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プロローグ

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「ごふっ!」

 校舎裏で数人の男たちが一人の男を囲っていた。
 男達はいかにもヤンキーと言った相貌で、頭を抱えながら蹲る男をニヤニヤしながら見やる。

「だいきくーん。今日のお給料は~?」
「す、すみません。今月はお金が少なくて……」
「はぁ~?僕たちしっかり働いてるのにお給料が貰えないなんてブラックだよね~」
「は、はは。すみません」
「あ”ぁ?なに笑ってんだよ」

 どんっ!
 男はニタニタとしながら、蹲るだいきの腹めがけ思いっきり足を振りかぶった。

「お”ぁっ……!」
「ははははは!ブタならブタらしく泣いとけよ」
「それなwww」

 校舎裏に嘲笑が響く。
 
「うーんと、おっまぁまぁあるじゃん。なにが今月少ないだよ」

 腹の溝に蹴りが入ったため、その反動でだいきは隠し持っていた財布を落としてしまった。

「そ、それは、だめなんです。お願いします。今度必ずお金を持ってきます。だから、それだけはっ……!」

 だいきは腹を抑えながら、必死の形相で財布を持った男の足をつかみ取る。
 だが全く力が入っていない手は意味をなさず、男は気怠そうにだいきの手を振り払う。
 
「一回嘘ついた人の言葉は信じられませーんwww」
「お、お願いしますっ」
「ぅんあ?しつけーんだよっ」
「ぐふっ!」

 3度目の蹴りは清々しい程に顔面に入り、だいきはのけ反る様に転がっていった。

「お、お願いします……」

 だがそれでもだいきは立ち上がり、執念を見せつけた。
 顔面は既に血だらけ。元々醜い顔はさらにひどい様子になっている。

「うげっ、こいつやっぱきもいわ」
「そろそろ飽きてきたわ」
「それなー」

 既に興味を失った男たちは、だいきに背を向け去っていった。

「ま、まって……そのお金は……」

 だいきの声は、届かない。
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