした顔でジンナは見ていたが、はっとして
「じ、ジンナです。よろしくおねがいします」
そういって頭をペコリと下げた。
「あ、ああ、エルロットです。ケンの兄貴の舎弟です」
何故か相撲の土俵入りみたいな感じで左手を腰に当てて、右手の平を上を向けてさしだしていた。「お控えなすって」みたいなポーズで、俺は噴き出してしまった。
「え、エル。はは、なんだそのポーズ!てかいつから舎弟になったんだ!?」
「人が真剣に挨拶してるのになんで笑ってんすか!」
エルが両こぶしを上に突き上げるポーズで怒っている所でジンナもエミカも笑い出していた。
「あ、あれ?ま、まあなんか兄貴の奥さんも喜んでくれてるみたいだし、いいっすか」
エルは何かを諦めた顔でそう言い放った。
「・・・お、奥さん・・・」
ジンナは小さな声でつぶやいた。
四人でテーブルを囲んでお茶を飲んで話していた。
「エミカからジンナに事情を説明してくれないか?」
そう言うとエミカは地底人の出生率が低下している事を簡単に説明していた。色々と試した内容や、それでも全く改善せずにいる現状を。
「このままでは我々は滅亡してしまう。私は一族の希望の目を潰すわけにはいかないのだ。なんでも良いので力を貸してください」
エミカはジンナに向かって頭を下げて懇願していた。
「あ、あの、私・・・」
ジンナはエミカの熱意に困惑しているようだ。
「ジンナ。一度エミカの体を調べてもらえないか?ジンナの力ならなにかわかるかもしれない」
俺がそう言うと、ジンナは俯いて自分の右手を見つめて
「で、でも・・・」
俺はそんなジンナの右手を握った。エルとエミカが見ていると思うと恥ずかしかったけど。
「大丈夫、ジンナなら出来る。それに、エミカもエルもジンナの体の事を気にしていない」
エルとエミカがジンナに対してどう思っているのかはわからない。けど、俺は仲間を信用してそう言い切った。そしてエルとエミカを見た。
エルは何故かニヤニヤした顔をして
「へーへー、お熱いようで。兄貴がいつも『ジンナに会いたい』とか言ってるのかわかったっすよ。かわいい奥さんでよかったっすね」
「え、ちょ、エル?何言ってんだ?」
俺は咄嗟にジンナの手から手を放してしまった。自分の顔が赤くなったのがわかる。顔が熱い。
「ああ、そうだな。こんなにかわいい妻がいるのでは浮気は出来ないな。ジンナ殿。貴女が許してくれるのなら、私をケンの二番目の妻にしてもらえないだろうか?」
「ぶっ、え、エミカ何言ってるんだお前マジやめろ!」
突然の発言にエミカを睨んだが、表情のわかりにくい地底人の顔は真剣に見えた。
「ち、違うんだジンナ!エミカとは何にもないからな!」
俺はジンナの顔を見ると、ゆでだこのように真っ赤だった。
「・・・かわいい・・・妻・・・奥さん・・・」
ジンナはフラフラして、倒れる寸前で俺が抱きとめた。
俺は食事をもってきた事を思い出して
「とりあえず座って。ジンナの食事を持ってきたんだ」
そうしてジンナを椅子に座らせて食事をすすめた。
俺もジンナの隣に椅子を持ってきて座ると、ジンナは俺の手を握り
「私、私ずっとケンに会いたくて、ずっと心配で・・・」
また一滴の雫が頬を伝った。俺はなるべく優しく頬を指で拭ってあげて
「俺もずっとジンナに会いたかった。村から煙が見えた時は、ホントにどうしようかと・・・とりあえず食べて」
俺が笑顔でそう言うと、ジンナは食事を始めた。
俺の手を握ったままだったが、俺もジンナが愛おしく、放したくなかった。
ジンナの食事を見守りながら、少しここまでの事を話しているうちにドアがノックされた。
俺がドアを開けると、アレックスを先頭にエルとエミカがいる。
ジンナはまだ食事中だったし、俺はもう少しジンナと二人でいたいと思い
「ジンナはまだ食事中なんで、落ち着いたら呼びに行くから家で待ってて」
そう言って一度帰ってもらった。
俺はジンナにこれまでの事や、ジンナに頼みたい事を簡単に説明した。
「そのエミカって地底人の一族が、子供が生まれなくなっているみたいで・・・もしかしたらジンナなら何かわかるかもしれないと思って」
「・・・それが済んだら、またケンは行ってしまうの?」
悲しそうな顔で俺を見つめるジンナを俺は抱きしめた。
なんていっていいのかわからないけど、俺はなんとかジンナを安心させようと思い
「俺が帰ってくるのはジンナの所だよ。だから大丈夫」
うまく言葉にできたようには思えなかった。ジンナは俺の腕の中で
「わかってる。ケンを困らせているのは・・・でも・・・」
そうして無言で抱き合っていると、玄関が勢いよく開かれ
「あ、兄貴!お楽しみのトコ失礼します!ちょっと豚人どもが来たみたいなんであっしらは行ってきますから!じゃ!」
エルはそう言って行ってしまった。
ジンナと俺は顔を見合わせて固まっていたが、
「ま、まあアレックスがいれば大丈夫だろう」
そういって笑っていたが、俺はジンナを置いて様子を見に行くことにした。
村の中は静かだったが、遠くの暗闇の所々に炎が動いているのが見えた。
松明か何かを持って移動しているのだろうか?
まだ戦いは始まっていないようだ。俺は昼間に長老がいた辺りに向かってみた。
そこでは焚火があり、数人が話し合っているようだった。
「ケン殿も来てくださったのですね」
長老は俺の姿を確認してそう声をかけてきた。
武器とは言えないような、ただの丸太を担いでいる・・・
ユリが豚人の接近に気付いて長老宅に知らせに来て、外に出てこちらに向かうとアレックス達が村から出ていこうとしている所だったらしい。
「こちらの方角で間違いないようで、ユリが様子を見に行っています。村の中は安全なのでケン殿もユリが戻るのを・・・」
「長老!来た!」
誰かがそう叫ぶと、暗闇の中からブヒブヒいいながらドタドタとした足音が迫ってきた。
あれ?豚人って移動するときって足音殺してたような・・・
「お前達!ケン殿を守れ!私が出る!」
そう言って松明と丸太を片手ずつもった長老が前に出た。
長老の松明に照らされる豚人の姿が見えた。
五匹ほどか?目を血走らせ、体は傷だらけで半狂乱のように走っていた。
長老は片手で軽々と振り上げた丸太で叩くと、鈍い音を立てて豚人の頭は体にめり込んでつぶれた。
巨体とは思えぬ素早さで丸太を振り回し、隣の豚人の頭を正確に狙い粉砕した。
連撃は止まることなく、まるで舞うように次々と敵を叩き潰していく。
最後に潰された豚人は最初から片手を失っていた。
「これはきっと前方でアレクシウス様が戦っているのでしょう。命惜しさに逃げ惑う豚人など我らの敵ではない」
長老の圧倒的な戦い方に俺はびびっていた。そしてその落ち着いた話し方が余計に恐怖をさそった。しかし、段々と言っている意味がわかり、ここに来た豚人はアレックスから逃げてきたのだろうと考えることができた。
「ここで待っていればユリやアレクシウス様も戻られるでしょう」
そう言われ、俺は待っていた。
「今日は俺たちの出番はないかもしれないな」
「ああ、しかし最近多いな」
村人たちの話しを聞いていたら、本当に頻繁に襲撃があるんだなと改めて実感した。
俺は少し恐ろしい気分だったが、以前に「この村には狼人より強い人たちがいる」とジンナが言っていたのを思い出し、この村の中ならジンナの安全も確保されていると思い安心もできた。
ユリを先頭にアレックス達が帰ってきた。アレックスは相変わらず返り血まみれだった。
「おかえりアレックス。怪我はない?」
俺は返り血に少し引いていたが、俺は声をかけた。
「・・・怪我なぞ治る」
ちらりと俺を見てそう答える。俺は無言で頷いていた。
「アレクシウス様。豚人討伐ありがとうございます」
長老はそうねぎらっていたが、アレックスは「・・・豚人など相手にならん」と答えていた。
エルはいつも通りだったけど、神妙な顔をしたエミカと、アレックスの戦いを初めて見たであろうユリは顔色が悪かった。
「エルとエミカもおつかれさま。二人とも怪我はない?」
「豚人って金持ってないんすね」
「あ、ああ、私は何もしていない・・・」
「ま、まあみんな無事でよかった。とりあえず戻ろう」
そうしてジンナの家に向かうことになった。
ジンナの家に向かう途中でアレックスが「服を洗う」と井戸により洗濯と体を洗っていた。
エルやエミカの話しでは、エルが豚人の接近に気付いてアレックスとエミカに伝えると、「村を守るために打って出る」事になったそうだ。
エルの先導で豚人の集団を見つけるとアレックスは突撃した。
アレックスは豚人集団に突っ込むと、手あたり次第に豚人を掴み、他の豚人に投げつけたり、そのまま掴んだ豚人で他の豚人を殴りつけたりといった感じで暴れると、あっという間に豚人は数を減らして逃げ出したようだ。
「最初は百人くらいはいたんすかね?逃げたのは十か二十かそんなもんかな」
「私も戦おうと思っていたのだが、あまりの速さで・・・」
だいたい予想していたが、そんな感じで近くで見ていたユリと合流して村に戻ってきたようだ。
「・・・家で服を乾かす」
そういってアレックスは全裸で先に家に戻る事になった。
俺はエルとエミカをつれてジンナの家に入った。
「ただいま、ジンナ」
ジンナは椅子に座っていたが、俺が家に入ると立ち上がった。
「おかえり。無事?」
「ああ、俺は村からでてないよ。あ、こちらがさっき話したエミカで、この小さいのがエル」
エミカは一歩前に出て足を揃えてから
「紹介に預かりましたエミカナグ・サンツ・クツ・プオンです。『エミカ』とお呼びください。以後お見知りおきを」
ビシっとした挨拶をした。それと対照的にエルは
「ちょっと兄貴、小さいのってなんすか小さいのって!」
それをきょとんとした顔でジンナは見ていたが、はっとして
「じ、ジンナです。よろしくおねがいします」
そういって頭をペコリと下げた。
「あ、ああ、エルロットです。ケンの兄貴の舎弟です」
何故か相撲の土俵入りみたいな感じで左手を腰に当てて、右手の平を上を向けてさしだしていた。「お控えなすって」みたいなポーズで、俺は噴き出してしまった。
「え、エル。はは、なんだそのポーズ!てかいつから舎弟になったんだ!?」
「人が真剣に挨拶してるのになんで笑ってんすか!」
エルが両こぶしを上に突き上げるポーズで怒っている所でジンナもエミカも笑い出していた。
「あ、あれ?ま、まあなんか兄貴の奥さんも喜んでくれてるみたいだし、いいっすか」
エルは何かを諦めた顔でそう言い放った。
「・・・お、奥さん・・・」
ジンナは小さな声でつぶやいた。
四人でテーブルを囲んでお茶を飲んで話していた。
「エミカからジンナに事情を説明してくれないか?」
そう言うとエミカは地底人の出生率が低下している事を簡単に説明していた。色々と試した内容や、それでも全く改善せずにいる現状を。
「このままでは我々は滅亡してしまう。私は一族の希望の目を潰すわけにはいかないのだ。なんでも良いので力を貸してください」
エミカはジンナに向かって頭を下げて懇願していた。
「あ、あの、私・・・」
ジンナはエミカの熱意に困惑しているようだ。
「ジンナ。一度エミカの体を調べてもらえないか?ジンナの力ならなにかわかるかもしれない」
俺がそう言うと、ジンナは俯いて自分の右手を見つめて
「で、でも・・・」
俺はそんなジンナの右手を握った。エルとエミカが見ていると思うと恥ずかしかったけど。
「大丈夫、ジンナなら出来る。それに、エミカもエルもジンナの体の事を気にしていない」
エルとエミカがジンナに対してどう思っているのかはわからない。けど、俺は仲間を信用してそう言い切った。そしてエルとエミカを見た。
エルは何故かニヤニヤした顔をして
「へーへー、お熱いようで。兄貴がいつも『ジンナに会いたい』とか言ってるのかわかったっすよ。かわいい奥さんでよかったっすね」
「え、ちょ、エル?何言ってんだ?」
俺は咄嗟にジンナの手から手を放してしまった。自分の顔が赤くなったのがわかる。顔が熱い。
「ああ、そうだな。こんなにかわいい妻がいるのでは浮気は出来ないな。ジンナ殿。貴女が許してくれるのなら、私をケンの二番目の妻にしてもらえないだろうか?」
「ぶっ、え、エミカ何言ってるんだお前マジやめろ!」
突然の発言にエミカを睨んだが、表情のわかりにくい地底人の顔は真剣に見えた。
「ち、違うんだジンナ!エミカとは何にもないからな!」
俺はジンナの顔を見ると、ゆでだこのように真っ赤だった。
「・・・かわいい・・・妻・・・奥さん・・・」
ジンナはフラフラして、倒れる寸前で俺が抱きとめた。
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