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第二十三章
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平成十八年十二月二十三日
私は、立花の関西スーパーで買い物をしていた。
前から荷台を押しながら店員が近づいて来ていた。
その荷台には満載の荷物が積んであった。
店員には止まろうとする気配がなかった。
乗るようになってから判った事なんだけれど、、、
車椅子というのは、小さな子供の背丈ぐらいの高さになる。
小さな子供にとって、、、
歩き煙草がとても危険な行為だという事も判った。
関西スーパーの店員からは私の姿が見えなかったのかも知れない。
店員は、私に荷台をぶつけた。
満載に積んであった荷物が、私に倒れかかってきた。
「何さらすんじゃワレ」
つい、私は怒鳴ってしまった。
「お客様、大変申し訳ございません」
とでも店員が言ってくれていたら、私もおさまっていただろう。
しかし店員は謝るどころか、、、
あからさまに顔をしかめて、舌打ちまでしてきた。
そうなると私も止まる事が出来なくなった。
すぐに山田という副店長が飛んで来たのだが、それでも私は止まる事が出来なかった。
近くの交番から警官が来て、私は尼崎南警察署に連れて行かれた。
連れて行かれはしたけれど、、、
そもそも私には非が無かったので、この時はそのまま帰る事が出来た。
ところが、翌日に私は逮捕された。
しかもその逮捕容疑は、窃盗となっていた。
「何で窃盗なんじゃ」
私は担当の高梨刑事につっかかっていった。
「この罪名、どないかせんかい」
「届け出されてんからしゃあないやろ」
「届けも何も、ワシが何パクった言うんじゃ」
「起訴なんかせぇへんから十日だけ辛抱しといてくれや」
「阿呆ぬかせ、脅迫とか威力業務妨害やったらワシも認めたるがな、せやけど窃盗ってどういうこっちゃ、己らえぇ加減さらせよ」
「お前がヤカラ言うからこないなったんやろが」
「ほなヤカラでもってかんかい」
「今更どないもなるかいな」
私は二十二日間、、、
毎日毎日、刑事と同じやり取りを繰り返した。
警察が関西スーパの店長に私がヤクザだという事を説明して、、、
逮捕に協力してくれとでも持ちかけたんだろう。
そして、虚偽の被害届を出させたのは間違いなかった。
それが警察の常套手段だ。
「起訴なんかせぇへんから十日だけ辛抱しといてくれや」
勿論それも嘘で、、、
勾留も延長されて、きっちり起訴された。
起訴され、尼崎拘置所に移送された私は、精神的におかしくなっていた。
私は、独居房の窓の鉄柵に布団のシーツを結びつけて、、、
首をくくった、、、
気がついた時には保護房だった。
保護房から出されたあと、自殺企図という罪状で懲罰を科されてから物品制限をされた。
舎房内はカメラで監視されて、小机は段ボールで出来ている。
私物は何も所持する事が出来なかった。
洗面をする際には刑務官に申し出て、石けん、タオル、歯ブラシ、歯磨き粉等を貸してもらう。
食事にはプラスチックで出来たレンゲを使う。
書き物をする時にはその都度、ボールペンを貸してもらうといった形だった。
判決は懲役一年。
私は控訴して大阪拘置所に移送された。
大阪拘置所では物品制限をされなかった。
私は、また独居房の窓の鉄柵に布団のシーツを結びつけて、、、
首をくくった、、、
またもや気がついた時には保護房だった。
そして自殺企図で懲罰を科されてから、カメラ付きの舎房に入れられて物品制限をされた。
控訴はあえなく棄却されて、私は神戸刑務所に服役する事になった。
神戸刑務所では、私は車椅子なので入所時に行われる新入考査訓練は除外された。
その二週間は普通の独居房で過ごす事が出来た。
物品制限をされる事もなかった。
しかし、尼崎拘置所と大阪拘置所で首をくくった事は申し送りされている筈なので刑務官の目は常に光っているだろう。
私は、窃盗なんかしていないけれど、ヤカラを言った事は間違いない。
だから、全くの無実の罪での服役とまでは言えないのかも知れない。
刑務所は受刑者の事を人間扱いしない。
この服役の無念さと、その屈辱には耐え難いものがあった。
神戸刑務所に入所した時点で残刑は半年だった。
死ぬのは出所してからだと考えて、、、
私は半年間、屈辱に耐える覚悟を固めた。
除外された新入考査訓練期間が終了して、私は第二養護工場に配役された。
しかし配役されたその日に工場長と喧嘩してしまった。
非常ベルで駆けつけてきた警備隊に、御神輿のようにかつがれて保護房にほうりこまれた。
保護房から出された私は、懲罰を科されたあと三寮一階工場へと配役された。
三寮一階工場では雑居での房内作業を行っていた。
体の不自由な受刑者や、高齢者がほとんどだったけれど、中には一般工場からほうり出されて、どこの工場にも行けなくなった受刑者も混じっていた。
その三寮一階工場で大きなトラブルも起こさずに暫く過ごしていた頃、新しい受刑者が部屋に入ってきた。
「新入や、お前ら頼むぞ」
ドアを開けた工場長の後ろに、、、
懐かしいが、決して会いたくはなかった公ちゃんが立っていた。
「やっと会えたのぉリュウジ、お前に会うために八回座ったわ」
座ったというのは懲罰の事を指している。
同じ刑務所に会いたい受刑者がいれば、懲罰を繰り返して、転々と工場を移動していくしか手段はないのだ。
「久しぶりやな、、、神戸来とったんかいな、、、」
公ちゃんが神戸刑務所に来ているという噂は私の耳にも届いていた。
と言うよりも、嫌でも耳に入ってきていたと言う方が正しい。
以前、大阪拘置所で苛められていた公ちゃんは、、、
その後、水戸少年刑務所と大阪刑務所での受刑生活を経験して、ひと皮むけたのだろう。
それも悪い方に、、、
神戸刑務所で、高齢者や気の弱い外国人ばかりを苛めている受刑者の噂がまん延していた。
それが公ちゃんだった。
だが、あえてそんな事を本人に言う必要はないだろう。
「お前が飛び降りて車椅子なっとんは聞いとったんや」
「、、、、、」
「工場でお前がここおるって聞いたから、お前と会えるまで落ち続けとったんや」
落ちるというのも懲罰の事を指している。
「ほんまかいな、、、」
「お前、どんぐらい動けんねん?」
「四つん這いやったら普通に動けんで」
「ほうか、、、やっぱ歩かれへんのか、、、」
「うん」
「よっしゃ、ほなお前、今日から出るまで毎日俺とスパーリングせぇや」
「は?」
「毎日俺とスパーリングしとったら、出る時だいぶ動けるようなってんど」
「、、、、、」
そういう訳で、、、
この日から、房内作業が終わってから、公ちゃんと取っ組み合いをする日々が始まった。
他の受刑者に見張ってもらいながら、毎日、取っ組み合いをしていた。
毎日毎日、鬱陶しかったけれど、、、
公ちゃんのおかげで、鬱々とした気持ちが少し晴れていった事は間違いなかった。
公ちゃんと私がいつも通り取っ組み合いをしている最中、他の受刑者が立ち上がってきた。
「ワシも若い頃、柔道やっとんたんや」
その受刑者と公ちゃんが勝負を始めてくれたので、私は布団に入って他の受刑者達と一緒に、テレビの水戸黄門を見ようと思った。
この部屋では九人の受刑者が生活していた。
公ちゃんと一人は柔道の勝負をしている。
一人はシキ張り(見張り)をしている。
私を含めた残りの六人は、布団に入って水戸黄門を見ていた。
「オラぁ~」
公ちゃんが相手を巴投げにしたのが横目に入ったけれど、気づかないふりをしていた。
公ちゃんが仰向けに倒れている相手の顔の上に座ったのが横目に入ったけれど、気づかないふりを続けていた。
「これでも喰らえ」
でっかい屁の音が響いた。
やられている受刑者には申し訳なかったけれど、私は気づかないふりを通してしまった。
布団に入っている他の受刑者達もみんな、私同様に知らん顔をしていた。
私は嫌な予感を感じていた。
余計な事はしてくれるなよ、、、
祈りながら、私は視界の隅に公ちゃんの姿を捉えていた。
案の定、、、
公ちゃんは見事に決まった巴投げに、誰も興味を示さなかった事に怒りを隠せていなかった。
「頼むから、、、」
私は胸の中で祈るしかなかった。
が、当然の事のように公ちゃんは私の祈りを裏切ってくれた。
みんなが注目しているテレビの前に立ちふさがったかと思えば、、、
いきなりズボンとパンツを勢いよく脱ぎ捨てた。
そして、後ろを向いて私達に尻を突き出してきた。
「水戸黄門見るなら、俺の肛門を見よ」
両手で尻を広げて肛門を大公開した。
「これでも喰らえ」
びっくりするくらいのでっかい屁をこきやがった。
「コラぁ~ お前何しとんじゃぁ~」
見張り役まで公ちゃんの肛門大公開に気をとられていたところに、タイミング悪く刑務官が通りかかってしまった。
公ちゃんはそのまま連れて行かれた。
公ちゃんがいなくなってからの舎房は嘘のように静かになった。
その舎房内で他の受刑者達と喧嘩になって、私も公ちゃんの後を追うように懲罰になった。
そして、その後の残刑数ヶ月は一寮一階において独居拘禁にされた。
私は、入所時からやりっぱなしの努め方をしてきていたので、当然、刑務所からは嫌われている。
この頃には名古屋刑務所で起きた、、、
刑務官による受刑者虐殺事件やリンチ殺害事件等が明るみになった流れで、監獄法は改正されていた。
なので、以前のように拷問やリンチ等を大っぴらにはやれなくなっていた。
その代わり、陰湿極まりない虐待を、表に出ない狡猾な手段を用いて行うようになっていた。
完全な冤罪とまでは言えなくても、、、
意に添わない服役で、そのような目に合うのはやはり耐え難いものがあった。
平成二十年五月十八日
私は神戸刑務所を満期出所した。
私は、立花の関西スーパーで買い物をしていた。
前から荷台を押しながら店員が近づいて来ていた。
その荷台には満載の荷物が積んであった。
店員には止まろうとする気配がなかった。
乗るようになってから判った事なんだけれど、、、
車椅子というのは、小さな子供の背丈ぐらいの高さになる。
小さな子供にとって、、、
歩き煙草がとても危険な行為だという事も判った。
関西スーパーの店員からは私の姿が見えなかったのかも知れない。
店員は、私に荷台をぶつけた。
満載に積んであった荷物が、私に倒れかかってきた。
「何さらすんじゃワレ」
つい、私は怒鳴ってしまった。
「お客様、大変申し訳ございません」
とでも店員が言ってくれていたら、私もおさまっていただろう。
しかし店員は謝るどころか、、、
あからさまに顔をしかめて、舌打ちまでしてきた。
そうなると私も止まる事が出来なくなった。
すぐに山田という副店長が飛んで来たのだが、それでも私は止まる事が出来なかった。
近くの交番から警官が来て、私は尼崎南警察署に連れて行かれた。
連れて行かれはしたけれど、、、
そもそも私には非が無かったので、この時はそのまま帰る事が出来た。
ところが、翌日に私は逮捕された。
しかもその逮捕容疑は、窃盗となっていた。
「何で窃盗なんじゃ」
私は担当の高梨刑事につっかかっていった。
「この罪名、どないかせんかい」
「届け出されてんからしゃあないやろ」
「届けも何も、ワシが何パクった言うんじゃ」
「起訴なんかせぇへんから十日だけ辛抱しといてくれや」
「阿呆ぬかせ、脅迫とか威力業務妨害やったらワシも認めたるがな、せやけど窃盗ってどういうこっちゃ、己らえぇ加減さらせよ」
「お前がヤカラ言うからこないなったんやろが」
「ほなヤカラでもってかんかい」
「今更どないもなるかいな」
私は二十二日間、、、
毎日毎日、刑事と同じやり取りを繰り返した。
警察が関西スーパの店長に私がヤクザだという事を説明して、、、
逮捕に協力してくれとでも持ちかけたんだろう。
そして、虚偽の被害届を出させたのは間違いなかった。
それが警察の常套手段だ。
「起訴なんかせぇへんから十日だけ辛抱しといてくれや」
勿論それも嘘で、、、
勾留も延長されて、きっちり起訴された。
起訴され、尼崎拘置所に移送された私は、精神的におかしくなっていた。
私は、独居房の窓の鉄柵に布団のシーツを結びつけて、、、
首をくくった、、、
気がついた時には保護房だった。
保護房から出されたあと、自殺企図という罪状で懲罰を科されてから物品制限をされた。
舎房内はカメラで監視されて、小机は段ボールで出来ている。
私物は何も所持する事が出来なかった。
洗面をする際には刑務官に申し出て、石けん、タオル、歯ブラシ、歯磨き粉等を貸してもらう。
食事にはプラスチックで出来たレンゲを使う。
書き物をする時にはその都度、ボールペンを貸してもらうといった形だった。
判決は懲役一年。
私は控訴して大阪拘置所に移送された。
大阪拘置所では物品制限をされなかった。
私は、また独居房の窓の鉄柵に布団のシーツを結びつけて、、、
首をくくった、、、
またもや気がついた時には保護房だった。
そして自殺企図で懲罰を科されてから、カメラ付きの舎房に入れられて物品制限をされた。
控訴はあえなく棄却されて、私は神戸刑務所に服役する事になった。
神戸刑務所では、私は車椅子なので入所時に行われる新入考査訓練は除外された。
その二週間は普通の独居房で過ごす事が出来た。
物品制限をされる事もなかった。
しかし、尼崎拘置所と大阪拘置所で首をくくった事は申し送りされている筈なので刑務官の目は常に光っているだろう。
私は、窃盗なんかしていないけれど、ヤカラを言った事は間違いない。
だから、全くの無実の罪での服役とまでは言えないのかも知れない。
刑務所は受刑者の事を人間扱いしない。
この服役の無念さと、その屈辱には耐え難いものがあった。
神戸刑務所に入所した時点で残刑は半年だった。
死ぬのは出所してからだと考えて、、、
私は半年間、屈辱に耐える覚悟を固めた。
除外された新入考査訓練期間が終了して、私は第二養護工場に配役された。
しかし配役されたその日に工場長と喧嘩してしまった。
非常ベルで駆けつけてきた警備隊に、御神輿のようにかつがれて保護房にほうりこまれた。
保護房から出された私は、懲罰を科されたあと三寮一階工場へと配役された。
三寮一階工場では雑居での房内作業を行っていた。
体の不自由な受刑者や、高齢者がほとんどだったけれど、中には一般工場からほうり出されて、どこの工場にも行けなくなった受刑者も混じっていた。
その三寮一階工場で大きなトラブルも起こさずに暫く過ごしていた頃、新しい受刑者が部屋に入ってきた。
「新入や、お前ら頼むぞ」
ドアを開けた工場長の後ろに、、、
懐かしいが、決して会いたくはなかった公ちゃんが立っていた。
「やっと会えたのぉリュウジ、お前に会うために八回座ったわ」
座ったというのは懲罰の事を指している。
同じ刑務所に会いたい受刑者がいれば、懲罰を繰り返して、転々と工場を移動していくしか手段はないのだ。
「久しぶりやな、、、神戸来とったんかいな、、、」
公ちゃんが神戸刑務所に来ているという噂は私の耳にも届いていた。
と言うよりも、嫌でも耳に入ってきていたと言う方が正しい。
以前、大阪拘置所で苛められていた公ちゃんは、、、
その後、水戸少年刑務所と大阪刑務所での受刑生活を経験して、ひと皮むけたのだろう。
それも悪い方に、、、
神戸刑務所で、高齢者や気の弱い外国人ばかりを苛めている受刑者の噂がまん延していた。
それが公ちゃんだった。
だが、あえてそんな事を本人に言う必要はないだろう。
「お前が飛び降りて車椅子なっとんは聞いとったんや」
「、、、、、」
「工場でお前がここおるって聞いたから、お前と会えるまで落ち続けとったんや」
落ちるというのも懲罰の事を指している。
「ほんまかいな、、、」
「お前、どんぐらい動けんねん?」
「四つん這いやったら普通に動けんで」
「ほうか、、、やっぱ歩かれへんのか、、、」
「うん」
「よっしゃ、ほなお前、今日から出るまで毎日俺とスパーリングせぇや」
「は?」
「毎日俺とスパーリングしとったら、出る時だいぶ動けるようなってんど」
「、、、、、」
そういう訳で、、、
この日から、房内作業が終わってから、公ちゃんと取っ組み合いをする日々が始まった。
他の受刑者に見張ってもらいながら、毎日、取っ組み合いをしていた。
毎日毎日、鬱陶しかったけれど、、、
公ちゃんのおかげで、鬱々とした気持ちが少し晴れていった事は間違いなかった。
公ちゃんと私がいつも通り取っ組み合いをしている最中、他の受刑者が立ち上がってきた。
「ワシも若い頃、柔道やっとんたんや」
その受刑者と公ちゃんが勝負を始めてくれたので、私は布団に入って他の受刑者達と一緒に、テレビの水戸黄門を見ようと思った。
この部屋では九人の受刑者が生活していた。
公ちゃんと一人は柔道の勝負をしている。
一人はシキ張り(見張り)をしている。
私を含めた残りの六人は、布団に入って水戸黄門を見ていた。
「オラぁ~」
公ちゃんが相手を巴投げにしたのが横目に入ったけれど、気づかないふりをしていた。
公ちゃんが仰向けに倒れている相手の顔の上に座ったのが横目に入ったけれど、気づかないふりを続けていた。
「これでも喰らえ」
でっかい屁の音が響いた。
やられている受刑者には申し訳なかったけれど、私は気づかないふりを通してしまった。
布団に入っている他の受刑者達もみんな、私同様に知らん顔をしていた。
私は嫌な予感を感じていた。
余計な事はしてくれるなよ、、、
祈りながら、私は視界の隅に公ちゃんの姿を捉えていた。
案の定、、、
公ちゃんは見事に決まった巴投げに、誰も興味を示さなかった事に怒りを隠せていなかった。
「頼むから、、、」
私は胸の中で祈るしかなかった。
が、当然の事のように公ちゃんは私の祈りを裏切ってくれた。
みんなが注目しているテレビの前に立ちふさがったかと思えば、、、
いきなりズボンとパンツを勢いよく脱ぎ捨てた。
そして、後ろを向いて私達に尻を突き出してきた。
「水戸黄門見るなら、俺の肛門を見よ」
両手で尻を広げて肛門を大公開した。
「これでも喰らえ」
びっくりするくらいのでっかい屁をこきやがった。
「コラぁ~ お前何しとんじゃぁ~」
見張り役まで公ちゃんの肛門大公開に気をとられていたところに、タイミング悪く刑務官が通りかかってしまった。
公ちゃんはそのまま連れて行かれた。
公ちゃんがいなくなってからの舎房は嘘のように静かになった。
その舎房内で他の受刑者達と喧嘩になって、私も公ちゃんの後を追うように懲罰になった。
そして、その後の残刑数ヶ月は一寮一階において独居拘禁にされた。
私は、入所時からやりっぱなしの努め方をしてきていたので、当然、刑務所からは嫌われている。
この頃には名古屋刑務所で起きた、、、
刑務官による受刑者虐殺事件やリンチ殺害事件等が明るみになった流れで、監獄法は改正されていた。
なので、以前のように拷問やリンチ等を大っぴらにはやれなくなっていた。
その代わり、陰湿極まりない虐待を、表に出ない狡猾な手段を用いて行うようになっていた。
完全な冤罪とまでは言えなくても、、、
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